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    まちこ

    MOURNINGただジャミルに爪を切ってもらってる「あの、自分で切ります・・・」



     彼女の言葉を無視して、白くて細い指を取り爪切りで伸びた部分を切る。ぱちん、ぱちん、静かな部屋に爪を切る音が響く。自分の肌と並んだ彼女の手は雪のように真っ白に見えた。


     一年との合同の実験の授業中、ペアになって授業を受けていた彼女の手に液体が飛んだ拍子に勢いよく上げられて、指が頬を掠めると爪が引っかかったところに薄いみみず腫れを作った。どうということもないのに傷を作ったということで何度も謝る彼女にそれなら、と提案したのが俺が爪を切るということだった。オンボロ寮に爪切りはないらしいし、どうせ今晩はグリム共々スカラビアに泊まりに来ることになっている。いや、貸していただけるだけで・・・と何度も言っていたけど全て聞こえないふりをした。

     ホリデー中に泊まった部屋でグリムが寝てしまったころ、彼女は俺の部屋にやってきた。支給されたパジャマは大きいようで裾を何度か曲げている。まだしっとりと濡れている髪を耳にかけて、やっぱり貸していただけると・・・と言ってきたがもう一度わざとらしく聞こえないふりをした。



    「爪がきれいに整っていると生活もしやすくなる」
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