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DONE洋三 お題「留守電」両片思い洋三+桜木です
5秒後、桜木はブワッと泣いた 古いアパートに、ギシギシと軋む床、シミの付いた薄い壁。
──俺は今、桜木の家に居る。
何故か。桜木の親友である、水戸のことで話があるからだ。
しょうがないと思う。
だって、バカな行動を起こした俺を思い切りぶん殴って止めてくれて、その上庇ってバスケを続けさせてくれたんだ。もちろん水戸的には桜木の邪魔するやつをはっ倒しただけなんだろうけど、俺にとってはどん底の人生を一変させた大恩人なわけで。そして俺は恩義を感じるとどっぷりと好きになってしまうタチなわけで。
『あー、カッケーな』とぼんやりと思っていた俺の心は、『へえ、髪、似合ってるじゃん』などという水戸の微笑みでコロコロコロ〜っと落ちた。あっけないもんだ。
3753──俺は今、桜木の家に居る。
何故か。桜木の親友である、水戸のことで話があるからだ。
しょうがないと思う。
だって、バカな行動を起こした俺を思い切りぶん殴って止めてくれて、その上庇ってバスケを続けさせてくれたんだ。もちろん水戸的には桜木の邪魔するやつをはっ倒しただけなんだろうけど、俺にとってはどん底の人生を一変させた大恩人なわけで。そして俺は恩義を感じるとどっぷりと好きになってしまうタチなわけで。
『あー、カッケーな』とぼんやりと思っていた俺の心は、『へえ、髪、似合ってるじゃん』などという水戸の微笑みでコロコロコロ〜っと落ちた。あっけないもんだ。
Water2217
DONE中国語注意!洋三 - 錄影帶
大學生設定
只是剛剛交往不久的兩人
想寫三井意外發現洋平暗戀自己很久
總之就是很簡短的一篇文
洋三 - 錄影帶「喂,洋平,啤酒在哪?」
剛洗完澡的三井從浴室走出來,第一件事問的,當然是啤酒在哪。
「在雪櫃呀,我回來後第一時間就把啤酒放在雪櫃。」
聽到洋平的話後,三井就走到廚房打開雪櫃門查看。不愧是洋平,果然一早就把啤酒放在雪櫃內。
「你洗完澡了嗎?」坐在電視機前的洋平問。
不過身子還是暖暖的三井只想著啤酒,沒有馬上回答。他從雪櫃中拿出啤酒,喝了一口後才回答:「嗯,我用完了,你去吧。」
「好,你肚餓的話就隨便拿東西吃吧,我很快就洗完。」
「哦,你慢慢吧。」
和洋平交往已經一段時間,但三井這次也只是第二次來到洋平的家。洋平的家並不大,就是一間普通的1K住宅,所以他們平時都寧願去三井家消磨時間。
雖然說和洋平是在高中便認識,但三井對他的認識還是很少,不過就是這份神秘感才讓三井著迷。三井坐在地上,抬頭四看房裹的擺設,想要透過這些來進一步了解自己的男朋友。三井見電視機下面的櫃子塞滿了書本、VCD和錄影帶,便忍不住上前翻查,想看看裹面有沒有甚麼黃色書籍,卻意外地看到櫃的深處放了一排古舊的錄影帶,上面的標籤和外套都因擺放時間太久而發黃,連標籤上面的墨水字都化了起來。
1754剛洗完澡的三井從浴室走出來,第一件事問的,當然是啤酒在哪。
「在雪櫃呀,我回來後第一時間就把啤酒放在雪櫃。」
聽到洋平的話後,三井就走到廚房打開雪櫃門查看。不愧是洋平,果然一早就把啤酒放在雪櫃內。
「你洗完澡了嗎?」坐在電視機前的洋平問。
不過身子還是暖暖的三井只想著啤酒,沒有馬上回答。他從雪櫃中拿出啤酒,喝了一口後才回答:「嗯,我用完了,你去吧。」
「好,你肚餓的話就隨便拿東西吃吧,我很快就洗完。」
「哦,你慢慢吧。」
和洋平交往已經一段時間,但三井這次也只是第二次來到洋平的家。洋平的家並不大,就是一間普通的1K住宅,所以他們平時都寧願去三井家消磨時間。
雖然說和洋平是在高中便認識,但三井對他的認識還是很少,不過就是這份神秘感才讓三井著迷。三井坐在地上,抬頭四看房裹的擺設,想要透過這些來進一步了解自己的男朋友。三井見電視機下面的櫃子塞滿了書本、VCD和錄影帶,便忍不住上前翻查,想看看裹面有沒有甚麼黃色書籍,卻意外地看到櫃的深處放了一排古舊的錄影帶,上面的標籤和外套都因擺放時間太久而發黃,連標籤上面的墨水字都化了起來。
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DONEワンライお題「ん」洋三のデートに巻き込まれるリョの話です。
洋三のデートに何故か俺がいる!? うげ、三井サン。
アンナに無理矢理連れられて来た動物園で、その姿を発見して思わず顔を顰める。
まず出先で知り合いに会うのが嫌だし、地図を食い入るように見ているアンナと一緒で、しかも相手が三井サンとなれば尚更。しかも──
「絶対デートじゃん……」
シンプルな無地の白Tに、カジュアルな黒のシングルブレスト。これまた黒のスキニーパンツが、足の長さを際立たせ、スタイルの良さを特徴的にしている。胸元には、シルバーリングのかかったネックレス。
正直に言ってしまえば、かっこいい。似合っている。なにか得体の知れない色気が溢れていて、ムカつくことに先程から人々の視線を集めまくっている。人々、が女だけでなく老若男女に当てはまってしまうのがこの人の恐ろしいところだ。
5732アンナに無理矢理連れられて来た動物園で、その姿を発見して思わず顔を顰める。
まず出先で知り合いに会うのが嫌だし、地図を食い入るように見ているアンナと一緒で、しかも相手が三井サンとなれば尚更。しかも──
「絶対デートじゃん……」
シンプルな無地の白Tに、カジュアルな黒のシングルブレスト。これまた黒のスキニーパンツが、足の長さを際立たせ、スタイルの良さを特徴的にしている。胸元には、シルバーリングのかかったネックレス。
正直に言ってしまえば、かっこいい。似合っている。なにか得体の知れない色気が溢れていて、ムカつくことに先程から人々の視線を集めまくっている。人々、が女だけでなく老若男女に当てはまってしまうのがこの人の恐ろしいところだ。
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DONE洋三ビビって洋の告白にOKしちゃった三の話です。
下品注意!
責任を取りやがれ!! 水戸洋平。みとようへい。みと、よーへー。
口の中で転がすだでも、体が固くなる響きだ。その恐ろしさは細胞レベルで体に刷り込まれている。
桜木の親友で、俺の恩人で、えぇっと、そんなかんじだ。仲がいい方ではなく、むしろ俺としてはちょっと避けたいくらいで。もちろん恩義は感じているし、感謝は直接言葉でも伝えた。水戸の方も、あの凍える眼差しは何だったのかというくらい軟化した態度で接してくれて。軟化しすぎて、ちょっと困ってる。
「あ、三井さん、もう終わり?」
「おう。待たせてわりい」
「見てるの楽しいからいいよ。じゃあほら、手繋ご?」
「わ、わかった」
あの日俺をさんざ殴った手が、壊れ物でも触るように優しく包み込んでくる。視線を落としても、いつもと変わらない何を考えているのかわからない笑みだ。
4452口の中で転がすだでも、体が固くなる響きだ。その恐ろしさは細胞レベルで体に刷り込まれている。
桜木の親友で、俺の恩人で、えぇっと、そんなかんじだ。仲がいい方ではなく、むしろ俺としてはちょっと避けたいくらいで。もちろん恩義は感じているし、感謝は直接言葉でも伝えた。水戸の方も、あの凍える眼差しは何だったのかというくらい軟化した態度で接してくれて。軟化しすぎて、ちょっと困ってる。
「あ、三井さん、もう終わり?」
「おう。待たせてわりい」
「見てるの楽しいからいいよ。じゃあほら、手繋ご?」
「わ、わかった」
あの日俺をさんざ殴った手が、壊れ物でも触るように優しく包み込んでくる。視線を落としても、いつもと変わらない何を考えているのかわからない笑みだ。
歩/零
TRAINING洋三ワンドロワンライ 5/11「『ん』」8割リョ語り、最後にちょっと洋だけどよみつと言い張る
時代背景適当
色々と薄目で見てください
※暗いです
三井サンが引退を発表した。
所属していたチームが優勝した矢先だったから知らなかった関係者や世間は驚愕していたが、俺はといえば絶対口外しないことを前提に個人的に前もって知らされていたので、正式な発表の日に「今日だったのか」程度の感想だった。もちろん直後にひっきりなしに共通の知人や高校時代の先輩後輩から連絡が来るという対応には見舞われたが。
俺としてももったいないと思っていたけれど、チームが優勝した直後、まるで見計らったかのように彼の膝は限界を訴えたらしい。
まるでもういいよ、もう大丈夫だよとでも言うように。
引退会見まできっちり終わらせ表舞台での仕事を全て終了した途端、今度は心が彼自身に対して休息を促すかのように三井サンは深い眠りに就いた。
3781所属していたチームが優勝した矢先だったから知らなかった関係者や世間は驚愕していたが、俺はといえば絶対口外しないことを前提に個人的に前もって知らされていたので、正式な発表の日に「今日だったのか」程度の感想だった。もちろん直後にひっきりなしに共通の知人や高校時代の先輩後輩から連絡が来るという対応には見舞われたが。
俺としてももったいないと思っていたけれど、チームが優勝した直後、まるで見計らったかのように彼の膝は限界を訴えたらしい。
まるでもういいよ、もう大丈夫だよとでも言うように。
引退会見まできっちり終わらせ表舞台での仕事を全て終了した途端、今度は心が彼自身に対して休息を促すかのように三井サンは深い眠りに就いた。
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DONE洋三(こいつ俺のこと好きだろ……)と思っている悪い洋三が火遊びにもならない遊びをしようとする話です。
ちょっと性格悪めなので注意。
火遊びにならない「ミッチー、大丈夫?酔っちゃった?」
「ん……だいじょぶ」
「あはは、人の肩に頭預けて言う台詞じゃないね」
行きつけの居酒屋、帰り際の一幕だ。もう何千回と繰り返している。三井に呼び出されて店に来るのも、呼んでくせして先に潰れてこうやって甘えられるのも。
まあ、三井さんってもともと人懐っこいほうだし。高校時代は流川とかに頭乗せてるのくらいよく見たし。この人にとっては当たり前の距離感なんだろう──とは、ならなかった。
(三井さん、俺のこと好きすぎでしょ)
水戸は、自身が鋭い方であると自負している。こと恋愛に関しては特に顕著で、相手が気づいていない想いにも先に気づくほどだ。三井のことは別に好きでもないが、ボコられた相手に好意を抱ける精神性はかなり気になっている。
5316「ん……だいじょぶ」
「あはは、人の肩に頭預けて言う台詞じゃないね」
行きつけの居酒屋、帰り際の一幕だ。もう何千回と繰り返している。三井に呼び出されて店に来るのも、呼んでくせして先に潰れてこうやって甘えられるのも。
まあ、三井さんってもともと人懐っこいほうだし。高校時代は流川とかに頭乗せてるのくらいよく見たし。この人にとっては当たり前の距離感なんだろう──とは、ならなかった。
(三井さん、俺のこと好きすぎでしょ)
水戸は、自身が鋭い方であると自負している。こと恋愛に関しては特に顕著で、相手が気づいていない想いにも先に気づくほどだ。三井のことは別に好きでもないが、ボコられた相手に好意を抱ける精神性はかなり気になっている。
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DONE洋三お題「かさぶた」
一度別れて復縁するタイプの洋三(バカップル)
リョが結婚指輪しているので注意。
恋は盲目 あ、三井さん。
思ったことが、そのまま口に出なくてよかった。きっとごまかしきれない色をしていたから。
居酒屋の通路に面した席に座った三井さんは、相変わらずの風貌だ。随分会っていないように感じるのに、少しも変わっていない。ただ、見慣れないスーツを着込んで対面に座る人に気の抜けた笑みを向けている。
……何でこの店に来たんだろうか。水戸がここで働いていることは、以前確かに伝えた。でもそうか。あの人のことだから、すっかり忘れてしまったのだろう。水戸のことは、もう。
ガヤガヤと繁盛する居酒屋で、耳が勝手にあの人の声を拾う。どんなときでも水戸に届く、耳障りの良い声。対面に座る人は、どうやらなかなか深い関係のようだ。気を許せる人にしか聞かせない声色をしている。いつの日か、みと、と甘えるように呼ばれたことを思い出した。
3044思ったことが、そのまま口に出なくてよかった。きっとごまかしきれない色をしていたから。
居酒屋の通路に面した席に座った三井さんは、相変わらずの風貌だ。随分会っていないように感じるのに、少しも変わっていない。ただ、見慣れないスーツを着込んで対面に座る人に気の抜けた笑みを向けている。
……何でこの店に来たんだろうか。水戸がここで働いていることは、以前確かに伝えた。でもそうか。あの人のことだから、すっかり忘れてしまったのだろう。水戸のことは、もう。
ガヤガヤと繁盛する居酒屋で、耳が勝手にあの人の声を拾う。どんなときでも水戸に届く、耳障りの良い声。対面に座る人は、どうやらなかなか深い関係のようだ。気を許せる人にしか聞かせない声色をしている。いつの日か、みと、と甘えるように呼ばれたことを思い出した。
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DONE洋三お題「火を付ける」
洋三がCM出演する話。
大人・三プロ選手設定注意です
トレンド一位『禁煙CM』「彼氏でもいいですか?」
などと。思わず『え、すみませんもう一度』と聞き返してしまうような台詞を放たれて、CMディレクターを任された田中は閉口してしまう。長らくこの仕事についてきて、もうベテランとも言える頃合いになってきたが、このような手合いは初めてだ。世間の評価が蘇る。『おもしれー男、三井寿』
「え、すみませんもう一度」
「このCMの相手役、俺の彼氏でもいいですか?」
「あー、彼氏さん、は業界人でいらしゃいます……?」
「や、普通に一般人です。でもすげーかっけーんで行けます」
断言だ。煌めくような笑顔を向けられて、はは、と笑みが溢れる。
「えぇと、どうしても?」
「はい。この、俺が相手のタバコに火をつけるシーンあるじゃないすか。これ、俺彼氏以外にやりたくねーんで。まだ決まってないんですよね?」
3354などと。思わず『え、すみませんもう一度』と聞き返してしまうような台詞を放たれて、CMディレクターを任された田中は閉口してしまう。長らくこの仕事についてきて、もうベテランとも言える頃合いになってきたが、このような手合いは初めてだ。世間の評価が蘇る。『おもしれー男、三井寿』
「え、すみませんもう一度」
「このCMの相手役、俺の彼氏でもいいですか?」
「あー、彼氏さん、は業界人でいらしゃいます……?」
「や、普通に一般人です。でもすげーかっけーんで行けます」
断言だ。煌めくような笑顔を向けられて、はは、と笑みが溢れる。
「えぇと、どうしても?」
「はい。この、俺が相手のタバコに火をつけるシーンあるじゃないすか。これ、俺彼氏以外にやりたくねーんで。まだ決まってないんですよね?」
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DONE洋三お題「意気地なし」
よく喋るタイプの洋三が洋の家で駄弁っているだけ。
三が大学生&モブの名前がいっぱい出るので注意。
覚悟を決めたらどうなんだ「あーさみ!すげーさみぃ。おい水戸、はやく暖房付けろ!」
「はいはい。あ、ミッチーそのまま入んないでよ。ちゃんと外で雪落として」
「んな冷たいもん触れっか。ほら、部屋んなかビショビショにされたくなくば早く落とせぃ」
なんて横暴な。この雪の中、『駅にいるから来い』と呼び出した挙げ句のこれである。
寒さで顔を赤くした2個上の先輩を外に押し出してパタパタと叩いてやる。ん、と両腕を開く姿は世話をされ慣れている。癪だがしょうがない。手袋を忘れたらしいこの人の手が、しもやけでも起こしたら大変だ。なんせ親友の花道の、元チームメイトなので。
「ミッチー、ほら後ろも」
「……」
何だその不服そうな顔は。ジトッとした目つきでにらまれ、仕方なく自分から三井の後ろに回り込む。肩が遠い。正直しゃがんで欲しい。ぱ、ぱ、と雪を払って、別に雪のついてないところも払ってやる。ほら、埃が付いてたから。
3970「はいはい。あ、ミッチーそのまま入んないでよ。ちゃんと外で雪落として」
「んな冷たいもん触れっか。ほら、部屋んなかビショビショにされたくなくば早く落とせぃ」
なんて横暴な。この雪の中、『駅にいるから来い』と呼び出した挙げ句のこれである。
寒さで顔を赤くした2個上の先輩を外に押し出してパタパタと叩いてやる。ん、と両腕を開く姿は世話をされ慣れている。癪だがしょうがない。手袋を忘れたらしいこの人の手が、しもやけでも起こしたら大変だ。なんせ親友の花道の、元チームメイトなので。
「ミッチー、ほら後ろも」
「……」
何だその不服そうな顔は。ジトッとした目つきでにらまれ、仕方なく自分から三井の後ろに回り込む。肩が遠い。正直しゃがんで欲しい。ぱ、ぱ、と雪を払って、別に雪のついてないところも払ってやる。ほら、埃が付いてたから。
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DONE洋三ワンライお題「意気地なし」
グダグダ考えるタイプの二人のカッコ悪い告白話です
月下、意気地なしのワルツ「月が綺麗だね」
いつもと同じ調子で放たれた言葉。いつもと同じ調子で返そうとして、ちょっと待てよ、と脳がストップを掛ける。そうして再処理し直して、正しく意味を理解する。三井はアホだが、バカではなかった。
だって、空は曇りで月は出ていない。
瞬きの間に、脳みそが高速で回転した。試合中と同じスピードだ。回って回って、ぐるぐるするほど。
今までのこと、これからのこと。
水戸との関係は一言では言えないくらいに複雑だ。知り合い、友人、そしてそれ以上。どれにも当てはめる事ができずにいた俺たちを、今水戸が名前をつけて分類しようとしている。それは凄く勇気のいることだと、理解している。
三井さん、と呼ぶ声の柔らかさに気づいたのはいつのことだったか。気づいていて、何も言わないものだから、軍団にからかわれたのも一度や二度の話ではない。けれどその全てにすっとぼけて返しているうちに、最近は囃し立てられることもなくなった。
3449いつもと同じ調子で放たれた言葉。いつもと同じ調子で返そうとして、ちょっと待てよ、と脳がストップを掛ける。そうして再処理し直して、正しく意味を理解する。三井はアホだが、バカではなかった。
だって、空は曇りで月は出ていない。
瞬きの間に、脳みそが高速で回転した。試合中と同じスピードだ。回って回って、ぐるぐるするほど。
今までのこと、これからのこと。
水戸との関係は一言では言えないくらいに複雑だ。知り合い、友人、そしてそれ以上。どれにも当てはめる事ができずにいた俺たちを、今水戸が名前をつけて分類しようとしている。それは凄く勇気のいることだと、理解している。
三井さん、と呼ぶ声の柔らかさに気づいたのはいつのことだったか。気づいていて、何も言わないものだから、軍団にからかわれたのも一度や二度の話ではない。けれどその全てにすっとぼけて返しているうちに、最近は囃し立てられることもなくなった。
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DONE洋三ワンライのお題「意気地なし」
嘘つきでずるい洋三の話です
狐と狸の化かし愛 知らない天井だ。シミの付いた低めのそこは、三井の家ではありえない。のそりと起きて、自分の体を見下げる。全裸。の上に、明らかに情事のあとがびっしりと付いていた。ひく、と口元が震えた。
「あ、ミッチー起きた?」
ひょこ、とベランダから男が顔を出してくる。口に咥えていたタバコを灰皿に押し付けて、捨ててしまう。まだまだ吸えただろうに。
部屋に入ってきた、髪を下ろすと途端に幼くなる男を見つめて、三井は気まずげな顔を作った。
「あー、悪い水戸。その、俺昨日スゲー酔ってて……」
「あ、そなの?もしかして記憶飛んでる?」
「……わりぃ」
嘘である。
バッチリ残っている。三井は嘘つきであった。
水戸に対する恋心を拗らせ続けて早10年。親友の先輩という微妙な立場で水戸となんとか関わりを持ち続け、ついに我慢ができなくなった。我慢ができなくなり、せめて体だけでもという結論に至った三井は、ちょうどよくやってきた飲みの機会に、水戸の家に入り込んでやったのである。
3044「あ、ミッチー起きた?」
ひょこ、とベランダから男が顔を出してくる。口に咥えていたタバコを灰皿に押し付けて、捨ててしまう。まだまだ吸えただろうに。
部屋に入ってきた、髪を下ろすと途端に幼くなる男を見つめて、三井は気まずげな顔を作った。
「あー、悪い水戸。その、俺昨日スゲー酔ってて……」
「あ、そなの?もしかして記憶飛んでる?」
「……わりぃ」
嘘である。
バッチリ残っている。三井は嘘つきであった。
水戸に対する恋心を拗らせ続けて早10年。親友の先輩という微妙な立場で水戸となんとか関わりを持ち続け、ついに我慢ができなくなった。我慢ができなくなり、せめて体だけでもという結論に至った三井は、ちょうどよくやってきた飲みの機会に、水戸の家に入り込んでやったのである。
歩/零
TRAINING洋三ワンドロワンライ 5/5「かさぶた/火をつける」※洋→←三
※三に自分は相応しくないと思っている洋の独白
※三はほぼ出てきません
※流血表現あり
建物と建物の間の路地、喧嘩するにはうってつけのような場所に壁に寄りかかって座り込んでいる。周囲はここで誰かが暴れましたよと言わんばかりの散らかりようで、逃げて行ったやつらの痕跡といえば勝ったもののちょっと立てそうにない自分と、血の付いた刃物だけになっている。
無意識に手で押さえている脇腹が熱い。ガキの喧嘩で刃物なんか出してくるんじゃねえっつんだよ。
別に調子が悪いわけではなかった。いやうそだ、少しぼーっとはしていた。気温とか空気感とか色々とあまりにもあの日と似通っていて、望んでもいないのに壊れたビデオテープのように何度も彼の顔を繰り返し思い出していた。
注意力が散漫になっていたのだろう、ぶつかったぶつかってないのありがちな諍いは、ヒートアップする前に相手の数人のうちの一人から上がった「お前水戸だろ」の声を発端にあっさり殴り合いに切り替わった。どこで買ったか覚えていない恨み――というよりただの逆恨みから始まった小競り合いは結果としてどいつも大した事はなかったが、粘着そうな雰囲気をした一人が刃物を持ち出したことにより空気が一変した。
1753無意識に手で押さえている脇腹が熱い。ガキの喧嘩で刃物なんか出してくるんじゃねえっつんだよ。
別に調子が悪いわけではなかった。いやうそだ、少しぼーっとはしていた。気温とか空気感とか色々とあまりにもあの日と似通っていて、望んでもいないのに壊れたビデオテープのように何度も彼の顔を繰り返し思い出していた。
注意力が散漫になっていたのだろう、ぶつかったぶつかってないのありがちな諍いは、ヒートアップする前に相手の数人のうちの一人から上がった「お前水戸だろ」の声を発端にあっさり殴り合いに切り替わった。どこで買ったか覚えていない恨み――というよりただの逆恨みから始まった小競り合いは結果としてどいつも大した事はなかったが、粘着そうな雰囲気をした一人が刃物を持ち出したことにより空気が一変した。
歩/零
TRAININGhttps://poipiku.com/3231663/8692803.htmlの話の続きですが、よくあるなんちゃらオチ的な内容です。前回の話の終わり方でおしまいにしたいという方は無理して読まなくても問題ありません。
なんちゃらオチだからってハピエンではないので、なんでも大丈夫な人向けです。
超余談ですが、お題を見た時に先にこのオチのほうを思いついていて、メインはそこから遡って考えました。
視界に広がるのが彼の顔ではなく、見慣れた寝室の天井であることを脳が認識するよりも早く耳をついたのは己の荒い呼吸音だった。夢と現実の境目が曖昧で心臓が嫌な音を立てているのが分かる。
無理矢理深く息を吸って吐く、を繰り返しようやく少し落ち着いたところでベッドの中の隣が空っぽなことに気が付き、どくりと再び心臓が跳ねた。
勢いよく起き上がって一人分空いているスペースを震える手で撫でる。
そんなわけない、あれは夢だ。ケーキだフォークだなんてものは存在しないし、俺は三井さんを食べたりしない。
動揺を現すように、どくり、どくりとだんだん大きさを増しながら耳元で鳴っているように感じていた動悸の隙間にふと生活音が飛び込んでくる。息を詰めて耳をすませば、寝室の向こう――おそらくキッチンから物音が響いてきて、何度も聞いた耳慣れたそれに一気に脱力した。まだ胸中にわだかまる不安を全て押し出すように大きく息を吐く。
931無理矢理深く息を吸って吐く、を繰り返しようやく少し落ち着いたところでベッドの中の隣が空っぽなことに気が付き、どくりと再び心臓が跳ねた。
勢いよく起き上がって一人分空いているスペースを震える手で撫でる。
そんなわけない、あれは夢だ。ケーキだフォークだなんてものは存在しないし、俺は三井さんを食べたりしない。
動揺を現すように、どくり、どくりとだんだん大きさを増しながら耳元で鳴っているように感じていた動悸の隙間にふと生活音が飛び込んでくる。息を詰めて耳をすませば、寝室の向こう――おそらくキッチンから物音が響いてきて、何度も聞いた耳慣れたそれに一気に脱力した。まだ胸中にわだかまる不安を全て押し出すように大きく息を吐く。
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TRAINING洋三ワンドロワンライ 4/28「ホットケーキ/甘い指先/意気地無し」※ケーキバース(参考:ピクシブ百科事典)
※高校生×大学生
※三にグレ期が無い
※ベースは原作とそんなに変わらないけれどちょっとだけ年齢いじってるし他人設定なのでパロになる…のか?
※明るくはないです
この世界の人間はケーキ・フォーク・それ以外に分かれている。
自分は生まれてこの方それ以外――いわゆる普通に属しており、特に不都合もなく生きてきた。幸か不幸か腕っぷしがそこそこ強いため、フォークに襲われているケーキという現場に遭遇した際に数度助けたことがある程度の関わりしかない。
バイト帰りのいつもと変わらない夜、建物と建物の間の細い路地から悲鳴が聞こえ、そちらに足を向けてみれば案の定ケーキがフォークに襲われているという状況だった。慣れた拳でフォークをぶっ飛ばし、へたり込んでいたもう一人の手を取ってとりあえず路地裏から安全な大通りまで出る。暗いところから多少マシになった灯りの下でざっと見たケーキの彼は無傷のようでほっとした。
6535自分は生まれてこの方それ以外――いわゆる普通に属しており、特に不都合もなく生きてきた。幸か不幸か腕っぷしがそこそこ強いため、フォークに襲われているケーキという現場に遭遇した際に数度助けたことがある程度の関わりしかない。
バイト帰りのいつもと変わらない夜、建物と建物の間の細い路地から悲鳴が聞こえ、そちらに足を向けてみれば案の定ケーキがフォークに襲われているという状況だった。慣れた拳でフォークをぶっ飛ばし、へたり込んでいたもう一人の手を取ってとりあえず路地裏から安全な大通りまで出る。暗いところから多少マシになった灯りの下でざっと見たケーキの彼は無傷のようでほっとした。
歩/零
TRAINING洋三ワンドロワンライ 4/21「今は好きさ」※大人よみつ(イメージは社会人×プロバスケ選手)
※水戸の過去ふんわり捏造
※あまり明るくないです
アラームを必要としない休日の朝、身体の欲求に任せるまま休息を摂り自然と目を覚ました。ゆるく何度か瞬きをした視界の中で、遮光カーテンと壁の隙間から侵入した薄ぼんやりとした陽の光が朝だと告げている。
肌触りの良い毛布が心地良い温度を提供してくれているのとは別に、横向きで寝ている己の身体に巻き付いている体温に気が付く。寝床を共にするのなんて一人しかいないが、僅かばかり顎を引いて視線を胸元に落とすと水戸が胸元へ顔を埋めるように潜り込んで静かに寝息を立てていた。
昨夜は真逆に自分が抱き込まれて眠りに就いたはずだったがどうやら夜の間に逆転していたらしい。穏やかな寝顔に頬が緩む。
付き合いたての頃の水戸は今からでは考えられないほど眠りが浅く、また短かった。それを聞かされた時、本人はすでにその体質を受け入れて久しかったらしく、「そういうもんだから気にしないで」と笑っていたし、一度本当に大丈夫なのかと確認した時は「三井さんの寝顔見てると寝つきが良い気がするんだよね」などと恥ずかしげもなく言うので、セックスをしてもしなくても遠慮なくその腕の中で先に寝付いていた。まぁ遠慮云々を抜きにしても水戸の家で水戸の匂いに包まれていると安心してすぐに瞼が重くなってしまっていたのだが。
1836肌触りの良い毛布が心地良い温度を提供してくれているのとは別に、横向きで寝ている己の身体に巻き付いている体温に気が付く。寝床を共にするのなんて一人しかいないが、僅かばかり顎を引いて視線を胸元に落とすと水戸が胸元へ顔を埋めるように潜り込んで静かに寝息を立てていた。
昨夜は真逆に自分が抱き込まれて眠りに就いたはずだったがどうやら夜の間に逆転していたらしい。穏やかな寝顔に頬が緩む。
付き合いたての頃の水戸は今からでは考えられないほど眠りが浅く、また短かった。それを聞かされた時、本人はすでにその体質を受け入れて久しかったらしく、「そういうもんだから気にしないで」と笑っていたし、一度本当に大丈夫なのかと確認した時は「三井さんの寝顔見てると寝つきが良い気がするんだよね」などと恥ずかしげもなく言うので、セックスをしてもしなくても遠慮なくその腕の中で先に寝付いていた。まぁ遠慮云々を抜きにしても水戸の家で水戸の匂いに包まれていると安心してすぐに瞼が重くなってしまっていたのだが。
let_it_tei
MAIKING鉄三の影を感じて苛立つしかない洋平の洋三。消え失せろ ただの影だと思うには、その男の輪郭が鮮明に過ぎた。
今年は残暑が長かった。そのせいか、間もなく秋を迎えようとする空には、黄昏れる時機を逃したかのように水色と黄色のグラデーションが広がっている。
「一分一秒でも長く練習したいってーのによ、消防の点検ってなんだよ。そんなの昼間の授業中にやっとけってんだ」
「体育の時間があるからそうもいかないんじゃない?」
「なら授業のコマ変更すりゃいいだろ。何のための日直と黒板だよ」
原付バイクを押す水戸の隣には、部活ができずぶさくさと文句を言い続ける三井がいる。
三井の言う通り、職員室入口の壁には時間割の変更や担当教員の変更が書かれる黒板があり、前日あるいは当日朝の段階でクラス別に変更内容が記入される。
768今年は残暑が長かった。そのせいか、間もなく秋を迎えようとする空には、黄昏れる時機を逃したかのように水色と黄色のグラデーションが広がっている。
「一分一秒でも長く練習したいってーのによ、消防の点検ってなんだよ。そんなの昼間の授業中にやっとけってんだ」
「体育の時間があるからそうもいかないんじゃない?」
「なら授業のコマ変更すりゃいいだろ。何のための日直と黒板だよ」
原付バイクを押す水戸の隣には、部活ができずぶさくさと文句を言い続ける三井がいる。
三井の言う通り、職員室入口の壁には時間割の変更や担当教員の変更が書かれる黒板があり、前日あるいは当日朝の段階でクラス別に変更内容が記入される。
fumidesuga313
DONE先日支部で上げた洋三にtkb責めだと思って期待してたのに…!!と姉から盛大なダメ出しを食らったのでリベンジマッチ!tkbって無限大の可能性があるよね…(お下品!)
18↑y/n 4020
momosodate
DOODLE韓ドラのアイランドパロ三井:大企業の跡取り。権力を狙う叔父の策略によりデマニュースを拡散され左遷。離れ小島の高校に臨時教師として赴任。前世では鬼を封印する力を持ち、半妖となった水戸を救うと約束するも叶わず死亡。
水戸:この島に蔓延る鬼を倒すため無理やり鬼の血を入れられ、半妖となる。何百年も生きている。三井が前世を思い出すのを待っている。
宮城:悪魔祓いの神父。三井を守るために近づく。 2
akkkkkkira053
MOURNINGセルフライナーノーツが好きすぎてあとがきを書かないと死んじゃうので、書きました!サンプル読む前に読むとネタバレになります。全部自分のこだわりです!しらんがな!とかの突っ込みあると思いますがそれでいいです!しらんがなって思ってもらえたら嬉しいです!
このお話のあとがきです→https://poipiku.com/7524627/8481989.html 6
ann
DOODLE大事な友人の先輩と大事な後輩の友人、くらいの距離感だけど、洋三。時期が花の検査から一週間ほどだからセンチメンタルジャーニーしているけど、洋三!!10daCの存在を書いた後に知ったので齟齬あったら申し訳ない 4
ann
MOURNING【注意】水戸さんから花道さんへと片思いらしきモノと、花道さんから他の方へのプロポーズが含まれます。読後話↓
作中の二人に恋愛感情があるのかはわかりませんが、翌年に三井が筋トレ器具を買いたいと言い出して、じゃあもう少し広い部屋借りるかと二人で引っ越します。 2923
aoyamachan__
CAN’T MAKEいずれ洋三になる洋+三。「ひょんなことから再会する洋三」の続きです。警備会社に就職した洋がプロ三をストーカーから護衛するはなし。
パスは三の番号と身長を続けて。 1368