人生という名の 揺らめく行灯の火が石畳の影を揺らす。木ノ葉隠れの里の地下に張り巡らされた通路のひとつに、一人分の足音が響いていた。
父に巻いてもらった緑色のマフラーを口元に寄せる。カカシは半袖の腕を擦りながら、先ほど通った道を振り返り、眉をしかめた。
「ここ…さっきも通ったな」
何度も歩いた道だからわかる。曲がり角はいくつかあったが、分かれ道はなかった。戻ることなく進んできたはずなのに、同じ道が続いている。
(引き返すべきか……?)
立ち止まり、思案する。戻るのは抵抗があった。たしか大切な用事があったはずなのに、どうしても思い出せない。
ただ『待たせてはいけない』という思いに急かされて、カカシはまた歩き出した。
(……やっぱり同じ通路だ)
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