harunoyuki
DOODLEフィガファウ/記憶が四百年前に戻ったフィを追って、ファが北へ行く話/両片想いで付き合ってはいないあなたの願いを知りたくて「…………はぁ、」
魔法がなければ身を切られるような鋭く冷たい北の夜を、ひとり箒で駆けながら、もう何度めかの溜め息をついた──どうしてこうなった。
──だいたい最初から不自然だった。
何の前触れもなく呼び出された教師役の揃う会議で、『南の先生はしばらく不在じゃ、その間、南の授業は残りの先生で持ち回りね☆』と、問答無用で双子に言い渡されてから、もう三週間になる。
その間、生死を彷徨うような怪我人が出ていないことは幸いだったが、訓練はいつも通り行うし依頼は待ってはくれない。引きこもり即ち魔法舎にいる確率が高いが故に、授業だけでなく、医者の代わりに治癒魔法を請われることもままあり、そのたびに不在を思い知らされる羽目になった。
27813魔法がなければ身を切られるような鋭く冷たい北の夜を、ひとり箒で駆けながら、もう何度めかの溜め息をついた──どうしてこうなった。
──だいたい最初から不自然だった。
何の前触れもなく呼び出された教師役の揃う会議で、『南の先生はしばらく不在じゃ、その間、南の授業は残りの先生で持ち回りね☆』と、問答無用で双子に言い渡されてから、もう三週間になる。
その間、生死を彷徨うような怪我人が出ていないことは幸いだったが、訓練はいつも通り行うし依頼は待ってはくれない。引きこもり即ち魔法舎にいる確率が高いが故に、授業だけでなく、医者の代わりに治癒魔法を請われることもままあり、そのたびに不在を思い知らされる羽目になった。
harunoyuki
DOODLEフィガファウ/クールでダーティな中学生フィが、ふしぎな本屋の店主に会う話/円満寿命転生(←直接描写なし)の現パロ、ちょっとだけフォ学魔法使いの本屋ふと気づいた時には、すでにその店はそこにあった。
看板も何もない。通学路の途中、木々に囲まれた狭い路地の奥に立つ、こぢんまりとした古民家。薄暗い店内には所狭しと本棚が並び、上から下まで、骨董品みたいな本が詰め込まれている。
不思議なのは、その本だった。周りの人間は皆、それを白紙だと言った。装丁がお洒落だよね、何を書こうか?そうそう、この本で交換日記をすると恋が叶うんだって!──なんて同級生の女子は笑っていた。
けど、俺には見えていた。そこに書いてある文字が。どの本の、どのページも、知らない言語の知らない文字で埋めつくされている。読めはしないけれど、手書きの、綺麗な筆跡だった。
店員は、奥の座敷に座っている、店主らしい青年がひとりだけ。
6451看板も何もない。通学路の途中、木々に囲まれた狭い路地の奥に立つ、こぢんまりとした古民家。薄暗い店内には所狭しと本棚が並び、上から下まで、骨董品みたいな本が詰め込まれている。
不思議なのは、その本だった。周りの人間は皆、それを白紙だと言った。装丁がお洒落だよね、何を書こうか?そうそう、この本で交換日記をすると恋が叶うんだって!──なんて同級生の女子は笑っていた。
けど、俺には見えていた。そこに書いてある文字が。どの本の、どのページも、知らない言語の知らない文字で埋めつくされている。読めはしないけれど、手書きの、綺麗な筆跡だった。
店員は、奥の座敷に座っている、店主らしい青年がひとりだけ。
harunoyuki
DOODLEフィガファウ/フィを追う呪いを、ファが討伐しようとする話/両片想いだけど身体の関係はあるおまえが月の道を歩くなら『凍らずの湖のほとり、地脈の交わる針葉樹の森。──危急の折には、頼るといい』
──いつもそうだった。
危機的状況に陥れば陥るほど、冷静に最適解を導き出すのは、あいつの声。
悔しいけれど──この身体は、あいつの教えで出来ている。
「真の姿を現せ、《サティルクナート・ムルクリード》」
封印を解いた呪いの手鏡からぞろりと這い出てきたものに、息を呑んだ。
仕事柄、おぞましいモノはそれなりに見慣れているが──これは、異常だ。
そも本体が何だったのかすら、辿れない。人間も、魔法使いも、虫、魚、蛇、鳥、狼、──生前はおそらく「そう」であったろうものの、数え切れないほどの異形が蠢く集合体。ゆうに僕の上背を越すそれが、人の言葉を話す。
20220──いつもそうだった。
危機的状況に陥れば陥るほど、冷静に最適解を導き出すのは、あいつの声。
悔しいけれど──この身体は、あいつの教えで出来ている。
「真の姿を現せ、《サティルクナート・ムルクリード》」
封印を解いた呪いの手鏡からぞろりと這い出てきたものに、息を呑んだ。
仕事柄、おぞましいモノはそれなりに見慣れているが──これは、異常だ。
そも本体が何だったのかすら、辿れない。人間も、魔法使いも、虫、魚、蛇、鳥、狼、──生前はおそらく「そう」であったろうものの、数え切れないほどの異形が蠢く集合体。ゆうに僕の上背を越すそれが、人の言葉を話す。
きいろ
DOODLE月花フィガファウ子天狗のファちゃんを拾って育てている竜フィ。
はじめての成長に伴う体の不調とは名ばかりの発情期にあてられて体がついていかないファちゃんとか、いいなって思いました!
つづくかも 2
mizumo
DOODLEいつもフェで射精のとき口外されてたけどそれにムッときたファが僕だって飲めるって意気込んでいざ口内に出された時せーえきの味にびっくりして吐いちゃう初ごっくんチャレンジ失敗の落書き(※フィガファウ前提)
R18じゃないけど一応背後注意
hanano_seasons
PROGRESS現パロかつフィの養子になったファのフィガファウという捏造の塊みたいな話フィの養子になったファのフィガファウ「ファウスト。君は今日から俺の家族になるんだよ」
フィガロがそう声をかけると、ファウストのアメジストの瞳がゆらゆらと揺れた。
「かぞ、く……?」
「そう。……とは言ってもすぐに心の整理をするのは難しいだろうし、俺は君のお父さんになりたいわけでもないから、まずは心の治療を優先しようか」
心の治療、という言葉に、ファウストは不思議そうに首を傾げる。
「……僕は、治療が必要なんですか?」
「うーん、そうだね……。一般的には両親が亡くなったら悲しくなるものだと思うけど」
君は違うの?
フィガロがそう問いかけると、ファウストは再び首を傾けた。
「……分かりません。両親のことは好きだったと思います、けど……」
ほんの数日前、ファウストの両親は揃って交通事故で亡くなった。残されたファウストはまだ十二歳。親がいなければ生きていくこともできない年齢であるというのに、彼の瞳は少しも涙に濡れてはいなかった。
592フィガロがそう声をかけると、ファウストのアメジストの瞳がゆらゆらと揺れた。
「かぞ、く……?」
「そう。……とは言ってもすぐに心の整理をするのは難しいだろうし、俺は君のお父さんになりたいわけでもないから、まずは心の治療を優先しようか」
心の治療、という言葉に、ファウストは不思議そうに首を傾げる。
「……僕は、治療が必要なんですか?」
「うーん、そうだね……。一般的には両親が亡くなったら悲しくなるものだと思うけど」
君は違うの?
フィガロがそう問いかけると、ファウストは再び首を傾けた。
「……分かりません。両親のことは好きだったと思います、けど……」
ほんの数日前、ファウストの両親は揃って交通事故で亡くなった。残されたファウストはまだ十二歳。親がいなければ生きていくこともできない年齢であるというのに、彼の瞳は少しも涙に濡れてはいなかった。
はるのぶ
MAIKING花が毎日家に届くファウストのはなし(色んな魔法使いが石になっている世界線なので色々注意eternal それが自分宛てだと気づいたのはいつからだろう。
突然。本当に突然、花が届くようになった。
毎日というわけではなく、時々、頻度も分からず誰がどうしてここに置いていくのかも知らない。綺麗な花束にしてあるわけでもなく、だからと言って無造作に散ってしまっていることもない。ただ、玄関に置かれているのだ。
朝起きて、今日はあるだろうか、と玄関の扉を少し優しめに開くのがすっかり日課になってしまった。
「うん」
小さく摘み取ったそれを抱え込んで、家の中へ戻る。水の張った花瓶に見栄えが良いように刺すと、瞳を閉じてゆっくり深呼吸をする。
胸いっぱいに広がるのは、花の香りと少しの魔力。
「…よし」
まぶたを開き、背筋を伸ばして今日も一日生きていくことを実感する。
1379突然。本当に突然、花が届くようになった。
毎日というわけではなく、時々、頻度も分からず誰がどうしてここに置いていくのかも知らない。綺麗な花束にしてあるわけでもなく、だからと言って無造作に散ってしまっていることもない。ただ、玄関に置かれているのだ。
朝起きて、今日はあるだろうか、と玄関の扉を少し優しめに開くのがすっかり日課になってしまった。
「うん」
小さく摘み取ったそれを抱え込んで、家の中へ戻る。水の張った花瓶に見栄えが良いように刺すと、瞳を閉じてゆっくり深呼吸をする。
胸いっぱいに広がるのは、花の香りと少しの魔力。
「…よし」
まぶたを開き、背筋を伸ばして今日も一日生きていくことを実感する。
to_cosfree_12
TRAININGフィとファ。甘えたいファ。
変わりゆく陽光死の瀬戸際に巡り会う運命は数奇で、どうしようもなく僕を歪ませた。
図書館に向かう昼下がりの中庭は穏やかに風が凪いでいく。
自身にはあまりに似つかわしくなくてその場から距離を取ろうと急足で図書館へと歩みを進める。
どうにも新しく補充された魔法使いは素質はあるが未熟な面が散見され放っておきたかったが自身が許さなかった。
(やっと解放されると思っていたのに)
何からかはとにかく色々だ。
木漏れ日が漏れる木々の下、レンガ道、程よく手入れされた草花。
薬草でもなんでもないただの鑑賞用の花。
レンガ道の先には魔法の練習に馬車を動かすミチルと応援するルチル、見守るレノックスとフィガロ。
日向の中随分とイメージとのギャップが激しい光景。
2531図書館に向かう昼下がりの中庭は穏やかに風が凪いでいく。
自身にはあまりに似つかわしくなくてその場から距離を取ろうと急足で図書館へと歩みを進める。
どうにも新しく補充された魔法使いは素質はあるが未熟な面が散見され放っておきたかったが自身が許さなかった。
(やっと解放されると思っていたのに)
何からかはとにかく色々だ。
木漏れ日が漏れる木々の下、レンガ道、程よく手入れされた草花。
薬草でもなんでもないただの鑑賞用の花。
レンガ道の先には魔法の練習に馬車を動かすミチルと応援するルチル、見守るレノックスとフィガロ。
日向の中随分とイメージとのギャップが激しい光景。
Runagr
MOURNINGフィガファウ/ポエム/死ネタ/捏造書きたいところだけ書いたやつ
なんか最期くらいは穏やかであってほしい~……というのと髪のくだりを書きたかっただけのやつです……
夏空に散る「髪、伸びたね」
フィガロの声に振り向くファウストの、ゆるやかにウェーブを描く髪はひとつに束ねられても彼の背中の中心まであった。それはふわりと夏風に揺れている。
「……伸ばしているんだ」
「なぜ?」
「あなた、何度も聞くけど、飽きないの」
「飽きないね。嬉しいから」
ファウストは呆れたような表情を形作ったけれど、すぐにふっ、と微笑みながら、顎にかかる髪の毛をゆったりと耳に掛けた。それはまさに語り継がれる中央の国の聖人らしいうつくしい所作だった。
「しょうがない人」
まだ夜が明けたばかりだというのに、眩すぎる旭光が嵐の谷に生い茂る芝生の全てを照らしている。いつもはそれを避けるように木陰にて土いじりをするファウストを見守るフィガロだったが、今日は珍しく近くにいた。その理由がわからないファウストではない。
2378フィガロの声に振り向くファウストの、ゆるやかにウェーブを描く髪はひとつに束ねられても彼の背中の中心まであった。それはふわりと夏風に揺れている。
「……伸ばしているんだ」
「なぜ?」
「あなた、何度も聞くけど、飽きないの」
「飽きないね。嬉しいから」
ファウストは呆れたような表情を形作ったけれど、すぐにふっ、と微笑みながら、顎にかかる髪の毛をゆったりと耳に掛けた。それはまさに語り継がれる中央の国の聖人らしいうつくしい所作だった。
「しょうがない人」
まだ夜が明けたばかりだというのに、眩すぎる旭光が嵐の谷に生い茂る芝生の全てを照らしている。いつもはそれを避けるように木陰にて土いじりをするファウストを見守るフィガロだったが、今日は珍しく近くにいた。その理由がわからないファウストではない。
ngs_log
MOURNINGフィガファウpixivに加筆修正したものをアップしています
→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16000475
プラシーボ「……いっ!……ガロっ!」
遠くでファウストの声が聞こえる。初めはぼんやりとしていたその呼びかけは、体の揺れに呼応するように徐々にはっきりと頭に響き始めた。
「フィガロ!いつまで寝ているつもりだ!」
「んん………、ファウスト」
「もうお昼前だぞ」
「へ……?」
「だらしない声を出すな」
窓から差し込む光の眩しさを鬱陶しく感じながら、ゆっくりと瞼をあげると目の前には呆れ顔の恋人がいた。ぱちっと視線が合うとむっとした表情で逸らされる。剥き出しの背中の肩越しに仄かに朱色に染まった可愛らしい耳が見えた。本気で怒っているわけではなく、単なる照れ隠しのようだ。昨夜の情事の名残を思わせるその仕草が愛しくて、もう少し眺めていたかったのに、ファウストはそそくさと服を羽織って寝床から離れてしまった。
5412遠くでファウストの声が聞こえる。初めはぼんやりとしていたその呼びかけは、体の揺れに呼応するように徐々にはっきりと頭に響き始めた。
「フィガロ!いつまで寝ているつもりだ!」
「んん………、ファウスト」
「もうお昼前だぞ」
「へ……?」
「だらしない声を出すな」
窓から差し込む光の眩しさを鬱陶しく感じながら、ゆっくりと瞼をあげると目の前には呆れ顔の恋人がいた。ぱちっと視線が合うとむっとした表情で逸らされる。剥き出しの背中の肩越しに仄かに朱色に染まった可愛らしい耳が見えた。本気で怒っているわけではなく、単なる照れ隠しのようだ。昨夜の情事の名残を思わせるその仕草が愛しくて、もう少し眺めていたかったのに、ファウストはそそくさと服を羽織って寝床から離れてしまった。