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    last_of_QED

    @last_of_QED

    ディスガイアを好むしがない愛マニア。執事閣下、閣下執事、ヴァルアルやCP無しの地獄話まで節操なく執筆します。デ初代〜7までプレイ済。
    最近ハマったコーヒートーク(ガラハイ)のお話しもちょびっと載せてます。

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    last_of_QED

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    全部、風邪のせいにして。【Bless you.】
    ほんのり(?)フェンヴァル🐺🦇。風邪ひきフェンリッヒは可愛い。リハビリ。

    #執事閣下
    deacon
    #フェンヴァル
    fenval
    #ディスガイア4
    disgaea4

    【Bless you.】「……しかしだな、フェンリッヒ」

     訝しげな顔がこちらを覗き込む。どんなに胡散臭い話でも大抵のことはそのままに聞き入れるこの人が、よりにもよってこのオレを疑うというのか。
     細くなるガーネットの瞳に見入られ、小さく身震いする。この人は時折、何を考えているのか皆目検討がつかなくなるのだった。

    「申し訳、ございません」

     確かにオレの管理不足ではある。厳しい叱責を覚悟して反射的に謝罪する。頭を下げても主からの返事はなく、体の内側で脈の速くなるのを感じる。恐る恐る顔を上げれば、そこには予期していたものとは全く異なる光景が広がっていた。吸血鬼は好奇心に満ちた幼な子の顔でオレを見、しかし周囲に配慮するかのように楽しげに耳打ちするのだった。

    「それは恋というやつではないか!?」
    「……は?」

     業務に支障が出る前にと確かに体調不良を訴えたのに、このご主人様は今何と?
     オレの動揺の一切合切を無視して閣下はマントを翻し、放つ。

    「フッフッフ……その反抗的な目、さては図星だな? プリニーどもよ! 今宵、フェンリッヒに赤飯を炊く! 心して準備にかかれッ!」
    「アイアイサーっス! ……プッ」

     我慢出来ず笑いを漏らした者にすかさず八つ当たりをすれば連鎖して数匹が爆発の渦に巻き込まれた。難を逃れたプリニーたちは蜘蛛の子を散らすように逃げて行く。

    「なんのおつもりです、ヴァル様……!」

     プリニーの一匹もいなくなった部屋で血相を変えて主に詰め寄る。我が主といえばきらきらとした笑顔で未だ勘違いに気付く由もない。我が子の成長を目の当たりにしたかのように喜ぶ、その真っ直ぐで悪びれない様子はいつもオレを悩ませる。この人は実に悪魔らしくない。

    「お前の申告によれば『熱っぽい』『胸が苦しい』『食欲がない』……小娘が恋わずらいがどうと騒いでいた症状に良く似ている。ほら、クシャミまでして……想い人がお前の噂話でもしているのだろう。良かったではないか!」
    「っくしゅ……ん、ハァ、ハァ、断・じ・て・恋ではありません」
    「そう照れるな。しかし恋わずらいとはこうもつらいのだな……」

     主がオレの肩を優しくさする。この方の思い込みはかなり激しく、これまでも散々手を焼いてきた。まあ、その恐るべき思い込みの力のお陰でかつてのオレは主に助けられたし、今なお主はイワシで魔力を保てているのだから一長一短である。
     今昔のあれこれに思いを巡らせるうち、体調が悪化したのか顔が火照るのが分かった。一方で背に走る悪寒に身震いする。

    「お前は顔が良いのにまるで女の気配がなかったからな。少し安心したぞ」
    「閣下。その言葉、そっくりそのままお返しいたします」

     来る日も来る日もプリニーの教育とイワシに余念のない我が主。どの口が言うのです、と呆れ顔で放った後、胸に違和感を覚えた。咳き込んだせいかと思ったが、そうではないらしい。肺とも喉ともつかない辺りがちくと痛む。

     唐突に脳裏に浮かんだいつかの修道女。ヴァル様はあの時恋を、或いはそれに近い感情を抱いていらしたのではあるまいか。もしかすると、今も。

     閣下はオレのことを信頼してくださっている、それは分かる。けれど、ヴァル様の記憶にはどうしたってあの女がいる。
     今更変えようもない事実を、オレはどう飲み込めば良いのか分からなかった。

     オレにはヴァル様しかいない。だが、ヴァル様には。

     ごくりと唾を飲む。炎症しているのだろう、喉が酷く痛かった。反射的に空咳が出る。

    「おい、大丈夫か? まさか本当に風邪か?」
    「そうですと、先程、から……」
    「……そうか。すまなかったな」

     ぽわ、とヒールの魔法を掛けられて冷え切っていた指の先がわずかばかり血流を取り戻す。ヒールで風邪など治らない。主の、意味のない回復魔法の意図がオレには分からなかった。

    「閣下?」
    「俺はお前に少々……いや、多分に負い目を感じていてな」

     ヴァルバトーゼ様が? オレに? 何故?
     様々な疑問が次から次へ、浮かんでは解決しないままに消えていく。意味が伝わっていないと悟ったのか、吸血鬼は言葉を付け足した。

    「これまで俺に付き切りだったろう。俺たちは逃げるように地獄に辿り着いた。今日この日に至るまで……お前にはお前自身の時間などほんの少しもなかったはずだ」

     またしてもヒールを掛けられる。今度は胸の辺りがすっと通ったような気がした。プラシーボに違いないのに、ほんの少し息がしやすくなるのだから不思議だった。

    「俺の感じる負い目とはな、フェンリッヒ。俺が血を絶ったことでお前の世界を狭めたことだ。だから、恋でもなんでも構わない。お前の世界が広がったことが嬉しかったのだ」

     早とちりして舞い上がってしまった、と俯き、それ以上を吸血鬼は言い淀む。その告白をオレは懺悔のようだと思った。けれど、オレは悪魔であって神父ではない。そして何より、あの時の若造はこの方にこそ世界を広げてもらったのだから。これからも、広げてもらうのだから。

    「お言葉ですが」

     膝をつき、頭を下げる。だらんと垂れた力のない手を掬い上げ、白手袋の甲に軽くキスを落とす。

    「あなた様がバカ真面目になさるプリニー教育。獄長から押し付けられる数多の業務、イワシの手配……確かにこれでは私の時間などまるでございません」

     浮かない顔を下から覗き込んで、オレは必要な最低限の言葉を絞り出す。言いたいことのあれやこれ、装飾する必要はなかった。確証はない、けれど今ならきっと伝えたいことが伝わる、そう思えた。

    「ですが、誤解なさらないでください。私は好きであなた様に振り回されているのです。それに……あなた様についていけば否が応でも私の世界は広がると、他でもない私の本能が囁くのですよ」
    「……そうか」

     主は少し驚いた顔をしたが、遂には言葉を受け入れた。そして、次の瞬間にはすっきりとした表情で声をあげた。ああ、相変わらず主の声は良く通る。

    「では赤飯は取りやめる! 聞こえるか、プリニーども! メニューをイワシ粥に変更だ! 消化に良いようしっかり煮込め!」
    「……やはり私は恋をしています。赤飯にしましょう」
    「嘘をつけ!」

     イワシは生臭くて苦手だ。ましてやどろどろに煮込まれたイワシ粥など食うぐらいなら茶化されながら赤飯を食うほうがよほどいい。
     だが、なんだろうか。主人に心配されるこの心地は。そわそわと落ち着かないこそばゆさは。

    「さて、シモベの面倒を見るのも主の務めだからな。あとは任せておけ」

     主の言葉と共に体がふっと軽くなる。気が付けば足が地を離れ、宙に浮いていた。あろうことかひと回り以上体格差のある主人に、従者のオレが軽々と抱き抱えられていたのである。

    「……は!?」
    「うるさいぞ。病人は寝ていろ」

     額にキスを落とされる。突然のことに四肢が動かず、頭は上手く働かない。主はこうなることを分かっていてしたのだろうと思った。熱を解かすよう一瞬触れた、薄い氷の唇が心地良かった。

     まだ熱は下がりそうにないのだから、だからもう二度、三度、触れてはくれないだろうか。
     
     願うように目を閉じた、その先のことは我が主だけが知っている。
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    DOODLEディスガイア4に今更ハマりました。フェンリッヒとヴァルバトーゼ閣下(フェンヴァル?執事閣下?界隈ではどう呼称しているのでしょうか)に気持ちが爆発したため、書き散らしました。【悪魔に愛はあるのか】


    口の中、歯の一本一本を舌でなぞる。舌と舌とを絡ませ、音を立てて吸ってやる。主人を、犯している?まさか。丁寧に、陶器に触れるようぬるり舌を這わせてゆく。舌先が鋭い犬歯にあたり、吸血鬼たる証に触れたようにも思えたが、この牙が人間の血を吸うことはもうないのだろう。その悲しいまでに頑なな意思が自分には変えようのないものだと思うと、歯痒く、虚しかった。

    律儀に瞼を閉じ口付けを受け入れているのは、我が主人、ヴァルバトーゼ様。暴君の名を魔界中に轟かせたそのお方だ。400年前の出来事をきっかけに魔力を失い姿形は少々退行してしまわれたが、誇り高い魂はあの頃のまま、その胸の杭のうちに秘められている。
    そんな主人と、執事として忠誠を誓った俺はいつからか、就寝前に「戯れ」るようになっていた。
    最初は眠る前の挨拶と称して手の甲に口付けを落とす程度のものであったはずだが、なし崩し的に唇と唇が触れ合うところまで漕ぎ着けた。そこまでは、我ながら惚れ惚れするほどのスピード感だったのだが。
    ……その「戯れ」がかれこれ幾月進展しないことには苦笑する他ない。月光の牙とまで呼ばれたこの俺が一体何を 3613

    last_of_QED

    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007

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    last_of_QED

    Deep Desire【悪魔に愛はあるのか】の後日談として書きました。当社比アダルティーかもしれません。煩悩まみれの内容で上げるかどうか悩むレベルの書き散らしですが、今なら除夜の鐘の音に搔き消えるかなと駆け込みで年末に上げました。お許しください…【後日談】


    「やめ……フェンリッヒ……!」

    閣下との「戯れ」はようやくキスからもう一歩踏み込んだ。

    「腰が揺れていますよ、閣下」
    「そんなことな……いっ」
    胸の頂きを優しく爪で弾いてやると、我慢するような悩ましげな吐息でシーツが握りしめられる。与えられる快感から逃れようと身を捩る姿はいじらしく、つい加虐心が湧き上がってしまう。

    主人と従者。ただそれだけであったはずの俺たちが、少しずつほつれ、結ばれる先を探して今、ベッドの上にいる。地獄に蜘蛛の糸が垂れる、そんな奇跡は起こり得るのだ。
    俺がどれだけこの時を待ち望んでいたことか。恐れながら、閣下、目の前に垂れたこの細糸、掴ませていただきます。

    「閣下は服の上から、がお好きですよね。着ている方がいけない感じがしますか?それとも擦れ方が良いのでしょうか」
    衣服の上から触れると肌と衣服の摩擦が響くらしい。これまで幾度か軽く触れ合ってきたが素肌に直接、よりも着衣のまま身体に触れる方が反応が良い。胸の杭だけはじかに指でなぞって触れて、恍惚に浸る。

    いつも気丈に振る舞うこの人が夜の帳に腰を揺らして快感を逃がそうとしている。その姿はあまりに 2129

    last_of_QED

    DONEディスガイア4で悪魔一行が祈りに対して抵抗感を露わにしたのが好きでした。そんな彼らがもし次に祈るとしたら?を煮詰めた書き散らしです。【地獄の祈り子たち】



    人間界には祈る習慣があるという。どうしようもない時、どうすれば良いか分からぬ時。人は祈り、神に助けを乞うそうだ。実に愚かしいことだと思う。頭を垂れれば、手を伸ばせば、きっと苦しみから助け出してくれる、そんな甘い考えが人間共にはお似合いだ。
    此処は、魔界。魔神や邪神はいても救いの手を差し伸べる神はいない。そもそも祈る等という行為が悪魔には馴染まない。この暗く澱んだ場所で信じられるのは自分自身だけだと、長らくそう思ってきた。

    「お前には祈りと願いの違いが分かるか?」

    魔界全土でも最も過酷な環境を指す場所、地獄──罪を犯した人間たちがプリニーとして生まれ変わり、その罪を濯ぐために堕とされる地の底。魔の者すら好んで近付くことはないこのどん底で、吸血鬼は気まぐれに問うた。

    「お言葉ですが、閣下、突然いかがされましたか」

    また始まってしまった。そう思った。かすかに胃痛の予感がし、憂う。
    我が主人、ヴァルバトーゼ閣下は悪魔らしからぬ発言で事あるごとに俺を驚かせてきた。思えば、信頼、絆、仲間……悪魔の常識を逸した言葉の数々をこの人は進んで発してきたものだ。 5897