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    前日譚

    isu_kukuritsuke

    INFO6/4
    【You Know Something?】
    B6/novel/128P/装丁いろいろ
    ザ・バットマン+TENET
    映画(ざば)本編より二年と少し前。よく似た顔の彼らと執事のはなし。
    ※Before The Batman: An Orginal Movie Novel(前日譚小説)とArtbookの内容を含む
    !お届け6月下旬となります
    【レカペ2】本文sample/You know something1 アルフレッド・ペニーワースの朝は早い。
     使用人としては広すぎる(と言ってもこの広すぎるペントハウスにはもうずっと、彼ともう一人しか勤めてなく、かの主人は狭い部屋を好んでいる)部屋のカーテンを開けた。朝日へ目を細める必要はなかった。広い窓から差し込む日は弱く、ゴッサム・シティは本日も曇天である。
     サヴィル・ロウ・スタイルの三揃えが彼のトレードマークであった。皺のないカッターシャツにベスト、ズボンは丹精を込め彼自身で毎日プレスされている。来客もなく誰にしめすでもないが、彼の姿はウェイン家の執事という自負の強さそのものであった。
     本日の気分に合うクラシックを流し、コーヒーを豆から挽いて淹れ、それを片手に朝刊を開く。これまた執事としては穏やかな朝の時間。主人の起床時間は時計の長針が天辺に近づいた頃である。手首にある時計は九時を示しており、ある意味始業前、自由時間とも言える。しかしこのタワーで暮らすアルフレッドにとって、仕事とプライベートという区分はないに等しい。特段、この二十年近くは。彼の人生の大半は、ウェインと共にあると言っても過言ではない──彼の使命も同様に。
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    ngmch_

    MOURNING「手のかかること」収録
    現パロ設定ファーベリ
    既作のパラロスバンドパロ「ラスト・パレード」(ポイピク収録済)の前日譚
    血は出てませんが、不愉快な発言が少しあります。
    わたしを少し、置いて帰るよ「ああ、あの魔女が飲む煮汁のような茶のことか?」
    「フフフ、いい感性だね、ファーさん。ルイボスティーだよ。マンゴーとシトラスの香りを施してある。冷やして飲むと美味しいだろう?」
    「その香りは雑味だ。ただの水分補給に余計なものは要らん」
    「オレから雑味を引いちまったら何が残るんだい。さあ、オレといる間はこの茶を飲んでもらうぜ。どうせ普段はコーヒー、エナドリ漬けなんだろう?これはノンカフェインで、その点でもちょうど良いのさ」


     冷蔵庫を開けると、サプリメントとゼリー飲料とタバコ(冷やす必要は全くない。ただ、部屋にものを増やすたび捜索が面倒になるので、一番分かりやすい冷蔵庫にしまうことにしている)しか入っていないはずのそこに、銀の水差しが加えられていた。長らく使っていなかった割には綺麗で曇りないその入れ物には、例の茶がたっぷりと用意されている。合鍵を欲しがったので好きにしろと伝えてはいたが、どうやら俺の留守中に仕込んで帰ったらしい。その証拠に、床に散らばっているはずの衣服が今は窓際のハンガーラックで大人しく整列している。近づくと、熱帯の海辺の、それも日陰に咲く花みたいな匂いが残っていた。あいつの香水だ。いつもあいつからは派手なくせに陰気な匂いがする。ここにあるものは全て俺の所有物だ。他所から持ち込んだものを良く思わないのは、ベリアルもよく承知のはず。普段なら髪の毛一本ですら、気づけば蓋付きのくずかごへ捨てていく。それなのに、今日は冷蔵庫の中にまで、あいつは自分の破片を残していったのだ。小賢しい振る舞いだけは上手にこなす飼い猫め。
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