hagi_pf
DONE雨クリワンドロ7/9お題:七夕普通に時間をガン無視しました。七夕イベント後の雨クリ。
七夕祭りのライブを無事に終えた夜。会場近くのホテルで一息ついていたクリスは、スマートフォンがメッセージの受信を知らせる音に気づき手を伸ばした。
待ち受け画面に表示されていたのは、雨彦の名前。メッセージアプリを開くと、そこに書かれていたのは、まだ起きているかという端的な問いかけのみだった。それに肯定で答えると、程なくしてコンコンと控えめなノック音が響く。
「雨彦」
「こんな時間に悪いな」
ドアを開けると、そこには雨彦がラフな服装で佇んでいた。部屋に招き入れようとしてみたが、雨彦は動き出す気配がない。
「もう寝るところだったかい?」
「いえ、まだもう少し起きているつもりでしたよ」
「……それなら、少し俺に付き合ってくれないか?」
1927待ち受け画面に表示されていたのは、雨彦の名前。メッセージアプリを開くと、そこに書かれていたのは、まだ起きているかという端的な問いかけのみだった。それに肯定で答えると、程なくしてコンコンと控えめなノック音が響く。
「雨彦」
「こんな時間に悪いな」
ドアを開けると、そこには雨彦がラフな服装で佇んでいた。部屋に招き入れようとしてみたが、雨彦は動き出す気配がない。
「もう寝るところだったかい?」
「いえ、まだもう少し起きているつもりでしたよ」
「……それなら、少し俺に付き合ってくれないか?」
hagi_pf
DOODLEイベスト読んだら自分が思ってる以上にヘビー感情な彦さんとそれもまるっと包む論さんが見たくなったよという雨クリ雰囲気らくがき「……あの、雨彦?」
鍛えられた逞しい腕の中。後ろからすっぽりと抱きしめられた状態のクリスは、少々戸惑うように雨彦の名前を呼んだ。
「どうした?」
そう返ってきた声はひどく穏やかで甘い。後ろを振り向こうとすると、それに応えるかのように顔を覗き込まれて、ミステリアスな色の瞳と目が合った。ふっと満足そうに微笑まれると、照れくさいような気持ちが湧き上がってくる。
「ええと、この、状態は……」
「嫌かい?」
「いえ、嫌というわけでは、ないのですが……」
よくよく見ると、当の雨彦本人も自分の行動に戸惑っているのか、その瞳にはほんの少しだけ困惑の色が混ざっている。それでも雨彦は、クリスを離してくれる気配がない。
雨彦の家で一晩を過ごして迎えた翌朝。家を出た後は一人海へ向かおうかと、身支度を整えていたところだった。
1344鍛えられた逞しい腕の中。後ろからすっぽりと抱きしめられた状態のクリスは、少々戸惑うように雨彦の名前を呼んだ。
「どうした?」
そう返ってきた声はひどく穏やかで甘い。後ろを振り向こうとすると、それに応えるかのように顔を覗き込まれて、ミステリアスな色の瞳と目が合った。ふっと満足そうに微笑まれると、照れくさいような気持ちが湧き上がってくる。
「ええと、この、状態は……」
「嫌かい?」
「いえ、嫌というわけでは、ないのですが……」
よくよく見ると、当の雨彦本人も自分の行動に戸惑っているのか、その瞳にはほんの少しだけ困惑の色が混ざっている。それでも雨彦は、クリスを離してくれる気配がない。
雨彦の家で一晩を過ごして迎えた翌朝。家を出た後は一人海へ向かおうかと、身支度を整えていたところだった。
hagi_pf
DOODLE昨日めっちゃ雨だったから書いた絶対n番煎じ&雰囲気だけの雨クリらくがき。 窓の外は鈍色。さあさあと音を立てて、雨が降っている。
世界から隔絶されてしまったみたいな、静かな部屋の中。クリスはじっと、外の世界を覗いている。
「あめ」
そう口に出してみた。それは彼の音だ。たったふたつの音がクリスの中に落ちてきて、それに心が満たされる。
包み込むように柔らかくて、優しくて、静かなその音は、彼に似合いだと思う。
そんなことを考えていると、自然と口元に笑みが浮かんだ。
「この天気なのに、随分とご機嫌だな」
いつの間にか隣にやってきた雨彦が、少し意外そうな顔でクリスを見ている。
「この天気だからですよ」
「この雨だと、海にも行けないのにかい?」
雨彦は、さらに不思議そうに小首を傾げた。雨はクリスと海とを隔てるものだと思っているのだ。
1000世界から隔絶されてしまったみたいな、静かな部屋の中。クリスはじっと、外の世界を覗いている。
「あめ」
そう口に出してみた。それは彼の音だ。たったふたつの音がクリスの中に落ちてきて、それに心が満たされる。
包み込むように柔らかくて、優しくて、静かなその音は、彼に似合いだと思う。
そんなことを考えていると、自然と口元に笑みが浮かんだ。
「この天気なのに、随分とご機嫌だな」
いつの間にか隣にやってきた雨彦が、少し意外そうな顔でクリスを見ている。
「この天気だからですよ」
「この雨だと、海にも行けないのにかい?」
雨彦は、さらに不思議そうに小首を傾げた。雨はクリスと海とを隔てるものだと思っているのだ。
hagi_pf
DONE雨クリワンドロ5/21お題:晩御飯の買い物生活感のある雨クリ見たい
夕方のスーパーの日用品コーナー。洗剤を手に取った雨彦は、クリスを探して店内を歩いていた。
同居人であるクリスと二人揃ってスーパーに来ることはあまり多くない。スケジュールが合わないこともあれば、外食続きになることも、家を空けることもある生活だ。どちらか片方が買い出しを引き受ける、ということも少なくなかった。
二人で買い出しに来た時には、まずは雨彦が日用品コーナーに向かい、それから食料品を探すクリスに合流することが多い。
こういう時、クリスを見つけるのは簡単だ。すっかり慣れ親しんだ店内を、雨彦は迷いなく歩く。そうしてたどり着いた鮮魚コーナーで、やはりクリスは並べられた魚とにらめっこをしていた。
「いい魚は見つかったかい?」
1356同居人であるクリスと二人揃ってスーパーに来ることはあまり多くない。スケジュールが合わないこともあれば、外食続きになることも、家を空けることもある生活だ。どちらか片方が買い出しを引き受ける、ということも少なくなかった。
二人で買い出しに来た時には、まずは雨彦が日用品コーナーに向かい、それから食料品を探すクリスに合流することが多い。
こういう時、クリスを見つけるのは簡単だ。すっかり慣れ親しんだ店内を、雨彦は迷いなく歩く。そうしてたどり着いた鮮魚コーナーで、やはりクリスは並べられた魚とにらめっこをしていた。
「いい魚は見つかったかい?」
hagi_pf
DONE雨クリワンドロ4/30お題:連休付き合ってない雨クリのはよ付き合えって感じのやつです
「皆さん本当にお疲れさまでした!」
プロデューサーの労う声が楽屋に響く。無事収録を完遂したクリスは、ほっとしたように深く息を吐いた。
Legendersの三人はこのところスケジュールがびっしりと埋まっていて、休みという休みもなかなか取れないまま、仕事に勤しんでいた。過密スケジュールの最後を飾ったのが、ついさっき終えたばかりの番組収録の仕事だ。
収録に撮影にと駆け回っていた三人をしっかりと休ませるべく、プロデューサーは四日間のオフを作ってくれた。明日からは少しの間、のんびりと身体を休め、リフレッシュすることができるだろう。
「それじゃあ、お疲れ様ですー」
収録が押した関係で、すっかり時間が遅くなってしまった。想楽を自宅に送り届けるため、プロデューサーと想楽は一足早く楽屋を出る。残されたクリスと雨彦も、支度が整い次第各々帰路につく予定だ。
1930プロデューサーの労う声が楽屋に響く。無事収録を完遂したクリスは、ほっとしたように深く息を吐いた。
Legendersの三人はこのところスケジュールがびっしりと埋まっていて、休みという休みもなかなか取れないまま、仕事に勤しんでいた。過密スケジュールの最後を飾ったのが、ついさっき終えたばかりの番組収録の仕事だ。
収録に撮影にと駆け回っていた三人をしっかりと休ませるべく、プロデューサーは四日間のオフを作ってくれた。明日からは少しの間、のんびりと身体を休め、リフレッシュすることができるだろう。
「それじゃあ、お疲れ様ですー」
収録が押した関係で、すっかり時間が遅くなってしまった。想楽を自宅に送り届けるため、プロデューサーと想楽は一足早く楽屋を出る。残されたクリスと雨彦も、支度が整い次第各々帰路につく予定だ。
hiisekine_amcr
DOODLE雨クリワンドロより「水族館」 2時間かかってしまいました…使用した写真は先日水族館に遊びに行った時に自分で撮影したものです 彦さんも論さんを通して海の生き物に親しみを持つようになってたりしたら嬉しいな~って思います 2hiisekine_amcr
DOODLE過去のワンドロの再掲です。12/11 マフラー
1/1 新しい事
1/22 ポプマス
1/29 姫抱っこ
2/12 バレンタイン
2/19 用務員室
3/5 同棲
3/19 シルバーアクセサリー 8
hagi_pf
DONE雨クリワンドロ4/9お題:折り紙いつも通りな感じの雨クリ
人の少ない昼下がりの事務所。クリスは雨彦が暇つぶしにと折り紙を折る様子を眺めていた。
「お前さん、見ていて退屈じゃないのかい?」
「そんなことはありません!こうして眺めているだけでも楽しいですよ」
テーブルの上には、既に完成したものがいくつか並んでいる。クリスが見ているからか、作られるのは海の生き物ばかりだ。
クリスがいくつかリクエストをしてみると、雨彦は小さく笑ってそれに応えてくれる。折り紙が特技なのだという雨彦の表情は、穏やかで楽しそうだ。その表情をクリスが時折盗み見ていることに、雨彦は気づいているだろうか。
「古論のおかげで、随分と海の生き物のレパートリーが増えちまったな」
目線で手を出すように促され、テーブルの上で両手を広げる。ぽとりと手の中に落とされた小さな生き物の姿に、クリスは思わず雨彦を見上げた。
1234「お前さん、見ていて退屈じゃないのかい?」
「そんなことはありません!こうして眺めているだけでも楽しいですよ」
テーブルの上には、既に完成したものがいくつか並んでいる。クリスが見ているからか、作られるのは海の生き物ばかりだ。
クリスがいくつかリクエストをしてみると、雨彦は小さく笑ってそれに応えてくれる。折り紙が特技なのだという雨彦の表情は、穏やかで楽しそうだ。その表情をクリスが時折盗み見ていることに、雨彦は気づいているだろうか。
「古論のおかげで、随分と海の生き物のレパートリーが増えちまったな」
目線で手を出すように促され、テーブルの上で両手を広げる。ぽとりと手の中に落とされた小さな生き物の姿に、クリスは思わず雨彦を見上げた。
hiisekine_amcr
DOODLE雨クリ+みのりーず+華村さんで、飲み会ネタのお話です。雨彦さんがあまりかっこよくないです。Twitterでアップしていたものに少し修正を加えています。下書き状態ですが、今後完成品はpixivにアップするか、あるいは本にできたらいいなと思っています(未定です)。 37
hagi_pf
DONE雨クリワンドロ4/2お題:お花見多分付き合ってる雨クリ
ユニットでの仕事の帰り道。最寄りの駅へと向かう道すがら、見事な桜並木を見つけた三人は、思わず足を止めた。
「へえ、行きは気づかなかったけど、綺麗だねー」
「ちょうど見頃ってところだな」
この後は予定している仕事もない。寄り道するのもいいだろうと、三人の足は吸い寄せられるように並木道へと向かった。両脇に植えられた桜は満開を迎え、時折はらりと花びらを落としている。
「桜といえば、やはりサクラダイの話は欠かせません!実は漢字の桜鯛と片仮名のサクラダイは別種の魚でして……」
「桜を前にしても、クリスさんは相変わらずだねー」
桜もそこそこに、いつものように話し始めたクリスに、隣の想楽が苦笑した。
桜に囲まれるクリスは、本人の持つ華やかな容姿も相まって大層絵になっている。一方で当の本人の意識は桜ではなく海へと向いてしまっているのがちぐはぐで、どこか面白い。
1355「へえ、行きは気づかなかったけど、綺麗だねー」
「ちょうど見頃ってところだな」
この後は予定している仕事もない。寄り道するのもいいだろうと、三人の足は吸い寄せられるように並木道へと向かった。両脇に植えられた桜は満開を迎え、時折はらりと花びらを落としている。
「桜といえば、やはりサクラダイの話は欠かせません!実は漢字の桜鯛と片仮名のサクラダイは別種の魚でして……」
「桜を前にしても、クリスさんは相変わらずだねー」
桜もそこそこに、いつものように話し始めたクリスに、隣の想楽が苦笑した。
桜に囲まれるクリスは、本人の持つ華やかな容姿も相まって大層絵になっている。一方で当の本人の意識は桜ではなく海へと向いてしまっているのがちぐはぐで、どこか面白い。
hagi_pf
DONE雨クリワンドロ3/19お題:シルバーアクセサリー
イベントのときの雨クリ。
ライブの前の勉強にと訪れたアクセサリーショップ。各々が思い思いに店内を見回る中で、一通り店内を見終えた雨彦は、ご機嫌な様子でネックレスを手にするクリスを目に留めた。
「古論はそれを買うのかい?」
「はい!」
大事そうに手にしているそれを、クリスはいたく気に入ったようだ。
「そいつは……カメかい?」
「タイマイというウミガメの仲間だと思います。どんなものが良いのか悩んでいたところを黒野さんに選んでいただきました」
自身が好む海の生物をモチーフにしているからか、事務所の仲間に選んでもらった品だからか、クリスは随分と嬉しそうだ。
大事な仲間とはいえ、恋人である雨彦以外の人間が選んだ品だ。それを喜び身に着けようというのだから、ほんの少しだけ嫉妬のような感情を覚えてしまうのは、仕方のないことだと思う。そういう雨彦も玄武には散々助言をもらい、似合いそうな品まで選んでもらってしまっているので、人のことは言えないのだが。
1405「古論はそれを買うのかい?」
「はい!」
大事そうに手にしているそれを、クリスはいたく気に入ったようだ。
「そいつは……カメかい?」
「タイマイというウミガメの仲間だと思います。どんなものが良いのか悩んでいたところを黒野さんに選んでいただきました」
自身が好む海の生物をモチーフにしているからか、事務所の仲間に選んでもらった品だからか、クリスは随分と嬉しそうだ。
大事な仲間とはいえ、恋人である雨彦以外の人間が選んだ品だ。それを喜び身に着けようというのだから、ほんの少しだけ嫉妬のような感情を覚えてしまうのは、仕方のないことだと思う。そういう雨彦も玄武には散々助言をもらい、似合いそうな品まで選んでもらってしまっているので、人のことは言えないのだが。
27tael
DOODLE雨クリ未満の運動会の話「じゃあ、またな」
端末を耳から離して、スクリーンの終話ボタンを押す。
運動会と銘打たれたイベントごと。
休憩時間に、水色が印象的なジャージを羽織った姿で、今日は別の仕事のためにこの場に来られなかったユニットメンバーのたわいのない電話を再度受けていたのだが。
「今の相手、ころんだよねぇ?」
端末を運動場の仮設の机に戻して、うーん、と伸びをしていると、隣から同い年ということもあり親近感を抱いている、元教師の同僚の声がする。
「ああ。何か伝えておくことでもあったかい?」
「いや、別に。……お父さんみたいに優しい声だったから、ちょっと意外でね」
思わぬことを言われて、うん? と返事に詰まりながら伸びを解くと、先ほどの競技で疲れた面持ちをした相手の背後、こちらは観覧席から応援をそそぐエンジェルたちへのファンサービスに淀みなく勤しむ年下の先輩が、ふと興味を惹かれたかのように、キラキラとしたウインクを投げて寄越した。
511端末を耳から離して、スクリーンの終話ボタンを押す。
運動会と銘打たれたイベントごと。
休憩時間に、水色が印象的なジャージを羽織った姿で、今日は別の仕事のためにこの場に来られなかったユニットメンバーのたわいのない電話を再度受けていたのだが。
「今の相手、ころんだよねぇ?」
端末を運動場の仮設の机に戻して、うーん、と伸びをしていると、隣から同い年ということもあり親近感を抱いている、元教師の同僚の声がする。
「ああ。何か伝えておくことでもあったかい?」
「いや、別に。……お父さんみたいに優しい声だったから、ちょっと意外でね」
思わぬことを言われて、うん? と返事に詰まりながら伸びを解くと、先ほどの競技で疲れた面持ちをした相手の背後、こちらは観覧席から応援をそそぐエンジェルたちへのファンサービスに淀みなく勤しむ年下の先輩が、ふと興味を惹かれたかのように、キラキラとしたウインクを投げて寄越した。
hagi_pf
DOODLEバレンタインの雨クリを書いたので後日談としてホワイトデーも書いておきたかったらくがき。雨彦さんほとんど出てこないし安定の巻き込まれ想楽くんがいる。「おはようございますー」
「おはようございます、想楽!」
想楽が打ち合わせのために事務所に顔を出すと、既に到着していたクリスが出迎えてくれた。
「あれ、雨彦さんは?」
「雨彦は今プロデューサーさんに呼ばれて席を外しているんです。もう少しで戻ってくると思いますよ」
言葉を交わしながら荷物を下ろして、クリスの向かいのソファに座る。そんな想楽を見守るクリスはにこにこといつも以上にご機嫌な様子だ。何か海で新発見でもあったのだろうか。
「クリスさん、何だか嬉しそうだねー。いいことでもあった?」
雨彦を待つ間ならクリスの話に耳を傾けるのもいいだろうと尋ねてみると、クリスはぱっと表情を明るくする。
「はい!実はこれを雨彦からいただきまして……」
1938「おはようございます、想楽!」
想楽が打ち合わせのために事務所に顔を出すと、既に到着していたクリスが出迎えてくれた。
「あれ、雨彦さんは?」
「雨彦は今プロデューサーさんに呼ばれて席を外しているんです。もう少しで戻ってくると思いますよ」
言葉を交わしながら荷物を下ろして、クリスの向かいのソファに座る。そんな想楽を見守るクリスはにこにこといつも以上にご機嫌な様子だ。何か海で新発見でもあったのだろうか。
「クリスさん、何だか嬉しそうだねー。いいことでもあった?」
雨彦を待つ間ならクリスの話に耳を傾けるのもいいだろうと尋ねてみると、クリスはぱっと表情を明るくする。
「はい!実はこれを雨彦からいただきまして……」
hagi_pf
DOODLE雨クリワンドロ3/5お題:同棲※没にした方
同棲始めた論さんがやりたいことの話。
「やっとひと段落しましたね」
「ああ、これでとりあえず住める状態にはなったな」
そう言いながら雨彦とクリスは、ビールの缶を開けた。
長らく恋人という関係を続けてきた雨彦とクリスは、紆余曲折の末に二人で生活を共にすることにした。部屋を決め、家具を買い、それぞれに準備を進めて、やっと引っ越しの日を迎えたのが今日のことだ。
引っ越し当日というのは慌ただしいもので、家具の搬入に必要なものの荷解きにと、やらなければいけないことが山ほどある。やっと暮らせる環境が整った頃にはすっかり日が沈み、二人はくたくたになっていた。
せっかくの初日なのだから、何か特別なことがしたい気持ちはあったが、疲れには勝てない。相談の末、結局宅配サービスで好きなだけ料理を頼もうということになった。
1522「ああ、これでとりあえず住める状態にはなったな」
そう言いながら雨彦とクリスは、ビールの缶を開けた。
長らく恋人という関係を続けてきた雨彦とクリスは、紆余曲折の末に二人で生活を共にすることにした。部屋を決め、家具を買い、それぞれに準備を進めて、やっと引っ越しの日を迎えたのが今日のことだ。
引っ越し当日というのは慌ただしいもので、家具の搬入に必要なものの荷解きにと、やらなければいけないことが山ほどある。やっと暮らせる環境が整った頃にはすっかり日が沈み、二人はくたくたになっていた。
せっかくの初日なのだから、何か特別なことがしたい気持ちはあったが、疲れには勝てない。相談の末、結局宅配サービスで好きなだけ料理を頼もうということになった。
hagi_pf
DONE雨クリワンドロ3/5お題:同棲仕事で落ち込む論さんが彦の待つ家に帰る話。
疲れ切った身体が鉛のように重い。
一日がかりの単独仕事を終えたクリスは、暗い面持ちで雨彦と暮らすマンションのエントランスに入った。
一人の仕事にも、多少は慣れたつもりだ。今日の仕事だってちゃんとこなせたと思う。
だが時折受ける、クリスを敵視する同業者からの心ない言葉には未だに慣れない。今日の現場にはたまたまそういう人がいて、投げかけられる言葉はクリスに重くのしかかった。
結果、仕事の疲労も相まって、クリスはすっかり意気消沈してしまったのだ。
オートロックを解除して、エレベーターに乗り込む。部屋のある階にたどり着くまでの僅かな時間すら待ち遠しい。
家に帰れば、雨彦がいる。今は一刻も早く、雨彦の姿が見たかった。
1566一日がかりの単独仕事を終えたクリスは、暗い面持ちで雨彦と暮らすマンションのエントランスに入った。
一人の仕事にも、多少は慣れたつもりだ。今日の仕事だってちゃんとこなせたと思う。
だが時折受ける、クリスを敵視する同業者からの心ない言葉には未だに慣れない。今日の現場にはたまたまそういう人がいて、投げかけられる言葉はクリスに重くのしかかった。
結果、仕事の疲労も相まって、クリスはすっかり意気消沈してしまったのだ。
オートロックを解除して、エレベーターに乗り込む。部屋のある階にたどり着くまでの僅かな時間すら待ち遠しい。
家に帰れば、雨彦がいる。今は一刻も早く、雨彦の姿が見たかった。
hiisekine_amcr
DOODLE雨クリワンドロより「髪を弄ぶ」60+30min程
セリフに間違いがあったとご指摘いただいたので、そちらと合わせて若干の修正を行いました。(最初のツイートは削除いたしました。いいね・RTありがとうございました) 3
hagi_pf
DONE雨クリワンドロ2/26お題:髪を弄ぶなんかイチャイチャしてるだけの雨クリ
大きな手が、優しく髪を撫でる。クリスはすっかり慣れてしまったその感覚に身を任せ、目を閉じた。
恋人という関係になってから、雨彦はよくクリスの髪を手入れするようになった。
ドライヤーをして、髪を梳いて、クリスがおすすめされるままに購入したヘアケア用品たちで仕上げる。本人ですら少し面倒だと感じるそれらを、一つ一つ丁寧に進めていく雨彦は楽しそうだ。
大事なものに触れるような、雨彦の繊細な手つきは心地が良い。
手入れがすっかり終わっても、雨彦は戯れるようにクリスの髪を撫で続けた。指通りの良くなった髪を指で梳き、整えるように撫でつける。直接肌に触れられるほど明確ではない感覚が、少しくすぐったい。
「雨彦は髪がお好きなのですか?」
1000恋人という関係になってから、雨彦はよくクリスの髪を手入れするようになった。
ドライヤーをして、髪を梳いて、クリスがおすすめされるままに購入したヘアケア用品たちで仕上げる。本人ですら少し面倒だと感じるそれらを、一つ一つ丁寧に進めていく雨彦は楽しそうだ。
大事なものに触れるような、雨彦の繊細な手つきは心地が良い。
手入れがすっかり終わっても、雨彦は戯れるようにクリスの髪を撫で続けた。指通りの良くなった髪を指で梳き、整えるように撫でつける。直接肌に触れられるほど明確ではない感覚が、少しくすぐったい。
「雨彦は髪がお好きなのですか?」
27tael
DOODLETBT見て、レジェとレジェメンって世間様にはもっとセクシークール系だと思われてるのか?と思ってたのと、ちょっと斜に構え彦もいいなのと、ころんさん心も体も素直でかいらくによわそう… と思って書いたいつもとちょっと違う雨クリ…「ん、――ッ」
ねだられるまま唇を合わせて、甘く漏れる吐息を封じる。頬を指の背で撫でつつ顔を離した先で、既にとろけきった琥珀の瞳が、こちらを縋るように見つめてくる。
「あ、あめひこ♡ もっと、触ってください♡♡」
ホテルのベッドに背を預けながら告げられる、早々に恥じらいよりも欲がまさった素直なおねだりは、重ねてきた情事で躾けた仕草を思わせてどこか優越感をくすぐる。
――ほんの先程まで、メディアに掲載される、自分たちのパブリックイメージに沿った撮影を行なっていたのだ。
アイドルとしてのレジェンダーズに求められているのは、年長ふたりのミステリアスな大人の余裕、年少のメンバーの小生意気な言動。
ファンには熱を込めたライブパフォーマンスや、口を開けばもれなく海のこと、という「意外な」気さくさが伝わっているのかとは思うが、おそらく今回のグラビアでもこの男に冠される言葉は『気品ある美貌』『元助教の知性を帯びた笑み』『ここではない水平線を挑発的に見る目』だとか、なんとか。
718ねだられるまま唇を合わせて、甘く漏れる吐息を封じる。頬を指の背で撫でつつ顔を離した先で、既にとろけきった琥珀の瞳が、こちらを縋るように見つめてくる。
「あ、あめひこ♡ もっと、触ってください♡♡」
ホテルのベッドに背を預けながら告げられる、早々に恥じらいよりも欲がまさった素直なおねだりは、重ねてきた情事で躾けた仕草を思わせてどこか優越感をくすぐる。
――ほんの先程まで、メディアに掲載される、自分たちのパブリックイメージに沿った撮影を行なっていたのだ。
アイドルとしてのレジェンダーズに求められているのは、年長ふたりのミステリアスな大人の余裕、年少のメンバーの小生意気な言動。
ファンには熱を込めたライブパフォーマンスや、口を開けばもれなく海のこと、という「意外な」気さくさが伝わっているのかとは思うが、おそらく今回のグラビアでもこの男に冠される言葉は『気品ある美貌』『元助教の知性を帯びた笑み』『ここではない水平線を挑発的に見る目』だとか、なんとか。
hagi_pf
DOODLE雨クリワンドロ2/12お題:バレンタイン微妙な両片思いのやつ。
クリスと二人きりの会議室。そわそわと落ち着かない視線が、時折雨彦に向けられる。そんなクリスの様子に、雨彦は最初こそ気づいていないふりをして、彼がアクションを起こすのを気長に待っていた。
だが時計を見ると、そろそろ時間切れになってしまいそうな頃合いだ。
何を切り出すつもりだったかはわからないが、それができなかったとしたら、きっとクリスは落ち込むだろう。はっきりと想像がつくその結末を、できれば避けてやりたいと考えるのは、雨彦にとっては自然なことだった。
「古論、どうかしたのかい?」
「あ、いえ、その……」
今視線に気づいたというように声をかけると、煮えきらない返答が返ってくる。
だが雨彦が投じた一石は、クリスから動かないという選択肢を消したようだ。意を決したような顔で、クリスは雨彦を見る。
1259だが時計を見ると、そろそろ時間切れになってしまいそうな頃合いだ。
何を切り出すつもりだったかはわからないが、それができなかったとしたら、きっとクリスは落ち込むだろう。はっきりと想像がつくその結末を、できれば避けてやりたいと考えるのは、雨彦にとっては自然なことだった。
「古論、どうかしたのかい?」
「あ、いえ、その……」
今視線に気づいたというように声をかけると、煮えきらない返答が返ってくる。
だが雨彦が投じた一石は、クリスから動かないという選択肢を消したようだ。意を決したような顔で、クリスは雨彦を見る。
hagi_pf
DOODLE雨クリワンドロ2/5お題:エプロン
同棲してる雨クリのちょっと頭悪い話です。若干ムッツリっぽい彦と若干彦を振り回す論。
「……あ、間違えました」
呆然とする雨彦の目の前で、クリスは平然とした口調でそう言ってのけた。
時刻は夕飯時。今日はいい魚が手に入ったから自分が夕食を作るのだ、と張り切った様子のクリスは、徐に席を立った。
ダイニングテーブルの向かいでそんなクリスに頷いた雨彦は次の瞬間、クリスの挙動に手にしていたマグカップを取り落としかける。そのままキッチンに向かうと思っていたクリスが、目の前で身に着けていたセーターを脱ごうとし始めたのだ。
料理をすると言ったはずの恋人が、突然目の前で衣服を脱ぎ始めたら、動揺してしまうのも無理はないだろう。取り繕う余裕もなく驚いた表情を浮かべた雨彦に、クリスは少し不思議そうに首を傾げ、数秒後に合点がいったというような顔をする。そうして出てきた一言が「間違えた」だった。
1268呆然とする雨彦の目の前で、クリスは平然とした口調でそう言ってのけた。
時刻は夕飯時。今日はいい魚が手に入ったから自分が夕食を作るのだ、と張り切った様子のクリスは、徐に席を立った。
ダイニングテーブルの向かいでそんなクリスに頷いた雨彦は次の瞬間、クリスの挙動に手にしていたマグカップを取り落としかける。そのままキッチンに向かうと思っていたクリスが、目の前で身に着けていたセーターを脱ごうとし始めたのだ。
料理をすると言ったはずの恋人が、突然目の前で衣服を脱ぎ始めたら、動揺してしまうのも無理はないだろう。取り繕う余裕もなく驚いた表情を浮かべた雨彦に、クリスは少し不思議そうに首を傾げ、数秒後に合点がいったというような顔をする。そうして出てきた一言が「間違えた」だった。
hiisekine_amcr
DOODLEリメショんだーずとリメショ雨クリ。2枚目の雨クリは身長差こんな感じなんだ…という衝撃で衝動的に描いたやつ。3枚目は想楽くんの身長がわかったので描きなおしたやつです! 3hagi_pf
DOODLE雨クリワンドロ1/22お題:ポプマスマベ彦にかこつけてイチャつく雨クリ
リビングで珍しくスマートフォンに集中するクリスを見つけ、雨彦は近寄りながら声をかけた。
「何を熱心に見てるんだい?」
「雨彦」
雨彦の声にクリスはぱっと顔を上げる。そのままスマートフォンを向けてくるので、雨彦は画面を覗き込んだ。
「この間の仕事の記事か……」
クリスが見ていたのは、先日雨彦が単独で出演した仕事の取材記事。事務所を越えてアイドルが集うその仕事で、雨彦は執事の衣装に身を包んだ。周囲はかわいらしいメイド服を着た女性アイドルばかりで、少々戸惑ったのも記憶に新しい。
仕事の記憶を辿っていると、記事中の雨彦の写真を眺めるクリスはふふ、と笑みをこぼす。
「雨彦は何でもスマートにこなしますから、執事としても優秀でしょうね」
1073「何を熱心に見てるんだい?」
「雨彦」
雨彦の声にクリスはぱっと顔を上げる。そのままスマートフォンを向けてくるので、雨彦は画面を覗き込んだ。
「この間の仕事の記事か……」
クリスが見ていたのは、先日雨彦が単独で出演した仕事の取材記事。事務所を越えてアイドルが集うその仕事で、雨彦は執事の衣装に身を包んだ。周囲はかわいらしいメイド服を着た女性アイドルばかりで、少々戸惑ったのも記憶に新しい。
仕事の記憶を辿っていると、記事中の雨彦の写真を眺めるクリスはふふ、と笑みをこぼす。
「雨彦は何でもスマートにこなしますから、執事としても優秀でしょうね」
hagi_pf
MAIKINGよこはまでーとする雨クリ途中(付き合ってない)「実はスタッフさんからこちらのチケットをいただいたんです。よければこの後三人で行ってみませんか?」
隣県でのロケの後、にこにこと笑みを浮かべるクリスが取り出したのは、近くのロープウェイと観覧車を利用できるチケットだった。
街中を運行するロープウェイや街のシンボルである大観覧車は、港に面した街並みを眺めるにはうってつけなのだという。海をこよなく愛するクリスにとっては、こうした施設も魅力的なものなのだろう。
雨彦には、特に誘いを断る理由もない。頷きかけたところで、ひと足早く想楽が口を開いた。
「ごめんねクリスさんー。僕はちょっと行ってみたいところがあるから、雨彦さんと二人で行ってきてー」
やんわりと断りを入れながら、赤い瞳がチラリと雨彦を見る。そこから言外に読み取れるメッセージは「しっかりやれ」だろうか。
1386隣県でのロケの後、にこにこと笑みを浮かべるクリスが取り出したのは、近くのロープウェイと観覧車を利用できるチケットだった。
街中を運行するロープウェイや街のシンボルである大観覧車は、港に面した街並みを眺めるにはうってつけなのだという。海をこよなく愛するクリスにとっては、こうした施設も魅力的なものなのだろう。
雨彦には、特に誘いを断る理由もない。頷きかけたところで、ひと足早く想楽が口を開いた。
「ごめんねクリスさんー。僕はちょっと行ってみたいところがあるから、雨彦さんと二人で行ってきてー」
やんわりと断りを入れながら、赤い瞳がチラリと雨彦を見る。そこから言外に読み取れるメッセージは「しっかりやれ」だろうか。
hagi_pf
DOODLE12/18雨クリワンドロ「夜更かし」※夜更かししてない
「彼は船に乗り、美しい島にたどり着きました」
午前0時、スマートフォンを耳元に置きベッドに潜った雨彦は、穏やかな声で紡がれる物語を聞いている。
雨彦はここ最近寝つきが悪い。おそらくは最近掃除の方が忙しく、その名残が残り続けているせいだろう。
睡眠不足が続き、事務所で思わず欠伸をしたところを、ユニットメンバーやちょうど事務所にいたもふもふえんの3人に見られてしまった。
「かのんね、クリスさんのお話を聞いたらよく眠れたの!だからあめひこさんもクリスさんにお話ししてもらったら眠れるかも!」
雨彦が寝不足だと聞いた小さな先輩が名案だというように声を上げ、突如白羽の矢が立ったクリスは、何度か瞬きをした後雨彦を見た。
966午前0時、スマートフォンを耳元に置きベッドに潜った雨彦は、穏やかな声で紡がれる物語を聞いている。
雨彦はここ最近寝つきが悪い。おそらくは最近掃除の方が忙しく、その名残が残り続けているせいだろう。
睡眠不足が続き、事務所で思わず欠伸をしたところを、ユニットメンバーやちょうど事務所にいたもふもふえんの3人に見られてしまった。
「かのんね、クリスさんのお話を聞いたらよく眠れたの!だからあめひこさんもクリスさんにお話ししてもらったら眠れるかも!」
雨彦が寝不足だと聞いた小さな先輩が名案だというように声を上げ、突如白羽の矢が立ったクリスは、何度か瞬きをした後雨彦を見た。
hagi_pf
MOURNING彦がかっこよくない&勢いだけの雨クリのプロポーズを供養しておきたい きっかけなんていうのは、後から思い返せば些細なものだ。雨彦でいえば、単独のロケで普段より会えない期間が長かった、だとか、その間に少し厄介な掃除をした、だとか、そんなところだ。
掃除をすると思い知る。自分が何者であるかも、人の執着が行き着く果ても。そして最後には恋人のことを思い出して、彼を想い恋人の座に収まり続けている自分に迷った。
「雨彦!」
雨彦の姿を見つけたクリスの表情が、ぱっと華やぐのを見るのが好きだった。
久しぶりに会う恋人は、寒い中随分と早く待ち合わせ場所に着いたのか、鼻先が少し赤い。笑顔で雨彦に駆け寄ってくる姿を見ていると、会えなかった期間分の愛おしさが湧き上がってきて、先程まで渦巻いていたはずの迷いが塗り潰されていく。
1440掃除をすると思い知る。自分が何者であるかも、人の執着が行き着く果ても。そして最後には恋人のことを思い出して、彼を想い恋人の座に収まり続けている自分に迷った。
「雨彦!」
雨彦の姿を見つけたクリスの表情が、ぱっと華やぐのを見るのが好きだった。
久しぶりに会う恋人は、寒い中随分と早く待ち合わせ場所に着いたのか、鼻先が少し赤い。笑顔で雨彦に駆け寄ってくる姿を見ていると、会えなかった期間分の愛おしさが湧き上がってきて、先程まで渦巻いていたはずの迷いが塗り潰されていく。