【土沖】遅効性の毒「なんでィ……まだ気がついてないんですか、土方さん」
そう言った総悟の顔はいつになく覇気がない悲しみを帯びた笑いだったから、俺は思わず追求を躊躇った。
遅効性の毒
きっかけは桂が三番隊に入り込んできたアフロ事件だった。その中で総悟が俺のマヨネーズに下剤を仕込んでいたことが発覚する。
それまで総悟の俺に対するイタズラはある種わかりやすいものだった。直接打ち込まれるバズーカ。繰り広げられる剣技。ケーキに仕込まれたタバスコ。
直接的なものから、ずいぶんと間接的になった。
聞けば総悟は毒を入手するために免許まで取得していた。なんでそんなことをと問い詰めれば、いけしゃあしゃあと「出世のために」などと説明した。
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