ジュナカル
aman0itohaki
PROGRESS人魚のカルナさんと、人魚を研究対象にしている言語実験に参加する大学生で海洋学を専攻しているアルジュナくんのジュナカルです。倫理観に自信のない人間が書いています。作者は文系なので科学に詳しくありません。リンガフランカ・マリンノート 朝一番の海洋研究施設はしんとして、塩水の濁った臭いが立ち込めている。人魚の言語能力計測という雲を掴むような実験に、半ば雑用係のような形で参加することになった。大学で海洋学のフィールドワークの単位が必要にも関わらず家の事情で遠くへ行けなくなったアルジュナに、教授が代替案として提示したのがこの研究への参加で。研究所の一番奥、彼は巨大水槽の向こうで悠々と泳ぐ人魚の真っ白い上半身の皮膚に、墨のような黒い鱗を持つ男の人魚に目を奪われた。彼は水槽の底で群れる同族たちとは離れていて、自然と気高く見えた。暗い底の方でちらつくカラフルな鱗は熱帯魚じみて、なるほど近代以前観賞用としての需要が高かったことをうかがわせる。といっても最近は保護団体の活動が盛んで、この研究の許可をとるのも大変な苦労があったらしいのだが。
1752botomafly
DONEジュナカル祭ジューンブライド「それで、濡れ鼠になって予定より早く帰ってきたのか」
窓際にあるハンモックで優雅に読書をしていたアルジュナは、部屋着姿でソファーに座り髪を拭いているカルナにそう言った。
結婚式に呼ばれたものの着ていくものがなく貸してほしいと言われたのが数日前。それを着てスコールに見舞われながら帰ってきたのは前世からの宿敵、カルナだ。家の周辺では特に雨は降っておらず、ピンポイントで彼は濡れて帰ってきたわけだが。
「すまない。借り物を駄目にした」
風呂から上がった彼に、濡れて色がすっかり変わり雨のにおいを付けたスーツを手渡されながらアルジュナが首を振る。着る機会はそうないので構わない。正直、大して祝いの気持ちもないのに呼ばれて行ったところで相手にも悪いし時間の無駄だ。カルナにあげるつもりですらいた。
1735窓際にあるハンモックで優雅に読書をしていたアルジュナは、部屋着姿でソファーに座り髪を拭いているカルナにそう言った。
結婚式に呼ばれたものの着ていくものがなく貸してほしいと言われたのが数日前。それを着てスコールに見舞われながら帰ってきたのは前世からの宿敵、カルナだ。家の周辺では特に雨は降っておらず、ピンポイントで彼は濡れて帰ってきたわけだが。
「すまない。借り物を駄目にした」
風呂から上がった彼に、濡れて色がすっかり変わり雨のにおいを付けたスーツを手渡されながらアルジュナが首を振る。着る機会はそうないので構わない。正直、大して祝いの気持ちもないのに呼ばれて行ったところで相手にも悪いし時間の無駄だ。カルナにあげるつもりですらいた。
zoutokani
MAIKING兄の日だから書きかけのしょたおに(ジュナカル)何歳差か分からなくなっている
ピオ先生もいる14
プロローグ
思い返すほど、不自然なシチュエーションであったのだ。
カルナと二人で暮らしていた頃がある。何でもしてくれた。毎日温かい食事を整えてくれて、話を聞いてくれて、あたたかな毛布で眠ることも、季節に合わせた服を着ることも、不自由なく与えられて育った。
色々な所へ連れ出してくれた。海も川も山も、美術館も博物館も、お祭りもお花見も。だけど一番好きだったのは、晴れた日に手を繋いで、何もない近所の公園に行くことだった。
海も川も山も美術館も博物館もお祭りもお花見にだって、連れて行ってくれるだけ。カルナはそこには居なかった。でも公園になら一緒に歩いて行けたから、それが一番嬉しかったんだ。
朝起きて、今日は、「かいすいよく」だと言って、沢山体を動かすからと、大きなおにぎりをお皿に並べるものだから、必死でほおばった。海に行くのはその日が初めてだったけど、全然楽しみじゃなくて、胸が詰まりそうなのを堪えながら麦茶で流し込む。
カルナはその日も何も食べず、中身が見える透明な鞄に、子供用の水着とかタオルとか、空気で膨らますビニールボールとかを詰めて支度をしていたと思う。
助手席 2265
botomafly
PROGRESS【ジュナカル】帳が落ちたら2 $パロ つづき 大学生になって生活に余裕ができ、普段あまり足を運ばない大きな街へ出掛けたときのことだ。夕方になると居酒屋の宣伝は勿論、ホストやバーのスタッフ募集を含めた勧誘があちこちで行われる。それらを断りながらアルジュナが歩いていると、明らかに理慣れていなさそうな青年がしつこくスカウトされているのが目に入った。
周囲の人間は知らぬふりをして通り過ぎていく。関わると面倒だからだ。アルジュナもそのつもりだったが、スカウトされている青年がキャリーケースを手にツバのある帽子を被ると言う観光客の出で立ちで、更に言うなら声の質から歳が近いことも窺える。だから、見るに絶えず割って入った。
無視をしたら一生後悔するような気がしたのだ。
3337周囲の人間は知らぬふりをして通り過ぎていく。関わると面倒だからだ。アルジュナもそのつもりだったが、スカウトされている青年がキャリーケースを手にツバのある帽子を被ると言う観光客の出で立ちで、更に言うなら声の質から歳が近いことも窺える。だから、見るに絶えず割って入った。
無視をしたら一生後悔するような気がしたのだ。
botomafly
PROGRESS【ジュナカル】帳が落ちたら $パロ 冒頭 ライトに焼かれる。
熱気に当てられる。
歓声を浴び、視線を己がものにして世界を支配する。
思い通りにならないものがあるとすれば、唯一手に入れたいと思った相手が隣に並び立つ男であることだ。ステージの上にいるアイドルは観客のもの。自分たちは決して、お互いのものにはなり得ない。
だからこそ尚更、その存在は狂おしいほどに愛しい。
拍手と歓声の中ライトが少しずつ暗くなっていく。
アンコールにより予定の時間を予定通り超過するのはファンサービス。舞台袖に入りながら笑顔で客席に手を振るのも、最後の最後に投げキスを贈るのもファンサービス。言うなれば、アイドルとして基本の方針。
だが、とアルジュナは前を歩く相棒の背中を見た。スタッフたちに迎えられながら気さくに労いの挨拶をしていくカルナは話が別だ。
2294熱気に当てられる。
歓声を浴び、視線を己がものにして世界を支配する。
思い通りにならないものがあるとすれば、唯一手に入れたいと思った相手が隣に並び立つ男であることだ。ステージの上にいるアイドルは観客のもの。自分たちは決して、お互いのものにはなり得ない。
だからこそ尚更、その存在は狂おしいほどに愛しい。
拍手と歓声の中ライトが少しずつ暗くなっていく。
アンコールにより予定の時間を予定通り超過するのはファンサービス。舞台袖に入りながら笑顔で客席に手を振るのも、最後の最後に投げキスを贈るのもファンサービス。言うなれば、アイドルとして基本の方針。
だが、とアルジュナは前を歩く相棒の背中を見た。スタッフたちに迎えられながら気さくに労いの挨拶をしていくカルナは話が別だ。
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PROGRESS五月の新刊になる予定のもの。ひょんなことから現代の北欧に向かうことになったジュナカルとマスターとマルタ姐さん(裁)がわちゃわちゃする話。1.5部時空と思われる。Oollt1.
「と、言うわけでだ立香ちゃん。君には北欧に行ってもらうことになった。それも特異点のじゃない、現代の北欧だ。じゃ、グッドラック!」
「待って? まってダ・ヴィンチちゃん、ちゃんと順を追って説明して!」
人理保証機関フィニス・カルデア。その管制室に藤丸立香の叫び声がこだました。
何しろ管制室に呼び出され、一も二も無く告げられたのが冒頭の台詞である。というわけも何もない。人理修復からこちら、確かに微小特異点やら亜種特異点やらの修復に駆り出されてはいるが、流石に説明なしで北ヨーロッパに送り込まれる理由などさっぱり分からないのである。しかも特異点ではないと来た。
狼狽える立香に、カルデア技術顧問、レオナルド・ダ・ヴィンチは悪戯げに微笑んでみせた。
「勿論冗談さ。ちゃんと説明するよ」
「よ、良かった……」
ほっと胸を撫で下ろす立香。たまたま管制室にいたサーヴァントたちは呆れ顔でダ・ヴィンチを見るが、当の天才はまるでどこ吹く風である。
「さっきも言ったけど、今回の任務は特異点修復ではない。実は魔術協会からの依頼でね」
「協会から……?」
「そうだ。まあつまるところ、どう 9968
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DONE【ジュナカル】片割れ二つ ひらブーのあれだんだん慣れ親しんできたインターホンを褐色肌の指が押す。部屋主がいることは予め確認済みだが、応答の気配はない。寒い冬、日曜日の朝。とあるマンションを訪れていたアルジュナは嘆息してインターホンを睨むともう一度ボタンを押した。インターホンの音が廊下に静かに響く。が、応答はない。毎週この時間にアルジュナが訪ねているのだから家主は気付いているはず。電車に乗ってここまで来るのは距離があるわけではないが夏と冬とくれば楽ではない。相手は客人を待たせるタイプの人間ではないのでトイレで用でも済ませているのだろうか。
腕を組んで呼吸を十数えたところで上着のポケットに入れていたスマートフォンが音を鳴らした。見れば家主からのメッセージで、鍵は開いてるから入ってくれという内容だった。インターホンの近くにはいないがスマートフォンを触れる環境にはいるようだ。
しかし。
「……お邪魔します」
ドアの先へ踏み込めばキッチンのついた廊下があり、廊下を仕切るドアを潜ればそこにあるのはワンルームだ。あの部屋の広さでインターホンに手が届かないとはどんな状況だ。
何となく予想がつきつつも鍵を締めて廊下を進む。途中のキ 2216
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PROGRESS【ジュナカル】 箍を食む人の悪意の成れの果ては悪魔だ。生前の行いで純粋な死者の国、つまり黄泉や天国へ行けなくなった者の魂が行き着く先は地獄。そこに落ちた魂が悪魔になるか無事輪廻を迎えられるかはその魂の質による。悪魔になった際には人々を苦しめることで快楽を得たり、あるいは自身が崇拝する悪魔の許で働く害悪な存在と言われていた。――百年ほど前までは。
「原子の味がするんだが」
下手くそにパスタをフォークで巻いて口に運んだ白髪に白肌の、十五、六くらいの少年がそう言った。
彼に食事を奢ることにしていた黒髪にチョコレート色の肌の男性アルジュナは、この少年のどうしようもない、耳を疑うような発言に怪訝な声で返す。
「いや、トマト味ですけど」
どういう味覚をしているのだ、とアルジュナはぼやきながら自分のパスタを口に運んだ。全く同じものを注文したが、しっかりトマトソースがかかったパスタである。
ここはお昼時のイタリア料理店だ。それなりに人気のある店で、二人が入るのにも少しばかり時間を要した。美味しくなかったら困る。
二人で食事をしているが、アルジュナはこの少年とは出会ったばかりだ。ここ一時間の出来事である。腹を 5678
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PROGRESSジュナカル 遠路春々 7_2雑踏の中人とぶつかりそうになるのを避けると次の人とぶつかりそうになる。常に誰かが喋っていて、足音が途切れることはない。少しでも歩調が緩い者は後ろの人に足を踏まれ、あるいはイラつかれながら後ろから追い抜かれ、歩調が急な者は前の人を避けるべく踏み出し人の間を縫うように歩いていく。その中に紛れ込んでいたカルナは視界に入る人間たちの目線や足先からルートを予想してぶつからないように先へ進んでいた。歩くのにまさかこれほど神経を使うとは思わなかった。いや、普通に歩く分には構わないのだ。自分の歩幅で歩こうとすると人の足並みから外れるので周囲をよく見なければならないだけで。
首都圏に来ると人混みの中歩くのはストレスだ。母から車を借りられるのは彼女の仕事がない日に限り、今回は数日滞在する予定だったので交通機関を利用して訪れている。車で来られたらこうも苦労はしないだろう。就職活動で何度かこちらに来ているが交通機関を利用すると目的地に辿り着いたときには既に疲れていたりする。夕方ともなれば尚更だ。
冬にもかかわらず人の熱気と暖房で建物の中は暑い。カルナの髪は一つに括られていたがそれだけでは熱を逃せず、彼 4926
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PROGRESSジュナカル 遠路春々 7_1その日最後の授業を終えてアルジュナは下駄箱兼ロッカーへと向かっていた。厚手のコートにマフラーと手袋。冬の装いだ。ロッカーが見えてきたところで後ろから声をかけられ、肩を組まれる。衝撃を受けながらアルジュナは声の主を見上げた。
「アシュバッターマン……随分お元気そうで」
高三の冬、冬休み前。受験生ならそろそろ最後の追い込みをする。同じ中学、高校に通い進学する大学までもが同じというこの同級生だって暇ではないはずだ。だというのに何故か物凄く晴れやかな顔をしている。
「シケた顔してんじゃねえかアルジュナ! お前もどうだよ、クリスマスの息抜き」
「……というと?」
「バスケ。学期最後の部活くらい後輩の顔を見に行ってやらねえとな」
暇だろ、と言われてアルジュナは目を据わらせる。絶対むさい。何が悲しくてクリスマスの日にそんなことをしなければならないのか。
アシュバッターマンは面倒見がいい。夏に引退してからも所属している部活には何度か顔を出しているようだ。アルジュナはというと高校では部活に入らず生徒会に精をだしていて、学期末の挨拶は生徒会室で軽く済ませて終わりだ。
暇かといえば、まあそうだ。 1995
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MEMO書きたいジュナカル話 とてもファンタジー箍を食む人、悪魔、天使が共存する唯一の街。一家代々そこで暮らしてきたアルジュナがある日身体の異変を感じ検査をすると悪魔ーー吸血鬼の血が目覚めつつあると告知を受ける。茫然としながら病院を出ると傘を持たず雨宿りをする白い天使のような少年カルナと出会う。
後日、彼はアルジュナの家に役人と共に現れた。カルナは人であるにも関わらず天使から恩寵を受け継いでしまった罪人で、悪魔の付き人に選ばれたのだ。
街のルール
・人と悪魔と天使が共存する
・悪魔の血を引く人全員が悪魔として覚醒するわけではない
・無害なうちは悪魔であっても普通に暮らせる
・危害を加えた悪魔は処罰される
・人が悪魔になるのは自然の摂理だが天使にはなれない
・天使の恩寵を奪うのは大罪
・悪魔になった人が無害な人を襲わないように罪人を付き人にする制度がある 362