生きてる音と金女主 SSver……ん、…くん、…とくん。
音が聞こえる。
眠りで沈んでいた意識が浮上していくにつれ、音は大きくなっていく。
ドクン、ドクン、ドクン。
意識が覚醒する。
ずっと耳に響いていた音──それはゆっくりと胸を叩く心臓の音だった。
「………………」
呼吸に合わせてゆるやかに上下する胸の上に私は頭を乗せている。
どうやら無意識のうちに人肌を求めて移動して、隣で寝ていたギルガメッシュの胸の上に乗りかかるようにして眠ってしまっていたようだった。
いつもならすぐに押し除けられてしまうのだが、今晩は相当熟睡しているらしい。普段の傍若無人ぶりからは想像できないほど綺麗な寝顔が、下りた金色の前髪から覗いている。起きる気配は今のところない。
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