嫉妬の手紙「…手紙、か」
側近のロゼという肩書きの男が差し出した手のひらほどの小さな便箋。封蝋は剥がされており、一度ロゼが中身を確認したことが伺えた。誰からだろうと差出人を見ればああ、あの子かと容姿を思い出して口元が綻んだ。
しかしその微笑みとは真逆にロゼの顔は険しく、こちらを見つめる目は不機嫌にくすんでいて。
…さて、中身は。そう封筒を覗けば折り畳まれた紙が2枚ほど収まっていた。
慎重に開きながら一字一句丁寧に読み進める。2人の間には無音の空間が広がっていた。王様の目が徐に伏せて、長いまつ毛がゆっくりと瞬きをする。それだけで絵になってしまいそうだ。
ロゼはそんな王様の姿をじっと見つめ、王様がふっと肩の力を抜いて椅子の背にもたれかかったところで紅茶の入ったティーカップを目の前に置いた。
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