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    辛い

    11_sakutaro3

    CAN’T MAKE何も分からん。ディミトリ……幸せにできなくてごめん……辛い時に側にいてやれなくてごめん……
    茶会バトル「なあドゥドゥー。この紅茶、何か・・・・・・」
    「お口に合いませんでしたか、陛下」
    「いや良い香りだ。しかし、上手く言えないんだが、何か引っかかるというか」
     執務の休憩にと侍女に勧められた紅茶を飲んでいたディミトリは言葉を選びながら従者の方を見た。ドゥドゥーは強面を一瞬怪訝そうに顰めたが、すぐに困ったように眉を下げる。主君の言う引っかかりはドゥドゥーも僅かに感じていたものだった。
     ドゥドゥーがディミトリと同じものを食すことは士官学校を出て国王の座についてから殆ど無い。毒味か、時折深夜、友人同士の顔になって開かれる茶会か晩酌か分からないような席か、とにかくその程度のもので、今回も主君と同じ紅茶を彼も飲んだわけではなかった。しかし、とドゥドゥーは心持ち深い呼吸をする。カミツレの茶葉の香り高い芳香は紅茶の中でも指折りと言える。茶に疎いドゥドゥーにとってもその芳しい香りは確かに感じ取れたが、同時に違和感があった。胸を満たすのは言い得ぬ懐かしさであり、しかしそれは不思議と虚しさを掻き立てた。
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    TRAINING4/9ワンライ
    お題【鬱血/閉世界仮説/フラスコ】
    さしすがちょっと辛い任務にあたるお話です。しゃべっているのは五条と夏油だけです。仄暗い感じです。
    光を灯す 桜が散ろうとする頃、フラスコや、シリンダーが並ぶ部屋にその少女はいた。手錠をかけられて机に繋がれた腕は鬱血していて、だが彼女は明るくこう言った。
    「お兄さん、あの方は?」
     あの方はどこに行ったのです? 約束したのに。
     俺はその問いにすぐに答えられなかった。答えたのは傑だった。あなたの言うあの方は私たちに捕らえられました(私たちが殺しました)。さぁ、怪我を治してもらいましょう。傑の言葉を聞いていた硝子が足を踏み出す。俺はそれを見ていられず、することも出来ることもなく、連続殺人犯のアジトから出たのだった。
     
     
     呪術師の娘が連続殺人犯、正しくは呪詛師にさらわれたのは、今から一週間前のことだった。俺たちがそれを助け出したのは昨日の話。彼女の残穢をたどって探し出したから任務はそう難しくなく、むしろこんな簡単な仕事を他の呪術師が早急にしなかったことが不思議だった。ただ呪詛師は呪いをかけていたから、最強の俺たち以外の他の呪術師は、そのトラップにひっかかったのかもしれない。それより不思議なのは、少女が今も男を待っているということだ。伝え聞いたところによると、彼女は例の男をいまだに慕って待っているらしい。高専に戻って食事をとって傑の部屋に帰る途中、まるでロミオとジュリエットみたいだなって言う彼に、俺はロマンチストすぎると友人の部屋の扉を開きながら言った。
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