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    ローレンツによる答え合わせの回です。エドマンド辺境伯周りを捏造しています。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。

    #クロヒル
    blackHill
    #ロレマリ
    lloremali

    11.interval(side:L) 他人の秘密は財産と同じだ。握る秘密の数が多ければ多いほど自分の意のままに過ごすことが出来る。ローレンツは初対面の時からクロードを訝しみ何とかして秘密を暴こうとしていたがその結果思いもよらない秘密をその手に握ってしまった。クロードのことだけなら計算づくで淡々と処理するだけだがヒルダの名誉も絡んでいる。

     釘を刺すような祖父は亡くクロードですら無視ができないようなリーガン家の年嵩の家臣たちはエドマンド辺境伯と話していたし国境を守るゴネリル家からはヒルダしかデアドラに来ていない。きっと今後身動きの取れない父と兄に代わってヒルダが様々な場所に顔を出すのだろう。将来の円卓会議をクロード、マリアンヌ、ローレンツと共に彼女が担うのかもしれない。

     そんな遠い将来のはともかく年頃の男女のことであるし葬儀の場というのはただでさえ感情が昂るものだ。ローレンツにしてもリーガン公を悼む気持ちとクロードへの苛立ちが混ざりあっている。弔い酒と共に苦々しい思いを飲み下していた時にローレンツはマリアンヌを見かけたのだ。ガルグ=マクにいる時と違い身の回りの世話をする侍女が帯同しているのか今晩の彼女は美しく髪を結い上げている。一瞬で苛立ちが吹き飛び給仕が注いだ弔い酒を今度は心を落ち着けるために飲み干した。

     マリアンヌは当然ヒルダに会いたがっているが握ってしまった秘密がローレンツに歯止めをかける。少し早めにリーガン邸に到着しクロードと一言二言話したローレンツは父であるグロスタール伯に連れられ共に他の弔問客たちと歓談していた。その場を学友たちがいるので挨拶を、と言って中座した時にローレンツはクロードが姿を消していることに気づいた。

     そして彼を探すうちに暗がりで抱き合う喪服姿の二人を目撃し今に至る。気づかないふりをして通り過ぎたが未だに弔問客のうろつく一階や二階に戻っていないなら二人は客が入れないようになっている三階にでもいるのかもしれない。その先のことはマリアンヌと共にいる今は考えたくなかった。

    「すいません……私があの時すぐヒルダさんに声をかけておけばこんな風にローレンツさんにご迷惑をかけることもなかったのに」
    「迷惑だなんてとんでもない。中々お役に立てなくて申し訳ないね」

     杯を持って邸内を歩いていると周りからどうしても献杯を、と言われる。ローレンツは可能な限りマリアンヌに代わって献杯しているつもりだったがそれでもマリアンヌに全く呑ませずに済んだわけではない。それなりに弔い酒を口にしていたせいだろうか。彼女の顔はかなり赤くなっているし足元も少しおぼつかなくなっている。ローレンツも父であるグロスタール伯と共にリーガン邸を訪れているのでとてもではないがクロードやヒルダのような振る舞いは出来ない。ヒルダを探すふりをやめて本当にエドマンド辺境伯を探した方が良さそうだった。

    「マリアンヌさん、今晩はもうお義父上と上屋敷へ戻った方がいい」

     マリアンヌによるとエドマンド辺境伯はリーガン家の家臣たちと話がある、とのことだったのでローレンツは改めて足元のおぼつかない彼女に肘を差し出し会議が出来そうな大きさの部屋を順ぐりに確かめていく。三部屋目でようやくローレンツはマリアンヌと同じく水色の髪をした壮年の男性を見つけることが出来た。円卓会議に帯同した際に顔を見たことがあるので人違いではない。話し合いはちょうど終わったところのようだった。

    「失礼します、エドマンド辺境伯」

     ローレンツはエドマンド辺境伯とマリアンヌが並んでいるところを初めて見た。二人を見比べてみると顔立ちや体つきがよく似ていて実の親子ではないにしても血縁関係にあることが分かる。ただし二人が醸し出す雰囲気は全く違う。酒に酔っていない時のマリアンヌが常に何かにおびえて伏し目がちであるのに対しエドマンド辺境伯は自信に満ち溢れ何者にも譲らない気の強さを感じる。

    「君はグロスタール伯の嫡子だね」
    「はい。ローレンツ=ヘルマン=グロスタールです」

     ローレンツはクロードが現れる前は五大諸侯の家に生まれた唯一の男子であったのでエドマンド辺境伯が自分の名を知らぬはずがない。しかし彼はローレンツの名を呼ばなかった。彼の口元は笑っているが酔ったマリアンヌの白い指先が添えられている肘とローレンツの顔を見比べていてその二点間を行き来する視線がまるで刃物のようだ。ローレンツの肉体も危険を感じているのかマリアンヌの代わりにかなり弔い酒を煽ったと言うのに酔いが急激に冷めていく。

    「まあ、お義父様!こんなところにいらしたのですね、ローレンツさんが探していたのでここでお会いできて本当に良かったです」

     酔っているマリアンヌの頭からは誰のためにエドマンド辺境伯を探していたのかがすっぽ抜けてしまったらしい。養女の毒気のない言葉を聞いてローレンツの言動には何ひとつやましいところがない、と判断しエドマンド辺境伯は肘とローレンツの顔を交互に見ることをやめた。

    「マリアンヌは少々酒が過ぎたようだね。デアドラは水路が多いから酔って歩けば命取りだ。感謝するよローレンツくん」
    「いいえ、名誉ある貴族として当然のことです」

     マリアンヌがエドマンド辺境伯の腕を取り二人が退室するまでローレンツは生きた心地がしなかった。それもこれも全てクロードのせいだ。ローレンツはマリアンヌがくれた手巾で汗を拭きながら明日は絶対にクロード何か言ってやろうと誓った。

     翌日、葬儀の会場であるデアドラ中央教会に訪れたローレンツは貴賓席に着席しているのを良いことに神妙な顔をして喪主として振る舞っているクロードの足の甲を他の者には分からないように思いきり強く踏んだ。一瞬、クロードは後で仕返ししてやるから覚えていろ、という顔をしてローレンツを睨みつけてきたがどうやら葬儀が終わるまでの間に貴賓席に座っていたヒルダとマリアンヌの会話を小耳に挟んだらしい。教会での一連の儀式が終わるとクロードは慌ててローレンツを人気のないところへ連れ出した。

    「マリアンヌのこと誤魔化してくれたんだな」
    「ふん、どうやら心当たりがあるようだな」
    「言っておくがあの状況じゃ風呂は使えないしうちはじいさんと俺の男所帯で子馬がない。だからそこまでやましいことはしてない」

     子馬とは女性が足や下腹部を洗う時に使う椅子型の器具のことだ。跨って使うので子馬と呼ばれる。ローレンツは自分の頬に熱が集まっていることを自覚した。きっと顔は真っ赤に染まっていることだろう。

    「君、なんてこと言うのだ!そもそも前夜式の最中に姿を消したから僕相手に取り繕う羽目になっているのだぞ!」
    「ヒルダのためにもまずお前の誤解を解かないとまずいだろう!」

     ローレンツは頭が痛くなってきた。そこまで、という含みのある表現が気になったがそもそも当事者抜きに男二人でこんな言い争いをしていることが間違っている。

    「分かった。この話はこの場限りにしておく。言っておくがヒルダさんのためだぞ」

     クロードからは珍しく恩にきる、と言われたがそんなことより頼むからもっと上手くやってくれ、と言うのが身分や立場を全て取り去ったローレンツの本音だった。
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    MAIKINGロレマリに続きようやくクロヒルの方もちょっとそれっぽくなってきたかもしれません。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    7.B(side:L) ローレンツが厩舎の管理をマリアンヌと共に担当していた時に上空警備を担当していたクロードとヒルダが戻ってきた。金鹿の学級で軽業師の真似事が流行ったことがある。ナイフ投げも軽業もレオニーが飛び抜けて上手いのだがクロードも負けていない。下馬の際に左足を鎧から抜き忘れた人の真似、というのがクロードの得意技だ。羽ばたきやペガサスの嗎に混ざってヒルダが楽しそうに笑っている声が聞こえる。

    「また同じことを繰り返して……ヒルダさんも飽きたと言ってやれば良いのに寛容なことだ」
    「最初拝見した時は心臓が止まりそうになりました……」

     それはそうだろう。普通の馬であったとしても肝が冷える光景だがクロードはなんとそれを上空でやっているのだ。何かひとつでも間違いがあれば死にかねない。好きな人に良いところを見せたいと言う気持ちは分からなくもないがレスター諸侯同盟の次期盟主として相応しくない振る舞いなのは言うまでもなかった。
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    MAIKING何話か進めばクロヒルかつロレマリになる予定です。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    4.C(side:H) マリアンヌの鉄筆をすぐに拾ってやれたことからも分かる通りローレンツは気になることがあるとつい目で追ってしまう癖があるようだ。そして自分が見られていることには無頓着らしい。断りきれずに食事を共にした女子学生はさぞ居心地が悪かっただろう、とヒルダは思う。

    「マリアンヌちゃん、何か困っていることはない?」

     先日、マリアンヌに書庫整理の手伝いをしてもらった結果全て自分で作業をする羽目になったヒルダは本格的に彼女が心配になった。マリアンヌには何か根本的な欠落がある。

    「特にないつもりです……」

     養父であるエドマンド辺境伯はマリアンヌとの関係を良好たしたいと考えているのだろう。こまめに手紙や差し入れが届く。だがローレンツから託された手紙をヒルダが渡した時マリアンヌは戸惑っていた。きっと理由を聞いても教えてくれないのだろう。無駄なことはしないに限る。身内になれない他人が踏み込むべきではない領域があるのだ。そう思ってヒルダがマリアンヌに対して引いていた線を数日前、ローレンツはあっさり越えた。
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    MAIKING何話か進めばクロヒルかつロレマリになる予定です。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    2.C-(side:H) クロードは他人の喉元に入り込むのが上手い。ヒルダ自身も楽をするために他人の喉元に入り込む自覚があるのですぐに分かった。それにしても十代の男子が女子の体調を気遣うなんて珍しい。ディミトリもメルセデス辺りに頼んでいるのだろうか。そんな訳で不本意ながらヒルダは女子学生の意見をまとめクロードに伝える係をやっている。レオニーは臆さないが盟主の嫡子と言うだけで萎縮してしまう学生もいるのだ。

     一度役割を任されてしまえば期待に応えないわけにいかない。だからこそヒルダは期待をかけられることを嫌い責任というものから逃げ回っていたのだがそうなってみるとどうしても気になる同級生がいた。マリアンヌだ。とにかく何も話さずすぐに一人で厩舎へ行ってしまうので噂話だけが流れている。ダフネル家の代わりに五大諸侯に加わったやり手のエドマンド辺境伯は注目度が高い。おそらくヒルダの兄ホルストの次くらいに学生たちから注目されている。マリアンヌは彼のお眼鏡に叶って養女になったとか目ぼしい若者が彼女しかいなかったから仕方なく彼女を養女にしたとかそんな噂だ。クロードの耳にも当然入っている。
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    DONEクロヒル&ロレマリの話、ロレマリ後日談の話です。この話はこれでおしまいです。エドマンド辺境伯がらみの捏造が我ながら本当にヒッデェなと思います。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    19.sequel:L&M 紋章を持つ貴族同士の婚姻は動物の品種改良と似ている。好ましい形質が確実に顕になるよう交配していくからだ。逆に好ましくない形質を持つものは間引かれる。マリアンヌの実父は"おこり"を恐れていた。モーリスの紋章を持つ子供はそれはそれは美しく生まれてくるのだという。両親は美しい乳児を愛さずにはいられない。子供は自分の一族にかかった呪いを知らずに育つが子供の成長と時を同じくして呪いはゆっくりと親を侵蝕していく。

     "おこり"、いや"興り"が訪れると最初はぼんやりする時間が増える。言動に異常をきたしてしまえばもう死ぬまで止まらない。人格が崩れ獣性が剥き出しになっていく。人格が崩れ社会的に破綻し最後はヒトの形を保てなくなる。ヒトのまま尊厳を保ち周囲から愛されて生涯を終えたいなら早く死ぬしかない。モーリスの紋章を持つ一族は前線で武器を持たず治療に専念する修道士や消火隊など危険な仕事に従事するようになった。その結果かつて社会から根絶やしにされかけた一族は信頼を回復し地方で領主を務めるまでになった。それでもモーリスの紋章を持つ一族の生存戦略は変わらない。
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    MAIKING「説明できない」
    紅花ルートで戦死した記憶があるクロードと青獅子ルートで戦死した記憶があるローレンツの話です。12月にクロロレオンリーイベントがあればそこで、実施されなければ11月のこくほこで本にするつもりで今からだらだら書いていきます。
    1.振り出し・上
     クロードが最後に見たのは天帝の剣を構える元傭兵の女教師だった。五年間行方不明だった彼女が見つかって膠着していた戦況が動き始めそれがクロードにとって望ましいものではなかったのは言うまでもない。

     生かしておく限り揉めごとの種になる、と判断されたのは故郷でもフォドラでも同じだった。人生はなんと馬鹿馬鹿しいのだろうか。だが自分の人生の幕が降りる時、目の前にいるのが気に食わない異母兄弟ではなくベレス、エーデルガルト、ヒューベルトであることに気づいたクロードは笑った。
    >>
     もう重たくて二度と上がらない筈の瞼が上がり緑の瞳が現れる。その瞬間は何も捉えていなかったが部屋の窓から差す光に照準が合った瞬間クロードの動悸は激しく乱れた。戦場で意識を取り戻した時には呼吸が出来るかどうか、視野は失われていないか、音は聞こえるのかそれと体が動くかどうか、を周りの者に悟られぬように確かめねばならない。クロードは目に映ったものを今すぐにでも確認したかったが行動を観察されている可能性があるので再び目を瞑った。

     山鳥の囀りが聞こえ火薬や血の匂いを感じない。手足双方の指も動く。どうやら靴は履 2041

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    MAIKING「説明できない」
    紅花ルートで戦死した記憶があるクロードと青獅子ルートで戦死した記憶があるローレンツの話です。
    2.振り出し・下
     士官学校の朝は早い。日の出と同時に起きて身支度をし訓練をする者たちがいるからだ。金鹿の学級ではラファエル、青獅子の学級ではフェリクス、黒鷲の学級ではカスパルが皆勤賞だろうか。ローレンツも朝食前に身体を動かすようにしているがその3人のように日の出と同時には起きない。

     ローレンツは桶に汲んでおいた水で顔を洗い口を濯いだ。早く他の学生たちに紛れて外の様子を見にいかねばならない。前日の自分がきちんと用意していたのであろう制服を身につけるとローレンツは扉を開けた。私服の外套に身を包んだシルヴァンが訓練服姿のフェリクスに必死で取り繕っている所に出くわす。

    「おはよう、フェリクスくん。朝から何を揉めているのだ?」
    「煩くしてすまなかった。単にこいつに呆れていただけだ」

     そう言うと親指で赤毛の幼馴染を指差しながらフェリクスは舌打ちをした。シルヴァンは朝帰りをディミトリや先生に言わないで欲しいと頼んでいたのだろう。

    「情熱的な夜を過ごしたのかね」

     呆れたようにローレンツが言うとシルヴァンは照れ臭そうに笑った。

    「愚かすぎる。今日は初めての野営訓練だろう」

     フェリ 2066

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    8.背叛・下
     雷霆を振るうカトリーヌの名を聞いた者に多少なりとも英雄の遺産や紋章の知識があったならばそれがとんだ茶番だと判るだろう。だが無謬であるセイロス教会が彼女をカサンドラではなくカトリーヌと呼ぶのならそれに従うしかない。カロン家当主としても令嬢カサンドラに死なれるよりはガルグ=マクで生きていてくれた方が良いのだろう。

     ローレンツは霧深い街道をガスパール城に向けて黙々と進んでいた。前方ではクロードとベレトとカトリーヌが何やら話している。五年前、ローレンツは帝国軍が破竹の快進撃を見せた時に正直言ってファーガス神聖王国がほぼ崩壊したと思った。今の彼らの会話を耳にしてもファーガスが凋落しているという印象が深まっていく。青獅子の学級の学生たちは士官学校に入る前に初陣を済ませている者が多いのはダスカーの悲劇以降小規模な騒乱が後を立たずにいるからだ。

     だからあの時ローレンツはフェルディナントと共にミルディン大橋に立った。ファーガスは近々自壊するだろうしパルミラとの国境を守りながら強大な帝国に抗う力が同盟にはない。ならばせめて領地と領民を守りたいと思ったからだ。霧の立ちこめる行路は人生 2090

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロと青ロレの話です。
    9.典儀・上

     情報には出元と行き先がある。それを見極めずに判断を下すと間違いが起きる。前節、カトリーヌがロナート卿の所持品から見つけた大司教レアの暗殺計画に関する密書は様々な波紋を読んだ。真偽の程は定かではないが対応せねばならない。

     謁見の間に呼び出されたベレトから今節の課題を聞いたクロードは教会があの密書をどう判断したのか悟った。今回も彼の記憶と同じく何者かが教会を混乱させる為に作成した偽物であると判断したのだ。そうでなければ士官学校の学生に警備や見回りを担当させないだろう。だがクロードにとっては丁度良かった。賊の狙いが何処であるのか確かめる為という大義名分を得て修道院の敷地内を直接、自由に見て回れる。賊が聖廟の中で何かを探し、奪いに来たがそこでベレスが天帝の剣を手に取り賊を撃退したことをクロードは覚えているのだがだからといって日頃入れない聖廟を直接探る機会を逃したくはなかった。それにロナート卿の叛乱の時と同じくまたクロードたちが当事者になっている。詳しく調査しておいて損はないだろう。

     ガルグ=マクにはフォドラの外からやってきた住人がクロード以外にも存在する。自然と祖先を 2082

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    MAIKING「説明できない」
    赤クロ青ロレの話です。
    14.誘拐・下
     ローレンツとクロードの記憶通り事態は進行した。一つ付け加えるならばクロードがセテスにちょっかいを出したことだろうか。見当違いだと分かっていることを敢えてセテスに聞いたら先方が何故か安心した、とクロードから聞いてローレンツは眉を顰めた。やはりセイロス教会は何かを隠している。五年前から問題視していたクロードが正しかった。だがそれは大乱を起こす理由になり得るのだろうか。クロードは元から英雄の遺産と白きものについて探っていたがそれに加えてエーデルガルトが檄文で言及していた教会の暗部についても調べ始めた。

    「先に掴んで暴露してしまえば檄文自体無効になるかと思ったがそんな都合の良い案件は見当たらなかった。敢えて言うならダスカーがらみか?」
    「だがあれも機能不全に陥った王国の要請がなければ騎士団が担当することはなかっただろう」

     エーデルガルトが見つけたと称するセイロス教会がフォドラの全てを牛耳っている証拠とセイロス教会の秘密は同一なのだろうか、それとも違うのだろうか。探さねばならないものが増えてクロードは大変そうだ。大変そう、と言えばベレトも大変そうだ。彼は修道院内を丹念に探 2099