誰を護る剣晋王が突然、白衣剣の手入れを見たいと言い出した。
師父から受け継いだ名剣である。もちろん手入れを欠かしたことはないが、それをわざわざ人に見せはしない。報告に訪れた部下がたまたま目にしたことがあるくらいだ。
「それは、余を守る剣であろう」
もしや、何か落ち度があったのだろうかと周子舒がはっと頭を上げると、かつて従兄としての彼がよく見せていた顔をしていた。
「他の者が知っていて、何故余が知らないのだ」
拗ねたような声。
皇帝の座に就こうと野心を燃やす男が、たかだかひとりの寵臣にまさか悋気を起こしたと言うのだろうか。
「……では、もしよろしければ、晋王の剣も子舒が手入れいたしましょうか」
何が正解かわからないまま、周子舒はそう伺いを立てた。
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