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DONEワンライ(ちょこ/ひげ) テーブルの上には酒瓶とぐい呑み二つ、それから各々が好むつまみ。
今宵も空にはいい月が浮かんでいる。相棒との同道を始めてすっかり習慣になった、晩酌の時間だ。
この日のためにとっておいた上質などぶろくは、まったりとした飲み口に反していささか度数が高い。あまり酒に強くない相棒の頬は、ほんのりと赤らみ始めていた。
「お前さん、そろそろやめといた方がいいんじゃない?」
「別に潰れたところで何も問題ないでしょう。敵のアジトは壊滅し、この国の闇組織は全て制圧……明日は一日中ホテルの部屋で寝ていても、誰も責める人間はいないのですよ」
今やDISCARDを凌ぐ巨大組織のボスである男は、酒に酔わされとろりと潤んだ目線を寄越してくる。
1436今宵も空にはいい月が浮かんでいる。相棒との同道を始めてすっかり習慣になった、晩酌の時間だ。
この日のためにとっておいた上質などぶろくは、まったりとした飲み口に反していささか度数が高い。あまり酒に強くない相棒の頬は、ほんのりと赤らみ始めていた。
「お前さん、そろそろやめといた方がいいんじゃない?」
「別に潰れたところで何も問題ないでしょう。敵のアジトは壊滅し、この国の闇組織は全て制圧……明日は一日中ホテルの部屋で寝ていても、誰も責める人間はいないのですよ」
今やDISCARDを凌ぐ巨大組織のボスである男は、酒に酔わされとろりと潤んだ目線を寄越してくる。
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DONEワンライ(拷問/化粧) ――この傷跡について、ですか?
――……口さえ自由なら、吐くとでも?
――何故、この期に及んでそんな話を? 他に暴くべき仮面の詐欺師の腹積もり、いくらでもあるのではないですか?
――……今にもこちらを甚振りそうな顔だ。まァ、いいでしょう。
――これは、私にとっての濁りの象徴。仇への執着を忘れないために咲かせた、忌まわしい傷……でした。
――かつて、濁りは風味だと言った人がいた。この傷に私の人生が刻まれている、とも。だからこうして化粧を施し、美しく咲かせ続けている。
――……フフ。今は、すっかり化けの皮が剥がれていますがね。
――下衆と分かち合った肩の傷が消えようとしている今、この傷ももう消してしまってもいいのかもしれません。素顔を見た途端、相棒が恐ろしい顔に豹変してしまいましたので。
1277――……口さえ自由なら、吐くとでも?
――何故、この期に及んでそんな話を? 他に暴くべき仮面の詐欺師の腹積もり、いくらでもあるのではないですか?
――……今にもこちらを甚振りそうな顔だ。まァ、いいでしょう。
――これは、私にとっての濁りの象徴。仇への執着を忘れないために咲かせた、忌まわしい傷……でした。
――かつて、濁りは風味だと言った人がいた。この傷に私の人生が刻まれている、とも。だからこうして化粧を施し、美しく咲かせ続けている。
――……フフ。今は、すっかり化けの皮が剥がれていますがね。
――下衆と分かち合った肩の傷が消えようとしている今、この傷ももう消してしまってもいいのかもしれません。素顔を見た途端、相棒が恐ろしい顔に豹変してしまいましたので。
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DONEワンライ(ロボット/カード)「でっっっか……」
目の前に鎮座する巨大なプレゼントボックスを見上げながら、思わず口に出た。
『あなた宛ての荷物が届きますので、受け取っておいてください』
そう言って、チェズレイは先程ひとりで部屋を出て行った。
一カ月ほど過ごしたエリントンを出発し、到着した先は南国。滞在するホテルの部屋に案内され、長旅を終えて一息ついたところだった。
そこへ登場したのが、この紫のリボンを結ばれた大きな箱だ。よく見れば、リボンの先に宛名がついている。『モクマさんへ』。どうやら自分宛ての荷物で間違いないらしい。
ホテルのスイートは広いが、どうにもこの目立つ箱とふたりきりというのは居心地が悪い。贈り主の相棒は不在だが、とりあえず箱を開けてみることにした。
3010目の前に鎮座する巨大なプレゼントボックスを見上げながら、思わず口に出た。
『あなた宛ての荷物が届きますので、受け取っておいてください』
そう言って、チェズレイは先程ひとりで部屋を出て行った。
一カ月ほど過ごしたエリントンを出発し、到着した先は南国。滞在するホテルの部屋に案内され、長旅を終えて一息ついたところだった。
そこへ登場したのが、この紫のリボンを結ばれた大きな箱だ。よく見れば、リボンの先に宛名がついている。『モクマさんへ』。どうやら自分宛ての荷物で間違いないらしい。
ホテルのスイートは広いが、どうにもこの目立つ箱とふたりきりというのは居心地が悪い。贈り主の相棒は不在だが、とりあえず箱を開けてみることにした。
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DONEワンライ(ふうふ/言語)「……ス。ボス。もう朝ですよ」
目を覚ますと、とんでもなく綺麗な顔が僕の顔を覗き込んでいた。
けれど今までの半月ほどで、この光景にも慣れたものだ。「おはよう、チェズレイ」と挨拶して、あくびを噛み殺しながらダイニングへ向かった。廊下まで漂っている、たまらなくいい匂いに惹かれるように。
「おはようさん、ルーク。顔洗っといで。朝ごはんできてるよ」
朝から満面の笑みを浮かべるモクマさんが用意していたのは、つやつやの白米に焼き魚(たぶんアジだ)、味噌汁に焼き海苔。マイカの里でもてなされた時のような、純ミカグラ風メニューだ。
言われるまま顔を洗いに洗面所へ向かうと、先客がいた。
アーロンが歯磨きをしている横から、割り込むようにして洗面台を使う。男二人では狭苦しいことこの上ないが、こういう時間もちょっと楽しかったりする。相棒の方も、邪魔そうにしながら僕を退かす気はないようだ。
3232目を覚ますと、とんでもなく綺麗な顔が僕の顔を覗き込んでいた。
けれど今までの半月ほどで、この光景にも慣れたものだ。「おはよう、チェズレイ」と挨拶して、あくびを噛み殺しながらダイニングへ向かった。廊下まで漂っている、たまらなくいい匂いに惹かれるように。
「おはようさん、ルーク。顔洗っといで。朝ごはんできてるよ」
朝から満面の笑みを浮かべるモクマさんが用意していたのは、つやつやの白米に焼き魚(たぶんアジだ)、味噌汁に焼き海苔。マイカの里でもてなされた時のような、純ミカグラ風メニューだ。
言われるまま顔を洗いに洗面所へ向かうと、先客がいた。
アーロンが歯磨きをしている横から、割り込むようにして洗面台を使う。男二人では狭苦しいことこの上ないが、こういう時間もちょっと楽しかったりする。相棒の方も、邪魔そうにしながら僕を退かす気はないようだ。
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DONEワンライ(ゴール/駄菓子) 病院の中庭から個室病棟へと、叱られない程度の急ぎ足で歩く。
昼過ぎに行く、と予め告げていた時間はとうに過ぎている。今頃、相棒は舌を……いや、首を長くして待っているはずだった。
昨日は、誕生日の祝いという名目で退行催眠ごっこに付き合わされた。今日はまだ、タブレットにメールは届いていない。眠ってゆっくりと休息してくれていると良いのだが。
主の命を奪った時に、一度は終わったと思った人生。終わりの見えない泥沼から救ってくれた、無二の相手。
その男は先日、危うく故郷で命を落としかけた。ギリギリのところで救出に成功し、今は第三国の病院で大怪我を治療している最中だ。
世界征服という夢に向かって邁進している男がひととき余所見した理由は、抑えきれなかった衝動により反故にしてしまった自分との約束をもう一度結ぶため。
2298昼過ぎに行く、と予め告げていた時間はとうに過ぎている。今頃、相棒は舌を……いや、首を長くして待っているはずだった。
昨日は、誕生日の祝いという名目で退行催眠ごっこに付き合わされた。今日はまだ、タブレットにメールは届いていない。眠ってゆっくりと休息してくれていると良いのだが。
主の命を奪った時に、一度は終わったと思った人生。終わりの見えない泥沼から救ってくれた、無二の相手。
その男は先日、危うく故郷で命を落としかけた。ギリギリのところで救出に成功し、今は第三国の病院で大怪我を治療している最中だ。
世界征服という夢に向かって邁進している男がひととき余所見した理由は、抑えきれなかった衝動により反故にしてしまった自分との約束をもう一度結ぶため。
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DONEワンライ(マグカップ) 西の大陸のとある国で、初めて『家』に滞在することになった。
チェズレイと同道を始めてからこれまでは、各地のモーテルやホテルを転々としてきた。次の作戦では、一つの拠点に長く滞在する必要があるという。そのためにチェズレイが用意したのは、聳え立つマンションの一室だった。
リビング、キッチン、バスルーム。この家に一つきりのベッドルームには、清潔なベッドが二台、行儀よく並んでいた。
家具は一通り揃っている。ただ、人が住んでいる気配だけがなかった。開業したばかりのホテルの一室。そんな空気感だ。
言うなれば、まだ血の通っていない家。
今日からここで暮らすのか。
妙に現実味が薄いのは、放浪していた二十年間、『家』と呼べる場所とは、ほとほと縁遠かったせいだろう。
1928チェズレイと同道を始めてからこれまでは、各地のモーテルやホテルを転々としてきた。次の作戦では、一つの拠点に長く滞在する必要があるという。そのためにチェズレイが用意したのは、聳え立つマンションの一室だった。
リビング、キッチン、バスルーム。この家に一つきりのベッドルームには、清潔なベッドが二台、行儀よく並んでいた。
家具は一通り揃っている。ただ、人が住んでいる気配だけがなかった。開業したばかりのホテルの一室。そんな空気感だ。
言うなれば、まだ血の通っていない家。
今日からここで暮らすのか。
妙に現実味が薄いのは、放浪していた二十年間、『家』と呼べる場所とは、ほとほと縁遠かったせいだろう。
soraphina
DOODLEモクチェズ版ワンドロワンライお題【嫉妬】【電話】お借りしました
電波は方々道はひとつ、夜はこれから 朝からずっとチェズレイは方々へ電話を掛けている。
電話が終わったかと思えばメールをチェックしたり情報収集したりのためにタブレットを注視していて、モクマはその様子を見ながら昼食のリクエストや掃除の有無を問いかけていたがチェズレイは生返事だった。
昼食を出したさいに晩酌の約束を取り付けはしたものの、この時も会話をしたわけではなく電話中のチェズレイへ食器とメモを差し出しただけだった。それでも晩酌のお誘いのメモを確認するとやわらかく微笑んでうなずいてくれたからモクマの心は踊った。
ようやく一段落ついたチェズレイがすでにソファに座って晩酌を始めているモクマの隣に腰を下ろした。
「終わった?人気者だねえ」
「遅くなってすみません、指示が終わらなくて」
1706電話が終わったかと思えばメールをチェックしたり情報収集したりのためにタブレットを注視していて、モクマはその様子を見ながら昼食のリクエストや掃除の有無を問いかけていたがチェズレイは生返事だった。
昼食を出したさいに晩酌の約束を取り付けはしたものの、この時も会話をしたわけではなく電話中のチェズレイへ食器とメモを差し出しただけだった。それでも晩酌のお誘いのメモを確認するとやわらかく微笑んでうなずいてくれたからモクマの心は踊った。
ようやく一段落ついたチェズレイがすでにソファに座って晩酌を始めているモクマの隣に腰を下ろした。
「終わった?人気者だねえ」
「遅くなってすみません、指示が終わらなくて」
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DONEワンライ(鬼) 幼い頃、学び舎の学友たちと鬼ごっこをすることになった。
最初の鬼はカンナだった。明朗な声が十を数えるうち、みな散り散りに逃げてゆく。学び舎を起点として里中を走り回りながら、捕まえられた者が次の鬼へ。うまく立ち回っていたガコンも、ついに足の速い少年に捕まえられて鬼となった。
その場で十を数えるうち、周りには誰もいなくなる。
気づけば学び舎を遠く離れ、里のはずれの秘湯の近くまで来てしまっていた。里の子どもには、里から出てはいけないという決まりがある。山中に一人で足を踏み入れては、迷って戻れなくなるからだ。みなは里の方へと戻りながら逃げていった。けれどガコンは、ふと秘湯の方角を見やる。
たぶんモクマは、あちらの方へと逃げていった。
4624最初の鬼はカンナだった。明朗な声が十を数えるうち、みな散り散りに逃げてゆく。学び舎を起点として里中を走り回りながら、捕まえられた者が次の鬼へ。うまく立ち回っていたガコンも、ついに足の速い少年に捕まえられて鬼となった。
その場で十を数えるうち、周りには誰もいなくなる。
気づけば学び舎を遠く離れ、里のはずれの秘湯の近くまで来てしまっていた。里の子どもには、里から出てはいけないという決まりがある。山中に一人で足を踏み入れては、迷って戻れなくなるからだ。みなは里の方へと戻りながら逃げていった。けれどガコンは、ふと秘湯の方角を見やる。
たぶんモクマは、あちらの方へと逃げていった。
ハクトウ
DONE「本番」をテーマというよりだしに、おじさん不在で惚気る幸福満帆のおチェズと巻き込まれる息子のSSを書きました。モブがでます。
完成作……お前は思っていたのと違ったよ。こんなふうになるはずじゃなかった……モクチェズおめでとう。 3515
Walnut_51
DONE #モクチェズ版ワンドロワンライお題:チェンジ
2人が天使と悪魔に変身(チェンジ)するお話。モブ視点です。
天使と悪魔「……はあ」
やっぱり高い、怖いなあ。
ここまで来ておいて足がすくんでいる自分が嫌になる。見上げる分には大して高くもない雑居ビルだったが、屋上に立ってみるとこんなにも途方もない高さに感じるとは。
生ぬるい夜風が情けない俺を嘲笑うかのようにくたびれた髪の毛をかき乱した。
『……早く飛び降りなさい』
「ッ!誰だ!」
どこからか聞こえた声に、心臓が飛び上がる。頭を振り乱して必死に辺りを見回すも、姿も気配もない。
『アァ、醜く取り乱してお可哀想に……』
「な、なんだ、なんだよッ!!どこにいるッ!」
情けなく声を荒げるも、声の主の姿を見ることはできない。姿なき声は歌うように楽しげに俺に語りかけてきた。
『探しても姿は見えないですよ、だって私は人ではない……そう、悪魔なのですからァ』
4076やっぱり高い、怖いなあ。
ここまで来ておいて足がすくんでいる自分が嫌になる。見上げる分には大して高くもない雑居ビルだったが、屋上に立ってみるとこんなにも途方もない高さに感じるとは。
生ぬるい夜風が情けない俺を嘲笑うかのようにくたびれた髪の毛をかき乱した。
『……早く飛び降りなさい』
「ッ!誰だ!」
どこからか聞こえた声に、心臓が飛び上がる。頭を振り乱して必死に辺りを見回すも、姿も気配もない。
『アァ、醜く取り乱してお可哀想に……』
「な、なんだ、なんだよッ!!どこにいるッ!」
情けなく声を荒げるも、声の主の姿を見ることはできない。姿なき声は歌うように楽しげに俺に語りかけてきた。
『探しても姿は見えないですよ、だって私は人ではない……そう、悪魔なのですからァ』
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DONEワンライ(チェンジ/アイスクリーム)「お疲れさん」と声をかけられ、読み込んでいた資料から顔を上げる。チェズレイの腰掛けるソファーのそばで、モクマがにんまりと笑った。
「アイス食べる?」
滞在中のスイートルームにひょっこり戻って来た男は、片手にホテルのロゴが上品にプリントされた紙袋を下げていた。もう片方の手には、既に食べかけのアイスのカップ。こちらもホテルロゴ入りの製品だった。あろうことか、この男はパティスリーから部屋に戻るまでの道のりを我慢できず、ホテル館内で食べ歩きを楽しんでいたらしい。
「……遠慮します。内臓が冷えてしまいますので」
「ホテルの美味いやつだよ~。いいの? 見て見て、いろんな味買ってきちゃった」
紙袋がひっくり返され、テーブルの上にカップ入りのアイスクリームがごろごろと転がり出る。バニラ、チョコレート、ストロベリー、ピスタチオ……節操なしだ。
3112「アイス食べる?」
滞在中のスイートルームにひょっこり戻って来た男は、片手にホテルのロゴが上品にプリントされた紙袋を下げていた。もう片方の手には、既に食べかけのアイスのカップ。こちらもホテルロゴ入りの製品だった。あろうことか、この男はパティスリーから部屋に戻るまでの道のりを我慢できず、ホテル館内で食べ歩きを楽しんでいたらしい。
「……遠慮します。内臓が冷えてしまいますので」
「ホテルの美味いやつだよ~。いいの? 見て見て、いろんな味買ってきちゃった」
紙袋がひっくり返され、テーブルの上にカップ入りのアイスクリームがごろごろと転がり出る。バニラ、チョコレート、ストロベリー、ピスタチオ……節操なしだ。
FUMI(ふみお)
DOODLE #モクチェズ版ワンドロワンライ「ドレスコード」
※普通に女装(女体だがnot女体化)
ヴ愛後しばらくしたらこういう方向にぶっ飛ぶかもしれないと思った
何にせよお母さんの姿の変装はなくなりそう
特に調べもせず適当に描いたら妻ってより嬢なんすわ……いつかリベンジする
AmatsuBmb
DONE幸福だった過去に囚われろ――そんな敵の催眠に落ちたことを謝罪する、モさんの幸福について。#モクチェズ版ワンドロワンライ 「謝罪」です。
幸福な日々「ごめんな、チェズレイ」
「いえ、もういいのですよ」
体術でこの無敵の武人に敵う者はいないのだが、昨晩の敵はモクマとの相性が悪かった。精神を攻撃する相手だったのだ。
チェズレイが情報を得るために潜入した部屋。部屋の外で見張りをしてたモクマが倒れたのは、チェズレイがちょうど、敵が使う薬物や暗示についての調査を終えたところだった。
意識を曖昧にする薬物を混ぜた空気を吸わせ、暗示をかけることで敵を無力化する。
――幸福だった過去の夢に囚われろ、と。
遠い過去に囚われている者ほど、眠りは深く濃くなる。もう戻らない幸福に焦がれ、無意識に現実に戻ることを恐れ、長い間目覚めなくなる。
幸福な夢? 知るものか。そこがどれほどに甘美な世界であろうと、チェズレイを置いて、一人だけ夢の中に逃げ込むなど許さない。許してなるものか。
1604「いえ、もういいのですよ」
体術でこの無敵の武人に敵う者はいないのだが、昨晩の敵はモクマとの相性が悪かった。精神を攻撃する相手だったのだ。
チェズレイが情報を得るために潜入した部屋。部屋の外で見張りをしてたモクマが倒れたのは、チェズレイがちょうど、敵が使う薬物や暗示についての調査を終えたところだった。
意識を曖昧にする薬物を混ぜた空気を吸わせ、暗示をかけることで敵を無力化する。
――幸福だった過去の夢に囚われろ、と。
遠い過去に囚われている者ほど、眠りは深く濃くなる。もう戻らない幸福に焦がれ、無意識に現実に戻ることを恐れ、長い間目覚めなくなる。
幸福な夢? 知るものか。そこがどれほどに甘美な世界であろうと、チェズレイを置いて、一人だけ夢の中に逃げ込むなど許さない。許してなるものか。
nochimma
DONE #モクチェズ版ワンドロワンライ 「血」をお借りしました〜。ふたりには絶対元気にふたりですこやかに夢を叶えてほしい…もう最近願うのはそれだけです「っちゃ〜……」
ずきずきと、ぱかりと開いた切れ目から、鼓動に合わせて燃えるような感覚が押し寄せてくる。
しくじった。
油断、していたつもりはなかったのだけど。単純に今回のターゲットが雇っていた用心棒が、想像を遥かに越えて強かっただけだ。こんなのは、だいぶ念入りに行ったつもりの事前調査でもかけらもでてこなかった。まあそんな時のためにいるのが自分なわけで、お役目通りになんとか倒せたのはよかったが、トドメを刺す引き換えに一撃食らってしまった。その結果が、上着を脱がされてむき出しになった右上腕からだらだらと流れる血である。
「……モクマさん」
補足しておくが、命に関わるようなものではない。やっかいな組織の親玉にはお縄についてもらったし、必要な情報も抜けたし、ミッションは成功といって差し支えなく、あとはビル屋上のヘリポートで部下の迎えを待つだけなのだけれど……、
3232ずきずきと、ぱかりと開いた切れ目から、鼓動に合わせて燃えるような感覚が押し寄せてくる。
しくじった。
油断、していたつもりはなかったのだけど。単純に今回のターゲットが雇っていた用心棒が、想像を遥かに越えて強かっただけだ。こんなのは、だいぶ念入りに行ったつもりの事前調査でもかけらもでてこなかった。まあそんな時のためにいるのが自分なわけで、お役目通りになんとか倒せたのはよかったが、トドメを刺す引き換えに一撃食らってしまった。その結果が、上着を脱がされてむき出しになった右上腕からだらだらと流れる血である。
「……モクマさん」
補足しておくが、命に関わるようなものではない。やっかいな組織の親玉にはお縄についてもらったし、必要な情報も抜けたし、ミッションは成功といって差し支えなく、あとはビル屋上のヘリポートで部下の迎えを待つだけなのだけれど……、
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DONE #モクチェズ版ワンドロワンライ から「罠」をお借りしました。が、全然罠じゃないです……。オーバー&遅刻で申し訳ないですが、せっかくなのでタグ失礼します~。しょうもない話ですが、事後の描写があるのでぽいぴくへ……前半はアロぴとルクがメインで、なんやかんやルクが可哀そうです。モクチェズ版ワンライ_罠 どかどかと室内に入っていくアーロンの腰には、ずるずると引きずられるルークがくっ付いていた。
アーロンは至極鬱陶しいといった顔で力づくに歩き、ルークは必死にそれに食らいつく。
「ダメだって、アーロン」
「今更だろ! もう部屋ン中入ってんだよ、鬱陶しい!」
ルークとアーロンは、現在モクマとチェズレイが滞在しているという拠点へ来ていた。しかしその中に二人の気配はない。
ことのあらましはこうである。
仕事と休暇、両方の意味でハスマリーに訪れたルークはアーロンやアラナと数日過ごしていた。
仕事の都合上、ハスマリーの隣国から飛行機に乗るというルークに、アラナはアーロンと共に使いを頼み、ルークが発つ数日前から二人は隣国に滞在することになった。
5749アーロンは至極鬱陶しいといった顔で力づくに歩き、ルークは必死にそれに食らいつく。
「ダメだって、アーロン」
「今更だろ! もう部屋ン中入ってんだよ、鬱陶しい!」
ルークとアーロンは、現在モクマとチェズレイが滞在しているという拠点へ来ていた。しかしその中に二人の気配はない。
ことのあらましはこうである。
仕事と休暇、両方の意味でハスマリーに訪れたルークはアーロンやアラナと数日過ごしていた。
仕事の都合上、ハスマリーの隣国から飛行機に乗るというルークに、アラナはアーロンと共に使いを頼み、ルークが発つ数日前から二人は隣国に滞在することになった。
AmatsuBmb
DONEモのためならセッくらい我慢するつもりのチェと、チェの下ごしらえに余念がないモ。#モクチェズ版ワンドロワンライ
8/8お題「素肌」でした。ちょっと過去のお題「征服」も交じってる。 4
ajimon_bmb
DONE #モクチェズ版ワンドロワンライ3ライぐらいかかってしまった……モのマッサージを受けるチェちゃんで「声」をおかりました。任ドリバレありますが、自己設定に改変してます。
モクチェズ版ワンライ_声 相棒として、彼のことをもっと知らねばと思った。数十年の放浪を全て把握することは難しかったが、とある国で伝説の整体師と呼ばれる、消息不明の人物がいると聞いた。伝手を使って調べて見れば、恐らくその正体は私の相棒だ。それを聞きつけた後、すぐさま整体用のマッサージベッドを手配して、あまり使われてないゲストルームの真ん中に配置した。
「これ、どうしたの」
「伝説の手技を披露していただこうかと」
仕事を終えて帰宅したモクマさんを、挨拶もそこそこにゲストルームへ迎え入れる。困惑した表情ながらも促されるまま入室したモクマさんは、正面に鎮座するベッドを見て目を丸くし、訝し気に私を見た。
「必要そうなものは一通り用意しましたが、足りないものがあれば仰ってください」
3341「これ、どうしたの」
「伝説の手技を披露していただこうかと」
仕事を終えて帰宅したモクマさんを、挨拶もそこそこにゲストルームへ迎え入れる。困惑した表情ながらも促されるまま入室したモクマさんは、正面に鎮座するベッドを見て目を丸くし、訝し気に私を見た。
「必要そうなものは一通り用意しましたが、足りないものがあれば仰ってください」