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    totorotomoro

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    POIPOI 39

    totorotomoro

    ☆quiet follow

    実は私意味を勘違いしてました…。爛れない舌みたいな意味かと。
    正しくはよく口の回るとかって意味で、日本だと舌先三寸のことらしい。言われてみたら三寸ってどっちも入っていた。
    鯉博です。性別はどちらでもとれるかと。ドクターがややあほの子です。

    #鯉博
    leiBo

    三寸不爛之舌 数日前からリーは熱いものを前にすると手が止まるようになった。心理戦をもって戦うものの一人として、理由が大体読める。
    「リー、最近熱い飲み物を飲めなくなってるのか?」
     私がそう声をかけると彼は瞬きをして自分の湯呑みとお昼に選んだ食事を見下ろした。今日はリーが秘書で、二人揃って食堂のデリバリーを頼んで室内で二人向かい合ったところだった。
    「おっと……バレちまいました?」
    「いつもじゃないけど、食堂でも度々見るからね」
     粥、麺類、汁物。湯気を立てる食事を前にして子どもたちと話をして置いておくことが最近多い。
    「おおっと、そんな熱視線を送ってたんで? 灼けちまいますよ」
     リーははにかむように笑う。まだまだ、きちんと詰めようじゃないか。
    「理由、当ててみようか」
    「どうぞ?」
    「ずばり、口内炎。そうだろ」
     リーは私の言葉にゆっくりと頷いた。
    「そうなんですよ。熱すぎると染みるんです」
    「なるほどねー」
    「ほら、おれの口ってあんまり吹き冷ますの得意じゃあないんですよ。だからこう……揺らして冷ましたりね、してます」
     湯呑みを縁を持って円を描くように遠心力で回して見せるリーに私も頷いた。
    「大変だな。治りが遅いようなら診察してもらう方がいいぞ」
    「そうしますかね。───ところでね、ドクター」
    「うん?」
    「申し訳ないんですけど、それを知ったならこれ冷ますの手伝ってもらえませんかね」
     そう言いながらリーが押し出してきたのはとろみのついたあんかけチャーハンだった。
     口内が傷むのなら冷めやすいものを選べばいいのに、どうしても食べたかったのだろう。空腹に美味しそうな強い香りが鼻をくすぐった。
    「吹き冷ます?」
    「はぁ、お願いしてもいいですかね?」
    「仕方ないなあ」
     私はフェイスシールドを外して匙を取ると、フゥーとゆっくり息を吹きかける。
    「崩しちゃっていいんで」
    「もったいない気もするけど」
    「飲み込みやすいんですよ、とろみがあると」
    「なるほどね」
     私はあいづちを打ちながらゆっくりと掻き混ぜた。
     それをリーは頬杖をついてじっと見ている。
     底に触れて熱さを確かめると、もういいかなとリーの方へ手渡そうとして、リーが口を開けた。
    「え」
    「え? あーんしてくれますよね?」
     なぜだと思ったが、当のリーはにこやかに自分を指さして、ぱくぱくと口を開け閉めしている。
    「……まったく君は、子どもか?」
    「あなたが甘やかしてくれるのなら、おれはいつだって子どもになりますとも」
     リーの微笑みに、私はやれやれと苦笑した。
    「仕方ない、誰も見てないことだし。健康なのにね。今日だけ特別だよ?」
    「───そんなあなたをおれは愛してますよ、ドクター」
     いそいそと横に座ってスリ……と顔を寄せてくるリーに苦笑しながら私は食事を二口三口と食べさせてあげた。


    ■□■

    「リー!」
     翌日、私は真っ赤な顔でリーの部屋に駆け込んだ。
    「おやドクター、どうしました」
    「君……、君、口内炎って嘘だったんだな!」
    「あれっ」
    「ワイフーに聞いたら、昨日君ワイフーの前で葛湯をそのままお湯入れて冷まさず飲んでたって聞いたぞ!? 私に食べさせてもらいたいためだけに偽ったな!?」
     そう、この男。
     私の手ずからの給餌が欲しくて策を練ったらしい。
     ワイフーが私の話を聞いて頭を抱え、「うちの先生がすみません……」とボソリと呟いたのだ。
    「……くそ、フーのやつに口止めするの忘れてた」
    「忘れてたじゃないよ! なんで素直に言わないんだよ?」
    「え、素直に言ったらまたしてくれるんです?」
     しくじった。
     リーは昨日よりもやや邪悪な笑みを浮かべた。
    「言質とりましたからね。またしてくれるって」
    「し、しない」
    「えー。ドクターが違えるんですか」
    「君が先に」
    「おれは最初ほんとに口内炎だったんですよ? 治りかけで、たまたまドクターが声かけてくれたからすこーしだけ甘えただけじゃないですか。ほら、なんならキスしてみましょうか。口内炎の場所を当ててみてくださいよ。ほら、ねえ?」
     リーは私に近寄ると、そっと私の頤を摘み上げてマズルを寄せて舌先を中へ滑り込ませてきた。

     口内炎の有無については……黙秘とさせていただく。

    (おわり)
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    はるち

    DOODLEロドスでダンスパーティーが開かれるのは公式というのが良いですね
    shall we dance「あなたには、ダンスはどのような行為に見えるかしら?手を相手の首元に添えて、視線を交わせば、無意識下の反応で、人の本心が現れるわ」

    踊ろうか、と差し出された手と、差し出した当人の顔を、リーは交互に見た。
    「ダンスパーティーの練習ですか?」
    「そんなところだよ」
    ロドスでは時折ダンスパーティーが開催されている。リーも参加したことがあり、あのアビサルハンター達も参加していることに少なからず驚かされた。聞けば彼女たちの隊長、グレイディーアは必ずあの催しに参加するのだという。ダンスが好きなんだよ、と耳打ちしてくれたのは通りがかりのオペレーターだ。ダンスパーティーでなくとも、例えばバーで独り、グラスを傾けているときであっても、彼女はダンスの誘いであれば断らずに受けるのだという。あれだけの高嶺の花、孤高の人を誘うのは、さぞかし勇気のいることだろう――と思っていたリーは、けれどもホールの中央で、緊張した様子のオペレーターの手を取ってリードするグレイディーアを見て考えを改めた。もし落花の情を解する流水があるのならば、奔流と潮汐に漂う花弁はあのように舞い踊るのだろう。グレイディーアからすれば、大抵の人間のダンスは彼女に及ばないはずだ。しかしそれを全く感じさせることのない、正しく完璧なエスコートだった。成程、そうであれば、高嶺の花を掴もうと断崖に身を乗り出す人間がいてもおかしくない。
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