ハッピーエンドのないシナリオ　　　　1

　好きとか、そういうことはひとつも言わなかった。
　同郷のよしみで、のノリで切り出して、「同じ隊のほうが時間も合わせやすいでしょう？」なんて都合の良さを下心に被せた。冗談に混じって本気を覗かせ、でも決して本心は晒さないように慎重に包んだ。
　セフレのお誘いは、そうやってぺらっぺらの紙みたいな軽薄さでおれの口から吐き出されたのだ。
　水上先輩はぱちくりと驚きの表情を見せたあと、「はぁ」とか「でもなぁ」とか言いながら渋っていたけれど、おれが一番心配していた嫌悪感は見えなかった。
「興味があればでいいんで」
　と引く素振りを見せたら、
「まぁ、一回試してみるか」
　と乗ってきた。
　一回が二回になって、二回が三回に。十を超える頃にようやく、数えるのをやめた。ネットで買った二十個入りの徳用のコンドームも半分くらいに減っていて、これを見るたびに（アホやなぁ）と思う。ちなみに最初のはコンビニで買ったやつやから、この箱は二代目だ。

新刊お品書き　ざっくり　【ふみ天】【全年齢】『深夜、ミモザの秘密基地にて』
（全九本）
・あなたと落ちる地獄を夢見る　加筆修正
→死体を埋める話

・イノセントルーム（書き下ろし）
→天彦様のトラウマにふみやくんが寄り添ってくれる話

・欠伸のうつる長い朝（加筆修正）
→205号室で朝微睡んでる話

・ハニーベリーの恋人（修正）
→打算で行動するふみやくん×相手を喜ばせたくて動く天彦様

・碧の秘密（加筆修正）
→天彦様がふみやくんにピアスを開ける話

・ネオンの心臓（書き下ろし）
→正邪のカリスマ×性のカリスマ　に巻き込まれるふみやくんと天彦様

・深夜、ミモザの秘密基地にて（加筆修正）
→天彦様の呪いを解こうとするふみやくんの話

・金色、ミモザの秘密基地にて（書き下ろし）