ちぇり
シキミヤ
DONE #よその子の顔だけ描きたい12名の方々ありがとうございました~!!
3,4ページ目は私のキモイ独り言付きです
津久間優斗:めまやだきさん
一 白:かがみさん
校倉夜:チェリーさん
尼崎真佑:たまきさん
新凪赤鈴:くれはさん
萩野ルナ:なこさん
香崎眞白:ミントさん
幣舞あかね:わびさん
田所司:なつあしさん
水城灯:煉瓦さん
菫場麗音:らうめいさん
マッツ・ミングローブ:なつみさん 4
itimurag
DONE陰陽師パロのジョーチェリです!なんでも許せる人向けです!
マンうさも出てきます。
『ほしがきえたあと』 まだ暑さの残る夏の終わりの夜。
辺りには虫の声が微かに聞こえ始め、緑の香りが漂う。コロコロと鳴く虫の声が、心地よい。じめっとした空気と生ぬるい風。空には雲が多く、明かりの少ない。そんな場所のここは、手元が僅かに見える程度。
風もないのに、雑木林と化した廃寺の草木が大きく揺れる。その間を韋駄天の如く駆け抜けていた茶色い獣が、飛び跳ねて回転しつつ足を伸ばして振り下ろした。その足は柔らかそうな布にすっぽりと覆われているものの、その衝撃は凄まじいようだ。彼の落とした踵落としと共に周囲の草は飛び散る。
その様子を少し離れた場所から眺めていた人物がいる。その人物は、何も言わずに口元を覆っていた扇子を閉じた。閉じたところで、その口は首のところから伸びた黒い布に覆われており、髪も長くてパッと見た感じは女性にも見えなく無い。しかし、その風貌によく似合う直衣を着ている。薄桃の髪が風に遊ばれ、さらに表情を隠した。
19012辺りには虫の声が微かに聞こえ始め、緑の香りが漂う。コロコロと鳴く虫の声が、心地よい。じめっとした空気と生ぬるい風。空には雲が多く、明かりの少ない。そんな場所のここは、手元が僅かに見える程度。
風もないのに、雑木林と化した廃寺の草木が大きく揺れる。その間を韋駄天の如く駆け抜けていた茶色い獣が、飛び跳ねて回転しつつ足を伸ばして振り下ろした。その足は柔らかそうな布にすっぽりと覆われているものの、その衝撃は凄まじいようだ。彼の落とした踵落としと共に周囲の草は飛び散る。
その様子を少し離れた場所から眺めていた人物がいる。その人物は、何も言わずに口元を覆っていた扇子を閉じた。閉じたところで、その口は首のところから伸びた黒い布に覆われており、髪も長くてパッと見た感じは女性にも見えなく無い。しかし、その風貌によく似合う直衣を着ている。薄桃の髪が風に遊ばれ、さらに表情を隠した。
mitsu_ame
MOURNINGこれも朝チュンのジョーチェリ。ハマりたての頃に書いてたんだけど4巻ブックレットにより完全に幻覚となった朝に強いタイプの屋敷先生がいます。
南城がかわいく書けたので供養あげ。
あまったれエスプレッソ.
薫は目覚めのよい方だ。今朝だって眼裏が明るさを感じれば意識は素直に覚醒に至った。
日中の気温の高さを予感させる鮮やかな朝日。それが閉じたブラインドの隙間から室内に潜り込み、寝床を照らしている。手をつき、上半身を起こそうとする。ずぶずぶとどこまでも沈んで行きそうなマットレスに、僅か、眉を顰める。
「…………」
硬めのマットレスと低い枕を愛する薫にとって、掌の沈む柔らかな寝具はどうも馴染まない。ふかふかの羽根枕を抱き込む、隣の男とはつくづく趣味嗜好が合わないものだ。広い背中を睨めつける。手前味噌の筋肉布団が十分すぎる程ぶ厚いくせに、虎次郎は厚ぼったく柔らかい寝具を好む。いつだかウォーターマットを寝室に導入したこともあった。あの時薫は片すまでここには泊まらないからなと宣言したし実行したものだ。確かこいつの辛抱は二週間と持たなかったと記憶している。
3689薫は目覚めのよい方だ。今朝だって眼裏が明るさを感じれば意識は素直に覚醒に至った。
日中の気温の高さを予感させる鮮やかな朝日。それが閉じたブラインドの隙間から室内に潜り込み、寝床を照らしている。手をつき、上半身を起こそうとする。ずぶずぶとどこまでも沈んで行きそうなマットレスに、僅か、眉を顰める。
「…………」
硬めのマットレスと低い枕を愛する薫にとって、掌の沈む柔らかな寝具はどうも馴染まない。ふかふかの羽根枕を抱き込む、隣の男とはつくづく趣味嗜好が合わないものだ。広い背中を睨めつける。手前味噌の筋肉布団が十分すぎる程ぶ厚いくせに、虎次郎は厚ぼったく柔らかい寝具を好む。いつだかウォーターマットを寝室に導入したこともあった。あの時薫は片すまでここには泊まらないからなと宣言したし実行したものだ。確かこいつの辛抱は二週間と持たなかったと記憶している。
mitsu_ame
DONE朝チュンのジョーチェリ。さざなみカウント180.
まどろみは、波打ち際でやわく肌を撫でられるような心地がする。
寄せて、引いて、また寄せる。人肌に馴染むぬくい温度が揺れる。もうすこし深いところへ沈みたい気持ちと、このまま浅いところで揺蕩っていたい気持ちとが拮抗した。
不意にザァ、と音立てて波は引き、薫は眠りの海から虎次郎の寝室へと居場所を移した。
「……おはようカーラ」
枕元の端末へ挨拶する。すぐにふわりと発光。起動を知らせる。実に素晴らしい寝起きだ。
「おはようございます、マスター。現在時刻は午前十一時二十八分。予定起床時刻から一時間五十八分経過しています。アラームを確認しますか?」
「いや、大丈夫だ」
彼女の懸命の努力が水泡と帰したところを突き付けられるのは、少々ばつが悪い。殊時間に関しては非常に優秀なのだ。今朝だって几帳面に十分おき、スヌーズを繰り返してくれたはず。薫はそれを差し置きさざなみ立つ眠りの海に漂っていたわけだ。休日だから、は、言い訳になるまい。
1985まどろみは、波打ち際でやわく肌を撫でられるような心地がする。
寄せて、引いて、また寄せる。人肌に馴染むぬくい温度が揺れる。もうすこし深いところへ沈みたい気持ちと、このまま浅いところで揺蕩っていたい気持ちとが拮抗した。
不意にザァ、と音立てて波は引き、薫は眠りの海から虎次郎の寝室へと居場所を移した。
「……おはようカーラ」
枕元の端末へ挨拶する。すぐにふわりと発光。起動を知らせる。実に素晴らしい寝起きだ。
「おはようございます、マスター。現在時刻は午前十一時二十八分。予定起床時刻から一時間五十八分経過しています。アラームを確認しますか?」
「いや、大丈夫だ」
彼女の懸命の努力が水泡と帰したところを突き付けられるのは、少々ばつが悪い。殊時間に関しては非常に優秀なのだ。今朝だって几帳面に十分おき、スヌーズを繰り返してくれたはず。薫はそれを差し置きさざなみ立つ眠りの海に漂っていたわけだ。休日だから、は、言い訳になるまい。
mitsu_ame
DONEジョーチェリと忠愛のD/sユニバース。南城と愛抱夢がDom、薫さんと忠がsub。
お互いがどう見えてるのか的解釈の短いのよっつ。
D/sユニバースのジョーチェリ&忠愛.
『桜屋敷から見た菊池』
「どうぞ」
差し出されたのはやわらかな乾いた布が一枚。
自分が乗り回すのみが大前提、獣に蹂躙されるなど考えていなかった愛機(カーラ)をひとまずアルコール除菌シートで拭きあげていた時だ。
「あぁ、どうも……」
どうにも気の抜けた返事になったのは、普段通りの振舞いと社会人の皮を被った対応、どちらを取るべきか距離を測りかねたからだ。雇い主ならまだしも秘書自身の人となりなど全く知らない。ボードに乗る方の愚か者であるのさえつい最近知った。
受け取った布で以て乾拭きする。終わったところでまた手が差し出され布は返却。流れるような手業はなるほど他者の振る舞いに合わすのに慣れている。礼を言う。会釈。
3633『桜屋敷から見た菊池』
「どうぞ」
差し出されたのはやわらかな乾いた布が一枚。
自分が乗り回すのみが大前提、獣に蹂躙されるなど考えていなかった愛機(カーラ)をひとまずアルコール除菌シートで拭きあげていた時だ。
「あぁ、どうも……」
どうにも気の抜けた返事になったのは、普段通りの振舞いと社会人の皮を被った対応、どちらを取るべきか距離を測りかねたからだ。雇い主ならまだしも秘書自身の人となりなど全く知らない。ボードに乗る方の愚か者であるのさえつい最近知った。
受け取った布で以て乾拭きする。終わったところでまた手が差し出され布は返却。流れるような手業はなるほど他者の振る舞いに合わすのに慣れている。礼を言う。会釈。
fuduki_otk
DONEJCジョーチェリ♀(先天性)。スカートを穿いた薫を初めて見て情緒が爆発しちゃった虎次郎くんの運命やいかに。
JCジョーチェリ♀/虎次郎くんの受難 おろしたての制服に袖を通し、鏡の前で背を伸ばす。
きっと背が伸びるだろうからと大きめに作った制服はややぶかぶかで、お世辞にも格好いいとは言い難い。
それでも、昨日までTシャツと半ズボンで表を駆け回っていた小学生の自分とは違う、少しだけ大人になった自分の姿を見て、虎次郎は顔に笑みが広がっていくのを止められなかった。
「へへ……」
今日は入学式だから、と、学ランの詰襟をきっちり上まで留めて、虎次郎はおろしたてのスニーカーをつっかけて玄関のドアを開ける。
「いってきまーす」
家の中に声を掛け、門をくぐる。
「遅い」
間髪入れずに飛んできたのは、幼稚園の頃から毎日一緒に登校している、幼馴染の薫の声だった。
薫は頭がいいからてっきり私立の中学を受験すると思っていたのに、通学に時間が掛かるからという理由でそれを断り、虎次郎と同じ地元の公立中学へ進学を決めた。
3304きっと背が伸びるだろうからと大きめに作った制服はややぶかぶかで、お世辞にも格好いいとは言い難い。
それでも、昨日までTシャツと半ズボンで表を駆け回っていた小学生の自分とは違う、少しだけ大人になった自分の姿を見て、虎次郎は顔に笑みが広がっていくのを止められなかった。
「へへ……」
今日は入学式だから、と、学ランの詰襟をきっちり上まで留めて、虎次郎はおろしたてのスニーカーをつっかけて玄関のドアを開ける。
「いってきまーす」
家の中に声を掛け、門をくぐる。
「遅い」
間髪入れずに飛んできたのは、幼稚園の頃から毎日一緒に登校している、幼馴染の薫の声だった。
薫は頭がいいからてっきり私立の中学を受験すると思っていたのに、通学に時間が掛かるからという理由でそれを断り、虎次郎と同じ地元の公立中学へ進学を決めた。
mitsu_ame
DONEジョーチェリワンドロ。第13回お題『ピアス』『教室』『眼鏡』お借りしました。片想いこじらせこじろうくん。
未成年飲酒の描写を含みます。(それを推奨するものではありません)
ファーストピアス.
放課後の教室は西日が射し込んで妙に明るい。窓際の、一番後ろの席。開けっ放しの窓から入る風で真っ白のレースカーテンとクリーム色のカーテンがぶわっと膨らんでは元に戻るのを繰り返す。風と一緒に校庭からどこかの部活のかけ声が入ってくる。だから余計、室内は切り取られたみたいに静かだった。
「こじろー?」
はっとする。薫がいた。
机を挟んで相向かい。正面を向いたままの椅子の、背もたれを抱えるような恰好で行儀悪く座る。前屈みになる分目線が下がってこちらを少し見上げるような恰好だ。括った後ろ髪と長い前髪。隙間から見える目付きは鋭い。
ガラも悪けりゃ口も悪く、素行だって悪かったくせ、このキツい三白眼に眼鏡が乗ると、不思議と賢そう、上品そう、となるのだから印象操作ってのはタチが悪い。このタヌキめ。
1944放課後の教室は西日が射し込んで妙に明るい。窓際の、一番後ろの席。開けっ放しの窓から入る風で真っ白のレースカーテンとクリーム色のカーテンがぶわっと膨らんでは元に戻るのを繰り返す。風と一緒に校庭からどこかの部活のかけ声が入ってくる。だから余計、室内は切り取られたみたいに静かだった。
「こじろー?」
はっとする。薫がいた。
机を挟んで相向かい。正面を向いたままの椅子の、背もたれを抱えるような恰好で行儀悪く座る。前屈みになる分目線が下がってこちらを少し見上げるような恰好だ。括った後ろ髪と長い前髪。隙間から見える目付きは鋭い。
ガラも悪けりゃ口も悪く、素行だって悪かったくせ、このキツい三白眼に眼鏡が乗ると、不思議と賢そう、上品そう、となるのだから印象操作ってのはタチが悪い。このタヌキめ。
村上ナナ
INFO26日のWEBイベント「犬猿ってそんなカンジ?(そんなジョーチェリ)」でネットプリント配布した花火おデートポストカードです。一部期限が短い設定だったので、延長して登録しました。宜しければご利用ください〜😄
ggrr_jc0707
DONE9/26 ジョーチェリWEBオンリー#そんなジョーチェリ
・これは同棲でも新婚でもないが四の五の言わずに俺を抱け
の続きの結婚(の約束)をしたジョチェがハワイでぱやぱやするおまけ小話です! 6
hecoloveChris
DONEジョーチェリwebオンリー『犬猿ってそんなカンジ?』開催記念更新※事後ネタ
かわいい、ひと***
虎次郎は、ことあるごとに「可愛い」と言う。
例えば、偶々お互いの都合が付いたからと二人で出掛けて、虎次郎が行ってみたかったというカフェでデザート付きのランチを食べているときに。
日替わりランチが三種類あって、食べてみようと思った二種類で、どちらを選ぶか迷っていれば「薫が食いたそうなの、コレとコレだよな。俺こっちにするからシェアしようぜ」だとか、まだ何も言っていないのに此方の希望の決定稿をさらりと口にしてくれる。
サーブされたランチプレートに舌鼓を打ち、デザートまで律儀に半分寄越す虎次郎に「美味いな」と、素直な感想を伝えれば。
「…ん、可愛い。」
何とも、会話が噛み合わないじゃ無いか。
「おい、ゴリラ。いい加減に心にも無いことを言うのを止めろ。」
2358虎次郎は、ことあるごとに「可愛い」と言う。
例えば、偶々お互いの都合が付いたからと二人で出掛けて、虎次郎が行ってみたかったというカフェでデザート付きのランチを食べているときに。
日替わりランチが三種類あって、食べてみようと思った二種類で、どちらを選ぶか迷っていれば「薫が食いたそうなの、コレとコレだよな。俺こっちにするからシェアしようぜ」だとか、まだ何も言っていないのに此方の希望の決定稿をさらりと口にしてくれる。
サーブされたランチプレートに舌鼓を打ち、デザートまで律儀に半分寄越す虎次郎に「美味いな」と、素直な感想を伝えれば。
「…ん、可愛い。」
何とも、会話が噛み合わないじゃ無いか。
「おい、ゴリラ。いい加減に心にも無いことを言うのを止めろ。」
しんどうゆか
DONEチェリまほ95話を読んで、夏歌ベストみたいなのを聴いてたら、子供の頃に横須賀の海で、くろあだ出会ってないかなって妄想が走り出したので書いてみました。しんどう(作者)の妄想多分なことを留意の上お読みください。黒沢視点のお話です。イメソンは「secret base〜君がくれたもの〜」とか「LIFE」といったザ・夏歌です。海はいいですね(豊田先生の受け売りですみません)。運命という名の魔法 子供の頃、俺は家族と一緒に、地元・横須賀の海へよく出かけて行った。
ある年の夏に、その海で出会った、黒髪で色白の、憂いを含んだ表情がやけに印象的な男の子のことを、今でもよく覚えている。
横須賀の港は軍港として有名だから、観光客もたくさん来ていた。その中で、その子は周りの様子を気にすることもなく、食い入るように、ただ海の方を見つめていた。
邪魔をしてはいけないと思ったけれど、俺はどうしても、彼と話をしてみたいと思った。それで俺は、意を決して彼に話しかけた。
「軍艦、好きなの?」
「えっ……? あ……うん。好きだよ。カッコいいからな。……お前も好きなの?」
突然話しかけられたことに、戸惑いを隠せないようだったけれど、彼は俺の質問に答えてくれた。おまけに彼は、俺に質問をしてくれた。だから俺は「うん、好きだよ」と返事をした。彼は何処となく照れ臭そうにして「そうなんだ」と返した。
6087ある年の夏に、その海で出会った、黒髪で色白の、憂いを含んだ表情がやけに印象的な男の子のことを、今でもよく覚えている。
横須賀の港は軍港として有名だから、観光客もたくさん来ていた。その中で、その子は周りの様子を気にすることもなく、食い入るように、ただ海の方を見つめていた。
邪魔をしてはいけないと思ったけれど、俺はどうしても、彼と話をしてみたいと思った。それで俺は、意を決して彼に話しかけた。
「軍艦、好きなの?」
「えっ……? あ……うん。好きだよ。カッコいいからな。……お前も好きなの?」
突然話しかけられたことに、戸惑いを隠せないようだったけれど、彼は俺の質問に答えてくれた。おまけに彼は、俺に質問をしてくれた。だから俺は「うん、好きだよ」と返事をした。彼は何処となく照れ臭そうにして「そうなんだ」と返した。
まそ・しなのめ
DONEジョーチェリ ワンドロを振り返る回ジョーチェリワンドロ 第1回 グラスグラス
その日、薫は俺の店のグラスを割った。
パリン、と店内に客がいない閉店間際だからか、余計に響いていた。
「おい、大丈夫か!」
箒とちりとりを持ってカウンターからフロアに向かい、薫の指先を見る。
白い肌に紺色の着物、そして指先から流れる赤い血液。
「問題ない、少し切っただけだ」
薫は昔から喧嘩をしてよく口の端を切っていたり、相手を怪我させたり……何にせよ、物理的に血の気が多い奴だった。
「全く、昔からよく怪我してたよな」
掃除は後だ、まずは薫の応急処置をしなければ。
掃除用具を近くの椅子に立てかけて裏から救急箱を出してきた。
ぽたぽたと流れ出る指先の血液を拭おうと白いハンカチを当てがおうとしていたから、その手を止めてティッシュに消毒液を垂らして拭った。
1437その日、薫は俺の店のグラスを割った。
パリン、と店内に客がいない閉店間際だからか、余計に響いていた。
「おい、大丈夫か!」
箒とちりとりを持ってカウンターからフロアに向かい、薫の指先を見る。
白い肌に紺色の着物、そして指先から流れる赤い血液。
「問題ない、少し切っただけだ」
薫は昔から喧嘩をしてよく口の端を切っていたり、相手を怪我させたり……何にせよ、物理的に血の気が多い奴だった。
「全く、昔からよく怪我してたよな」
掃除は後だ、まずは薫の応急処置をしなければ。
掃除用具を近くの椅子に立てかけて裏から救急箱を出してきた。
ぽたぽたと流れ出る指先の血液を拭おうと白いハンカチを当てがおうとしていたから、その手を止めてティッシュに消毒液を垂らして拭った。
しんどうゆか
DONEチェリまほ94話の予告で、久々に安達の弟・和也くんの登場か……? にワクワクし過ぎて待ちきれなくて、気が付いたら、こんなド鬱な話書いていたんですけど、何ででしょうね……(聞くな)ええ……死ネタです。作中で安達が死んじゃいます。苦手な方、本当にごめんなさい。あと世界の理不尽さについて私的解釈で書きました。(長くなったので本文に続く)
黒沢視点の話です。
思い出のあとさき(キャプション続き)
第1話から追っていたとはいえ、ブランクがあり、チェリまほ新規に近い人間なのと、こんな話、世の中にn番煎じにあると思ったんですが、私がくろあだで読みたかったから書きました。既に似た話があったら申し訳ないです。黒沢の心情を考えると、とても辛かったけど、書きがいはありました。
くろあだ、前世でも今世でも来世でも幸せになってほしい(どの口が言う)。ちなみに私、伊藤左千夫の野菊の墓がめちゃくちゃ好きです(突然の性癖暴露)。あと直近でミスチルのHANABI聴いてました。
――――――――――――
俺たちの穏やかな日常が、あんな形で終わりを迎えるとは想像もしていなかった。
口下手で、分かりやすい言葉では、あまり表さないけれど。だけど、何気ない一言、さり気ない行動で、溢れる愛を示してくれて。
2728第1話から追っていたとはいえ、ブランクがあり、チェリまほ新規に近い人間なのと、こんな話、世の中にn番煎じにあると思ったんですが、私がくろあだで読みたかったから書きました。既に似た話があったら申し訳ないです。黒沢の心情を考えると、とても辛かったけど、書きがいはありました。
くろあだ、前世でも今世でも来世でも幸せになってほしい(どの口が言う)。ちなみに私、伊藤左千夫の野菊の墓がめちゃくちゃ好きです(突然の性癖暴露)。あと直近でミスチルのHANABI聴いてました。
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俺たちの穏やかな日常が、あんな形で終わりを迎えるとは想像もしていなかった。
口下手で、分かりやすい言葉では、あまり表さないけれど。だけど、何気ない一言、さり気ない行動で、溢れる愛を示してくれて。
しんどうゆか
DONEくろあだ処女作です。再燃して、チェリまほを電子版で7巻まで一気読みした後、7巻の余韻に浸ったまま書いた話です。長崎の家でテレビを見ながら物思いに耽る安達を中心に書きました。個人サイトに2021/8/14掲載
想いは、咲く。子供の頃、クリスマス近くに歌った「きよしこの夜」。自分の「安達清」という名前と掛けて揶揄われたことを除けば、歌を歌うことは決して嫌いじゃない。ただ、特別上手い訳ではないから、俺は断じてヒトカラ派、なんだけども。
長崎に転勤してからしばらく経った休みの日。ちょうど空き時間があるし、せっかく長崎にいるんだからと、東京じゃ見れない番組を見てみようと思って、俺はテレビをつけた。リモコンで番組表を呼び出し、スマホで関東のチャンネルに該当するものを検索しながら、今の時間帯の番組をザッピングしていく。するとーー関東でも見られるテレビ局から流れてきた音楽に俺は、チャンネルを回していた手を止めた。それは、ある有名な作曲家が作ったと話題になっていた合唱曲で、懐かしい故郷や人々、想いを歌う歌だった。
3123長崎に転勤してからしばらく経った休みの日。ちょうど空き時間があるし、せっかく長崎にいるんだからと、東京じゃ見れない番組を見てみようと思って、俺はテレビをつけた。リモコンで番組表を呼び出し、スマホで関東のチャンネルに該当するものを検索しながら、今の時間帯の番組をザッピングしていく。するとーー関東でも見られるテレビ局から流れてきた音楽に俺は、チャンネルを回していた手を止めた。それは、ある有名な作曲家が作ったと話題になっていた合唱曲で、懐かしい故郷や人々、想いを歌う歌だった。
mitsu_ame
DONE愛のマスカレードのパンフにオタクの情緒がフルスイングキッスされたので何もかもを放り出してひとまず煎じたジョーチェリ。無数にあって、たったひとつ.
愛はどのようなかたちを象るか。
それは言葉や態度あるいはセックス、金や宝飾品、それとも違う何かかも。それこそ千差万別十人十色、人それぞれのかたちがあるのだろう。多分。虎次郎にとって他人のそれには特に関心もなかった。
ただ、自分なら。
自分だったらどのようなかたちになるだろうか。と、目の前で呆けている男を見て思う。
虚無の表情で我が家の天井を見つめているのは、絶賛作品構想中のAI書道家桜屋敷薫先生だった。
長く付き合いのあるクライアント、御年七十六歳。近く愛してやまない九つ下の妻との金婚式を迎えるという。その際に彼女へ贈る書を、というのが依頼内容だった。いくら歳を重ねても可憐に映る妻に似合いで、年上男の矜持と照れを押さえつつ、何より愛の伝わる作品。どのような言葉を選びそれを如何に墨に乗せてカーラに演出させるのか。考えることは山とあり、けれど先生はどうにも煮詰まっているらしい。
2067愛はどのようなかたちを象るか。
それは言葉や態度あるいはセックス、金や宝飾品、それとも違う何かかも。それこそ千差万別十人十色、人それぞれのかたちがあるのだろう。多分。虎次郎にとって他人のそれには特に関心もなかった。
ただ、自分なら。
自分だったらどのようなかたちになるだろうか。と、目の前で呆けている男を見て思う。
虚無の表情で我が家の天井を見つめているのは、絶賛作品構想中のAI書道家桜屋敷薫先生だった。
長く付き合いのあるクライアント、御年七十六歳。近く愛してやまない九つ下の妻との金婚式を迎えるという。その際に彼女へ贈る書を、というのが依頼内容だった。いくら歳を重ねても可憐に映る妻に似合いで、年上男の矜持と照れを押さえつつ、何より愛の伝わる作品。どのような言葉を選びそれを如何に墨に乗せてカーラに演出させるのか。考えることは山とあり、けれど先生はどうにも煮詰まっているらしい。
mitsu_ame
DONEジョーチェリ。ふたりの間の文字の行き来について。沈黙は金、筆まめは銀。.
「お前って意外と文字書かないよな」
風呂上がりの一杯を冷蔵庫から取り出した虎次郎がそんなことを宣ったので、薫は憐憫のこころをたっぷり含めて溜息を吐いてやった。
「ゴリラ……ついに俺の職業も分からなくなったのか……」
薫がよよよ、と寝間着の浴衣の袖を使って大仰に泣き真似てみせるうち「ちげぇーよ馬鹿!」と幼稚な罵倒が返ってきた。
「冷蔵庫に貼ってあるメモ、みーんな俺の字だろ。玄関先のクリップボードも。ちょっとした書置き~みたいなのも俺ばっかでお前やんねえし」
缶ビールで唇を湿しながら虎次郎はそんな風に並べ立てる。薫の目元を拭う手が止まった。
ダイニングのテーブルセットもスツールも、なんならリビングのラグ上にクッションだって充実しているにも関わらず、虎次郎は薫が座るソファにわざわざやって来て、肘置きの辺りに寄り掛かる。風呂上りの高めの体温がじんわり届くほどの距離。
1327「お前って意外と文字書かないよな」
風呂上がりの一杯を冷蔵庫から取り出した虎次郎がそんなことを宣ったので、薫は憐憫のこころをたっぷり含めて溜息を吐いてやった。
「ゴリラ……ついに俺の職業も分からなくなったのか……」
薫がよよよ、と寝間着の浴衣の袖を使って大仰に泣き真似てみせるうち「ちげぇーよ馬鹿!」と幼稚な罵倒が返ってきた。
「冷蔵庫に貼ってあるメモ、みーんな俺の字だろ。玄関先のクリップボードも。ちょっとした書置き~みたいなのも俺ばっかでお前やんねえし」
缶ビールで唇を湿しながら虎次郎はそんな風に並べ立てる。薫の目元を拭う手が止まった。
ダイニングのテーブルセットもスツールも、なんならリビングのラグ上にクッションだって充実しているにも関わらず、虎次郎は薫が座るソファにわざわざやって来て、肘置きの辺りに寄り掛かる。風呂上りの高めの体温がじんわり届くほどの距離。