本能と衝動(レオイデ) その日。植物園のお気に入りの場所で寝入りかけていたレオナの目が僅かに見開かれた。
目の前を長く青い光がよぎった。イデア・シュラウド——本人の意に反して歩くだけでよく目立つ、あんな髪を持つのは校内で彼だけだ。授業さえ遠隔で受けるほどの引きこもりが、珍しく出歩いている。
とはいえ、別に初めて見たわけでもない。普段ならば圧倒的に眠気の方が勝っていたはずだ。
ただ、その日は違った。
「おい」
「ヒェッ⁉︎」
たった二文字の呼びかけで、イデアは過剰なほど飛び上がって振り向いた。
挙動不審に泳ぐ視線はレオナと一度もかち合わない。
「あ、あー…レオナ氏、お昼寝中でした? 邪魔したんならサーセン……潔く消えますんで、その……」
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