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    Mogmogsmaka

    ハマったものを軽率に書いていきたいです。現在は真Vのフィン主メイン。

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    Mogmogsmaka

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    一周年おめでとうございます。
    本編ではどうあがいても共に在ることが出来ない運命のフィン主を、どうにか幸せにしたいと妄想したifの産物です。
    ※捏造過多、真√のちょっとしたネタバレを含みます。
    完全に雰囲気小説なのであまり深く考えずお読みいただけると有り難いです。

    #フィン主
    finMaster

    それぞれの目指す世界のために袂を分かつ事となった嘗ての友人達を下し、一つの可能性を告げるジョカの言葉を受け、少年は更に強く創世の意志を固めた。
    王座を越えた先、天と地の果てる場所に待つ事象の蛇を下せば、揺るがない創世が成せる。それが、本当に最後の戦い。
    少年に語りかけた蛇の言葉はフィンには聞こえなかったが、それでも今まで以上の強い意志を感じ取り、本当の旅の終焉を予感していた。
    少年が目指す創世。神と悪魔の存在しない人の真なる世界。その創世を行えば、神である少年と悪魔であるフィンが会い見え、言葉を交わす機会はこの先二度と訪れない。
    「…王よ」
    静かに門を見据える、自らの忠誠を捧げた王である少年にフィンは声をかけた。少年が視線を外し彼を見れば、その翡翠の瞳の奥に迸る熱を感じた。何かを伝えようとしている。少年は唯一彼にだけ向ける朗らかな笑みを浮かべて呼びかけに答えた。
    「少しだけ、時間を俺に下さいませんか?」
    こうしている間にも東京が消滅の一途を辿っている事は重々に理解していた。それでも後束の間で、愛しい王と永遠の別れを迎えてしまうという事実がフィンの胸に重くのし掛かり、体が張り裂けてしまいそうだった。
    …只の主従であったならどれだけ心が救われたろうか。
    モトアサクサの丘で剣を交え永世の忠誠を誓い、共にダァトを旅する内に主従を越えた想いを互いに抱くようになっていった。目を合わせれば頬を染めて背け、手が触れると慌てて謝る、そんな初々しい恋心を互いに抱く二人の関係はフィンの告白から昇華した。
    『忘れもしない、綺麗な告白だったなぁ』
    今のフィンの瞳はその時と似ている。
    妖精の集落にある花畑の中で、少年の手を取り跪いた彼は正しくお伽噺の王子様で、切れ長の美しい翡翠の瞳に真っ直ぐ少年を映し、形の良い唇を開き官能的ですらある声色で想いを告げた。
    その声が、言葉が、耳を貫いた時は夢かと思い固まってしまったものだ。うんとも言わない少年に不安になったフィンが取った手を離そうとして、そこで慌てて漸く返事をした。緊張のあまり裏返った声で答えられた告白への是の言葉に、フィンが瞳を瞬かせて頬を染めたのも覚えている。
    恋人となってからは色んな体験をした。手を繋いで歩いたり、頬を撫でられたり、口付けと愛の言葉を贈り合って、肌を重ねて温もりを得た。
    「フィン」
    きっと、一生に一度の、最後の愛。
    二人を静かに見守っていたアミターバに声をかける。彼は表情一つ変えることなくこの場を離れることを了承してくれた。他のナホビノが倒れ、座に就けるナホビノは少年だけであるからだろう。一言礼を述べると、主従は互いの手を取って龍脈に向かった。


    飛んだのは二人の思い出の場でもある妖精の集落だった。
    至高天での出来事など露ほども知らない妖精達は現れた二人に変わらぬ挨拶をかけた。合一化を解き人の姿となる。アオガミは何も語らず、ただ二人に「待っている」とだけ伝えた。
    手を繋いだまま、二人は歩む。フィンと共に歩く内に花畑を越えて、森を抜け、程なくしてぽつんと佇む廃墟に辿り着く。純白の外壁であったろうそれは所々ひび割れ蔦が蔓延っていたが、悪魔が跋扈する土地にある建物と比べれば形を保っている。少し焼けた朱色の屋根の天辺にはくすんだ十字架が掲げられていた。フィンは迷い無く壊れた木造の扉を潜る。
    中に入れば割れた天井から満月の光が降り注いでいた。身廊には朽ちた緋色のベルベッドのカーペットが敷かれ、祭壇まで伸びている。本来なら左右に均一に並べられていたであろうチャペルチェアは乱雑に、一部は破壊され放られていた。それでも厳かな雰囲気を纏っているのは、祭壇奥にある主神の描かれた鮮やかなステンドグラスと訪れた二人のお陰なのだろう。
    「俺がまだ一人旅をしていた時に見かけていたんだ。まだ無事で良かった…お前さんと、必ず訪れようと誓っていたから」
    細やかな細工の施された十字架が掲げられている祭壇の前で脚を止め、二人きりの時にだけ聞かせる口調でフィンが言った。
    「お前さん」
    祭壇の前で、向かい合って見つめ合う。二人して緊張に速い呼吸を漏らしながら、それでも視線を外すことはない。フィンは手を離すと腰に下げたツル革の袋から狩りに使う小さなナイフを取り出し、自身のマントをたくり寄せるとそれを引き裂き始めた。紅緋色と桔梗色の混じるリボンとなったマントを手に、少年の前で跪き左手を両手でそっと掬い取った。
    「どうか俺に、永世の愛を誓わせて欲しい。愛している」
    静かな教会のホールに、フィンの凜とした声色だけが響いた。漏れる月明かりに照らされた彼は正に美しい王子様で、少年は契りを願う告白の嬉しさに熱い吐息を零し掬い取られた手を握った。震える唇を開いて答える。
    「…はい。俺も、フィンに永世の愛を誓うよ。愛してる」
    少年の歓喜に震えた、けれど通る声で告げられた答えを聞いたフィンは頬を染めて微笑むと立ち上がり細い体を抱きしめた。
    「愛しているよ、ずっと。例え離れても心はお前さんと共に」
    「フィン…俺も、愛してる。心はずっとお前と一緒に居るから」
    本当は離れたくない、と言い掛けた言葉を少年は寸前で飲み込んだ。彼のためにも、東京を救うためにも、創世を成さねばならない。ここで逃げ出してしまえば自分を信じてくれた彼の忠誠を裏切ると分かっているから、その選択肢は選ぶことはない。
    フィンが少年の肩を掴みゆっくりと引き離すと、どちらともなく唇を近付けていく。
    ステンドグラスに描かれた主神が静かに見守る教会の中で、少年とフィンは誓いの口付けを交わした。
    「これは俺の国の習わしだが」
    口付けを終え、フィンは少年の左手と自身の左手を重ねると器用に右手を使い、先程作ったリボンを繋いだ手に纏わせていく。
    「契りの証だ。俺のマントで悪いが」
    「ううん、フィンのマントがいい。鮮やかで綺麗だから」
    二人の薄い肌の色に鮮やかな二色は良く映えた。片手で結ぼうと苦戦しているのを少年の右手が助ける。二人で蝶々結びをし終え、微笑み合う。
    「そうだ、俺も」
    少年は制服の胸ポケットからいつも愛読している万葉集を取り出した。頁を破るとフィンに手伝ってもらい、二人の手で二つの指輪を作り上げる。
    「左手の薬指は心臓に繋がっているんだって」
    重ねた左手、薬指を少し浮かせて互いの指に指輪を填める。
    フィンのリボンと少年の指輪が揃って二人の手を飾る。愛おしそうに眺めて少年は呟いた。
    「…絶対に、忘れないよ」
    「ああ、絶対に」
    もう一度強く手を結び合って、口付けを交わした。


    王座の前に戻ってきた主従は強い意志を宿した眼差しをしていた。そうして門を潜り天と地の果てる場所に向かい、創世を確固たるものにするための事象である蛇との最後の戦いへ赴いた。戦う二人の左手には揃いの指輪が着けられ、手首には揃いのリボンが結ってある。それを揺らしながら一進一退の攻防を続け、深い傷を負いながらも蛇の首を狙う。荒神螺旋斬を放ち、タルカジャで強化したフィンがマク・ア・ルインで貫く。
    後少し。
    後少しで最後の戦いが終わる。
    後少しで、二人は離別の時を迎える。
    けれど後悔も躊躇いも無い。全ては、滅び逝く世界を救う為に。
    「決めるぞフィン!!」
    満身創痍であった。お互いに後一撃でも喰らえば死んでしまう。じんわりとダメージの色を浮かべる蛇の隙を突き、もう一度蓄えた禍つ霊を解放する。黄金の闘気を纏い少年は再び渦巻く巨大な剣を作り上げる。
    「承知!!」
    フィンも自身の血と禍つ霊が滲む知恵の親指に口付けた。刀身を撫で再び剣を光の槍へと変え、ブーツで床を蹴り飛び上がる。
    蛇が動くよりも早く、主従の剣と槍が、蛇の体を一息に貫いた。
    《でかしたぞ…我らの子等よ…》
    満足そうに語る蛇の姿が消える。少年が、その知恵を喰らう。
    「…フィン」
    「お前さん…」
    新たな創世が始まる。天と地が逆さになり、宇宙に落ちていく。二人手を繋ぎ、落ちる速さに身を任せる。光が強くなった後、気付けば王座に座していた。
    ナホビノの意識下で分離したアオガミと少年は最後の言葉を交わした。
    「君には、大切な者が居るだろう?」
    優しく笑むアオガミが示す王座の下。見慣れた金の髪と少し破けた緋紅色のマントを靡かせる愛しい彼の姿が見える。翡翠の瞳で真っ直ぐに、愛し気に自分を見つめている。左手には、揃いの指輪とリボンがある。
    「フィン…愛してるよ。ずっと、ずっと…」
    もう言葉も届かないだろう。それでも愛を囁かずにはいられなかった。小さな愛の囁きをし、彼への愛しさを味わうように瞼を閉じる。
    「俺の望む世界は…」
    意を決し瞼を開けると、真珠色であった瞳が黄金に輝いた。



    「…此処は?」
    フィンはぐるりと辺りを見渡した。先程まで王座に居た筈だった。けれど周りの景色が一変している。
    辺りには高い建物があって、所々に打ち捨てられていた鉄の塊が走り、居なくなった筈の沢山の人々が行き交っている。以前助けた生徒の様な服装をした人々はフィンに気付かない様で、此方に視線をやることは無く足早に道を通り抜けていく。
    見上げればダアトの赤黒い空は無く、鮮やかな真っ青な空がある。浮かんでいるのも月でなく、煌々と照る太陽。
    「そうか、創世が」
    愛する少年により創世された世界だと察した。旅をしてきたダアトとは違う、新たなる王が創世し守護する世界だ。しかし、
    「…どうして俺は此処に居る?」
    彼は様々な思想に触れ、長い旅をして【神も悪魔も存在しない、人の真なる世界】を決意し創世した。悪魔である自分の存在も消えている筈であるのに、フィンは今東京の地を踏み立っている。ふとビルの大きな窓ガラスを見れば、其処に装束を纏った自分の姿が映った。
    その左手に、愛しい少年と作った指輪とリボンが飾られている。指輪とリボンから微かながら少年の禍つ霊を感じた。
    「…行かなければ」
    何処かへ導こうとする禍つ霊の燻る熱がフィンを動かした。揃いのそれを通じて少年が自分を呼んでいるような気がしたのだ。
    ダアトで辿った道を左手の熱に従い進む。進む度に熱が増し、呼ばれている感覚が強くなる。
    もしかすれば人と悪魔の境界を越えて契りを交わし、二人だけが持つ唯一無二の契りの証であるこれが、自分の存在を消し、別つ筈であった彼との繋がりを生んでいるのかもしれない…と奇跡を信じてフィンは歩みを進めた。
    ダアトで見た景色と似通った場所を通る。
    朱色の門を横目に進み
    銀座の荘厳な建物を横切り
    御楯橋と思わしき橋を通り
    人が集まる箱のような建物に着いた頃には、フィンの信じた奇跡は確信へと変わった。
    「お前さん、今、行く」
    建物の中から愛しい少年の禍つ霊をはっきりと感じられた。耳馴染みの良い声色で自分の名を呼ぶのが聴こえる。
    早く行かなければ。
    行って、彼を抱きしめて、沢山の愛を告げなければ。
    フィンは品川駅の構内に脚を踏み入れた。


    構内の通路沿いにある椅子に座る少年の目の前には、人であった頃と変わらない景色が広がっている。
    正常に巡る世界。
    ユヅルとミヤズが楽しげに話し、サホリが憂い気に視線を落とし、イチロウが足早に駆け、友人に囲まれたタオが可愛らしい笑みを浮かべ、そして人である自分が万葉集を手に歩いていく。
    創世は成された。自分は世界を司る事象として存在している。神も悪魔も居ない、人だけの…人の為の世界。
    マンダラの法則から脱却したこの世界を守り観測することが、事象の神となった少年の使命。
    ふと左手を大切に抱きしめる。その手には、前の世界で契りを結び別れた彼と揃いの指輪とリボンがあった。喩え一人であっても彼への想いだけは褪せることなくずっと胸の内にあり、左手から微かながら彼の禍つ霊を感じることができるのが、ひとりぼっちの神である少年の救いだった。
    「フィン…」
    時折彼の名を呼ぶのが癖になった。いつしか返事が聴こえてくるのではないかと有りもしない幻想を抱いてしまうのが、今更未練がましいと分かっていながらも。
    この声を聴く彼はもう居ないのに。
    「お前さん」
    「…?」
    凜とした、爽やかでどこか官能的な、少年の好きな声色が耳を貫いた。左手が熱くなっていく。彼の禍つ霊の匂いが濃くなっていく。思わず行き交う人々の黒い頭の中に愛しい金髪を探してしまった。そこで我に返る。居る筈がない。彼とはもう逢うことは叶わないのだ…と少しだけ寂しく笑って視線を落とせば、見慣れた鹿革を鞣したブーツの爪先が写り込んでくる。
    「お前さん」
    また名を呼ばれる。彼の匂いがする。左手が、揃いの指輪とリボンで彩った親指が赤く特徴的なタトゥを施された、自分よりも大きな手に掬い取られる。愛しい手。その手を追って顔を上げれば、見間違えること等無い、愛しいフィンの姿があった。
    「フィン…?」
    創世後、正常に巡る始まりの日を迎えるまでの間、気が遠くなるほどの年月を一人で過ごしていた。故に目の前の彼は自分の妄想が生み出した幻ではないだろうかと少年は戸惑いがちに彼の名を呼んだ。繋がれた左手が燃えるように熱い。
    フィンは名を呼ばれると微笑み麗しい唇を開く。
    「ああ、そうだよ…お前さん…逢いたかった…!」
    破けたマントを翻し、跪くと少年を強く抱きしめた。柔らかく温かく、彼の花のように良い香りが鼻を擽った。全ての感覚を少年へと向けて彼が確かに腕の中に居るのだと確かめる。
    「フィン…ッフィン!」
    逞しい腕に抱かれ、恐る恐る手を伸ばせば彼に触れることができた。たまらず背中に腕を回して強く抱きつく。少し堅い感触と温かさ、特有の青い香りが鼻を満たす。肩口に顔を擦り寄せれば久しい布の感触がした。
    構内を急ぐ人々の流れの中で、二人だけが隔離されている。
    フィンは少し身を離すと、左手で少年の顎を掬い取った。少しだけ上を向かされ、フィンの翡翠の瞳と少年の黄金の瞳が交わる。それからそっと瞼を閉じて、長い睫を震わせながら柔らかな唇を重ねた。
    ちゅ、と可愛らしい音を立てながら空いていた時を埋めるように何度も口付けた。
    「…ねぇ、どうして此処に?」
    二度と逢えないと思っていたフィンとの再会はとても嬉しかったが、確かに創世は成された。その問いかけにフィンは顎を捕らえていた左手を離すと、そっと翳してみせる。
    「これが俺をお前さんの所まで導いてくれたんだ」
    「あ…」
    万葉集で手作りした指輪と、マントで作ったリボンがある。少年も左手を持ち上げ、フィンの手と合わせて指を絡ませた。
    「俺も、いつもこれからフィンを感じてた」
    世界に二人しか持たない契りの証。まだほんのりと熱を持っている。互いを想う心が熱く燃え上がる。
    フィンは少年の左手を引き寄せると、甲に口付けを落とした。
    「もう一度誓わせてくれ…お前さんを二度と一人にしたりしない…愛しているよ。永世に俺と添い遂げてくれるか?」
    「俺も、愛してる…ずっとずっと、永世にフィンと一緒だよ」
    駅の構内。誰も気付かない二人だけの世界で、フィンと少年は微笑み合い、幸せな口付けを交わして新たなる世界でも変わらぬ永世の愛を誓った。



    4月26日。
    下校前のホームルームが始まり、少年は物憂い気に手元のタブレットを叩いていた。
    「登録をしていない者は早めに登録するように…ああ、それから転校生を紹介する。明日から通う予定だが今し方手続きを終えて、そのまま挨拶に来てくれたんだ」
    担任からの突然の言葉に生徒達はざわついた。新学期であるから転校生が来ることは珍しくないが海外、となれば話は別だ。
    縄印学園の歴史ある木造校舎。その教室の古びた木造の扉がからりと音を立てて開く。
    「…!」
    現れたのは長い金髪を三つ編みにした、翡翠の瞳を持つ顔立ちの綺麗な男子生徒だった。
    「では挨拶を」
    「フィン・マックールです。アイルランドから来ました、宜しくお願いします」
    凜と響く清らかで官能的である声色。人好きの良い笑みを浮かべると彼…フィンは丁寧にお辞儀をした。途端に、女子生徒達が色めき立ち、男子生徒達は興味深げな視線を送った。
    少年は瞳を瞬かせて彼を見つめていた。出会ったことのない、初対面の彼の事を何故か知っている気がした。
    「席は…あいつの隣が空いてるな。違う国から来て大変だろうから、隣席のよしみで気にかけてやってくれ」
    教師が示したのは少年の右隣だった。普段ならば教師のその言葉を無視してしまう所だが、どうにも彼が気になって仕方がなかった。
    「ホームルーム続けるぞ」という言葉と共に、フィンが此方に歩いてくる。間近で見ればその美形に加え、制服に包まれた体も鍛えてあることが分かった。
    フィンは席に着くと、少年をちらりと見る。
    「これから宜しくな…ん?お前さん、何処かで逢ったか?」
    「初めまして、の筈なんだけどな。俺もお前と、何処かで逢った気がするんだ」
    互いに不思議な違和感を覚えていた。初対面とは思えない親近感を通り越えた慕情だ。淡い一目惚れとは違う、遙か昔から恋人同士であったかのような。
    「なあ、ちょっといいかな」
    教師の話を聞き流して、少年はフィンに右手を伸ばした。それを見て、フィンも少年に左手を伸ばし、互いの机の間で結ばれる。唐突に、それも初めて触れたのにそこがとても馴染み、熱を持ち、愛しいという気持ちが膨らんでいく。
    「…何、だろうな?」
    「そうだな…でも、嫌じゃない」
    戯れに指を絡めて見つめ合えば、今にも愛を口にしそうだった。それを互いに寸でで留め、絡めていた指を解く。
    「お前さんとは仲良くなれる気がするよ」
    「ああ、俺も。改めて宜しくな、フィン」
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    おんじゃ@ojachanco

    DONEどうも初投稿&初執筆でございます。
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    フィンに一目惚れの初恋をしてしまった主人公による苛烈で理不尽なドタバタハートフルラブコメ少女漫画風フィン主です。

    ※主人公の名前は「青空ツグミ」元ネタは漫画「あそびあそばせ」のあの子。
    ※ネタバレ、捏造、シナリオ改変、キャラ崩壊、稚拙な文面等々様々な問題がございますがそれでも宜しければお願いします。
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     散々他人から言われてきたが自覚はしている、それはダアトに飛ばされナホビノとして戦っている今でも変わらない。
     ーただ、成り行きで此処まで来た
     どんな苦境や鬼門だってその一言ですべて乗り越えて、くぐり抜けてきた。最初は恐れていた悪魔も逆に自分に恐怖を覚えるようになる程だ
     ー今日もやり過ごせるだろう、そう思っていたのに…

       あの瞳の、あの輝きを見た瞬間。

     芽生えた知らない感情に、心の臓を揺さぶられー



    樹島を攫ったラフムを追うためダアト品川区を進み続ける僕と磯野上はアオガミが探知した気配を便りにコウナン四丁目方面へ向かうべく御楯橋を渡っていた、この辺りに悪魔はいない事を確認し、彼女と慎重に歩を進めていた。
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