KGM
愛を叫ぶ酢橘
DONE𝟸𝚓𝟹𝚓 二次創作 kgm誕生日SS※rfmo兄弟パロ
※年齢操作有り
(kid&fw23、kgm19、knmc16)
※ysr、chik、fyk、yrmが少し出ます
遠慮しなくて良いんだよ 28
愛を叫ぶ酢橘
DONE𝟸𝚓𝟹𝚓二次創作※kgmとkidの過去捏造有り
※kgmの精神が一時的に幼くなります
(小学生くらい)
メイン…kgm、kid
knmc,fw,ysr,chikが少し出ます
―あれは嫌ったんじゃないんだ―
pw「memory」 26
心空めう
DONE※オバフロ軸/幼なじみ設定大企業の息子であるkgmに外の世界のことを沢山教えて笑顔にしてきたfw。
でもそれが実は次期社長になるkgmの邪魔になっているんじゃないか?と
大人になるにつれて思うようになりkgmから離れようとしている…という妄想。
kgmさんの身長・体重(5桁) 2
ょ!!!!!
PASTmcの某実況解説衣装と、それとどこか似ているkgmさんの衣装のお話。rfmo全員出ますがkgmmcメインになります。なんか似てるね〜ってお話してるだけ。当然の如く捏造。
プロフィール欄の注意事項、上記を踏まえた上でお進み下さいませ(y / n) 3325
Asahikawa_kamo
DONEオーマで医者やってるidと12歳で身体年齢が止まったmcと敬語が使える5歳kgmとわんぱく9歳fwの話。大遅刻ハロウィンネタです。あと家庭教師してるolvもいます。
続きもので前作は支部( https://www.pixiv.net/novel/series/11342157 )にて。こちらも季節ものなのである程度溜まったら削除して支部に行く予定です。
ハロウィンネタ「オリバーせんせー」
「ん? どうしたの、不破くん」
「これなに?」
「これ?」
何の変哲もない、秋の夜長を肌身で感じられるようになったある夕暮れ時のこと。いつものように甲斐田家では家庭教師兼甲斐田不在中の仮保護者として、オリバーが三人の子供たちの面倒を見ている最中だった。今日の勉強を途中でほっぽり出した後に休憩として少し席を外していた不破が、唐突に何かをオリバーの元へ持ってきたのである。
これ、と称されたものにオリバーが視線を向けると、そこには小学生向けの本が開かれていた。以前、オリバーがいつも勉強を頑張っている不破と加賀美へと幾つか本を見繕って持ってきたことがあったのだが、どうやらその中の一冊であるようだ。桜魔皇国外の国々にしかない珍しいお祭りをかわいらしい絵や写真でまとめたその本の見開きには、とある国で丁度この時期に行われているひとつのイベントについて描かれてあった。
3682「ん? どうしたの、不破くん」
「これなに?」
「これ?」
何の変哲もない、秋の夜長を肌身で感じられるようになったある夕暮れ時のこと。いつものように甲斐田家では家庭教師兼甲斐田不在中の仮保護者として、オリバーが三人の子供たちの面倒を見ている最中だった。今日の勉強を途中でほっぽり出した後に休憩として少し席を外していた不破が、唐突に何かをオリバーの元へ持ってきたのである。
これ、と称されたものにオリバーが視線を向けると、そこには小学生向けの本が開かれていた。以前、オリバーがいつも勉強を頑張っている不破と加賀美へと幾つか本を見繕って持ってきたことがあったのだが、どうやらその中の一冊であるようだ。桜魔皇国外の国々にしかない珍しいお祭りをかわいらしい絵や写真でまとめたその本の見開きには、とある国で丁度この時期に行われているひとつのイベントについて描かれてあった。
Asahikawa_kamo
DOODLE少女0kgmとslowダウナーid。 ──先生。そう口にした声は、息にも音にもならなかった。静謐さをどこまでも湛え続けているだけの無機質な室内の中で、椅子へと身体をたっぷり預けたその白衣は瞼を落として眠っているかのような横顔を落とし続けている。
冷たいグレーの石壁には所狭しと標本が飾られていた。青、紫、赤、緑、虹色、ホログラム。鮮やかなインクを落としたような薄い翅を細く痛みなどなさそうなピンで留め、飼い殺された蝶々達が呼吸もなく息衝いている。傷一つない美しさは確かに胸を貫かれていて、生命は既に死んでいる。自分もいつかああなるのだろうかと壁に視線を這わせていると、ぎちりと目の前から音が鳴った。静寂は、割り落とされる。
「……加賀美くん?」
865冷たいグレーの石壁には所狭しと標本が飾られていた。青、紫、赤、緑、虹色、ホログラム。鮮やかなインクを落としたような薄い翅を細く痛みなどなさそうなピンで留め、飼い殺された蝶々達が呼吸もなく息衝いている。傷一つない美しさは確かに胸を貫かれていて、生命は既に死んでいる。自分もいつかああなるのだろうかと壁に視線を這わせていると、ぎちりと目の前から音が鳴った。静寂は、割り落とされる。
「……加賀美くん?」
Asahikawa_kamo
PAST世界終焉、記者をやっているidが最後の日まで世界と人々を見つめる話パート②です。今回は玩具会社社長のkgmの話。
記者id② 所詮根拠のない宗教家の預言。世間はもちさんの動画をそう定義付けた。世界は相変わらず回り続けるし、七日後に滅ぶなんてこともありやしない。信じたい人間だけ怯えていればいいだろうという残酷にも冷めた認識は、動画公開の翌日いっぱいかけて大体の人の総意となったようだった。
僕の方はというとやはり相変わらずというか、もちさんが終わると言うならまあ終わるんだろうというぼんやりとした意識の中で変わらずに仕事を続けていた。とはいえ七日後に世界が終わってしまうのなら、それより後の予定なんて入れていてもなあと新規の仕事は取らず、積もり積もっていた取材をまとめて記事にするため家に籠っていることの方が殆どで、世間は日常に戻りつつあった、はずだった。
6041僕の方はというとやはり相変わらずというか、もちさんが終わると言うならまあ終わるんだろうというぼんやりとした意識の中で変わらずに仕事を続けていた。とはいえ七日後に世界が終わってしまうのなら、それより後の予定なんて入れていてもなあと新規の仕事は取らず、積もり積もっていた取材をまとめて記事にするため家に籠っていることの方が殆どで、世間は日常に戻りつつあった、はずだった。
Asahikawa_kamo
PAST拠点を敵に襲撃されたつ🅰️面子と、それを助けに行くkgmの話です。ぼくらのを聞いてずっと書きたかった話。捏造しかないです。⚠️曲着想、捏造設定、面子の怪我描写有、だいぶご都合展開。
思えば宇佐美にとって、それは初めからおかしな事件であった。
事務所とも提携を結んでいるヒーローたちの本部から朝イチで入った連絡は、聞けばとある敵組織が水面下で何か大きなことを起こそうとしているらしいという、さもざっくりとした話だった。なんだそのふわふわした感じ、と宇佐美的には思っていたものの、報告に挙がっていた組織自体が過去何度もドンパチをしたことのあるそこそこでかいものであったため、放置もしてられないだろうという話から、先んじて情報収集のために叢雲と星導が敵アジトへと潜入捜査を試みていた。情報が上がり次第作戦を立てて潰してしまおう、そんな話をしていたはずだったのだ。
叢雲と星導が捜査を始めてわずか半日ほど。彼らは傷ついた姿で拠点へと帰ってきた。それも、武器まで壊された状態で。
5832事務所とも提携を結んでいるヒーローたちの本部から朝イチで入った連絡は、聞けばとある敵組織が水面下で何か大きなことを起こそうとしているらしいという、さもざっくりとした話だった。なんだそのふわふわした感じ、と宇佐美的には思っていたものの、報告に挙がっていた組織自体が過去何度もドンパチをしたことのあるそこそこでかいものであったため、放置もしてられないだろうという話から、先んじて情報収集のために叢雲と星導が敵アジトへと潜入捜査を試みていた。情報が上がり次第作戦を立てて潰してしまおう、そんな話をしていたはずだったのだ。
叢雲と星導が捜査を始めてわずか半日ほど。彼らは傷ついた姿で拠点へと帰ってきた。それも、武器まで壊された状態で。
Asahikawa_kamo
PAST軍団長kgmと同軍参謀長のmcのkgmmcです。突然始まって突然終わります。思い切りではないですが欠損表現があります。
『エラー、サンマルゼロゼロ。エラー、サンマルゼロゼロ。エラー、サンマルゼロゼロ。右上腕欠如。左眼窩陥没、及び左眼認識反応無。類似カテゴリ識別認証機能停止。疑似血液四十パーセント喪失。プログラム再構築を推奨します。繰り返します、エラー、サンマルゼロゼロ。エラー、サンマルゼ、』
「喧しいですね。この程度で私が死ぬとでも思いましたか」
確かに、死んだと思った。最強を欲しいままにしていた第二十三軍のトップである、加賀美隼人軍団長。おおよそ軍の中でも一番強いであろうその軍団長でも、腕を飛ばされ左目を潰されてしまえば、最早立っていようとも死んだと言えるのではないかと。後から駆け付けた僕でさえ、あの軍団長が。なんてことで頭が支配されたのに。
2255「喧しいですね。この程度で私が死ぬとでも思いましたか」
確かに、死んだと思った。最強を欲しいままにしていた第二十三軍のトップである、加賀美隼人軍団長。おおよそ軍の中でも一番強いであろうその軍団長でも、腕を飛ばされ左目を潰されてしまえば、最早立っていようとも死んだと言えるのではないかと。後から駆け付けた僕でさえ、あの軍団長が。なんてことで頭が支配されたのに。
Asahikawa_kamo
PAST疲労が積もって頭痛を知覚するkgmの話。rfの他三人も喋ります。ちょっと情けない大人の図かもしれない。 楽の仕方も、手の抜き方も、所謂上手いことやる、なんていう方法も。昔はよく知っていたのに、今はやり方さえ忘れてしまった。大人になって年を取った後の方が、やりたいことに対する天秤の釣り合いの取り方が分からなくなってしまっている。加賀美は、そうやって生きてきてしまっていた。だから今こうして突きつけられている痛みに、どうしようかと少しばかり冷たい息を細く吐き出しているわけなのだが。
耐えきれないわけではない、けれど鈍い痛みが頭を蝕んでいる。いた、と目を細めればしぱしぱとした感覚が疲労を伝えてきた。ああ、眼精疲労か。大きく吐き出された溜息は固まった首や肩をほぐしてはくれず、ただ疲れを滲ませるばかりだ。さてどうしようかと過ぎらせつつも、事務所の廊下を歩く足は少し遅くなるだけで止まりやしない。
3185耐えきれないわけではない、けれど鈍い痛みが頭を蝕んでいる。いた、と目を細めればしぱしぱとした感覚が疲労を伝えてきた。ああ、眼精疲労か。大きく吐き出された溜息は固まった首や肩をほぐしてはくれず、ただ疲れを滲ませるばかりだ。さてどうしようかと過ぎらせつつも、事務所の廊下を歩く足は少し遅くなるだけで止まりやしない。
Asahikawa_kamo
PAST研究のため怪我の多いidと、それを心配するkgmの話。idに怪我の描写があります。 加賀美が初めて異変に気付いたのは、以前収録の折に甲斐田が作業のためにと袖を捲った時、前腕に真新しい傷のようなものを見たのが最初だった。インナーの端からちらりと顔を覗かせたそれはまだ痛々しいほどに赤く、おそらく最近出来たものだろうと察するのは容易なものではあった。が、加賀美はそれに声をかけることはなく、知らないふりをして視線を逸らすことにしたのだ。
自らのユニットメンバーが異世界人であることは勿論理解している。彼の国は当たり前のように未知の何かと戦い、尊い命が喪われることもあるような場所であるとも。住む世界が違えばそんなこともあるか、と加賀美は結成時頭のどこか遠いところでそんなことを思ってはいたが、目の前の甲斐田は割と普通そうだったとでも言えばいいだろうか。彼と過ごすことが増えた半年か一年の節目頃に、一人で今までのことを振り返り何となくひとりごちたことをよく覚えていた。そりゃあそうだ、普通そうにしているに決まっているだろうなんて、自分が傲岸不遜な面を取っていないのと一緒だと気付いたのだ。まあそもそも、加賀美自身代表取締役としての一面の時も傲岸不遜な面など取ることはあまりないのだが。
4618自らのユニットメンバーが異世界人であることは勿論理解している。彼の国は当たり前のように未知の何かと戦い、尊い命が喪われることもあるような場所であるとも。住む世界が違えばそんなこともあるか、と加賀美は結成時頭のどこか遠いところでそんなことを思ってはいたが、目の前の甲斐田は割と普通そうだったとでも言えばいいだろうか。彼と過ごすことが増えた半年か一年の節目頃に、一人で今までのことを振り返り何となくひとりごちたことをよく覚えていた。そりゃあそうだ、普通そうにしているに決まっているだろうなんて、自分が傲岸不遜な面を取っていないのと一緒だと気付いたのだ。まあそもそも、加賀美自身代表取締役としての一面の時も傲岸不遜な面など取ることはあまりないのだが。
Asahikawa_kamo
PAST電車に乗るkgmの話。マシ"ラホ"、雑キ(というかchaiチャン)、のわ、rfがいます。漂う死表現、ざっくりファンタジー時空。
選は「不老」及び「長命」、「異世界人」でした。
転生電車 かたんかたんと、電車の音がする。眠気に揺られながらも少しずつ醒めた意識を持ち上げるように瞼を開いて、ぼうっとする頭を少しだけ擡げる。ああ、どうやら知らぬ間に寝てしまっていたようだった。ふと視線を左右に彷徨わせて、辺りには私以外の人がいないことに気付く。どうやらこの車両には私しか乗っていないらしかった。
身体は小刻みに心地の良いリズムで私を揺らしていた。電車はずっと真っ直ぐに向かって走っている。眠気からまだぼんやりとする意識が、鈍く私の思考を遅らせていく。思えばいつ電車に乗っていたのだろう。ひどく長く眠っていた気がするが、寝てしまう前のことが何も思い出せなかった。
途轍もない眠気に欠伸を噛み殺して、ふわふわ、ゆらゆらと揺れる頭をそのままに、電車の揺れに身を任せる。振動に合わせて視界に映る前髪が右往左往し、何となく身体を包む温かさが更に眠気を助長させていた。もう一度寝てもいいだろうか、なんて少しばかり思考が過ぎりながらも、どうにかして視線をゆるやかに上げた。
7993身体は小刻みに心地の良いリズムで私を揺らしていた。電車はずっと真っ直ぐに向かって走っている。眠気からまだぼんやりとする意識が、鈍く私の思考を遅らせていく。思えばいつ電車に乗っていたのだろう。ひどく長く眠っていた気がするが、寝てしまう前のことが何も思い出せなかった。
途轍もない眠気に欠伸を噛み殺して、ふわふわ、ゆらゆらと揺れる頭をそのままに、電車の揺れに身を任せる。振動に合わせて視界に映る前髪が右往左往し、何となく身体を包む温かさが更に眠気を助長させていた。もう一度寝てもいいだろうか、なんて少しばかり思考が過ぎりながらも、どうにかして視線をゆるやかに上げた。
Asahikawa_kamo
PAST烏天狗mcとショタkgmのkgmmc。とある田舎の禁足地に足を踏み入れてしまったショタkgmと、その土地を守っていた烏天狗mcの邂逅諸々の話です。ふんわりtgの香りもします。
#序
雄大な山々に囲まれた景色の中に、ぽつぽつと散らばるように点在する家たち。田畑はどこまでも伸び広がり、細いあぜ道は森の麓まで首を伸ばしている。人の薄い自然は、間違いなく田舎と呼ばれるべき風景だった。
その田畑の合間で、一人の少年は高い太陽をひとつ見上げてから小さな手を掲げる。眩しさに眩んだ双眸は淡いブラウンを強く際立たせていて、そこにかかる前髪は柔らかなカフェオレカラーだ。品の良さそうなシャツとサスペンダーを纏わせながらぱちりとその大きな瞳を瞬かせると、少年は一度やってきた道を振り返る。遠くに見える田舎の家々に、聞いたこともないような虫が足元で歌う。少年が住んでいる都会の高層ビルでは一度も見たことのなかった光景だ。それだけで、胸の奥底がわっと沸き立つように熱くなる心地に見舞われる。今にも走り出したいという衝動と、きっとはしたないとお母様に言われてしまうだろうという理性が少年の心の中で火花を散らしていた。
13140雄大な山々に囲まれた景色の中に、ぽつぽつと散らばるように点在する家たち。田畑はどこまでも伸び広がり、細いあぜ道は森の麓まで首を伸ばしている。人の薄い自然は、間違いなく田舎と呼ばれるべき風景だった。
その田畑の合間で、一人の少年は高い太陽をひとつ見上げてから小さな手を掲げる。眩しさに眩んだ双眸は淡いブラウンを強く際立たせていて、そこにかかる前髪は柔らかなカフェオレカラーだ。品の良さそうなシャツとサスペンダーを纏わせながらぱちりとその大きな瞳を瞬かせると、少年は一度やってきた道を振り返る。遠くに見える田舎の家々に、聞いたこともないような虫が足元で歌う。少年が住んでいる都会の高層ビルでは一度も見たことのなかった光景だ。それだけで、胸の奥底がわっと沸き立つように熱くなる心地に見舞われる。今にも走り出したいという衝動と、きっとはしたないとお母様に言われてしまうだろうという理性が少年の心の中で火花を散らしていた。
Asahikawa_kamo
PAST魔に取り憑かれて目覚めなくなったkgmと、夢に介入して連れ戻しに行くmcのkgmmcです。ankbもいるしysrもいる。kgmの高校時代の捏造、髪色変え、一人称「俺」、口が悪いなど特殊設定をぶん回しています。
空が赫い。橙色とも言えるし、群青とも言えるだろう。けれど間違いなく、それは赫かった。朝焼けは眩しく双眸を眩しく照らして、その陽の袂で髪をたなびかせた少年が一人立ち竦んでいた。
「帰ろう」
その意図が分からないまま、俺は頷くことも否定することも出来ないで彼の双眸を見ていた。萌黄色の輝きはまるでホログラムのようにきらりきらりと瞬いている。赫の中に浮かぶ星のようにそこに在って、俺を此処に留めさせた。
どこに、とも言えず、どうやって、とも言えず、俺はただ握り込んでいたペンを取り落とした。からんと落ちた音が木霊して、ぶわりと目の前に墨が広がるかのように黒に塗り潰された。言葉が描けない、言葉を繋げない、言葉を紡げない。これを確かに震える手でずっと握り締めて来たのに、これさえ失ったら俺は。そんなことばかりが目の前を掠めて。
8932「帰ろう」
その意図が分からないまま、俺は頷くことも否定することも出来ないで彼の双眸を見ていた。萌黄色の輝きはまるでホログラムのようにきらりきらりと瞬いている。赫の中に浮かぶ星のようにそこに在って、俺を此処に留めさせた。
どこに、とも言えず、どうやって、とも言えず、俺はただ握り込んでいたペンを取り落とした。からんと落ちた音が木霊して、ぶわりと目の前に墨が広がるかのように黒に塗り潰された。言葉が描けない、言葉を繋げない、言葉を紡げない。これを確かに震える手でずっと握り締めて来たのに、これさえ失ったら俺は。そんなことばかりが目の前を掠めて。
Asahikawa_kamo
PASTkgmがピアスを開ける理由。全力捏造を振り回しています。 大人になるということは、時々、あんなに苦くて飲めなかったはずのコーヒーが唐突に飲めるようになるような心地を孕んでいる時がある。痛みや苦みに鈍くなって、様々なものを諦観で見てしまうような、そんな瞬間が度々訪れる。それが良いことかどうかはさておき、ただ寂しさが煙草の煙のように揺蕩うことがあった。
加賀美の耳にはそれぞれ三つずつの穴が開いている。勿論、若気の至りでもなければやんちゃの延長でもなく、ただ三つの空洞がそこには存在していた。以前、理由は特にないのだと話をしたことは鮮明に覚えていたが、その中身は少しばかりの無言と濁りを含ませていた。「加賀美ハヤト」はそうであって欲しいと、加賀美本人が自分勝手にそう願ったからだ。
1915加賀美の耳にはそれぞれ三つずつの穴が開いている。勿論、若気の至りでもなければやんちゃの延長でもなく、ただ三つの空洞がそこには存在していた。以前、理由は特にないのだと話をしたことは鮮明に覚えていたが、その中身は少しばかりの無言と濁りを含ませていた。「加賀美ハヤト」はそうであって欲しいと、加賀美本人が自分勝手にそう願ったからだ。
Asahikawa_kamo
PASTリプきたセリフで一コマ描く のタグでそらさん(@._S0R4__40B4_)から頂いたセリフ「ちゃんと目を見て言えますか」で書きました。無理しがちkgmとそれを叱るidの話。
一番最初に出来なくなったのは、咄嗟に誰かの一言を掬うことだったと記憶している。次に、喋ることが少し億劫だなと思うことが増えてきていた。そうして、外に出ることがつらくなってきて、食事が面倒だと感じることが多くなった。どうにかこなしているうちに、遂に目の前が霞むようなことが何度も起こるようになってしまった。
心因性のストレスだろうというのは大いに理解していたけれど、それでも病院にかかる程度が精々関の山。入院は出来ない、もっと言えば休むことさえ難しいと医者に言えば、難しい顔でいくつかの処方箋を出してくれた。それを飲みながらどうこう誤魔化しつつ動いている内に、その朝がやってきてしまった。
「……?」
歌が歌えないと、唐突に気付いた。気付いてしまった。声を音にすることが出来ない。メロディを紡ぐことさえままならない。喋ることは出来る、音を出すことも出来る。けれど、この声が明確な音階にならなかった。それを知った時、はくりと口が呼吸を薄く吐き出して、溜息にもならず気化していった。自分の存在意義が、不明瞭になったのだ。
3360心因性のストレスだろうというのは大いに理解していたけれど、それでも病院にかかる程度が精々関の山。入院は出来ない、もっと言えば休むことさえ難しいと医者に言えば、難しい顔でいくつかの処方箋を出してくれた。それを飲みながらどうこう誤魔化しつつ動いている内に、その朝がやってきてしまった。
「……?」
歌が歌えないと、唐突に気付いた。気付いてしまった。声を音にすることが出来ない。メロディを紡ぐことさえままならない。喋ることは出来る、音を出すことも出来る。けれど、この声が明確な音階にならなかった。それを知った時、はくりと口が呼吸を薄く吐き出して、溜息にもならず気化していった。自分の存在意義が、不明瞭になったのだ。
Asahikawa_kamo
PAST悪意を食べる天使kgmの話。 加賀美ハヤトのスマートフォンは、星がこぼれ落ちることがある。比喩ではなく、本当にその通りである。彼がこつこつとその四方を振ると、隅からころんころんと小さく黒い星を落とすのである。
それを初めて目撃したのは不破であった。休憩室の扉を開けると、加賀美が小さな袋に向かってスマホを振っているのを見てしまったのである。おおよそ通常ではあり得ないような量のころころとした謎の塊に、流石の不破もぽかんと口を開けて佇んでしまっていると、それに気付いた加賀美は少しばかり驚いた後にすみませんと苦笑を漏らして不破へと笑いかけた。
「変な光景をお見せしましたね」
「や、構わんけど……社長、何それ?」
「……なんでしょうね?」
2334それを初めて目撃したのは不破であった。休憩室の扉を開けると、加賀美が小さな袋に向かってスマホを振っているのを見てしまったのである。おおよそ通常ではあり得ないような量のころころとした謎の塊に、流石の不破もぽかんと口を開けて佇んでしまっていると、それに気付いた加賀美は少しばかり驚いた後にすみませんと苦笑を漏らして不破へと笑いかけた。
「変な光景をお見せしましたね」
「や、構わんけど……社長、何それ?」
「……なんでしょうね?」
Asahikawa_kamo
PAST微ファンタジー、癖強め。kgmの架空身内がどんどこ喋ります。あと色々気を付けてください。高一のkgm(一人称俺視点で進みます)と、年齢不相応小四のmcのとあるひと夏の話
夏休みは必ず田舎の祖母の家で過ごすことが毎年の決まりだった。服を幾つか詰め、大きなボストンバッグで二時間半電車で揺られた先にある、母方の祖母の家。田んぼと林とぽつぽつ建ってる家以外本当に何もないそこは、コンビニすら歩いて一時間かかるような場所だった。祖母の友達らしいおばあさんがやっている駄菓子屋が十分くらいのところにあるけれど、一週間のうち三日しか開いてない上に開店時間も閉店時間も決まってないので、アイスを買いに行ったら閉まっていただなんてざらな話だ。そんな田舎に、俺は毎年遊びに来ている。理由は至極単純、両親水入らずの旅行が夏にあるからだ。両親が今でも仲良く二人だけで旅行に行くことは特段気にしていないのだが、もう高校生だというのに何故か毎度毎度ここに送られてしまうのである。
9923Asahikawa_kamo
PASTrf異能パロ。今回はkgmのきっかけの話。前の話読んでないと何がなんだか分からないと思います。すめち二人とモブがいます。あとはいつも通りもりもりの設定が大盤振る舞いしています。お気を付けください。
「ぐ、ぅッ、ぁ!!」
人でなくなる感覚というのは、こういうものなのかと始めて理解した。
腕が、足が、背中が、頭が、ばきりばきりと聞いたこともない軋みと割れの音がする。骨が膨張して、肉が裂け、身体が作り変えられるような感覚がする。視界が白い、白い、ただ白に塗り潰されて、そうして。
痛みと恐怖に脅かされた躯体が床に落ちて、ひりつきから皮膚が傷ついたことを知る。けれどそれ以上に、内側から自分でない何かが出てきそうだと感じた。ああ、私は死ぬのか。たったひとつ、ぽつりとそれが頭を占めていく。
誰かの鳴き声が、否──泣き声がした。白と黒しか判別できない視界をどうにか動かして、その声の主を探す。そうして、抱き合うように震えているふたつの影を見て、ほっと息が漏れた。
4499人でなくなる感覚というのは、こういうものなのかと始めて理解した。
腕が、足が、背中が、頭が、ばきりばきりと聞いたこともない軋みと割れの音がする。骨が膨張して、肉が裂け、身体が作り変えられるような感覚がする。視界が白い、白い、ただ白に塗り潰されて、そうして。
痛みと恐怖に脅かされた躯体が床に落ちて、ひりつきから皮膚が傷ついたことを知る。けれどそれ以上に、内側から自分でない何かが出てきそうだと感じた。ああ、私は死ぬのか。たったひとつ、ぽつりとそれが頭を占めていく。
誰かの鳴き声が、否──泣き声がした。白と黒しか判別できない視界をどうにか動かして、その声の主を探す。そうして、抱き合うように震えているふたつの影を見て、ほっと息が漏れた。
Asahikawa_kamo
PASTkgmメイン、演劇パロ。無自覚憑依型kgmと年下先輩のmc。喋らないけどrrちゃんとhksもいます。架空ドラマの架空登場人物の名前ががっつり出るのでお気を付けください。
確かに、いつもとは感覚が違うと加賀美は思っていた。ただ、それは慣れた面子、慣れたスタッフに囲まれて少し気が緩んでいたからだと思っていた。
昔から何度も現場で作品を作ってきた、ほぼ同期の葉加瀬。それから年下とはいえ芸歴が長い事務所の先輩である剣持。そして剣持とは同じく子役上がりで芸歴の長い夕陽。初対面はおらず、他のスタッフもほぼ大体が過去に何度も撮影現場で顔を合わせることのある面々ばかり。監督も知った人で、脚本家に至っては昔からお世話になっている馴染み深い人だ。今回の面子が決まったと知らされたとき、脚本家と監督がわざわざ指名してくれた上に、脚本に至っては当て書きで書き上げたと言われた時は流石に人脈に恵まれ過ぎたなと加賀美は思ったものだ。それほどに、リラックスできる現場だったのは間違いなかった。
2180昔から何度も現場で作品を作ってきた、ほぼ同期の葉加瀬。それから年下とはいえ芸歴が長い事務所の先輩である剣持。そして剣持とは同じく子役上がりで芸歴の長い夕陽。初対面はおらず、他のスタッフもほぼ大体が過去に何度も撮影現場で顔を合わせることのある面々ばかり。監督も知った人で、脚本家に至っては昔からお世話になっている馴染み深い人だ。今回の面子が決まったと知らされたとき、脚本家と監督がわざわざ指名してくれた上に、脚本に至っては当て書きで書き上げたと言われた時は流石に人脈に恵まれ過ぎたなと加賀美は思ったものだ。それほどに、リラックスできる現場だったのは間違いなかった。
Asahikawa_kamo
PASTrfのバンドパロみたいなやつです。喋ってるのはidとkgmだけ。楽器配置はただの癖。 アンプのつまみを捻み、じー、と音が鳴り出すのを聞きながら、ふと甲斐田はとあることを思い出した。取るに足らない、クリスマスの予定のことである。
ここ数年で急激に人気が出始めた、バンドグループ「ROF-MAO」。甲斐田が所属しているそのグループは、クリスマス前から年末年始までぎっちりとライブやイベントの予定がひしめき合っていた。いや、それは分かっている、構わないのだ。毎年悲しいほどにお一人様の甲斐田は、どうせクリスマスが空いたとて幼馴染みの長尾と弦月辺りしか過ごす相手がいない。だから別に空いてなかろうが構わないが、クリスマスっぽいことはしたいのだ。じゃあクリスマスっぽいことって何、と言われれば、まあ、ケーキを食べる程度の乏しい発想力しかないのがまた切なくなるのだが。
1936ここ数年で急激に人気が出始めた、バンドグループ「ROF-MAO」。甲斐田が所属しているそのグループは、クリスマス前から年末年始までぎっちりとライブやイベントの予定がひしめき合っていた。いや、それは分かっている、構わないのだ。毎年悲しいほどにお一人様の甲斐田は、どうせクリスマスが空いたとて幼馴染みの長尾と弦月辺りしか過ごす相手がいない。だから別に空いてなかろうが構わないが、クリスマスっぽいことはしたいのだ。じゃあクリスマスっぽいことって何、と言われれば、まあ、ケーキを食べる程度の乏しい発想力しかないのがまた切なくなるのだが。
Asahikawa_kamo
PAST頂いたイメソンから連想ゲームしたら謎の話が出来上がりました。天使kgmと通常kgmの邂逅的な話です。
今々昔々、ある天界に一人の天使がおりました。大変真面目なその天使は、同僚や部下からも慕われているような素晴らしい天使でありましたが、少々好奇心旺盛であるところが玉に瑕でした。
天使たちは地上の様々な魂を天界にある魂の休息所へと迷いなく案内する仕事が主でありました。彼の天使も天界から地上に降り立っては仕事のために魂を導いておりましたが、常々その仕事をこなすうちに天使の中にとある感情が芽生えるようになっていました。しかし、それを口に出せばきっと周りは物珍しい目で自分を見ることでしょう。故に彼の天使は、その感情を誰かに話すことはありませんでした。
とあるとある、晴れた昼下がりのこと。天使はいつものように地上へ仕事のために降り立ちました。あちらこちらを行き交う人間たちの合間で仕事の対象を探し、辺りを見回します。その双眸には、まるで宝石のように輝く魂たちがまるでオークションのように映り込んでおりましたが、その中でも一際眩しい魂を彼の天使は見つけました。
1908天使たちは地上の様々な魂を天界にある魂の休息所へと迷いなく案内する仕事が主でありました。彼の天使も天界から地上に降り立っては仕事のために魂を導いておりましたが、常々その仕事をこなすうちに天使の中にとある感情が芽生えるようになっていました。しかし、それを口に出せばきっと周りは物珍しい目で自分を見ることでしょう。故に彼の天使は、その感情を誰かに話すことはありませんでした。
とあるとある、晴れた昼下がりのこと。天使はいつものように地上へ仕事のために降り立ちました。あちらこちらを行き交う人間たちの合間で仕事の対象を探し、辺りを見回します。その双眸には、まるで宝石のように輝く魂たちがまるでオークションのように映り込んでおりましたが、その中でも一際眩しい魂を彼の天使は見つけました。
愛を叫ぶ酢橘
MEMO𝟸𝚓𝟹𝚓 ネタ帳人を(かなり)選ぶ内容なので
こちらを媒介にしています
※rf兄弟+義兄弟+転生パロ
※年齢操作有り
(kid(18)→knmc(16)→fw(15)→kgm(10)
※虐待描写及びそれに付随する描写あり
※kgmだけ特別縁組の養子、前世の記憶無し 1284
愛を叫ぶ酢橘
DONE𝟸𝚓𝟹𝚓 三次創作海月様(@jewelly_fish833)のポストの設定をお借りしたSS
※893パロ
※当然の様に流血、怪我、闘争描写あり
※左腕欠損描写あり
※作成者の893の詳細に関しては某ゲーム程度
メイン…kgm、lz
モブ(lz両親他etc)
pwはkgmとlzの誕生日を入力(8桁) 24