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    Mogmogsmaka

    ハマったものを軽率に書いていきたいです。現在は真Vのフィン主メイン。

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    Mogmogsmaka

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    1月14日に開催されたWEBイベント『はじめての仲魔召喚!』様にて展示させていただいていた小説を加筆、修正しました。
    牡鹿フィンと主ちゃんの出会いのお話です。
    ※フィンの獣化(牡鹿)注意

    #フィン主
    finMaster
    #獣化
    animalisation

    一頭と一人《少年!》
    アオガミさんが俺に危険が迫っていることを伝える。背後から素速く迫る気配に、咄嗟にナホビノソードを出現させて防御の構えを取った。がちん、と俺のソードと敵の刃がぶつかり合い火花が散る。その光に眩みながらもどうにか目を凝らして襲撃してきた敵を見る…と、其処にいたのは大剣を器用に口に銜えた金の鬣と立派な角を持つ一頭の牡鹿だった。
    「鹿…!?」
    「グググ…」
    牡鹿は澄んだ緑玉の瞳に怒りを滲ませながら俺を睨んでいる。
    《少年、一度距離を取るべきだ!》
    このまま押し切られてしまいそうだと判断したアオガミさんの提案通りに俺はソードを振り、牡鹿を払った。彼は長い脚で軽やかに後方へ跳ねると華麗に着地し、威嚇するかのように右の前脚で地面を踏みつけていた。
    離れて見ると牡鹿も普通の動物ではなく悪魔であることがよく分かる出で立ちをしている。
    まず輝く緑玉の双眸。人の髪のように生えた長い金の鬣を緩く三つ編みにして金管で留めており、良い体躯には紋様の入った緋紅色のマントを纏っている。腰には銜えている剣を収めるための鞘が提げられていて、鼻筋が通り整った顔と逞しい脚には特徴的な緑色のタトゥーが施されていた。
    どう見ても普通の牡鹿ではない出で立ち。
    嘗て神だったものが貶められて悪魔になるのだとすれば、この牡鹿も何かの神話の神だろう。
    「フィーッ!!」
    ダンダンと地面を踏み鳴らし、牡鹿は俺を睨んだまま咆哮した。
    《フィン・マックール…成る程、我らの力を試すつもりらしい…来るぞ!》
    「了解!」
    フィン・マックール。前に小説を読んだことがある。ケルト神話に出てくる黄金の騎士団長の名だ。物語では人間だったけど、鹿と妖精に纏わる話が多い英雄であったから牡鹿の姿になったのだろうか。
    ともあれ敵対するなら倒さなくてはならない。
    俺は改めてナホビノソードを構えた。



    流石は神話の英雄。とても強かった。俺も仲魔達も満身創痍で戦った。後一撃でも彼のマク・ア・ルインを受けていたらやられていただろう。その寸前でタオが止めに入ってくれて助かった…実に情けない事だけど。
    彼女の声に、牡鹿…フィンは構えを解くと銜えていた大剣を器用に鞘に仕舞い歩み寄ってきた。
    「フィー。フィーン」
    「…うーん…」
    緋紅色のマントを風に靡かせながら彼が何かを話す。が、俺にはただの鹿の鳴き声にしか聞こえない。
    《私には言葉が理解できるが、少年には分からないのだな。聴覚の機能を一部拡張する、少し待ってくれ》
    そういえば襲撃された時からアオガミさんはフィンの言葉を理解していたっぽいもんな。しかし悪魔とはいえ動物の言葉を翻訳できるなんて、ベテル日本支部の技術は素晴らしい。まあこれを何に使うつもりなのかは全然わかんないけど。暫くすると耳がほんのりと熱くなった。
    【…突然襲いかかってすまない。が、悪魔であるお前さんが人を連れていたからな。他の悪魔のようにまた連れ去ろうとしているのかと思ったんだ】
    「おお」
    本当に人の言葉が聞こえる。道中出会ったオニが言っていた“悪魔狩りの悪魔”というのはフィンの事だったんだな。
    「っと、タオは分かるのか?」
    俺はアオガミさんのお陰で彼の言葉が理解できているが、彼女はどうなのだろうと尋ねれば一つ頷いて見せた。
    「うん。元々はフィンさんも神様だし、それに鹿は神様の遣いとも言われているから」
    流石は聖女様。心配はいらなかった。
    そのままフィンに生徒達を知らないか尋ねれば、彼が助けて妖精の集落、という場所に匿ってもらっているのだと教えてくれた。そしてこのダアトが樹島を連れ去った邪神ラフムの支配下にあり危険であるとも。
    ともあれ彼から得た情報…妖精の集落にもしかすれば太宰を庇い連れ去られたミヤズもいるのかもしれない。樹島の捜索も勿論だが、タオとアオガミさんと話し合い先ずはそこへ向かう事に決めた。
    【お前さん】
    情報を教えてくれたフィンに礼を告げて去ろうとしたが呼び止められた。振り返ると彼が俺の手元に口を寄せて、口内に含んでいたのであろう水を流してくる。丁度そこには先ほどの戦いで作ってしまった傷があったが、彼の水に触れた傷がみるみる内に癒えていった。これは、フィン・マックールの伝説の一つである知恵の鮭の力による癒しの水なのだろうか。
    【さっきはすまなかった。お前さんとは、いずれ何処かで逢う気がするぜ…気を付けてな】
    俺の傷が癒えるのを見届けたフィンは、そうとだけ言うと目を細めて優しく微笑みマントを靡かせながらしなやかな脚で駆け颯爽と去っていった。
    「フィン、か」
    俺も不思議と彼とは何かで繋がった様な気がしてならなかった。思い返せば、この時から俺は彼に惹かれていたんだろうな。強く、自信があってそれでいて優しい。正に英雄と呼ぶに相応しい悪魔だ。



    ニホンバシで再会した彼に妖精の集落の悪魔達を助けてやってほしいと言われ、集落とその周辺に住まう悪魔達から様々な依頼を受け、全て解決した。そうして至高天への扉が眠っている台東区のダアト、雪の降り積もったモトアサクサの奥まった場所にある高い丘で俺はまた彼に出逢った。
    美しい緑玉の双眸に強い決意を宿した彼は、静かに語った。
    彼は自らが忠誠を誓うべき王を探して旅をしていた。たった一頭で様々なダアトを渡り歩き、様々な悪魔や人と出逢う中で俺と出会い、俺の中に王の可能性を感じたと。
    【後は……お前さんの強さが俺を越えていること、それだけだ】
    彼は優雅な仕草で剣を抜いた。雪が降る静かな丘に鞘と刀身が擦れる、すらり、という音が響く。
    【さあ、行くぞ!】
    仲魔達を召還し、俺もナホビノソードを構える。そうだ、俺だって今まで必死に戦い抜いてきた。
    だからここで、お前を納得させて俺の騎士として迎え入れるんだ!

    ミタテバシで戦ったときよりも激しい剣戟と魔法の応酬。白く積もっていた雪は踏み荒らされてすっかり泥まみれだし、所々には血も散っている。
    お互い手加減なしの、文字通り全力。
    澄んだ緑玉に赤い眼光が滲むのはオーロラみたいで綺麗だ。光るマク・ア・ルインが靡く髪を貫く。寸での所で躱して、咄嗟に彼の弱点属性である轟雷を放つ。
    「フィー!!」
    フィンが地を蹴り吼える。至近距離で放ったのに彼にかすり傷しか負わせられなかった。剣を銜え直すと次いでアギバリオンを放ってくる。特大威力の火属性魔法だ…初めて逢ったときは本当に手加減をしていたんだな。
    金の鬣を靡かせマントを翻し戦う姿は本当に格好良い。
    もう一度構えて轟雷を放つ。あまり魔力を強化していない俺の魔法でも掠めたと言うことは、彼の体力も減りつつある。その読みは当たっていたようで、剣を奮い着地した彼はぬかるんだ地面に脚を取られて少しだけ体制を崩した。今度こそ逃さずに轟雷を放つ。
    その雷は見事に彼を貫いた。
    【…ははっ!やっぱりな!最高だよ、お前さんは!】
    打ち負かされたというのに彼は嬉しそうに言った。短い尻尾を高く上げてふりふりと振っているのが可愛らしい。剣を収め乱れた首を振るって鬣を整え塵を払うと騎士らしく姿勢を正す。
    【いや、お前さんなんて呼び方は失礼だな。これからは王と呼ばせて貰おう。…俺の旅は漸く終わりを迎えるんだ】
    感慨深げに言うとまた優雅な動作で彼は剣を抜いた。刀身が月の光を反射してきらりと煌めく。
    【このフィン・マックール…永世の忠誠をあなたに誓おう!】
    凛々しく構えを取った彼は俺の力を認め、俺の騎士として仲魔になった。それが俺と牡鹿の姿をした悪魔、フィンが主従となるまでの話。



    「フィン」
    「フィー」
    それからすっかり彼を気に入ってしまって、最近では彼だけをストックに残し寮へと連れ帰ってしまうほどだった。合一化していないヒトの状態では彼の言葉を聞き取ることは出来ないが、それでもある程度の理解は出来るようになった。フローリングに敷かれている簡素なラグマットの上をとことこと歩いて俺の後ろをついてくると、同じように腰を降ろす。サフランで染められた緋紅色のマントがふんわりと揺れて広がる様すら格好良い。
    「撫でても良い?」
    「フィイ」
    尋ねれば彼は一つ鳴いて許可を出してくれた。幾ら牡鹿の姿だからといっても不躾に他人に触れるのはマナー違反だから、許可を貰ってから触れるようにしている。
    大きな耳を立てて俺の声を聞いている彼の顎の下を掻けば、気持ちよさそうに目を細める。
    「フィーン…フィー」
    撫でる手を舐められる。擽ったくて頬が緩んでしまう。宝石の緑玉に俺を写しているのが好きだ。悪魔とはいえ、見た目が牡鹿である彼に過ぎた想いを抱いているのだと分かっていても止められない。
    腕を伸ばして長い首を抱きしめる。ふわふわな毛の感触とムスクに似た官能的な香りがする。フィンの匂いも好きだな。
    「…フィー」
    優しく鳴く声が心地良い。
    人であれば良かったのに、とは思わなかった。姿が違っても、俺はきっとフィンに惹かれて恋をしていたろうから。


    ダアトに居る時は常に敵対している悪魔との戦いに身を晒しているから、彼も俺と対峙した時以上に凛々しく勇ましい姿を見せる。正に英雄、騎士と呼ぶに相応しい戦いぶりだ。
    【貫くッ!!】
    ピクシーのザンバリオンを受けて傾いたヘカトンケイルの巨体を、フィンがマク・ア・ルインで貫いた。けたたましい断末魔を上げながら禍つ霊と化すのを見届ける間も無く、逞しい脚で踏み荒らされた地を蹴ると身を翻しもう一体の敵、スイキへ向けて駆け出した。大剣を高く掲げて魔力を高めている間に、俺もラスタキャンディを唱えてパーティの強化を行う。
    複数の敵に対しても素早い立ち回りが行えるのも今までの経験の積み重ねなのだろう。三つ編みの金の鬣と緋紅色のマントを翻し戦う姿は華麗だとしか言えない。鋭い視線はブレることなく鋭く敵を捉えている。スイキの弱点属性である炎がフィンの周りを舞った。
    【アギバリオン!】
    灼熱の業火が放たれる。棍棒を振りかざし氷龍撃を放とうとしたスイキの体を炎が包み込むとあっという間にその体を焼き尽くし、膝を着いて崩れ落ちていった。
    「やれやれ…」
    【やりましたね】
    「もうー、髪ぐちゃぐちゃだよー」
    対峙していた悪魔達の禍つ霊の赤い光が舞うのを見ながら、ナホビノソードを仕舞った。ピクシーも乱れた髪を整え、フィンも銜えていた剣を鞘に収めると体を震い前脚を舐めて付いてしまった塵を落としている。
    「…フィン、こっちに」
    人型のピクシーと違い舌で繕うには限界がある。少し解れた三つ編みを直してあげようと彼を呼び寄せた。先程まであんなにも勇ましかった彼は俺の言葉に従順にとことこと歩いてくる。
    「鬣、解れてるよ。結び直してあげる」
    【これは、有り難う御座います】
    「あたしも手伝う!」
    大人しく頭を差し出す彼の鬣を纏めている金管を外す。さらりとこぼれ落ちる純金の煌めきに見惚れてしまうが、ピクシーと共に三つ編みに結い直していく。こういった時のために動画とか見て練習してて良かった。
    そういえば、
    「旅してた間はどうやって結ってたんだ?」
    【集落の妖精達にお願いをしていました】
    鬣を触られながらフィンが答える。そうか、ダアトと化した東京に来てからは彼処を拠点にしていたんだな。集落は中立の場所でもあるし、妖精と繋がりの深い彼らしい。
    綺麗に結い終えた鬣に金管を填める。青白い光を受けながら煌めく。整った頭の、角の間にピクシーが座った。おしまいと告げて耳の後ろを撫でれば、彼はひと鳴きしてみせた。
    【けれど今は仲魔と、貴方が居ますから】
    そう告げる声色と俺を見る瞳が優しくてドキっとした…うーん、格好良い。戦っている時は勿論だが、素でも格好良いから困る。まるで恋愛小説で見る恋する乙女のように頬が熱くなっていくのを感じながらも目が離せずにいると、何かに気付いたフィンがぱたりと耳を跳ねさせ、額に首を伸ばしてきた。もふふわの顎と少し濡れた唇が触れる。
    「な、なにっ?」
    突然の事に慌てて後ずさって触れられた額を押さえた。そんな俺の過剰反応とは逆に、フィンは落ち着いた様子で話す。彼の頭に座っているピクシーもきょとんとしていた…恥ずかしい。
    【失礼、驚かせるつもりは無かったのですが…枯れ葉が御髪に付いていましたので】
    よく見れば口元に一枚の枯れ葉が銜えられている。てっきりキスされたのかと思った…心臓に悪い。勿体ないとその枯れ葉を喰むフィンを見ながらつい先程触れた唇の感触を思い出してしまう。主役に突然触れられる乙女ってのもきっとこんな気持ちなんだろうな。
    『ああ、格好良いな。やっぱり俺はフィンが好きだ』
    これが例えばフィンではない他の人にされたとしても俺の胸は高鳴りはしないのだろう。フィンだから、こんなにも過敏になってしまうんだと改めて自覚した。



    元より森で育ち、此処へ来てからは拠点として利用していたこともあってフィンはよく妖精の集落の森へと脚を運ぶ。ケルピーのお陰で生き生きと茂る美しい緑の上にゆったりと香箱座りをすると大きな耳をぱたぱたと跳ねさせていた。
    「フィン」
    俺の騎士となってくれてから随分と月日が経った。最初は触れて良いか尋ねてから手を伸ばしていた体にも、今は何も言わずとも触れさせてくれる。もふもふふわふわの体毛。顎の下を掻かれるのが好きらしくて、それをすれば目を細めてうっとりするのも可愛い。
    【王】
    首を伸ばして俺を見る。鬣を撫でて、耳の裏を掻いてやれば満足そうに鼻息を吐いた。
    「…」
    フィンが俺の騎士になってくれてとても嬉しい。けれど、重なった月日を経て彼への慕情を募らせ強欲になってしまった俺は密かに主従以上の関係を彼に求めるようになっていた。何度も言うが、フィンは本当に格好良い。外見も性格も。更に言えば声だって格好良い。
    彼が好きで堪らない。種族は関係ないとしても、何故俺は鹿じゃないんだろうって思うほど。
    ただ今の関係が崩れてしまうのが恐ろしい。そうして種族の違いを勝手に足枷にして、この想いを告げられないと自分自身に思い込ませているのも十分解っている。勝手に恋して勝手に脅えていっそ傲慢で浅ましい。
    細く溜息を吐く俺の頬に、フィンが頬を寄せた。
    【大丈夫ですか?】
    「大丈夫…じゃないかな、ちょっと」
    心配をしてくれるその少し戸惑う表情も好きだ。昔奈良公園に修学旅行で行ったときは鹿はどれも同じにしか見えなかったのに、フィンは売れっ子のアイドルですら負けてしまいそうな程格好良く見える。
    けれど彼は俺に騎士としての忠誠を誓ってくれただけで、別に昔の伝記に出るような主従の関係ではないから、こんな想いは迷惑かもしれない。
    もふふわな首に腕を回して抱きしめる。青い草とフィンの纏う独特の甘い香りがする。

    ああ、だめだ…好き。フィンが好きで堪らない。

    もふふわの体毛も、立派な角も、純金で紡がれた鬣も、純度の高い緑玉も、しなやかで力強い体も、少し毛足の長めな尻尾も、官能的な声も、俺に真っ直ぐ向けてくれる忠誠心も、正義感も。本当に大好きなんだ。愛してる。
    「…フィン、愛してるよ…あ!?」
    小さくそう言ってはっとする。夢中なあまり気が緩んでいた…まさか聴かれてない、よな?慌てて体を起こしフィンを見ると、彼は耳をピンと立て大きな瞳を瞬かせて俺を見ていた。
    うわ…その顔も可愛いな…
    【お、王よ、今何と…】
    ずいと顔を寄せて食い気味に尋ねてくる。うっかり告白してしまう展開なんて在り来たりすぎるけど、踏ん切りの着かなかった今の俺には有り難いかもしれない。
    いずれは告げなければならなかった事だ。
    彼の頬を両手で挟んで俺だけを見るようにする。驚きに小さな声で「フィ…」と鳴いていたが構わず進める。
    「お前が好き。愛してる。番になりたいんだ、フィン」
    フィンはもう一度鳴くと、自分の鼻をぺろりと舐めてそわそわと体を揺すり座り直した。視界の隅でふわふわの尻尾が高く上がり揺れている。
    【俺も、あなたを番にしたいと…そんな、従者としてあるまじき想いをずっと抱いていました】
    首をすいと伸ばし、鼻先をぴたりと触れさせてくる。俺を番にしたい、と言うのは彼が牡鹿だからだろう。
    【本当に俺の番になってくださるのですか?】
    「うん。フィンの番になりたい」
    【…王】
    甘い声が俺を呼ぶ。鼻先を擦り合わせ、視線を混じり合わせた後に、どちらともなくそっと口付けを交わした。人の唇と違い薄いフィンの唇とふわふわの毛が擽ったくて、気持ちが良い。今まで抑え込んでいた想いが溢れてくる。好きで愛しくて堪らない。何度も啄む口付けをしてそれを伝える。
    集落のハイピクシーが言っていた。ヒトと妖精は嘗て愛し合うことができたと。
    ならばこれも愛し合う一つの形だろう。
    「永世に一緒だよ、フィン」
    【ああ、勿論だ。我が愛しの王よ】
    緑の茂る美しい集落の片隅で、俺とフィンの関係は変わった。
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    Mogmogsmaka

    MOURNING元ネタは🐜様の曲です。狩猟を行うおフィンと主ちゃんの雰囲気のみな小話。そんなに絡んでません。
    狩猟日誌小さい頃に生きるための術として狩りを教えられていた為、狩猟は得意だった。時折自分よりも体躯の大きな獲物に出会う事もあったがその知識と持ち前の腕で難なく狩る事が出来る。
    ダアトの荒廃した土地を疾駆する牡鹿を草むらに隠れながら追いかける。あれは脚が速いからと拵え携えた弓矢を構え、弦を引きその時を息を殺して待つ。耳元で弦が張るきりきりという音と草が風に揺れる音だけが響いている。顔を上げ辺りを警戒していた鹿が、僅かながらに残った青い草を食べようと首を下げる。その一瞬とも言える無防備な姿を逃さない。
    張りつめていた弦が弾け、空気を裂いて矢が飛んでいく。フィンの手から放たれたその矢は鹿の心臓を一息に貫いた。
    小さな鳴き声を上げて倒れた鹿は、少し藻掻いてそれから動かなくなった。隠れていた草むらから身を起こしたフィンは、新雪の残る土を踏みならして仕留めた獲物に近寄った。鮮血で地を濡らす鹿は確かに絶命しており、腰に下げた皮袋から手入れを施され研ぎ澄まされた狩猟用のナイフを取り出すと鞘を抜き刀身を鹿の喉へと突き立て、先程までその体を巡っていた血を抜く。次いで丸い腹に切り込みを入れて温かな腸を取り出す。手に伝う温かさに命を頂く尊さを感じてフィンは心の内で鹿に感謝を述べる。そうして軽い処理を行った鹿の両の手足を縛り上げ麻袋に放り込むと、肩に担いで王の待つ野営地へと戻ることにした。
    1811

    おんじゃ@ojachanco

    PROGRESS今月中に完成させたかったのに途中までしかかけなかった再開編です。

    来月には仕上げるようにします。m(_ _)m
    路は短し、恋せよ少年 再開編 フィンさぁーーーん!!
     ダアト千代田区。薄暗い曇天の景色に不釣り合いの朗らかな声が自らの名を呼び響き渡った。
     磯野上タオ。霊感がある少女で学生の身でありながらベテルを手伝い“聖女”と呼ばれているらしい。以前品川区で出会いサホリという友人を含め悪魔に攫われた生徒達を救出していた勇敢な娘だ。しかし彼女には悪魔と戦闘出来る力は無く戦力として“ナホビノ”という少年と行動を共にしていた。
     勘違いだが彼が聖女を捕虜として一緒に移動していると見ていた俺は瓦礫に身を潜めタイミングを見極め素早く斬りかかったが彼は手から放出した光の刃でこれを凌いだのである。その後は再び接近して間合いを詰めたら突如の絶叫と同時に俺を突き飛ばし遠くのビルにぶつけられたり、話をしようとしたら何故か逃げ出し追いかけて捕まえたらまた大声で叫んでどういう訳か召喚していた仲魔のキングフロストを持ち上げたまま明後日の方向へ疾走したりとその不可解な行動で散々な目に遭ったが“ナホビノ”としてそれ程の力を持っている事を思い知ったのだ。しかし…
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