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    ryuhi_k

    @ryuhi_k

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    ryuhi_k

    DONEべったー掲載「星を呑んだ」シリーズ本編外の一コマ
    弐の後の話

    前話「星呑み小話:知らぬは当人のみ」→https://poipiku.com/315554/6518714.html
    後話「星を呑んだ 参」→https://privatter.net/p/7541547
    星呑み小話:それは海の味がする胃が重い。溜息も何度ついたか覚えていない。それでも、足を止めたり、踵を返す選択肢はない。なんとも面倒くさいな、とどこか冷静に[[rb:伊呂波 > いろは]]は自嘲する。
    世話になっていた[[rb:旋葎 > せんり]]達の元を後にして半日程、ようやく風に潮の香りがするようになってきた。ほんの少しだが、それで身体が軽くなる。
    結局、海の側で生きるしか出来ない身なのだろう、と伊呂波は思う。そこからまた暫く道を行き、視界の半分程が海となった頃に行きとは違う堂の中へと入った。




    『――伊呂波、伊呂波、お帰りなさい』
    「!?」

    堂から屋敷へと場所が移った、と認識するより早く、伊呂波の身体を強く抱きしめた者がいた。[[rb:鯨湦 > けいしょう]]――伊呂波が名を与えた、あの鯨である。腐った巨体ではなく、今は[[rb:楓星 > ふうせい]]と同じく人の姿をとっている。だが、楓星とは違い、お世辞にも若くはなく、伊呂波とは親子程の差がある見目だ。あやかしが己のみの人の形をとるのは、ただ化けるのとは違うらしい。鯨湦本人も「もっと若い姿の方が良かった」と零していたので、望んでこの姿となった訳ではないようだ。
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