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    食事

    blackrose2890

    MEMOさっき食事の時間に種無しブドウを洗っていて、この短編小説を思いついた。

    あなたはラファとデルに葡萄を食べさせています。その後、彼らもあなたにブドウを食べさせます。

    この物語を気に入っていただけるかどうかわかりませんが、お読みいただきありがとうございました。
    ブドウシンクでブドウの房を洗っていると、私の背後にラファが現れ、力強い腕で私の腰を包んだ。彼はブドウが欲しいと言うので、私はボウルからブドウを取り出し、彼の唇のそばに置いた。私は彼を見上げ、彼は私を見下ろす。彼はゆっくりと葡萄を噛む。果汁が溢れ出し、私の指を伝って滴り落ちる。彼の舌は果汁を追いかけ、ゆっくりと私の指を吸い、舐めてきれいにする。

    私はもう一粒のブドウを手に取り、もう片方の手で彼に食べさせる。噛む、吸う、舐める。私は何も言わずにブドウを食べさせたが、その静寂は低い口笛で破られた。それはデルだった。すぐ近くに立っていて、フードをかぶった目で私たちを見つめている。

    彼の飢えを前にして、私はもう1粒のブドウを手に取り、彼に差し出した。彼は前に進み、ラファは抱擁を緩めることなく私の左側に移動した。デルは私の右側に立ち、同じように私に腕を回す。彼はついにブドウを口に含み、その間私の指にキスをしたり舐めたりしている。私はラファと同じ量のブドウを食べさせたが、ボウルにブドウが残り少なくなっているのを見て止めた。
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    dentyuyade

    DONE食事に関する長編。美味しいって何か、考えたら立ち止まってしまう話。
    貴方の食事に焦がれて止まない「ねえ。男の人ってさ、どんな感じ?」
    「……ええ」
    どんな感じって、言われても。小さい顔に備えられた大きな瞳がぱちくりと瞬いて見上げてくるのを、笠田はいなすこともできずに間延びした声を上げる。沈黙に呼応するようにして伝わっていく珈琲の熱が、じんわりと痛みすら与えてくるようだった。当惑も熱のように伝搬する。笠田の眉尻を下げた姿に何か察したのか、引き結ばれていた唇が緩められ「あー」とソプラノを映すのを、笠田はどこか夢見心地で見ていた。
    「なんかさ、あるじゃん。男の人の、感じ」
    「いや、ないだろうそんなものは」
    「えー……わかんないかな。なんか」
    「……わからないよ。感じって、抽象的すぎる」
    口数が少ないわけではない。ただただ、カケルの言葉はいつも足りていない。伝わらないのだ。これが果たして女子高生全般に言えることなのか、それともカケルがおかしいのか、笠田は判断がつかなかった。少なくとも自身が高校生だったころは、もう少し話ができる生き物だったように思うが。それとも生きた年数分だけ言葉が伝わらなくなってしまうのか。いけるって、と適当なことを言ってずずっとコーンポタージュを飲むカケルに、笠田は何とも言えぬ感情を抱いた。
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