ヒースクリフ
sauco_trigo
REHABILIファウストの誕生日直前、建国の魔法使いの聖誕祭にわく中央の市場で買い物をするシノとヒースクリフとネロの話。シノ中心で東の魔法使いたちの話、続く予定。
世界線は箱庭と同じ。時系列が「やわらかな夜に」と「箱庭の星月夜」の間でカプ以前。
市場に溢れる目移りも鼻移りもする出店の数々に、歩きながらあれもこれもと買い込んでいたらすぐに両手一杯になってしまった。シノの左右にいるヒースクリフとネロに渡すふりをしながら足を止めずに魔法で少しずつ消して、そのうちのひとつは食ってみろと実際にそれぞれ手渡した。ヒースクリフは戸惑った顔をしている。
「美味しそうだけど···食べ歩きは苦手だから···」
「何も考えずにかじりつけばいい。おまえなら何をしても様になるから、それだけで周りの連中が振り向くぜ」
「い、意味がわからない」
「はは、シノらしいな。ヒースも難しく考えないでさ、作りたてを味わうのも食い歩きの醍醐味だって」
ほれと手本のようネロがホットドッグにかじりついた。右腕は買い込んだ食材で塞がっており、左手だけで包みを下げている。やっぱり器用なやつだと感心しつつ、ネロに誘われてわたわたと両手で持ったドーナツを食べようとしているヒースクリフはかわいい。
3437「美味しそうだけど···食べ歩きは苦手だから···」
「何も考えずにかじりつけばいい。おまえなら何をしても様になるから、それだけで周りの連中が振り向くぜ」
「い、意味がわからない」
「はは、シノらしいな。ヒースも難しく考えないでさ、作りたてを味わうのも食い歩きの醍醐味だって」
ほれと手本のようネロがホットドッグにかじりついた。右腕は買い込んだ食材で塞がっており、左手だけで包みを下げている。やっぱり器用なやつだと感心しつつ、ネロに誘われてわたわたと両手で持ったドーナツを食べようとしているヒースクリフはかわいい。
Lie/磊
DONEあくあま2展示漫画です。年下を揶揄ってやりたいオーエンとなんだかんだ世話焼きなミスラがヒースクリフとシノを振り回してる話。パスワードはイベントの日付です。
※CPはミスオエのみ、衣装やキャラの細かい設定などはかなり簡略化してます。
うっかりカプ要素薄くしちゃったので最後の2ページはおまけです。事後描写注意 27
act243129527
DOODLEグレムル前提のヒスムル(仮)9アホみたいな頻度で書いてるのにまだ終わる気がしない
またヒースクリフが曇ってるよ
ヒスムル(仮)910時頃、ヒースクリフは寝心地の良いベッドの上で気持ち良く目を覚ました。
「うぅ……ん……」
腕を伸ばしてからカーテンを開き、家に人の気配がしない事に気が付いた。
(……まだ帰って来てないのか……?つーかいつもの癖でムルソーのベッドで寝ちまってたな……)
リビングに行っても家中を回ってみてもムルソーは居なかった。
(……ああ……仕事か……)
昨日見た書類の山を思い出してヒースクリフは落胆した。
何故かは……何となく分かった。
(おっさんと仲直り出来たのかな……)
テレビを見ながらバターを塗っただけのトーストを齧っていた時の事だった。
玄関の鍵が開く音が聞こえて来た。
ヒースクリフがトーストを皿に置いて立ち上がると、ムルソーとグレゴールの姿が見えた。
6177「うぅ……ん……」
腕を伸ばしてからカーテンを開き、家に人の気配がしない事に気が付いた。
(……まだ帰って来てないのか……?つーかいつもの癖でムルソーのベッドで寝ちまってたな……)
リビングに行っても家中を回ってみてもムルソーは居なかった。
(……ああ……仕事か……)
昨日見た書類の山を思い出してヒースクリフは落胆した。
何故かは……何となく分かった。
(おっさんと仲直り出来たのかな……)
テレビを見ながらバターを塗っただけのトーストを齧っていた時の事だった。
玄関の鍵が開く音が聞こえて来た。
ヒースクリフがトーストを皿に置いて立ち上がると、ムルソーとグレゴールの姿が見えた。
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DOODLEグレムル前提のヒスムル6ヒースクリフがずっと泣いてる
ヒスムル(仮)6私は、彼の背中を見送ってから1時間後、事務所へ向かっていた。
理由……理由など無い。
ただ、何もしないで居る事が出来なかっただけだ。
デスクにはまだ山積みの仕事が残っていた。
そうだ、私以外はやろうともしないのだから、どちらにせよ私はここに来なければならなかったのだ。
「あれ?今日休みって……」
「休む必要が無くなりましたので出勤しました。」
「……?」
私は椅子に座り、仕事を手に取った。
頭が、回らなかった。
エナジードリンクを飲んで、仕事に向き直る。
文字の意味を理解するのに時間がかかった。
どんどん、作業終了予定時間が伸びていった。
「なんか作業スピード落ちてないか?何かあったのか?」
「……なあ、ムルソー……まだ終わらないのか?」
9088理由……理由など無い。
ただ、何もしないで居る事が出来なかっただけだ。
デスクにはまだ山積みの仕事が残っていた。
そうだ、私以外はやろうともしないのだから、どちらにせよ私はここに来なければならなかったのだ。
「あれ?今日休みって……」
「休む必要が無くなりましたので出勤しました。」
「……?」
私は椅子に座り、仕事を手に取った。
頭が、回らなかった。
エナジードリンクを飲んで、仕事に向き直る。
文字の意味を理解するのに時間がかかった。
どんどん、作業終了予定時間が伸びていった。
「なんか作業スピード落ちてないか?何かあったのか?」
「……なあ、ムルソー……まだ終わらないのか?」
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DOODLEグレムル前提のヒスムルの続きヒースクリフの進路の話になってきた
ムルソー君ほぼ出てこない
ヒスムル(仮)2あれから3日経った。
ムルソーの家は外に比べれば何倍も居心地が良かった。
ムルソーが家を出る前にある程度の小遣いを置いて行ってくれるので安心……とは言えなかった。
(……これ、完全にヒモじゃねぇか……)
立派な社会人であるムルソーに対してヒースクリフはまだ学校に通うような年齢だ。
身を粉にして働いているムルソーを見ていると、やはり多少の罪悪感が芽生えるものだ。
せめて家事だけでもと行動を起こしたのだが、洗濯する物はそもそも無いし、料理を作っても自分でも不味いと感じる物が出来たり、そもそもムルソーが帰ってこなかったりもした。
やがて1週間が経ち、それでもムルソーが帰ってこないのでヒースクリフはまた事務所へ向かう事にした。
6181ムルソーの家は外に比べれば何倍も居心地が良かった。
ムルソーが家を出る前にある程度の小遣いを置いて行ってくれるので安心……とは言えなかった。
(……これ、完全にヒモじゃねぇか……)
立派な社会人であるムルソーに対してヒースクリフはまだ学校に通うような年齢だ。
身を粉にして働いているムルソーを見ていると、やはり多少の罪悪感が芽生えるものだ。
せめて家事だけでもと行動を起こしたのだが、洗濯する物はそもそも無いし、料理を作っても自分でも不味いと感じる物が出来たり、そもそもムルソーが帰ってこなかったりもした。
やがて1週間が経ち、それでもムルソーが帰ってこないのでヒースクリフはまた事務所へ向かう事にした。
ngw
INFO8/20のインテで出すネファ本の本文サンプルです。R18、A5、70P、500円(会場価格)。
ネファが推しカプなヒースが、ネファになりたいネロを応援するコメディです。
前半はヒースクリフ視点、後半(R18部分含)はファウスト視点に切り替わります。
イベント会場で購入すると、クリアしおりがおまけでつきます。
よければお願いします!
ネロと先生っていい感じじゃない!? 1
目が覚めたけれど、まだ朝ではなかった。
カーテンの外はまだ暗くて、階下から僅かにざわめきが聞こえてくる。
一度寝付くことが出来たのは何だったのだろうか、自分は本当に眠っていたのだろうかと不思議になる。時計を見ると、まだ日付は変わっていなかった。
――お子ちゃまは遠慮すんなよ。
そう人懐こく笑いかけてくれた顔が頭をよぎる。同じ生徒というには恐縮するくらい歳が離れていて、自立していて、けれどすごく繊細な、頼れるお兄ちゃんみたいな存在。少しだけ、いいだろうか。完全に目が冴えてしまって、ほんの少し誰かと話したい気分だった。
ネロの部屋をノックすると、緩慢な「開いてるよ」という声が返ってきた。
「ごめん、夜分遅くに。起きちゃって、眠れなくて……」
17626目が覚めたけれど、まだ朝ではなかった。
カーテンの外はまだ暗くて、階下から僅かにざわめきが聞こえてくる。
一度寝付くことが出来たのは何だったのだろうか、自分は本当に眠っていたのだろうかと不思議になる。時計を見ると、まだ日付は変わっていなかった。
――お子ちゃまは遠慮すんなよ。
そう人懐こく笑いかけてくれた顔が頭をよぎる。同じ生徒というには恐縮するくらい歳が離れていて、自立していて、けれどすごく繊細な、頼れるお兄ちゃんみたいな存在。少しだけ、いいだろうか。完全に目が冴えてしまって、ほんの少し誰かと話したい気分だった。
ネロの部屋をノックすると、緩慢な「開いてるよ」という声が返ってきた。
「ごめん、夜分遅くに。起きちゃって、眠れなくて……」
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DOODLEグレムル前提のヒスムルひょんな事から工房ムルソー君の家に居候し始めたヒースクリフだったが……?と言う話
ここで投げたらそれで終わりにしてしまいそうだけどそれでも投げる
え?そもそも工房はK社の世界だからヒースは技術解放連合に居るだろって?
……。
ヒスムル(仮)ヒースクリフは不機嫌を露わにした顔でアパートの扉の前に立って呼び鈴を鳴らした。
時刻は20時。
普通の人間であれば迷惑に思う時間帯だが、ヒースクリフはそんな常識など関係無いと言うようにもう一回呼び鈴を鳴らした。
……出ない。
ヒースクリフは舌打ちをした。
(クソ……まだ帰ってねえのかよ……)
実はこの訪問は今日に限った事では無かった。
昨日も一昨日も、一週間は連続で訪問していると言うのに家主はまだ帰っていないのだ。
そして一日の訪問もこの一回だけではない。
朝の6時、昼の13時にも呼び鈴を鳴らして出ないのだから一日中家に居ない筈だ。
あるいは気絶したように寝ているか、だが。
「ハァ……」
溜め息を吐き、ヒースクリフはその場に胡座をかいて座った。
4191時刻は20時。
普通の人間であれば迷惑に思う時間帯だが、ヒースクリフはそんな常識など関係無いと言うようにもう一回呼び鈴を鳴らした。
……出ない。
ヒースクリフは舌打ちをした。
(クソ……まだ帰ってねえのかよ……)
実はこの訪問は今日に限った事では無かった。
昨日も一昨日も、一週間は連続で訪問していると言うのに家主はまだ帰っていないのだ。
そして一日の訪問もこの一回だけではない。
朝の6時、昼の13時にも呼び鈴を鳴らして出ないのだから一日中家に居ない筈だ。
あるいは気絶したように寝ているか、だが。
「ハァ……」
溜め息を吐き、ヒースクリフはその場に胡座をかいて座った。
sauco_trigo
REHABILI東の魔法使いが嵐の谷で二組に別れて授業準備をする話。ヒースクリフとネロ、シノとファウストの会話。子供たち視点。「ほ、本当に探していいのかな」
「先生が探せって言ったんだからさ、んな気にすんなって」
宥められても手を出せないヒースクリフを見かねたネロが、苦笑混じりにヒースはこっちと棚を開けてくれる。躊躇いは継続しつつ敷居はぐんと低くなって、ほっとしながらありがとうと礼を口にした。
本人不在のまま先生の私物を漁る、どうにも気おくれしてしまう。けれど目的がはっきりしているのは確かだと、ヒースクリフはひとつ大きく息をして標本のようなものが並ぶ棚へと手を伸ばした。偉いと背を撫でてくれたネロの手が、優しくて頼もしかった。
授業の一環で、とある魔法薬を作ることになった。
ファウストは魔法舎での精製を前提としていたが、嵐の谷で作りたいとごねたのはシノだ。ファウストの家の近くで材料を見かけたことがある、現地調達できれば手っ取り早い。ヒースクリフは慌てて我儘を言うなと咎めたが、多少思案しつつファウストは思いのほか軽く承諾した。
8706「先生が探せって言ったんだからさ、んな気にすんなって」
宥められても手を出せないヒースクリフを見かねたネロが、苦笑混じりにヒースはこっちと棚を開けてくれる。躊躇いは継続しつつ敷居はぐんと低くなって、ほっとしながらありがとうと礼を口にした。
本人不在のまま先生の私物を漁る、どうにも気おくれしてしまう。けれど目的がはっきりしているのは確かだと、ヒースクリフはひとつ大きく息をして標本のようなものが並ぶ棚へと手を伸ばした。偉いと背を撫でてくれたネロの手が、優しくて頼もしかった。
授業の一環で、とある魔法薬を作ることになった。
ファウストは魔法舎での精製を前提としていたが、嵐の谷で作りたいとごねたのはシノだ。ファウストの家の近くで材料を見かけたことがある、現地調達できれば手っ取り早い。ヒースクリフは慌てて我儘を言うなと咎めたが、多少思案しつつファウストは思いのほか軽く承諾した。
GamE9joY
DOODLEAEDDコンビの落書きの続き、唐突に終わる設定や背景は一つ前のポイピク「脱走」参照
前回までのざっくりとしたあらすじ
とある研究所の一般公開エリアにある技術館に展示されていた展示用電気百足のヒースクリフは脱走した。そしてバックヤードの実験用電気百足のグレゴールと出会い、彼の水槽をかち割って出してやったのだ。グレゴールも満更じゃなさそうにバックヤードの一室から出たのだが……
続・脱走「……あ。」
「うおっ、なんだよ急に止まるんじゃねぇ!」
小柄で眼鏡をかけた壮年男性の姿だが右腕だけは本来の姿を模っている電気百足は、自身の閉じ込められていた部屋から数歩出て立ち止まる。続いて出た、釘バットを手にした傷だらけの青年の姿の電気百足は、すんでのところでぶつからずに済んだが代わりに苛立ちを口にした。
「いやぁ、な?」
彼の右腕は鎌首をもたげると、ウロウロと揺れる。
「行くあてがないんだ。どうすりゃいいかな。」
「そんなん知るか! ……あー……」
青年は思うと同時に口に出していた。しかし同属のよしみか、解放した責任を感じたのか、少し考えるように声を漏らす。
「何をしたいかでもいいんじゃねぇの。」
「ふぅん。」
2561「うおっ、なんだよ急に止まるんじゃねぇ!」
小柄で眼鏡をかけた壮年男性の姿だが右腕だけは本来の姿を模っている電気百足は、自身の閉じ込められていた部屋から数歩出て立ち止まる。続いて出た、釘バットを手にした傷だらけの青年の姿の電気百足は、すんでのところでぶつからずに済んだが代わりに苛立ちを口にした。
「いやぁ、な?」
彼の右腕は鎌首をもたげると、ウロウロと揺れる。
「行くあてがないんだ。どうすりゃいいかな。」
「そんなん知るか! ……あー……」
青年は思うと同時に口に出していた。しかし同属のよしみか、解放した責任を感じたのか、少し考えるように声を漏らす。
「何をしたいかでもいいんじゃねぇの。」
「ふぅん。」
GamE9joY
DOODLEAEDDコンビで書いてみたもの。研究所一般公開エリアの技術館に展示されていたヒースクリフと、研究所非公開エリアで研究・実験に使われていたグレゴールが、一緒に研究所を脱走する話。
AEDDコンビの設定
おおもとの電気百足から抽出された子ムカデ。
通常形態(百足の姿)、擬態形態(いわゆる通常ego)、暴走形態(いわゆる侵食ego)の3形態がある。普段は通常形態だが、人間とコミュニケーションを取ろう
脱走憂鬱な1日が始まる。
透明な壁を隔てた向こう側にやってくる老若男女は、何かを読んでは何かをいじるような動作をする。すると今いる空間が、途端に地獄へと変わるのだ。ある時は水に、ある時は自分の発するものではない電気に襲われる。痛みや不快感にのたうち回っていると、向こう側の人間たちの感嘆の声が聞こえ、頭を向ければ驚きや喜びといった表情をしているのが目に入った。気に食わなくて頭を壁にぶつけて脅してやればビビったような素振りは見せるものの、壊せないのを知っているのかどこか余裕が見て取れ、余計に不快感が増すのみで。人がいなくなる頃には疲れて何かをしようという元気もなく、ただ残りの時間を回復のために大人しく過ごすしかなかった。
1930透明な壁を隔てた向こう側にやってくる老若男女は、何かを読んでは何かをいじるような動作をする。すると今いる空間が、途端に地獄へと変わるのだ。ある時は水に、ある時は自分の発するものではない電気に襲われる。痛みや不快感にのたうち回っていると、向こう側の人間たちの感嘆の声が聞こえ、頭を向ければ驚きや喜びといった表情をしているのが目に入った。気に食わなくて頭を壁にぶつけて脅してやればビビったような素振りは見せるものの、壊せないのを知っているのかどこか余裕が見て取れ、余計に不快感が増すのみで。人がいなくなる頃には疲れて何かをしようという元気もなく、ただ残りの時間を回復のために大人しく過ごすしかなかった。
柚月@ydk452
DONEヒス晶♂SS雨の日の朝目を覚ますと、ほんの少しの寒さが晶を迎えた。いつもの時間よりも早くて、どうして目覚めてしまったのだろうかと考えるも、すぐに答えが出る。
(あ…雨だ…。)
窓ガラスに当たる音は優しく、曇天が作り出す暗がりのせいか、世界に閉じ込められた気分になった。なんとなく外の空気を吸ってみたくなり、ベッドから起き上がる。素足を通して感じる床の冷たさは、ほんの一瞬だけ。ゆっくりと窓ガラスを開けると、思い通りの湿った空気が部屋を満たした。雨粒が当たる音は不規則だが、木々や葉から垂れる時、はたまた屋根から落ちる際は一定だ。どこかから蛙の鳴く声もするし、羽を休めて歌っている鳥もいる。
この世界に来て、こんなにも自然を感じる事ができるなんて。元の世界では憂鬱でしかなかった事象も、今や歓迎するまでになっている。
2830(あ…雨だ…。)
窓ガラスに当たる音は優しく、曇天が作り出す暗がりのせいか、世界に閉じ込められた気分になった。なんとなく外の空気を吸ってみたくなり、ベッドから起き上がる。素足を通して感じる床の冷たさは、ほんの一瞬だけ。ゆっくりと窓ガラスを開けると、思い通りの湿った空気が部屋を満たした。雨粒が当たる音は不規則だが、木々や葉から垂れる時、はたまた屋根から落ちる際は一定だ。どこかから蛙の鳴く声もするし、羽を休めて歌っている鳥もいる。
この世界に来て、こんなにも自然を感じる事ができるなんて。元の世界では憂鬱でしかなかった事象も、今や歓迎するまでになっている。
okusen15
DONE【ヒス晶♀】厄災の完全討伐に成功するも、元の世界に帰れずまほやくの世界に取り込まれた晶(作中ではアキラ)と領主になったヒースクリフのバチバチ身分差恋愛です!!!大丈夫な人のみどうぞ 6096mavi
DOODLE愛憎とヒースクリフ20211110「あの」
の、一語を発した後、ヒースクリフは俯いて黙り込んでしまった。呼びかけというよりは、自分を奮うために声に出してみたような響きの「あの」だ。彼の決意を台無しにしないように、シャイロックは金色の長い前髪と見つめ合って待つことにした。
賢者の魔法使いの中には、まさに<大いなる厄災>の襲来する一夜にしか姿を見せない者もいるが、シャイロックは前後の幾日かは魔法舎に滞在して、一夜の仕事仲間たちと交流を持つことが多い。紋章が消えるか、あるいは紋章が刻まれた身体が石になるまで毎年顔を合わせるとなれば、自然愛着が湧く。たとえ選ばれたばかりの者であっても、長い付き合いになるという見通しが、シャイロックに愛着を抱かせる。
3243の、一語を発した後、ヒースクリフは俯いて黙り込んでしまった。呼びかけというよりは、自分を奮うために声に出してみたような響きの「あの」だ。彼の決意を台無しにしないように、シャイロックは金色の長い前髪と見つめ合って待つことにした。
賢者の魔法使いの中には、まさに<大いなる厄災>の襲来する一夜にしか姿を見せない者もいるが、シャイロックは前後の幾日かは魔法舎に滞在して、一夜の仕事仲間たちと交流を持つことが多い。紋章が消えるか、あるいは紋章が刻まれた身体が石になるまで毎年顔を合わせるとなれば、自然愛着が湧く。たとえ選ばれたばかりの者であっても、長い付き合いになるという見通しが、シャイロックに愛着を抱かせる。
あいぐさ
TRAININGヒースクリフが潜入捜査で学校に身分を隠して編入して、厄介なモブに絡まれる話無常 その日、この学校に一人の編入生がやってきた。
「ヒース・シャーウッドです。よろしくお願いいたします」
自信なさげで、それでいて優しげな声。長い前髪とメガネで根暗そうな見た目であるものの、どこか上品ですっきりとした雰囲気が漂う。
珍しい編入生、聞いたことのない家柄。きっと関わってもいいことはないだろう。きょろきょろと不安げに辺りを見回す彼を、俺は冷めた目で見つめる。
なんとなく、気に入らない。それが、第一印象だった。
それから数日、俺は編入生のことが気に入らないから嫌いになった。
いつだって一番だった俺の点数は、あいつに呆気なく抜かされた。あの男が困ったように笑えば、女どもが頬を染めて喜んでいる。
1868「ヒース・シャーウッドです。よろしくお願いいたします」
自信なさげで、それでいて優しげな声。長い前髪とメガネで根暗そうな見た目であるものの、どこか上品ですっきりとした雰囲気が漂う。
珍しい編入生、聞いたことのない家柄。きっと関わってもいいことはないだろう。きょろきょろと不安げに辺りを見回す彼を、俺は冷めた目で見つめる。
なんとなく、気に入らない。それが、第一印象だった。
それから数日、俺は編入生のことが気に入らないから嫌いになった。
いつだって一番だった俺の点数は、あいつに呆気なく抜かされた。あの男が困ったように笑えば、女どもが頬を染めて喜んでいる。
yamikoume
MAIKINGカイヒス・まほやく時間軸だけど厄災のこととか傷とか考えてない
・ヒースクリフに人間の奥さんと子供がいた(死別)
・時間的には200年後くらいを想定
・作者の性癖によりヒースクリフには髪を伸ばしていただいた
・最終的にハピエンになる話の途中。盛り上がる前のところで力尽きた
・読み返してないからおかしなところ多数。許して。
・カインとヒースは一度別れてる 13026
Daisy_mhyk
DONE『ブランシェット城居間に飾られている、ヒースクリフ3歳の肖像画』をイメージして描きました。私の画力では油彩の風味とヒースの天使さを表現しきれませんでした…。ふんわり、雰囲気を感じて頂ければ幸いです…🙈
tono_bd
DOODLEある時から女体化の変身魔法を続けているファウストについて、ヒースクリフ視点で語ってもらいました。妊娠・出産の話です。
※ある年の大いなる厄災の襲来で犠牲者が出ている旨の表記有り。誰が死んだとかは明記しておりませんが、死ネタを含んでいます。苦手な方はお気を付け下さい。
※フィガロのフィの字も出ません。
ヒースクリフによる独白 暫く前からファウスト先生が女体をとっている。
普段から体型の出にくいキャソックにマフラーを掛けていたから見た目には大きな違いが無いが、僅かに縮んだ背丈や一回り小さくなった手の平、喉仏が消えて高くなった声は隠せていない。そもそもファウスト先生本人は隠そうとしていないのだと思う。ただいつも通りに振舞っているだけなのだ。ファウスト先生は何もその体の事を説明はしなかったけれど、俺達も無理に聞き出そうとはしなかった。いの一番に問い詰めそうなシノですら、「変身魔法のやり方を教えろ」と講義を希望するだけだった。
俺達は東の魔法使いだから。突然の変化に驚いたり、騒ぎ立てる事はしない。でも西の魔法使い達だって、ファウスト先生の体の事は誰も核心の部分は触れなかった。変身魔法が得意なムルは面白がって一時期女体で過ごしていたが、それも半月もすれば飽きてしまっていた。
3789普段から体型の出にくいキャソックにマフラーを掛けていたから見た目には大きな違いが無いが、僅かに縮んだ背丈や一回り小さくなった手の平、喉仏が消えて高くなった声は隠せていない。そもそもファウスト先生本人は隠そうとしていないのだと思う。ただいつも通りに振舞っているだけなのだ。ファウスト先生は何もその体の事を説明はしなかったけれど、俺達も無理に聞き出そうとはしなかった。いの一番に問い詰めそうなシノですら、「変身魔法のやり方を教えろ」と講義を希望するだけだった。
俺達は東の魔法使いだから。突然の変化に驚いたり、騒ぎ立てる事はしない。でも西の魔法使い達だって、ファウスト先生の体の事は誰も核心の部分は触れなかった。変身魔法が得意なムルは面白がって一時期女体で過ごしていたが、それも半月もすれば飽きてしまっていた。
むにや
DOODLEヒースクリフを結構練習して描いてて本当にバランスとれなくて泣いてたもう開き直って自分の絵柄で無理せず描こう~♪ってなりました
ベッドの中で雨の音を聴くとリラックスする…という感性がとても繊細で静かで素敵すぎる この感性壊したくねえ!守りてえ!(何?)
いなばリチウム
DONE晶くんオンリー4展示その2。おしゃべりなローズネタと続いてます。恋人になった晶くん×ヒースクリフその後。ぶるぶるローズネタですが震えを止めてくれるのはカインです。(ネタバレ)
初めての この世界には、少し口にする分には問題ないけど、分量を間違えると恥ずかしい目に遭う食べ物というのがいくつか存在する。その内の一つが《おしゃべりなローズ》で、俺はつい最近まさに大変な目に遭ったばかりだ。結果的に、片思いだと思っていた人と実は両想いだったことが分かったので、悪いことばかりではなかったけれど、それでも思い出せば顔から火が出るくらい恥ずかしい経験ではある。
そして、やっぱりローズの種類で、《ぶるぶるローズ》という、食べ過ぎると震えが止まらなくなり、誰かに抱き締めてもらわなければ止まらないという、大変なバラがあるらしいと知ったのも最近のことだ。けれどそれも料理に使うと良いアクセントになるというので、同じ過ちは繰り返すまいと、念入りに分量を量り、もちろん自分の分は味見した量も計算して取り分け、ローズのテリーヌを魔法使い達に振舞った。中には止める間もなくたくさん食べて震えが止まらなくなったブラッドリー(対処法を伝えた後すぐにくしゃみでどこかへ飛んで行ってしまった)や、むしろ知った上でたくさん食べて笑いながら震えていたムル(ひとしきり震えた後、「あきた!」と言ってシャイロックに飛びついていた)もいたけれど、概ね問題はなかった、はずだった。オーエンが、俺の口元にフォークを押し付けるまでは。
4431そして、やっぱりローズの種類で、《ぶるぶるローズ》という、食べ過ぎると震えが止まらなくなり、誰かに抱き締めてもらわなければ止まらないという、大変なバラがあるらしいと知ったのも最近のことだ。けれどそれも料理に使うと良いアクセントになるというので、同じ過ちは繰り返すまいと、念入りに分量を量り、もちろん自分の分は味見した量も計算して取り分け、ローズのテリーヌを魔法使い達に振舞った。中には止める間もなくたくさん食べて震えが止まらなくなったブラッドリー(対処法を伝えた後すぐにくしゃみでどこかへ飛んで行ってしまった)や、むしろ知った上でたくさん食べて笑いながら震えていたムル(ひとしきり震えた後、「あきた!」と言ってシャイロックに飛びついていた)もいたけれど、概ね問題はなかった、はずだった。オーエンが、俺の口元にフォークを押し付けるまでは。
いなばリチウム
DONE晶くんオンリー4展示です。晶くん×ヒースクリフ片思いからのハプニング。おしゃべりなローズネタです(お察し)
双子も出る。
そんなところもだいすきです きっと一目惚れだったと思う。同時に、一目惚れ、とあまりにも簡単な一言で表してしまっていいものか、と頭を悩ませてもしまうけれど。
猫が騒ぐ、明るい満月の夜に、俺はこの世界にやってきた。夢みたいな出来事の連続で、そんな状況だったから余計に目に焼き付いたとも言える。初めて出会った魔法使いは二人だった。どちらにも目を奪われたけど、俺の腕を引いた冷たい指の感触を、俺の視線から逃げるように俯いたヒースクリフの綺麗な横顔を、今でも昨日のことのように鮮明に思い出せる。もちろん、その時は彼の顔をじっくり見るような余裕も図々しさもなかったけれど、映画の一コマ一コマのように、脳裏に焼き付いているのだ。美術品のように整った横顔、明かりに照らされてうっすらと輝く髪、宝石みたいな美しい瞳。初めて会った時、その肌は作りもののように青白く、だから余計に美術品みたいだと思ったけれど、魔法舎で生活するようになってからは、彼の年相応の純朴さだとか、控えめな性格だとか、かと思えば大胆な行動に出るところもあるのだとか、頬に赤みがさしている時の方が人らしくて可愛いとか、そういうことを知っていった。それからやっぱり、何をしていても綺麗で、でも彼は美術品ではないから、ふとした瞬間にこちらを向いてはにかんだり、声をあげて笑ったりするので、その度に心臓はドキドキとうるさくなる。
5226猫が騒ぐ、明るい満月の夜に、俺はこの世界にやってきた。夢みたいな出来事の連続で、そんな状況だったから余計に目に焼き付いたとも言える。初めて出会った魔法使いは二人だった。どちらにも目を奪われたけど、俺の腕を引いた冷たい指の感触を、俺の視線から逃げるように俯いたヒースクリフの綺麗な横顔を、今でも昨日のことのように鮮明に思い出せる。もちろん、その時は彼の顔をじっくり見るような余裕も図々しさもなかったけれど、映画の一コマ一コマのように、脳裏に焼き付いているのだ。美術品のように整った横顔、明かりに照らされてうっすらと輝く髪、宝石みたいな美しい瞳。初めて会った時、その肌は作りもののように青白く、だから余計に美術品みたいだと思ったけれど、魔法舎で生活するようになってからは、彼の年相応の純朴さだとか、控えめな性格だとか、かと思えば大胆な行動に出るところもあるのだとか、頬に赤みがさしている時の方が人らしくて可愛いとか、そういうことを知っていった。それからやっぱり、何をしていても綺麗で、でも彼は美術品ではないから、ふとした瞬間にこちらを向いてはにかんだり、声をあげて笑ったりするので、その度に心臓はドキドキとうるさくなる。
あいぐさ
TRAINING差し入れするヒースクリフとファウストの話師に差し入れを、幼馴染に軽口を 満点、ぎりぎり追試回避、追試。赤のペンをくるりと回しながら、ファウストはため息をはく。
暗記系の問題を出すと、大体結果はこうなる。自分よりも歳を重ねた彼は、どうも暗記が苦手らしい。
任務、先生会議、そして任務。忙しい今週の日程にテスト作りのタスクが一つ増えた。どうせなら、追試は彼のためだけのテストを作ってやりたい。生真面目なファウストはこめかみをぎゅっと摘む。
「……先生?」
耳に届いたのは控えめに自分を愛称で呼ぶ声だ。視線を上げると、そこには二つのコップを持ったヒースクリフがいた。
「よかったらどうですか?」
恥ずかしそうに微笑み、彼は両手のコーヒーを少しだけ持ち上げる。
「ありがとう、いただくよ。きみも座りなさい」
846暗記系の問題を出すと、大体結果はこうなる。自分よりも歳を重ねた彼は、どうも暗記が苦手らしい。
任務、先生会議、そして任務。忙しい今週の日程にテスト作りのタスクが一つ増えた。どうせなら、追試は彼のためだけのテストを作ってやりたい。生真面目なファウストはこめかみをぎゅっと摘む。
「……先生?」
耳に届いたのは控えめに自分を愛称で呼ぶ声だ。視線を上げると、そこには二つのコップを持ったヒースクリフがいた。
「よかったらどうですか?」
恥ずかしそうに微笑み、彼は両手のコーヒーを少しだけ持ち上げる。
「ありがとう、いただくよ。きみも座りなさい」
mayynatsukk
DONE最近晶ちゃんに元気がないと思っていたヒースクリフが彼女の悩みを知って解決しようとする話。「つまり、賢者様は想い人がいらっしゃる、ということです、ね?」
それを知ったヒースクリフの行動は…。
晶→ヒースクリフ→晶視点で話が進んでいきます。
限りなくきみに近い存在 散歩で行った原っぱで見つけた白い可憐な花。一本取って、花びらを撫でた晶は、無意識にその花びら一枚抜いていた。いや、一枚だけではなかった。
「好き、嫌い、好き、嫌い……」
花占いなんていつぶりだろうか。そんな可愛らしい行動をする自分がいる微笑ましく思う自分と冷ややかな目をする自分がいることに気付く。それでも自分の中にある少しの乙女心には逆らえなかった。
たとえこれが「嫌い」で終わったとしても、それが本当だとは限らないことは知っている。けれど、こうして行動をしている自分の乙女心を大切にしたいと思ったのだ。
「嫌い」最後の一枚が虚しく芝生の上に落ちる。「ええっ⁉」
たとえこれが「嫌い」で終わったとしても──……そう思っていた気持ちはどこへやら。全く持ってそんなことはなく、晶はがっくしと肩を落とした。
8095「好き、嫌い、好き、嫌い……」
花占いなんていつぶりだろうか。そんな可愛らしい行動をする自分がいる微笑ましく思う自分と冷ややかな目をする自分がいることに気付く。それでも自分の中にある少しの乙女心には逆らえなかった。
たとえこれが「嫌い」で終わったとしても、それが本当だとは限らないことは知っている。けれど、こうして行動をしている自分の乙女心を大切にしたいと思ったのだ。
「嫌い」最後の一枚が虚しく芝生の上に落ちる。「ええっ⁉」
たとえこれが「嫌い」で終わったとしても──……そう思っていた気持ちはどこへやら。全く持ってそんなことはなく、晶はがっくしと肩を落とした。