置いてかれF小話:制限ダンジョン(※以下略)攻略後の一幕「ではこれ、報告書です」
クリスタルが差し出した書類を受け取ったギルドの受付は、その背後を見て眉をひそめた。
「勝手に増員したんダスか?」
「ああ、いえ、これはそういう訳ではなく……。ほら、ここの、これ」
「……あー。アンタらも毎回凄い攻略するダスねえ……」
クリスタルが指した報告書と背後を見比べて、受付は呆れたような感心したような声を上げた。
何故受付が眉をひそめたのか、それは冒険者パーティには様々な制限があるからである。制限なく冒険者の自由意志のみでパーティを形成させると、場合によっては国家を凌ぐ武力を持つ可能性がある。それを防ぎ、冒険者という無法者達を統制する為にほぼ全ての国家で運用されているのがギルド規則であった。その一つに、パーティ人数がある。無制限にして軍隊規模にされてはたまったものではない、ということだ。勿論そんな事が出来るのなら冒険者になぞなってはいないのだろうが、予防線は張っておくに越したことはない。自由の象徴のようなイメージのある冒険者であるが、実際はこんなものである。
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