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    らい。

    Arasawa

    DOODLE土足厳禁の存記。本編とは関係ありません。
    第9話『付き合ってない女』(二人が離れる話)より前くらい。

    お題箱より
    「雷を怖がる夢主」
    「雨の日の薄暗い部屋で雨音を聞きながら過ごす」
    毎度お待たせしております。
    そういうわけではないお腹の底に響くような轟音で飛び起きた。
    何が起きたのかわからない。ドッドッと煩い心臓を深呼吸で落ち着かせながら、起き上がって周囲を見渡す。そうだ、ここは七海の家。さっきまで沢山してシャワーを浴びてベッドに入って……。外からはザァザァと雨音がうるさい。何?何があった?七海は相変わらずゾッとする程綺麗な顔で眠りこけている。空が唸るような音が耳に流れ込んできて、すべてを理解した。

    そうか、雷。

    これは非常に良くない。雷はあまり得意ではない。雷が得意というのはよくわからないけど、とにかく得意ではない。理由なんて明白。雷の持つエネルギーは余りにも不安定で、そして大きすぎるのだ。避雷針がどこにあるのかよくわからないし、結局車の中が安全かどうかもわからないし、室内の窓際で雷に打たれた人もいると聞くし、文字通り光の速さで避けられないし、打たれたら死ぬし、でもどこに落ちるか全然わからないし。
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    currynonoroi

    MOURNING村荒、ワンドロワンライ。
    見覚えのあるものと聞き覚えのある話。
    お題:『一番最初』
    見覚えと聞き覚え 記憶の整理に紛れて、懐かしい光景が過ぎっていった。一番最初に見たもの、一番最初に憧れたもの。夢の中の自分が手を伸ばした瞬間、懐古はやわくゆるやかに形を崩していった。

     ふと目を開けた時、一番最初に視界に入ったのは荒船の横顔だった。
     端末でログでも確認しているのか、真剣な眼差しは鋼を見てはいない。凛とした横顔をまどろみながら眺めていた鋼は、ふとどうして荒船がいるんだろうと疑問が湧いた。
    「――あらふね……?」
     こぼした声は我ながら寝ぼけていた。しかし荒船の耳にはきちんと届いたようで、理知的な瞳が冷静に鋼を映す。
    「悪い、起こしたか?」
    「いや、オレ……」
     まだ半分くらい眠りの淵を漂う意識で何となく状況を思い出す。ああそうだ、さっきまで荒船と十本勝負をしていて、今はあいだの十五分の休憩時間だ。鋼のために与えられた十五分。鋼はそのあいだに眠って記憶を整理するが、荒船はいつもログを見返していた。体験を即経験に変える鋼とは違い、荒船は何度も繰り返し反復して頭と身体に叩き込むコツコツタイプだ。たぶん今も、さっきまでの戦闘をおさらいしていたのだろう。
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