20話 葬儀も恙無く終わりを迎えようとしていた。
深く掘り開けられた大穴にヴァレンテが眠っている箱が下ろされ、跡形もなく土で埋まる頃には日は西の空へと沈みかけている。
夕日の橙光をうけきらきらと輝いている綺麗に作られた白い墓標は、歴戦の戦友達の隣に設置された。
事件の公開を控えられたお陰か彼女の死を悲しんだ人々が多く集まったが、日も落ちてきて1人、また1人と墓地を後にしていく。
墓の前に佇み、墓標に刻まれたヴァレンテの名前を見ていたカルヴェの背中を見ながら、シラーとヘルラの二人はどう声をかけようか悩んでいた。
仮にも裏切りを行っていたとはいえ、尊敬し、背中を追っていた人物の死は辛いものだろう。
「ぁ⋯あの⋯」
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