アルケミラモリスお題 花言葉から「輝き、献身的な愛、初恋」
自室へ用意した長椅子へ座り、晩酌をするインドラ。その傍らには愛する息子、アルジュナの姿があった。
「どうぞ」
「あ、あぁ……」
息子が注いでくれた酒へ慎重に口をつける。逸る鼓動に手が震えそうになるのを必死に抑え込む。
一緒に呑みたいと部屋を訪ねて来てくれたアルジュナに、インドラは極上の気分だった。
そんな主人に気を利かせ、ヴァジュラたちは部屋の外で見張りをしている。つまり、息子と初めてのサシ呑みだ。
邪魔する者も居ない空間に期待は高まる。
(何を話せば良い?最近の調子か、それとも楽しかったできごとか?)
話したいこと、聞きたいことは星の数ほどある。けれど、どうにも照れくさく、インドラはアルジュナへこちらからは声をかけられずにいた。顔を見ることさえ難しく、あらぬ方を向き、たまにチラリと横目で盗み見るのが精一杯だ。
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