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    dokuitu

    @dokuitu
    字書きです。何でも書いて何でも食べる(好きなものだけ)

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    dokuitu

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    とうとう書いちゃった鯉博(性別不明)
    脳内設定と基地ボイスの衝突事故で大爆発したやつです
    ほぼほぼ捏造注意

    #鯉博
    leiBo

    その甘美は月のように前々から協力関係だったリー探偵事務所の所長を、本格的にオペレーターとして迎えてから数日後の事。
    ドクターは通り過ぎる廊下の向こう側に、彼の姿を見た。
    背の高さと黒を基調とした服、そして大きな尾はここからでもよく目立つ。
    「やあ」と一言声をかけようとした瞬間、彼が口元に手を寄せる仕草を確認してすぐに駆け寄った。

    「こら、艦内は禁煙だぞ」

    腕に手をかけて引き寄せる。
    不意をついたからか、筋肉質の腕は特に抵抗する事もなくドクターの細腕にされるがままに動いた。
    だが、その手の中にライターのようなものは無い。

    疑問に思って顔を黄色い手袋の掌から上に向けると、小さな黒眼鏡の奥、金色の瞳と目が合った。
    一瞬見開かれていた目は動揺を隠すためか、即座に緩く細められる。

    「いやですねぇ、ドクター。流石におれも、初日に言われた注意を忘れるほどボケちゃいませんよ。これはほら、スティックキャンディってやつです」

    ぽん、と手品のごとく彼の手に三本ほどキャンディが現れた。
    どれも棒付きで、ポップな包みがキャンディの味を喧伝している。

    目の前、自身が引き寄せた手の中で行われたその手品に

    (それができるなら、咄嗟にライターを隠すなんて朝飯前では?)

    (そもそも今持っているこのキャンディの棒と君が咥えている棒の太さ、どう見ても違くないか?)

    とドクターは思わなくもなかったが、ここまで来たら『疑わしきは罰せず』の精神で見逃すほかなかった。

    「分かったよ、勘違いして悪かった」

    渋々腕を離す。

    「いえ、こちらこそ勘違いさせてしまってすみません。……どうです、ドクター? ここは一つ、和解の印に一本」

    差し出される三本のキャンディ。
    ドクターはそれらの中から、赤い包み紙の物を選んだ。

    「じゃあ、これで」

    「…………」

    「リー?」

    名を呼んで首を傾げると、彼は「ああ、はいはい。これですね?」とドクターにキャンディを手渡した。

    「自分から言い出しておいてなんですが……、ドクターもこういうの食べるんですねぇ」

    意外そうな呟き。
    「なるほど、そう思われる事もあるのか」とキャンディを受け取りつつ、「まあね」と言葉を返す。

    「頭を働かせるのに糖分は必要だ。だが、糖源ばかり齧っていては、医療部の皆に怒られてしまうからね。だから、ほら」

    フェイスガードを少しずらして口元を見せる。
    口内で転がしていた飴玉を、棒を摘んで外へ。
    先程から舐めていた自分のスティックキャンディは、奇しくも彼の瞳のような色をしていた。

    「ね?」

    茶目っ気を込めて笑ったつもりではあったが、彼は何故か口の端を不自然に引き攣らせていた。

    「…………あの、ドクター」

    「なんだい?」

    「それ、他の奴の前ではやらないでくださいね……」

    「? どうして?」

    その言葉の真意は一切分からなかったが、彼が理由を口にしてくれる事はなく、適当にはぐらかされてその場は別れてしまった。

    ──────

    「……あ、もしかして行儀が悪かったのだろうか」

    数分後。
    ドクターはそのような結論を導き出した。
    結論の言葉は誰にも聞かれず、一人だけの執務室に溶けていく。
    「次に会ったら一応謝っておこう」と脳内のタスクにそれを放り込み、また次の書類へ目を通したのだった。

    ──────

    更に数時間後の、とある探偵事務所の中。
    己のテリトリーで腰を落ち着けたリーは、ようやく咥えていた煙草に火を付けた。
    白煙を吐き出す。煙の向こうには、かの姿。

    常に黒いフェイスガードの奥に隠されていた顔は口元しか見えなかったものの、その肌が白い事はすぐに分かった。
    輪郭だけで男女の区別は付かず、それでも整っている事は見て取れる。
    薄い唇に挟まれた細い棒。
    自分よりふた周りほど小さな手が、棒を摘んで口外へ飴玉を引きずり出す。
    金色の飴玉は濡れていて、微かに唇との間に銀糸の橋がかかっていた。
    唇が描く弧は、まるで月のようで──

    「いやいやいやいや」

    白煙と共に回想を振り払う。
    頭を抱えてため息をひとつ。

    ──どう考えても、ドクターに他意はない。
    「スティックキャンディを食べるのが意外だ」と思われたので、「別にそんな事はない」と示しただけの行為。
    いっそ無邪気ですらあるはずのその行為は、どうしても自分にはそれだけに思えず、「他の奴の前ではやらないでほしい」とまで言ってしまった。

    「……本当、恐ろしい人ですよ」

    再び白煙を吐く。
    己の思考を煙に巻く。

    事務所の窓から見える月は、甘美な三日月であった。
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    はるち

    DOODLEロドスでダンスパーティーが開かれるのは公式というのが良いですね
    shall we dance「あなたには、ダンスはどのような行為に見えるかしら?手を相手の首元に添えて、視線を交わせば、無意識下の反応で、人の本心が現れるわ」

    踊ろうか、と差し出された手と、差し出した当人の顔を、リーは交互に見た。
    「ダンスパーティーの練習ですか?」
    「そんなところだよ」
    ロドスでは時折ダンスパーティーが開催されている。リーも参加したことがあり、あのアビサルハンター達も参加していることに少なからず驚かされた。聞けば彼女たちの隊長、グレイディーアは必ずあの催しに参加するのだという。ダンスが好きなんだよ、と耳打ちしてくれたのは通りがかりのオペレーターだ。ダンスパーティーでなくとも、例えばバーで独り、グラスを傾けているときであっても、彼女はダンスの誘いであれば断らずに受けるのだという。あれだけの高嶺の花、孤高の人を誘うのは、さぞかし勇気のいることだろう――と思っていたリーは、けれどもホールの中央で、緊張した様子のオペレーターの手を取ってリードするグレイディーアを見て考えを改めた。もし落花の情を解する流水があるのならば、奔流と潮汐に漂う花弁はあのように舞い踊るのだろう。グレイディーアからすれば、大抵の人間のダンスは彼女に及ばないはずだ。しかしそれを全く感じさせることのない、正しく完璧なエスコートだった。成程、そうであれば、高嶺の花を掴もうと断崖に身を乗り出す人間がいてもおかしくない。
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