猫の嫁入り アジサイの花房を、剪定鋏でぱちりと切り取る。
花弁が傷つかないように丁寧に背負い籠に収めて、ふうと一息ついた。
「暁人ぉ、そっちどうだ」
「結構集まったかも」
少し先で、ひょいとKKが顔を覗かせる。籠を背負った状態で、ずっと腰を屈めて作業をしているので、いててとつらそうに肩や腰を摩っている。
「はぁー、この歳になって中腰の作業は疲れるぜ」
「確かに、しんどいね、これ」
ぐっと体を伸ばして筋肉をほぐす。収穫作業など、小学生の頃に農業体験に参加して以来、ほとんどしたことがない。いくら若くて体力のある暁人といえど、籠をいっぱいにするのはなかなか大変だった。
KKと合流して、籠を下ろす。二人分の籠には、鮮やかなアジサイの花房がいっぱいに収穫されている。
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