nenne_road
PAST12月17日DozenRoseFES.2023そのセリフはストレートに2023発刊
「拝啓、海の底から〜芹霊+メンダコアンソロジー〜」芹沢に懐いてくる悪霊がいたら?それがメンダコだったら?というif設定のアンソロに掲載していただいたお話です。
発行から1年が経ちましたのでweb再録させていただきます。
みなさんも良いクリスマスを! 9
nana4
DONE芹霊でーす。やっと久しぶりに小説らしいものが書けましたがエロい事をさせるためです!色情霊に憑りつかれた芹さんと霊さんのお話。もう100000回くらい目にしてるけど書きたくなったんだから仕方ないよね!18over? 10396
kabopan0714
DONEイベントエアスケブ① れーげんさんにドッグランに連れて行ってもらえると思ってウキウキだったのに着いたのは予防接種会場だったふぉぜ沢
② 誕生日プレゼントでもらった洋服を着た芹沢(私服)
③ラブラブなどうぶつフォーゼ芹霊 3
mp111555
MENU12/17発行の芹霊新刊の一話目になります。通販は👇
https://ecs.toranoana.jp/joshi/ec/item/040031123679
ふつうの生活 一話目 1
依頼人の女性は、芹沢が持ってきたお茶に手をつけようとはしなかった。
霊とか相談所に来る相談は霊幻が数年前にテレビ出演で起こした騒動を経てから、七割は肉体的な不調によるもので、三割は本物の心霊相談になっていた。
今回の相談は三割のうちに入るものだと、霊幻は感じていた。根拠はないが、この仕事を長くやっているので大体当たる。
湯呑みからは淹れたばかりのお茶の湯気が浮かび上がる。女性の膝の上に揃えられた手に皺は少なく、ベージュに塗られた爪はきれいに整えられている。落ち着いた焦茶の髪色と地味な化粧に、パンツスーツ姿が、女性の周りに流されない意思の強さと有能さを教えていた。
先に書いてもらったアンケート用紙には名前と電話番号、自由記入欄に年齢と職業と住所、そして相談事があるが、彼女——宝城まり子はすべてを埋めていた。四十三歳、金融業。住所は調味市内になっている。相談事は霊障に丸がついていた。
9031依頼人の女性は、芹沢が持ってきたお茶に手をつけようとはしなかった。
霊とか相談所に来る相談は霊幻が数年前にテレビ出演で起こした騒動を経てから、七割は肉体的な不調によるもので、三割は本物の心霊相談になっていた。
今回の相談は三割のうちに入るものだと、霊幻は感じていた。根拠はないが、この仕事を長くやっているので大体当たる。
湯呑みからは淹れたばかりのお茶の湯気が浮かび上がる。女性の膝の上に揃えられた手に皺は少なく、ベージュに塗られた爪はきれいに整えられている。落ち着いた焦茶の髪色と地味な化粧に、パンツスーツ姿が、女性の周りに流されない意思の強さと有能さを教えていた。
先に書いてもらったアンケート用紙には名前と電話番号、自由記入欄に年齢と職業と住所、そして相談事があるが、彼女——宝城まり子はすべてを埋めていた。四十三歳、金融業。住所は調味市内になっている。相談事は霊障に丸がついていた。
霊幻先生ガチ恋勢おじさん
DOODLE気持ちが不安定になると無意識的に超能力で霊を傷つけてしまう芹と、受け入れてあげたい霊のDV(?)芹霊。2枚目に救済オチを付けたのでハッピーな気持ちで見れると思います。それでも痣と鼻血が出てくるので苦手な方は注意。 2
霊幻先生ガチ恋勢おじさん
SPUR ME芹霊このまま放置しそうなので出します。年齢操作。ショタかつやくん×れ~れんさんです。受け優位。この後、ショタかつやくんに「わからせ」られるれ~れんさんはいると思います。
r15? (y/n)
mp111555
DOODLE恋バナから恋に発展しそうな芹霊駆け引き 人は酔うと暑くなると知ったのは、霊幻に飲みに連れられたときだった。
着ていたスーツも暑くなって脱ぎ捨て、酔い潰れた霊幻をおぶったときは背中が燃えたように暑かったのを覚えていた。翌日、互いに限界酒量を越えた摂取で二日酔いになりながら、なぜ酔うと暑くなるのか、暇な時間に霊幻が理屈を説明してくれた。アルコールで血管が拡張して、血流が早くなって起こる現象らしい。
それ以降、霊幻と飲みに行くことは今の所タイミングが合わずにないが、学校の友人に誘われてみんなが酔っ払ったときに彼の説明が頭を過ぎるようになった。
彼の言葉は芹沢の中で知識や知恵としてそこかしこに残っていた。例えば、トイレ掃除のときには酸性とアルカリ性の洗剤は混ぜないほうがいいとか、徒歩五分は大体五百メートルとか、依頼では人が嘘をつくときは、本当のことを言うときとの反応の違いと比べると分かりやすいとか。
3174着ていたスーツも暑くなって脱ぎ捨て、酔い潰れた霊幻をおぶったときは背中が燃えたように暑かったのを覚えていた。翌日、互いに限界酒量を越えた摂取で二日酔いになりながら、なぜ酔うと暑くなるのか、暇な時間に霊幻が理屈を説明してくれた。アルコールで血管が拡張して、血流が早くなって起こる現象らしい。
それ以降、霊幻と飲みに行くことは今の所タイミングが合わずにないが、学校の友人に誘われてみんなが酔っ払ったときに彼の説明が頭を過ぎるようになった。
彼の言葉は芹沢の中で知識や知恵としてそこかしこに残っていた。例えば、トイレ掃除のときには酸性とアルカリ性の洗剤は混ぜないほうがいいとか、徒歩五分は大体五百メートルとか、依頼では人が嘘をつくときは、本当のことを言うときとの反応の違いと比べると分かりやすいとか。
umi_scr
DONE付き合って別れてまたすぐにくっつく芹霊のしょーもない話。性描写はないので年齢制限入れませんがわりに不穏です……。
芹沢さんが女と付き合ったり倫理観がアレだったりするので何でも許せる方向けです。
どうかご注意ください。
バレンタインな話にするつもりがほぼ無関係などうしようもない話になりました。自分の性癖に忠実にごりごり書きました。こんなめでたい日にほんとすみません!
別れても好きな人 何かの間違いで部下と付き合って別れて、もう半年になる。付き合った期間はもっと短く、たった四か月だった。けれど密度は数年にわたるお付き合いって程に濃ゆくて、しかしそれは別れたことの原因でもあった。
「好きです……好き、みたいです……多分好きなんだと思うんです」
始まりは飲みに行った帰り道だった。ずいぶん歯切れの悪い告白で、けれど「好き」という言葉を連呼しただけっていうのが実に芹沢らしいなと思いながら、俺はなぜかその告白を受け入れてしまったのだ。
「ちょっと待て、あの夜は俺は酔っていたんだ……つうかお前酔って告白なんてベタなことやめろよ、ノーカンだからなノーカン」
「霊幻さん往生際悪くないですか? 覚えていない、ってことはないんですよね? へにゃって笑って、『俺も好きだよ』って言ってくれたことを」
6982「好きです……好き、みたいです……多分好きなんだと思うんです」
始まりは飲みに行った帰り道だった。ずいぶん歯切れの悪い告白で、けれど「好き」という言葉を連呼しただけっていうのが実に芹沢らしいなと思いながら、俺はなぜかその告白を受け入れてしまったのだ。
「ちょっと待て、あの夜は俺は酔っていたんだ……つうかお前酔って告白なんてベタなことやめろよ、ノーカンだからなノーカン」
「霊幻さん往生際悪くないですか? 覚えていない、ってことはないんですよね? へにゃって笑って、『俺も好きだよ』って言ってくれたことを」
mp111555
DONE付き合って数ヶ月目の芹霊です。芹沢webオンリーに展示していたものです。
かなわない人 芹沢にとって世界は分からないことだらけだ。
まず普通というものが分からない。辞書を引けば言葉の意味は分かる。そもそもありふれているものも、広く一般に通じているものというのが一体なんなのか学習する機会がなかったために、何が普通で何が普通じゃないのかを判断する基準がない状態なのだ。
爪にいたときはそういったことを考えなくて良かった。全員が普通じゃなかったから、普通を知らなくても支障がなかったのだ。
しかし霊とか相談所では支障だらけだ。最初の数ヶ月は霊幻の言われるがままに動いていた。彼は言語化の達人だった。人の行動や気持ちについて、打てば響くように聞いたら芹沢が理解出来るように言葉にしてくれる。
芹沢の普通と普通じゃない基準は、霊幻の言葉になった。お陰で自分の半径数百メートル程度の社会の見方が構築された。霊幻がいなければそれは不可能だったし、今でも感謝している。
2292まず普通というものが分からない。辞書を引けば言葉の意味は分かる。そもそもありふれているものも、広く一般に通じているものというのが一体なんなのか学習する機会がなかったために、何が普通で何が普通じゃないのかを判断する基準がない状態なのだ。
爪にいたときはそういったことを考えなくて良かった。全員が普通じゃなかったから、普通を知らなくても支障がなかったのだ。
しかし霊とか相談所では支障だらけだ。最初の数ヶ月は霊幻の言われるがままに動いていた。彼は言語化の達人だった。人の行動や気持ちについて、打てば響くように聞いたら芹沢が理解出来るように言葉にしてくれる。
芹沢の普通と普通じゃない基準は、霊幻の言葉になった。お陰で自分の半径数百メートル程度の社会の見方が構築された。霊幻がいなければそれは不可能だったし、今でも感謝している。
mp111555
DONE芹沢webオンリーおめでとうございます!!めでたい!!ショウくん視点の芹沢とショウくんの話です。一応芹霊ベースですが霊幻は出てきません。
俺の友達 芹沢からメールが来たのは、やっと冬が終わったと思った日の朝だった。
『お久しぶりです。芹沢です。
ショウ君、元気にしているかな。返事が遅くなってごめん。
俺は今、霊幻さんの事務所に勤めています。
爪にいたときとは全然やることが違って、最近になってやっと慣れてきました。
ショウ君にはずっと連絡をしたいと思っていました。
なぜなら、あのとき社長の一番近くに俺がいたのに、止められなかったことを後悔していたからです。
引きこもっていた俺を社長が外に連れ出してくれて、俺は爪で社員をやっていたつもりでした。
自立する準備をしながら社長の元で働いているのだと思っていました。
その認識は間違っていたのだと、霊幻さんの事務所で働き始めて気づきました。
5227『お久しぶりです。芹沢です。
ショウ君、元気にしているかな。返事が遅くなってごめん。
俺は今、霊幻さんの事務所に勤めています。
爪にいたときとは全然やることが違って、最近になってやっと慣れてきました。
ショウ君にはずっと連絡をしたいと思っていました。
なぜなら、あのとき社長の一番近くに俺がいたのに、止められなかったことを後悔していたからです。
引きこもっていた俺を社長が外に連れ出してくれて、俺は爪で社員をやっていたつもりでした。
自立する準備をしながら社長の元で働いているのだと思っていました。
その認識は間違っていたのだと、霊幻さんの事務所で働き始めて気づきました。
umi_scr
PAST某バンドの有名曲を無理矢理芹霊変換したやつです。書いたのは2017年頃。歌詞の落とし込み方が強引すぎてボツにしたんですが、それは置いておいても、この関係性の芹霊がすごく好きです。霊幻さんが振り回されるやつ。※霊幻さんの過去捏造注意
JAM 仕事を辞めた理由は、腐るほどあった。下戸なのを知っていながら浴びるほど飲まされたこと、クソ威張り散らした取引先に罵られながら笑って頭を下げたこと、ずっと付き合っていた彼女を抱けなくなったこと。
そんなに性欲が強くない方だとは思っていたが、いざ勃たなくなったときの絶望はとてつもなかった。人生、終わった、と思った。駆け込んだ医者には「ストレス」ですね、と予想通りの診断をされ、副作用が怖すぎる薬を飲んでは見たもののまるで効かなくて、結局最低な別れ方をした。「ごめん、他に好きな人ができた」と嘘をついての。
そんなとき、同期の人間が不幸な事故にあったのが決定的なトリガーになった。俺が行くはずの出張は訳あってそいつが行くことになり、そしてその飛行機が、墜ちた。
2679そんなに性欲が強くない方だとは思っていたが、いざ勃たなくなったときの絶望はとてつもなかった。人生、終わった、と思った。駆け込んだ医者には「ストレス」ですね、と予想通りの診断をされ、副作用が怖すぎる薬を飲んでは見たもののまるで効かなくて、結局最低な別れ方をした。「ごめん、他に好きな人ができた」と嘘をついての。
そんなとき、同期の人間が不幸な事故にあったのが決定的なトリガーになった。俺が行くはずの出張は訳あってそいつが行くことになり、そしてその飛行機が、墜ちた。
mp111555
DOODLE「幸せ過去最高記録更新中」の少し前の霊幻視点の話アイ・ニード・ユー 芹沢の大きな背中を見て、セックスしてぇなと唐突に思った。そう思うのは、今置かれている環境によるものだと冷静に分析する自分もいた。生存本能って本当にあるんだな、とも。
なぜなら辺りは風の轟々と音が響き、芹沢が水平に持つ傘の向こう側は真っ白という、遭難寸前の状況だからだ。自分たちの住む地域ではまず見ることのないホワイトアウトする視界と、同時に巨木の枝が大きくしなるほどの強風の音が平衡感覚を失わせる。踏み締める雪は時間が経つにつれて段々と嵩を増していて、最初は靴底が埋まるくらいだったのが今は足首が埋まるほどになっている。このペースだと一晩経ったら頭の先まで埋まって春まで見付からないだろうと思った。
仕事の依頼で、この時期に塩干潟県の山間に行くという時点で嫌な予感はしていたのだ。
2616なぜなら辺りは風の轟々と音が響き、芹沢が水平に持つ傘の向こう側は真っ白という、遭難寸前の状況だからだ。自分たちの住む地域ではまず見ることのないホワイトアウトする視界と、同時に巨木の枝が大きくしなるほどの強風の音が平衡感覚を失わせる。踏み締める雪は時間が経つにつれて段々と嵩を増していて、最初は靴底が埋まるくらいだったのが今は足首が埋まるほどになっている。このペースだと一晩経ったら頭の先まで埋まって春まで見付からないだろうと思った。
仕事の依頼で、この時期に塩干潟県の山間に行くという時点で嫌な予感はしていたのだ。
mp111555
DOODLE寒波で出張先から帰れなくなった芹霊幸せ過去最高記録更新中「ごめん母ちゃん、今日は帰れなさそう」
電話越しに母親の心配する声が聞こえて、うん、うん、と相槌を打つ。
大丈夫だよ。霊幻さんと一緒だから。明日朝には帰れると思う。ひと通りのやり取りを経て電話を切って、芹沢は息を吐く。憂鬱や煩わしさというよりも、感慨深さから来るため息だった。引きこもっていたときはもちろん、爪に所属していたときですら、仕事で帰れなくなる事態なんて、想像もしなかった。
今、自分の住んでいる味玉県から数百キロ離れた土地にあるホテルで、五階の廊下からは絶え間なく降り続ける雪で烟る、知らない町並みが見えている。現実感がない風景は書き割りのようだった。
ホテルの廊下で電話を終えて部屋に戻ると、ベッドの上では風呂に入り、服を着替えた霊幻が寝そべっていた。芹沢が着ると少し窮屈そうなビジネスホテルの寝間着も、霊幻が着ると少し裾が足りないくらいのジャストサイズに見える。
1936電話越しに母親の心配する声が聞こえて、うん、うん、と相槌を打つ。
大丈夫だよ。霊幻さんと一緒だから。明日朝には帰れると思う。ひと通りのやり取りを経て電話を切って、芹沢は息を吐く。憂鬱や煩わしさというよりも、感慨深さから来るため息だった。引きこもっていたときはもちろん、爪に所属していたときですら、仕事で帰れなくなる事態なんて、想像もしなかった。
今、自分の住んでいる味玉県から数百キロ離れた土地にあるホテルで、五階の廊下からは絶え間なく降り続ける雪で烟る、知らない町並みが見えている。現実感がない風景は書き割りのようだった。
ホテルの廊下で電話を終えて部屋に戻ると、ベッドの上では風呂に入り、服を着替えた霊幻が寝そべっていた。芹沢が着ると少し窮屈そうなビジネスホテルの寝間着も、霊幻が着ると少し裾が足りないくらいのジャストサイズに見える。
mp111555
PAST見つめる霊幻と気付いてない芹沢の攻防戦可愛いあなた 視界の中で、数センチ下にある薄茶色の瞳が揺れて、薄く開いた唇から息を吸う音がして、止まる。
まただ、と芹沢はうんざりする。トメも今日は来ておらず、エクボも不在にした相談所には芹沢と霊幻の二人だけしかいなかった。扉を背にしているので、誰かが来ればすぐにわかる。霊幻の背中越しには下ろされたブラインドは閉じられておらず、隙間からは夕陽が差し込み、長い影を作っていた。あと少ししたら電気をつけないとな、と何割か残った冷静さで考える。
きっかけは些細なことだった。最近の外食や原材料の値上がりが著しいという世間話から、一緒に食事をしようと誘ったのだ。
なんで。あなたと行きたいからです。沈黙。言葉に窮した彼が適当な理由をつけて出て行こうとするのを立ち上がって止めたのだ。
2315まただ、と芹沢はうんざりする。トメも今日は来ておらず、エクボも不在にした相談所には芹沢と霊幻の二人だけしかいなかった。扉を背にしているので、誰かが来ればすぐにわかる。霊幻の背中越しには下ろされたブラインドは閉じられておらず、隙間からは夕陽が差し込み、長い影を作っていた。あと少ししたら電気をつけないとな、と何割か残った冷静さで考える。
きっかけは些細なことだった。最近の外食や原材料の値上がりが著しいという世間話から、一緒に食事をしようと誘ったのだ。
なんで。あなたと行きたいからです。沈黙。言葉に窮した彼が適当な理由をつけて出て行こうとするのを立ち上がって止めたのだ。
mp111555
PAST霊幻のお兄ちゃん呼びに芹沢が新たな扉を開きかける話お兄ちゃんって呼ばれたい 午後十時、仕事が終わり夜学に通い、シャワーを浴びて一息つくのは大体それくらいの時間だ。最初の数ヶ月は疲れ果てて記憶が飛んでいたこともしばしばだったが、だんだんと慣れてくると夜中まで夜更かししたり、夜学の後に学友と飲みに行けるようにもなっていた。
霊幻と飲みに行ったのも、忘年会に新年会、松の内も明けて新しい年が日常として馴染み始めたタイミングだった。
遅い新年会という名目でチェーンの居酒屋に入った。半個室になったテーブル席で、タッチパネル式の注文システムで適当なつまみと酒を頼む。霊幻さんはビールですか。レモンサワーかな。じゃあ俺はビールで。
「お前手慣れてきたな」
注文の送信ボタンを押すタイミングで水が運ばれてきて、口を付けると霊幻がぽつりと言う。
2955霊幻と飲みに行ったのも、忘年会に新年会、松の内も明けて新しい年が日常として馴染み始めたタイミングだった。
遅い新年会という名目でチェーンの居酒屋に入った。半個室になったテーブル席で、タッチパネル式の注文システムで適当なつまみと酒を頼む。霊幻さんはビールですか。レモンサワーかな。じゃあ俺はビールで。
「お前手慣れてきたな」
注文の送信ボタンを押すタイミングで水が運ばれてきて、口を付けると霊幻がぽつりと言う。
mp111555
PAST心霊スポットで現場猫霊幻に怒る芹沢の話俺がやらなきゃ誰がやる 嫌な空気というものがある。
それってどういう感じ?と前に霊幻に聞かれたことがあった。だが、国語の成績がいくら良いほうでも、形容するのは難しかった。霊幻も霊と対峙した経験があるなら知っているだろうにと思ったが、言葉で言い表せないことのほうがより印象に残っていた。
今ならそれを表現することができる。腹の底がざわつく感じ。油断できないから体が臨戦態勢に入って、すべての動きに敏感になる。とにかく一刻も早く立ち去りたいが、逃げればどこまでも追い掛けられそうだから下手に動くこともできない。原始的な恐怖。いくらか言語化出来るようになっても、身体から得られる感覚情報には追いつかない。
現場は郊外にある廃病院だった。依頼主はそこに肝試しをしに行った大学生だった。同行した友人が肝試しの最中にいなくなったのだという。警察にも相談し、友人の親も失踪届を出したが、廃病院の捜索は行われなかったと言うことで、霊とか相談所に泣きついてきた。
1980それってどういう感じ?と前に霊幻に聞かれたことがあった。だが、国語の成績がいくら良いほうでも、形容するのは難しかった。霊幻も霊と対峙した経験があるなら知っているだろうにと思ったが、言葉で言い表せないことのほうがより印象に残っていた。
今ならそれを表現することができる。腹の底がざわつく感じ。油断できないから体が臨戦態勢に入って、すべての動きに敏感になる。とにかく一刻も早く立ち去りたいが、逃げればどこまでも追い掛けられそうだから下手に動くこともできない。原始的な恐怖。いくらか言語化出来るようになっても、身体から得られる感覚情報には追いつかない。
現場は郊外にある廃病院だった。依頼主はそこに肝試しをしに行った大学生だった。同行した友人が肝試しの最中にいなくなったのだという。警察にも相談し、友人の親も失踪届を出したが、廃病院の捜索は行われなかったと言うことで、霊とか相談所に泣きついてきた。
mp111555
PAST芹沢のちんちんを見て霊幻がビビる話惚れたほうが負け それを見た瞬間、霊幻はヒュッと息を呑んだ。声に出さなかった自分を褒めてやりたい。
目の前には裸の男が座っている。自分もパンツを脱いで、腰には枕を差し込み少し後ろに身体を傾けた姿勢で、ベッドの上にいた。導き出される解は一つしかない。霊幻もそのつもりだったし、事前の予習もばっちりしていた。なんなら風呂場で自分で試しに尻に指を突っ込んでみたりと、健気に努力していた。
しかし、その心も今の状況に折れかけていた。目の前に座る裸の男、芹沢も次になにをすれば良いのか分からず固まっていたので、互いに動かない状態のまま沈黙が流れていた。
ちんちんでっか。
今の霊幻には、それ以外の言葉が思いつかなかった。それもご丁寧に脳内でちいかわの声が再生される。自分の脳みそが作り出した合成音声だとしても、朝のアニメを清らかな目で見る自信が一気になくなった。
1709目の前には裸の男が座っている。自分もパンツを脱いで、腰には枕を差し込み少し後ろに身体を傾けた姿勢で、ベッドの上にいた。導き出される解は一つしかない。霊幻もそのつもりだったし、事前の予習もばっちりしていた。なんなら風呂場で自分で試しに尻に指を突っ込んでみたりと、健気に努力していた。
しかし、その心も今の状況に折れかけていた。目の前に座る裸の男、芹沢も次になにをすれば良いのか分からず固まっていたので、互いに動かない状態のまま沈黙が流れていた。
ちんちんでっか。
今の霊幻には、それ以外の言葉が思いつかなかった。それもご丁寧に脳内でちいかわの声が再生される。自分の脳みそが作り出した合成音声だとしても、朝のアニメを清らかな目で見る自信が一気になくなった。
mp111555
PASTトメ視点の出来てる世界線の芹沢と霊幻の話おっさん's ラブ もしかしてウチの職場、おっさんずラブができるのでは? という発想にトメが至ったのは、客のひとりも来ないまま事務所のテーブルで宿題を終わらせ、暇を持て余していた昼下がりのことだった。
桜が似合う春のうららかさも薄れていくと、徐々に空の色が濃くなり、雲の影のコントラストが強くなった。風は冷たいのでブレザーでちょうどいいが、日当たりがいい場所で授業を受けていると暑くなってくる、そんな季節の変わり目だ。
中学の頃もこうした暇な時間というのはあったものの、共有してくれる誰かがいて、退屈することはなかった。だがここではトメが話し掛けても、トメの望むようなやり取りは出来ない。所長の霊幻新隆も所員の芹沢克也もパソコンに釘付けになっているし、事務所内を浮遊している悪霊のエクボは鼻をほじっている始末だ。世間では持て囃されがちな女子高生というブランドも、ここでは業務用に大量購入されたボールペン以下だった。まあその方がありがたいといえばありがたいのだが。
3654桜が似合う春のうららかさも薄れていくと、徐々に空の色が濃くなり、雲の影のコントラストが強くなった。風は冷たいのでブレザーでちょうどいいが、日当たりがいい場所で授業を受けていると暑くなってくる、そんな季節の変わり目だ。
中学の頃もこうした暇な時間というのはあったものの、共有してくれる誰かがいて、退屈することはなかった。だがここではトメが話し掛けても、トメの望むようなやり取りは出来ない。所長の霊幻新隆も所員の芹沢克也もパソコンに釘付けになっているし、事務所内を浮遊している悪霊のエクボは鼻をほじっている始末だ。世間では持て囃されがちな女子高生というブランドも、ここでは業務用に大量購入されたボールペン以下だった。まあその方がありがたいといえばありがたいのだが。