ひそひその噂話。ひそひその噂話。
季節外れの転校生は、百五十程しかない女の子で。
季節外れの転勤で来た養護教諭は、桃色を帯びた白髪の綺麗な高身長の女性。
その二人が放課後の保健室で、密かに愛を囁いている。
そんな噂はでたらめだ、と軽くあしらわれるも、中庭で転校生を見つめる教諭のなんと優しい目の事か。
絶対にあの二人はそういう仲なのだと、今日も学内でひそひそと話されている。
「で、見つかったのか?」
放課後の保健室、夕暮れを背に教諭の言葉に女生徒は口を開いた。
「いえ、まだですね」
顔の幼さの割には低い声、それもその筈、彼女、いや、彼は女生徒ではない。
彼の言葉にため息を吐いて、「こっちもまだだ」と呟いて椅子に凭れ掛かればキィと音を立てた。
1963