星呑み小話:渡れぬ水が横たわる「よく治まったもんだよな……」
山を降り、海も近くなった頃合いに[[rb:伊呂波 > いろは]]がそう呟いた。理由もろくすっぽ説明されずに呼び出された今回の事であるが、全てが片付きこうして帰路についている今となっては、そんな言葉しか出てこない。
『最初は何事かと思いましたけどねえ。勿論、あの[[rb:楓星 > ふうせい]]が慌てるような事なんて[[rb:旋葎 > せんり]]さんに関する事に決まっていますけれど』
「うん……。何にせよ、探しもの……人、は見つかったし、多分仲直りした、んだよな?」
此度の騒動は、旋葎の未練を壊しに行くと息巻いた楓星の独り相撲から始まった。そんな切っ掛けからまた星のあやかしの一体に繋がるのだから、不思議なものである。
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