バンさんRE:BORN! バンは身体に何とも例えようのない違和感を感じ、目が覚めた。体の調子がおかしくなって目が覚めるなど、初めての体験だ。昨夜はいつも通りしこたま飲んで、いつも通り気づいた時には寝落ちしていた。そういえばここはベッドのようだが、自力でここまで来たのだろうか。もしかして、エレインが運んだのか? だが今、エレインは隣にいない。
「エレイン!」
そう、叫んだつもりだった。が、声が出ない。いや、声のかわりに妙な音が聞こえた。何だこれは。今のは俺が出した音なのか?
それにしてもエレインはどこだろう。先に起きて、散歩にでも行ったのだろうか。
外を見ると太陽はとうにのぼりきっている。ともかく起きるかとベッドから這い出たバンは、何気なく足元を見て、目を剥いた。見覚えのない、おかしな形の黒い靴をはいている。違う、靴ではない。これは……俺の足だ!
仰天し、恐る恐る手を見ると、やはり黒い。しかもどう見ても人の手の形ではない。そういえば視点が異様に高い。身体の他の部分は、顔はどうだ。見たくはない。だが確かめなくてはならない。一体何がどうなっている?!
窓から飛び降り、一目散に泉に向かって走っていった。途中ですれ違った妖精たちが叫び声を上げたが構っていられない。今、俺の身体に何が起きている?
しばしばエレインと沐浴する、澄んだ美しい泉は今は幸い無人だった。彼は固唾を呑み、恐る恐る湖面を覗き込む。
その姿を確認したバンは息を呑み……天を仰いだ。
そこには異形の、煉獄の外来種の姿が映っていたのだ。