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    doll

    umemhyk

    DONE【1話前編】ブラッドリー×モブ(名前無し)の夢小説のようなものを初めての小説として書いてみました。

    もしもあなたが、違うかたちでブラッドリーに出逢ったら?
    真っ白な大地を背に飛ぶ魔法使いへの憧れ。胸の奥にあるそのきらめきを、盗賊は必ず見つけ出す。どこでどんなふうに生まれても、“太陽”はきっとあなたを照らしてくれる…

    そんな祈りを込めてこの物語をお届けします。
    名も無き花はひだまりに揺れて 一輪目・名も無き銀細工師 〜前編〜カランカラン。

    その魔法使いは前触れもなくやって来た。
    まるで私の旅立ちを見計らったかのように。

    漆黒と白銀の髪、射抜くような夕闇色の瞳。

    「ようじじい」

    「いらっしゃいませ…おお、これはこれはブラッドリー様。久方ぶりですなあ」

    「あ、お前あん時のちっちゃいのか」

    「ははは、こんな老いぼれにちっちゃいのは止してくださいよ」

    「よく言うぜ。俺様の半分も生きてねえのによ」

    お師匠が何やら親しげに話しているのは、数十年ぶりにうちの店に来た“常連”だ。

    西の国の北東部、北の国との国境に近いこの銀細工屋は北からの来客も多い。なかでも盗賊を名乗る魔法使いの太客が数十年に一度来るとは聞いていたけれど、まさかたった一年修行に来ている私がその姿を見られるなんて。しかもここから旅立つ前日に。
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    Daisy_mhyk

    DONE盗賊団時代のブラネロ
    …になる前の、二人が出会ったばかりの頃のお話。

    ブラッドリーがネロを拾うに至るまでと、
    ネロが人生で一番感激した時のお話です。
    絡んだ糸の、その先は 魔法使いの一生は長い。
     そう頭では理解していたものの、ああ、こういう事なのか、と納得出来たのは五十年ほど生きた頃だったか。

     北の厳しい大地では、人間は生きる事すら難しい。
     俺が生まれ育った、親父の庇護下にあった村の人間たちは、四十年も生きれば御の字という程儚い存在だった。
     子供はまず育たない。十人のうち、成人出来るのは片手にも満たない。それでも貴重な働き手であるから、どの家も大概子沢山だった。
     人間たちとは別の理由で、といっても家族の中で魔法使いなのは俺と親父だけだったが、俺は大家族の末子として生まれた。悪党一味の頭であり魔法使いの親父が、同じく魔法使いの息子を望んで大量に子種を撒いたのだ。
     ハズレを引いた兄弟達に囲まれ、アタリを引いた俺は明らかな別待遇と英才教育を受けた。けれど、手足となるべく育てられた兄弟達にとってそれは当たり前の事であり、妬むよりむしろ、俺に取り入ってでも生き延びようという腹積もりの奴が多かったように思う。
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    mhyk_hymn

    DONE2022年1月23日 ムシャオンリー『傷の痛みと甘い疼きR』

    ムシャコレR 参加用の小説です。
    テーマ:裏
    2周年イベスト関連の捏造をほんのり含みます。ブラッドリーやミチルも出てきます。
    メイン1.5部のムルとシャイロックの声なんだあれ・・・2人きりだとあんなトーンでしゃべるの?!??という気持ちで書きました(合掌)
    The Contradictory Devil「『悪魔の証明』……ですか?」
     ミチルはグラスを片手に小首をかしげた。隣ではブラッドリーが琥珀色の液体が入ったグラスを傾け、機嫌が良さそうにニヤリと笑う。
     シャイロックに届け物をしてほしいとフィガロに頼まれて、少しドキドキしながら訪れた夜の魔法舎内のバーでは、ちょうどブラッドリーがカードゲームでムルに大負けしたところだった。何でもいいから気分転換がしたかったのか、ミチルの姿を見止めたブラッドリーはカウンター席に彼を座らせ、北の国の話や盗賊時代の話を聞かせてきたのだ。
    北の魔法使いだと思うと少し怖かったが、ブラッドリーから次々と繰り出される話は面白く、シャイロックが出してくれたピンク色とオレンジ色が綺麗なグラデーションになったジュースも美味しく、ミチルはついつい腰を落ち着けてしまっていた。
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    bluetiarakureha

    DONE初めて出した夢本「ビューティフルドリーマー」の続編を当時書こうと思って途中まで書いていたものです。
    2015年の作品です(怖・・・

    手塚と別れた後のヒロインと、不二がメインです。
    かなりドロドロ昼ドラやっているので、しんどかったらバックして下さいませ!
    ヒロインはデフォルト名:姫野ゆりです。
    続ビューティフルドリーマー ② もう、彼の事は乗り越えたと思っていたのに―――。

     不二の家から自宅に帰るとゆりは早々に夕飯を済ませ、お風呂に入ることにした。
     風呂は、考え事をするのに良かった。
     誰にも悟られず、一人で考えを整理することができる。

     
     国光がいなくなってから、私はずっと心に鉛を隠したままでいる。
     彼と別れた時はそれこそ、笑顔で送り出すことが出来たが、その後はひどいものだった。
     今でも手に取るように、あの時の感情を覚えている。
     幸い、高等部になっても中等部からの持ち上がりがほとんどだし、知っている友達もクラスにたくさんいたから、友人関係には悩まなくて済んだ。
     でも、みんな知ってた。―――私と国光が、別れた事を。
     当たり前だ。生徒会長で、男子テニス部の部長で、成績優秀で品行方正。その上ルックスも良い。そんな人と付き合ってたんだもの。でも別に、彼の肩書があったから私はあの人を好きになったんじゃない。全部、後から付いてきたものだ。
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    bluetiarakureha

    DONE初めて出した夢本「ビューティフルドリーマー」の続編を当時書こうと思って途中まで書いていたものです。
    2015年の作品です(怖・・・

    以前まであった夢サイトで更新していました。
    でも途中でしんどすぎて書くの止めてしまいましたwww

    手塚と別れた後のヒロインと、不二がメインです。
    かなりドロドロ昼ドラやっているので、しんどかったらバックして下さいませ!
    ヒロインはデフォルト名:姫野ゆりです。
    続ビューティフルドリーマー ①あれから、どのぐらいの月日が過ぎただろうか。
    国光がいなくなってから、私は月日を数えるのをやめた。
    でも心のどこかで指折り数えてる自分もいた。
    私は、高校三年生になった――――。




     二学期も始まり、すでに三年生は部活を引退していた。
     クラスの雰囲気は受験に向けて少し慌ただしくなってきていたが、不二もゆりもこのまま大学部への推薦を希望していたため、他校受験組に比べると比較的ゆとりがある日々だった。
     帰りのホームルームが終了すると、ゆりを迎えに来た不二がゆりのクラスに顔を出した。

    「ゆり、今日僕んち寄って行かない?」
    「これから? うん、別にいいよ」

     高等部に入ってから、ゆりは不二と付き合い始めた。
     告白は、不二からだった。入学して半年ぐらい経ってからの事だ。
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    m_y_n_k__

    DONE新刊『サマーロストチャイルド』の書き下ろし、『ロストサマーデイドリーミング』の続編

    南の島移住七虎がはじめてクラフトコーラを飲むおはなし
    後編です
    ナイトウォーク 後編 炭酸水を買いに行く悠仁について行った七海ははじめ、悠仁は少し歩いた先にあるコンビニに行くものだと思っていた。しかし目的地と思い込んでいたコンビニを悠仁が完全にスルーしたので、「どこへ行くんですか?」と今さらながら行く先を確認する。
    「サンエーだけど?」
     悠仁はコンビニを通り越して少し歩いた先のローカルスーパーを指差した。沖縄県内ではショッピングモールや飲食店をいくつも運営するかなり大きな会社で、食品館なら県内の至るところで見かけるほど店舗の多い有名なスーパーだ。
    「炭酸水を買うだけなら、コンビニでいいんじゃないですか」
    「だってスーパーのが安いじゃん」
     たしかに悠仁のいうとおりだ。しかし七海は知っている。サンエーは、寒い。空調がおそろしいほど低く設定されているので、店内を少し歩くだけで身体が冷えてしょうがない。ただでさえ風が吹きすさぶ夜道を歩いているのに、まるで冷蔵庫のように冷たい店内を想像して、七海は身震いした。もしや悠仁が外出前にいっていた「寒いよ」にはこれも含まれていたのだろうか。それならそうといってほしかったが、七海は七海で行き先を聞かなかったので、どちらか一方が悪いという話でもない。七海はせめて悠仁の手から伝わる熱を逃がさないよう、繋いだ手を隙間なくくっつけた。サンエーに入店してからがほんとうの勝負だ。
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    m_y_n_k__

    DONE『サマーロストチャイルド』『フロンティア』を経て、南の島へ移住した七虎の日常

    新刊『サマーロストチャイルド』に収録している書き下ろし作品『ロストサマーデイドリーミング』のつづきです
    ※『ロストサマーデイドリーミング』を読んでいないとわからない内容になっています

    新刊購入してくださってありがとうございました!
    感謝の気持ちを込めて

    まよなか
    ナイトウォーク 前編「クラフトコーラ? って、なに?」
     おかえりの抱擁のために両腕を広げていた七海は、おあずけを喰らった犬のようにその場で停止した。ただいまのあとは抱擁、というのは二人で暮らしはじめてからずっと暗黙の了解であったし、悠仁が日中バイトに出ているあいだはひとりで家に籠っている七海にとって大切な儀式のひとつだ。
    「ハグは?」
    「あ、ごめん」
     促されて腕を広げた悠仁を、七海はいつもより強い力で抱きしめる。「え? 力強くない?」戸惑っている悠仁の声はきかなかったことにする。私は悪くないので。胸の内だけで言い訳をして、ぎゅうぎゅうと悠仁を締めつけた後、七海は悠仁の若くつるんとした額にくちづけた。
     外から帰ってきたばかりだというのに、悠仁の身体はポカポカとあたたかい。逆に家のなかに籠っていた七海の方が冷えているくらいで、「わっ、冷たっ」と悠仁が七海の両手を包む。
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