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MAIKING▼モブ視点の東西(複雑な事情)▼東西の日おめでとうございます!祝いたさに書きかけからひっぱりだしてきたのですごく拙い&中途半端に終わる&解釈が古い方なので続きが出るか不明です【HQ】タクシードライバー 私は車田轍、三十六歳。都内のタクシー運転手として働いている。運転手になるために与えられたかのような名前の通りの人生、というわけでもなく三度の転職を経てこの業界に入って早幾年。ベテラン運転手にはまだ遠く及ばないが、それなりに様々な人たちを乗せてきた。同じくらいに様々なドラマの一端も垣間見てきた――なんて言えればかっこうもつくが、誰かのドラマの背景で雑踏から現れては再び雑踏の中へと消えていくような、しがない運転手稼業である。
その日は薄暗い曇天だった。東京駅までお願いします、と言いながら男は抗議の声を上げる少年と荷物を後部座席に押し込むと、開けたままのドアから顔を覗かせた。
「ここからだと運賃ってどれくらいになりますかね」
1397その日は薄暗い曇天だった。東京駅までお願いします、と言いながら男は抗議の声を上げる少年と荷物を後部座席に押し込むと、開けたままのドアから顔を覗かせた。
「ここからだと運賃ってどれくらいになりますかね」
itnk21
DONE最後まで読んでいただき本当にありがとうございますッ‼︎✨ずっと描きたかった東西侑の3P本をこのたび発行できて感無量でございます!
春高稲荷崎戦あとの話で、この後試合があるからってことで西谷くんは即断即決だった訳ですが、3Pともなると気持ちの変化とか描写が難しいですね!最後、旭さん侑も上着脱いでいたのに西谷だけ脱いでないのは、西谷の可愛い体をこれ以上侑に晒してなるものかという硬い意思です🤣
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REHABILI▼春高後〜卒業のあいだに関係が変化する(予定)東西の話の書きかけ冒頭(予定)▼ディープなキスをしているだけ▼描写が下手無題 ――うわ、すげえ。
それが西谷夕17歳、生まれて初めてのキスに対する最初の感想。いや、最初とはいえねえか。はじめは触っちゃいけないと言われているモノにビクビクしながら触ってはバッと離れていく指先のように、一瞬くっついてはすぐに離れるキスともいえない唇同士の接触を繰り返すこと数回。俺の方が小っ恥ずかしさに耐えきれず「もっとガッと来てくださいよ、ガッと! アンタならできるでしょ!」と胸ぐら摑んで叫んだら、旭さんは広い手を俺の肩に置いて、緊張してたんだろうな、節分の鬼のお面みたいなツラで「い、いくからね……」と言って、たっぷり10秒は経ってからやっと顔を寄せてきた。
乾いた唇を今度は強く押しつけられて、さらに何秒か経つ。で、この後ってどうするんだ? 濡れた何かがちろちろと俺の唇をなぞるように撫でている。キス初心者の俺もそれなりに緊張して、それなりに固くなっていたらしい。いつのまにか旭さんの手は俺のうなじに触れていて、それが少し擽ったくて、思わず唇を緩めたその瞬間、俺は旭さんが先ほどまでの旭さんじゃなくなっていることを悟った。
1298それが西谷夕17歳、生まれて初めてのキスに対する最初の感想。いや、最初とはいえねえか。はじめは触っちゃいけないと言われているモノにビクビクしながら触ってはバッと離れていく指先のように、一瞬くっついてはすぐに離れるキスともいえない唇同士の接触を繰り返すこと数回。俺の方が小っ恥ずかしさに耐えきれず「もっとガッと来てくださいよ、ガッと! アンタならできるでしょ!」と胸ぐら摑んで叫んだら、旭さんは広い手を俺の肩に置いて、緊張してたんだろうな、節分の鬼のお面みたいなツラで「い、いくからね……」と言って、たっぷり10秒は経ってからやっと顔を寄せてきた。
乾いた唇を今度は強く押しつけられて、さらに何秒か経つ。で、この後ってどうするんだ? 濡れた何かがちろちろと俺の唇をなぞるように撫でている。キス初心者の俺もそれなりに緊張して、それなりに固くなっていたらしい。いつのまにか旭さんの手は俺のうなじに触れていて、それが少し擽ったくて、思わず唇を緩めたその瞬間、俺は旭さんが先ほどまでの旭さんじゃなくなっていることを悟った。
小栗ビュン
DOODLEお題「本当は怖いんだ」二月二十日卒業まであと少し。
先日の雪は、自由登校の期間には引越しの準備を手間を取らされた。専門学校へ入学して、一人暮らしをする準備をしている。
この期間、誰とも会わなかったわけでもなくて、勿論西谷とは会っていたし、大地やスガ、清水とも会ったりした。体育館に覗きにも行ったし、引退してからもジャージを少しだけ着た。こうして自分が移り変わっていく日々に、雪の日は思い返させるのだった。
これでいいのだろうか。
本当はもっと、西谷と過ごす時間があるべきなのでは無いか。
更に考えは進んでいく。
東京へ発った後、西谷は高校生活をスポーツで過ごし、そして可愛い彼女を見つけたりして、俺との日々は次第に薄くなっていくのでは無いかと思えて来るのだった。しんしんと積もる雪は、そんな考えの静かな蓄積に思えたものだった。
1802先日の雪は、自由登校の期間には引越しの準備を手間を取らされた。専門学校へ入学して、一人暮らしをする準備をしている。
この期間、誰とも会わなかったわけでもなくて、勿論西谷とは会っていたし、大地やスガ、清水とも会ったりした。体育館に覗きにも行ったし、引退してからもジャージを少しだけ着た。こうして自分が移り変わっていく日々に、雪の日は思い返させるのだった。
これでいいのだろうか。
本当はもっと、西谷と過ごす時間があるべきなのでは無いか。
更に考えは進んでいく。
東京へ発った後、西谷は高校生活をスポーツで過ごし、そして可愛い彼女を見つけたりして、俺との日々は次第に薄くなっていくのでは無いかと思えて来るのだった。しんしんと積もる雪は、そんな考えの静かな蓄積に思えたものだった。
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MAIKING▼世界弾丸ツアー中の付き合ってない東西に起こるハプニングの序盤▼いい竿(30)の日らしいので東峰さんちの息子(ダブルミーニング)をたたえたくて書きかけのネタから突貫工事▼この後R18になる予定▼名前のあるモブが喋ってそこそこ出張ります【HQ】解放(仮) ――タダほど怖いものはない。それは、己や周囲の安全を守るためにも大事な教訓だ。ともあれ東峰がそんな反省を抱いたときにはすでに、事は取り返しがつかないところまで進み、そして果てた後だった。
その夜、東峰と西谷は宿泊二日目のホテルを出て近場のダンスバーに入っていた。夜の熱気が狭い店内に充満して、大人しく座っていても肌にじんわりと汗が滲む。東峰はひとり、カウンター席で水パイプを嗜みながら階下で踊る人の群れをぼんやりと眺めていた。そこへ喧騒をかき分けて陽気な英語が響くと同時に親しげに肩を叩かれる。
「やあ、アサヒ! 君のハニーはどうしたんだい?」
振り返るとくるりと跳ねる焦茶色の髪に同じ色の瞳を輝かせ、健康的な褐色の肌をネオンに彩られながら見覚えのある男が立っていた。同じホテルの宿泊客で昨晩夕食をとった店で偶然居合わせ意気投合、その後パブまで同行し親睦を深めたスペイン人のアルベルト……だったはずだ。
2633その夜、東峰と西谷は宿泊二日目のホテルを出て近場のダンスバーに入っていた。夜の熱気が狭い店内に充満して、大人しく座っていても肌にじんわりと汗が滲む。東峰はひとり、カウンター席で水パイプを嗜みながら階下で踊る人の群れをぼんやりと眺めていた。そこへ喧騒をかき分けて陽気な英語が響くと同時に親しげに肩を叩かれる。
「やあ、アサヒ! 君のハニーはどうしたんだい?」
振り返るとくるりと跳ねる焦茶色の髪に同じ色の瞳を輝かせ、健康的な褐色の肌をネオンに彩られながら見覚えのある男が立っていた。同じホテルの宿泊客で昨晩夕食をとった店で偶然居合わせ意気投合、その後パブまで同行し親睦を深めたスペイン人のアルベルト……だったはずだ。
nmnm_nmsn
MAIKING▼ブラジルで弾丸ツアー最終日を迎える東西の書きかけ▼このあとR18する予定なのでそういう話をしています【HQ】one day more 北極から始まった世界弾丸ツアー最終日。サンパウロのマーケット見物に来た俺と西谷はフードコートで少し遅めの朝食を摂っていた。
様々な国で多種多様の食事を経験したけれど、お洒落なレストランよりもこうした屋台で周囲の喧騒に耳を傾けながらの食事の方が断然落ち着くし気軽で楽しい。俺はプラスチックの青い皿に盛られた肉と豆をつつきながら買い物客や呼び込みで賑わう市場を眺めた。
二時間かけてうろついても足りないほど大きな市場には、カラフルな野菜や果物、新鮮な肉の山、目の前で捌かれる名前もわからない川魚など、どの店を覗いても目を奪われるような光景が広がっていて、手にしたカメラは何度もシャッター音を立てていた。
土地が違えば人も違うし、並ぶ品物の種類も違う。
4016様々な国で多種多様の食事を経験したけれど、お洒落なレストランよりもこうした屋台で周囲の喧騒に耳を傾けながらの食事の方が断然落ち着くし気軽で楽しい。俺はプラスチックの青い皿に盛られた肉と豆をつつきながら買い物客や呼び込みで賑わう市場を眺めた。
二時間かけてうろついても足りないほど大きな市場には、カラフルな野菜や果物、新鮮な肉の山、目の前で捌かれる名前もわからない川魚など、どの店を覗いても目を奪われるような光景が広がっていて、手にしたカメラは何度もシャッター音を立てていた。
土地が違えば人も違うし、並ぶ品物の種類も違う。
小栗ビュン
DONE東西真ん中バースデー!!大人時代からさらに十年後の東峰旭とモブ女子の会話。
十年後のバースデー「東峰さん、お疲れ様でした。」
春の新作の発表を無事に終えることができて、そのお披露目ショウが終わった会場でただ立ち尽くしていた時だった。後輩の女子社員から労いの言葉を貰い、ふと我にかえる。
「ありがとう、細かいところも手伝ってもらえて、本当に助かった。」
いつの間にか後輩が出来て、追い抜かれたりする焦りも感じて、あっという間の十年間だった。ヘーゼルナッツのような色の柔らかい髪が、微笑んだ際に揺れた。
「お疲れ様でした、先輩。」
「ありがとう。」
それからちらほらと後輩がやってくる。片付けを手伝ってくれる事務所の後輩達を見ていると、つい最近まで一緒にコートの中にいたあいつらを思い出す。あの時から、倍の年齢を生きている。三十代はあっという間だなんて言うけれど、全くその通りだった。俺は最初に入ったデザイン事務所に籍を置きながら、フリーの仕事も手がけて生きている。アパレルデザイナーだけあって、皆個性的な服で働いている姿を見ると、あの二色で統一されたユニフォームを着た排球男児が恋しくなるのは何故だろう。大きな仕事を終えた日に限って、何故懐かしむ感情が強くなるのだろう。
2554春の新作の発表を無事に終えることができて、そのお披露目ショウが終わった会場でただ立ち尽くしていた時だった。後輩の女子社員から労いの言葉を貰い、ふと我にかえる。
「ありがとう、細かいところも手伝ってもらえて、本当に助かった。」
いつの間にか後輩が出来て、追い抜かれたりする焦りも感じて、あっという間の十年間だった。ヘーゼルナッツのような色の柔らかい髪が、微笑んだ際に揺れた。
「お疲れ様でした、先輩。」
「ありがとう。」
それからちらほらと後輩がやってくる。片付けを手伝ってくれる事務所の後輩達を見ていると、つい最近まで一緒にコートの中にいたあいつらを思い出す。あの時から、倍の年齢を生きている。三十代はあっという間だなんて言うけれど、全くその通りだった。俺は最初に入ったデザイン事務所に籍を置きながら、フリーの仕事も手がけて生きている。アパレルデザイナーだけあって、皆個性的な服で働いている姿を見ると、あの二色で統一されたユニフォームを着た排球男児が恋しくなるのは何故だろう。大きな仕事を終えた日に限って、何故懐かしむ感情が強くなるのだろう。
小栗ビュン
DOODLEセクピスパロ設定。水底のカタルシス部活の終わりに、西谷の誕生日が近いという話になって、例のアイスを奢るか、昼飯を奢るか、どうするかなんて話で少し盛りあがった。本人は多分遠慮してアイスでいいと言っていたのだろうが、照れながらもとても嬉しそうにしている顔は自然で可愛いものだった。嬉しいことに、素直に喜べるやつは、きっとどこでも可愛がられる。素直で、正直で、率直な言葉を出せる西谷は、どこまでも真っ直ぐなんだなと思った。
でも、それは一般的な西谷の印象であり、もしかしたら、西谷がそう意識して育ててきた部分かもしれない。
そしてその逆の、人に言えないことや、隠し事で渦巻く体内かもしれない。誰かが寝ている隙にマーキング紛いのことをするような。それを知られたくないという気持ちを持っていたりするような。西谷にも、もう少しドロっとしたものがあるのかもしれない。
8395でも、それは一般的な西谷の印象であり、もしかしたら、西谷がそう意識して育ててきた部分かもしれない。
そしてその逆の、人に言えないことや、隠し事で渦巻く体内かもしれない。誰かが寝ている隙にマーキング紛いのことをするような。それを知られたくないという気持ちを持っていたりするような。西谷にも、もう少しドロっとしたものがあるのかもしれない。
小栗ビュン
DOODLEセクピスパロ設定東西。終わりか続くかは未定です。
水底のカタルシス多分、俺はもう死ぬんだろうなって。
気を失っても、とにかく寒くて、寒くて、心臓が震えているのを感じている。心臓の震えが全身を揺らしていく。出来ていない呼吸が更に上手く出来ずにいるうちに、体が困って悲鳴を上げ始める。そして直ぐに、混濁状態になって震える元気すらなくなる。
この瞬間、死ぬんだろなって思うんだ。
今も。
冷えきって、涙とか多分外に出てしまっている。
そのまま死ぬなら、一度だけでいいから、好きな人とか欲しかったなって思うんだ。中学生みたいな思考だけど、一度ぐらいは誰かを好きになって、結ばれて、自分の両親のような親になりたかった。高校生からそんなこと考えるなんて、少し変でしょう。それでも、この世界はそれが当たり前なんだ。繁殖することが義務みたいなものだから。それなら、好きになった人と、家族になりたかった。
8443気を失っても、とにかく寒くて、寒くて、心臓が震えているのを感じている。心臓の震えが全身を揺らしていく。出来ていない呼吸が更に上手く出来ずにいるうちに、体が困って悲鳴を上げ始める。そして直ぐに、混濁状態になって震える元気すらなくなる。
この瞬間、死ぬんだろなって思うんだ。
今も。
冷えきって、涙とか多分外に出てしまっている。
そのまま死ぬなら、一度だけでいいから、好きな人とか欲しかったなって思うんだ。中学生みたいな思考だけど、一度ぐらいは誰かを好きになって、結ばれて、自分の両親のような親になりたかった。高校生からそんなこと考えるなんて、少し変でしょう。それでも、この世界はそれが当たり前なんだ。繁殖することが義務みたいなものだから。それなら、好きになった人と、家族になりたかった。
小栗ビュン
DONE6話中6話目。東峰旭編。海獣のバラード~その果て~腕の中にいたあたたかい体温。西谷のものとはまた違って、肌の質感も大きも何もかもが違った。俺の子どもの頃とまったく同じ顔をして、俺の顔を楽しそうに触る。まるで父親にさせてくれたような錯覚を与えてくれる。
自分の手から離れていって、本当の父親と母親の元へ戻って行ったところを見て、自分の気持ちが収まるのもまた改めて知った気がした。
あの親子には、あの親子の時の流れがあって、覚悟があって、切望した後にある幸福があった。それはたとえ人ではなくても、人であっても、誰にも重ならないオンリーワンのものでしかない。俺と西谷では得られないものだし、俺と西谷が求めるものとはまた違ったものだと勝手に感じたものだった。
生まれてきた体は、本来の機能を働かせるために生きようとする。けれど、自分を受け止めて繋いでくれる相手の体は、必ず互いの本来の機能を求め合うとも限らない。だから俺達は、惹かれあった。相手が、自分達だったからこうなった。睡眠欲も食欲も、性欲もともに満たそうとする相手だ。
8851自分の手から離れていって、本当の父親と母親の元へ戻って行ったところを見て、自分の気持ちが収まるのもまた改めて知った気がした。
あの親子には、あの親子の時の流れがあって、覚悟があって、切望した後にある幸福があった。それはたとえ人ではなくても、人であっても、誰にも重ならないオンリーワンのものでしかない。俺と西谷では得られないものだし、俺と西谷が求めるものとはまた違ったものだと勝手に感じたものだった。
生まれてきた体は、本来の機能を働かせるために生きようとする。けれど、自分を受け止めて繋いでくれる相手の体は、必ず互いの本来の機能を求め合うとも限らない。だから俺達は、惹かれあった。相手が、自分達だったからこうなった。睡眠欲も食欲も、性欲もともに満たそうとする相手だ。
小栗ビュン
DONE6話中5話目。西谷夕編。海獣のバラード~この果て~旭さんは大きな仕事を任されたり、小さな仕事で苦戦したり、時々ぼんやりしながら一生懸命働いていた。その時々というのは、多分自分達と同じ顔をした、あの親子のことを思っているんだろう。それは俺も同じで、この一年でふたつの国をゆっくり回ったけれど、海を見かける度にあの親子や先輩と同じ顔をしたふたりを思い出した。
あの旅は、旭さんとの生活を変えた大事件だった。結局誰にもあの旅のことは話していない。しばらくは、旭さん自身も俺もあの親子の話をすることを控えていたような気がする。信じているけれど、その後がどうなったのか、やはり心の底で怯えていたんだろうと思う。
「元気かな」って呟いて、「きっとめっちゃ育ってますよ」とか話したり、「早く夏になるといいね」って言って自分達と同じ顔をした海獣達を信じることにおさまった。
9312あの旅は、旭さんとの生活を変えた大事件だった。結局誰にもあの旅のことは話していない。しばらくは、旭さん自身も俺もあの親子の話をすることを控えていたような気がする。信じているけれど、その後がどうなったのか、やはり心の底で怯えていたんだろうと思う。
「元気かな」って呟いて、「きっとめっちゃ育ってますよ」とか話したり、「早く夏になるといいね」って言って自分達と同じ顔をした海獣達を信じることにおさまった。
小栗ビュン
DONE6話中4話目。シャチアサヒ編。海獣のバラード~最果て~人の子のユウに海の進み方と目的地を教えてもらって、ダイチとスガと共に慣れ親しんだ海を離れた。北の海は沢山の漁師がいるから、それらに見つからないように、すり抜けるようにして移動する。網だとかにかかっても嫌だし、銛で突かれても死にはしないけど、痛いのは嫌だもんな。
本当にユウと合流出来るのか不安だった。ダイチとスガがついてきてくれたことで、進むにつれてその不安はだいぶ減っていったけれど、合流できたそこでまさか「旭さん」もいるとは思わなかった。本当に俺と同じ顔をしているんだなって思ったし、海の中からでもユウが「旭さん」に大事にされているのは分かったから、とりあえず引っ込んだんだよね。
失恋とはまた違うけど、やっぱりあの子を食っておけばよかったかなとも思ったし、そしたら「旭さん」は俺を恨むだろうし、俺と俺で争うことになるかもね。そういうのは、好きじゃない。争うとか、奪うとか、やっぱりいいことには繋がらないよね。「旭さん」といるあの子の顔を見たら、やっぱり納得出来たし。だからその夜は大人しくダイチとスガと休むことにしたんだ。
8674本当にユウと合流出来るのか不安だった。ダイチとスガがついてきてくれたことで、進むにつれてその不安はだいぶ減っていったけれど、合流できたそこでまさか「旭さん」もいるとは思わなかった。本当に俺と同じ顔をしているんだなって思ったし、海の中からでもユウが「旭さん」に大事にされているのは分かったから、とりあえず引っ込んだんだよね。
失恋とはまた違うけど、やっぱりあの子を食っておけばよかったかなとも思ったし、そしたら「旭さん」は俺を恨むだろうし、俺と俺で争うことになるかもね。そういうのは、好きじゃない。争うとか、奪うとか、やっぱりいいことには繋がらないよね。「旭さん」といるあの子の顔を見たら、やっぱり納得出来たし。だからその夜は大人しくダイチとスガと休むことにしたんだ。
小栗ビュン
DONE6話中2話目。シャチアサヒ編。海獣のバラード~大海獣~ダイチとスガが居てくれれば、寂しくはない。
けれど、自分の半分が見つからないままでいて落ち着かない。それが流れついて出会った、ユウだったのもわかっている。
出会ったのが、もう何年前だったかは忘れたよ。
でも、出会ったその時のことは、その日のことは忘れない。
忘れられない。
忘れてしまったら、俺は自分の半分を失ったまま、きっとただ生きるだけだ。
連日変な天気が続いて、波も気持ち悪い動きをしていたある日。寒流と暖流がめちゃくちゃになって、普段は見ない魚や生き物を見かけた日だった。秋刀魚が酔っ払って変な方向に泳いで行ったっけ。大抵は流れに任せて俺たちを素通りしていくんだけど、人魚は人魚同士、出会えたら挨拶もするわけで。「勝手に流れ着いてすんません!」て敬礼するみたいに背筋を伸ばして、俺達に挨拶をしたんだ。変な子だなって、でも可愛いなって思って、胸がくすぐったかった。恋をするのも、一瞬だった。
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出会ったのが、もう何年前だったかは忘れたよ。
でも、出会ったその時のことは、その日のことは忘れない。
忘れられない。
忘れてしまったら、俺は自分の半分を失ったまま、きっとただ生きるだけだ。
連日変な天気が続いて、波も気持ち悪い動きをしていたある日。寒流と暖流がめちゃくちゃになって、普段は見ない魚や生き物を見かけた日だった。秋刀魚が酔っ払って変な方向に泳いで行ったっけ。大抵は流れに任せて俺たちを素通りしていくんだけど、人魚は人魚同士、出会えたら挨拶もするわけで。「勝手に流れ着いてすんません!」て敬礼するみたいに背筋を伸ばして、俺達に挨拶をしたんだ。変な子だなって、でも可愛いなって思って、胸がくすぐったかった。恋をするのも、一瞬だった。
小栗ビュン
DONE6話中1話目。西谷夕編。海獣のバラード~人の子~世界に同じ顔した人が三人いるという迷信は聞いたことがある。けれど、同じ顔をしたやつとなんて出会ったとこがない。会いたくもない。けれど、恋人と同じ顔した人なら少しだけ見てみたい。
「うちの旭さんの方がかっけぇだろ」って言ってやれるから。
そんなことを考えているうちに、それでは恋人に対して失礼なのかそうではないのか、わからなくなってきて陸路の移動中に眠ってしまっていた。なぜそんなことを考えていたのか。
この時点で、俺はもう、呼ばれていたのかもしれない。
西谷夕は今、北海道を縦断していた。
遡って昨日のこと。
「今度は北海道の先っぽに行ってきます。」
「マジか、締切が迫ってなかったら一緒に行ったんだけどなあ。」
久しぶりの国内の冒険に、心配性の彼氏が安心と悲しみを合わせた複雑な顔をしていた。旭さんは止めても無駄ということを知ってくれている。その上で、時々渡航するのに細心のチェックを俺にしてくれる。毎日の世界情勢が変わるのは肌で感じているし、そんな中で出会う人達との時間がダイレクトに教えてくれる。日本て小せえなってつくづく思うけれど、日本てやっぱ寝る場所にはいいよなって思ったりする。一番の寝床は、旭さんといるベッドだ。それに限る。
10610「うちの旭さんの方がかっけぇだろ」って言ってやれるから。
そんなことを考えているうちに、それでは恋人に対して失礼なのかそうではないのか、わからなくなってきて陸路の移動中に眠ってしまっていた。なぜそんなことを考えていたのか。
この時点で、俺はもう、呼ばれていたのかもしれない。
西谷夕は今、北海道を縦断していた。
遡って昨日のこと。
「今度は北海道の先っぽに行ってきます。」
「マジか、締切が迫ってなかったら一緒に行ったんだけどなあ。」
久しぶりの国内の冒険に、心配性の彼氏が安心と悲しみを合わせた複雑な顔をしていた。旭さんは止めても無駄ということを知ってくれている。その上で、時々渡航するのに細心のチェックを俺にしてくれる。毎日の世界情勢が変わるのは肌で感じているし、そんな中で出会う人達との時間がダイレクトに教えてくれる。日本て小せえなってつくづく思うけれど、日本てやっぱ寝る場所にはいいよなって思ったりする。一番の寝床は、旭さんといるベッドだ。それに限る。
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DONE▼海外にいるのに土用の丑の日にかこつけてイチャつくできてる東西▼最終回前後の二人▼具体的な描写はないけど性的な話をしています【HQ】asanoya SS③ 西谷の朝は早い。どんなときでも毎日六時きっかりに目が覚めて、隣でぐっすりと寝こけている恋人の無精髭でざらついた頬にキスをする。そしてベッドから静かに出ると、素早く身支度を整えて朝のランニングへと向かうのだ。それから一時間ほどして戻る頃には東峰も起床して、西谷が汗を流している間に寝ぼけ眼を冷水で洗って髭をあたり、揃ってさっぱりとしたところで一緒に朝食を取る。それが弾丸ツアー中に自然と作られた二人の朝のルーティーンだった。
今朝もおはようのキスを交わすと二人は昨晩ホテル近くのスーパーで買い込んだ朝食を広げた。サンドイッチにヨーグルト、サラダなどを平らげながらその日の予定を相談する。すでに前日までに予定が決まっていることが大半だったが、時折どちらかの提案や天候不順、あるいは喧嘩などの理由から計画が頓挫したり、強引に変更されることもあった。
1259今朝もおはようのキスを交わすと二人は昨晩ホテル近くのスーパーで買い込んだ朝食を広げた。サンドイッチにヨーグルト、サラダなどを平らげながらその日の予定を相談する。すでに前日までに予定が決まっていることが大半だったが、時折どちらかの提案や天候不順、あるいは喧嘩などの理由から計画が頓挫したり、強引に変更されることもあった。