バンさんRE:BORN陸ッ!分からないものはもう仕方がない。とりあえず本人は至って健康そうなので、様子を見ることにした。言い換えればそれ以外に出来ることがないから、なのだが。
久々に仲間と飲んで、バンはとてもご機嫌である。けれども今の彼は人語を話せないので、会話が本当に成り立っているのかどうか怪しかった。とはいえどうせ誰もが酔っ払いである、大して問題ではない。
「大丈夫かい、エレイン」
そんな中でも流石に浮かない顔をする妹を放っておけず、キングは酒精で赤い顔をしつつもエレインを気遣った。
「あ、ああ兄さん。うん、大丈夫。ただ、不思議なこともあるんだなって」
「……君のせいじゃないし、そんなふうに思われたくないと思うよ、バンは」
何時になく、否、いつ振りだろうか、兄のこのような兄貴然とした顔を見るのは。その瞳は真摯な光を湛え、肉親への愛情が感じられる。余りに久々に見る兄のそんな表情にエレインは暫時キョトンとしていたが「ふふっ」と笑みを零した。
「ん、どうかしたのかい?」
「何でもない。ちょっと懐かしいなって……ありがと、兄さん」
「それにしても、バンのやつ何だかガキみたいだな。まぁいつも通りといえばそうなんだが」
不意にメリオダスがジョッキ片手に兄妹の間に入ってきた。バンは今、ディアンヌとの腕相撲に絶賛連敗中である。
「団長もそう感じる?」
「まぁな。煉獄の外来種ってのは理性がなくなった状態だから、そんなもんなのかもしれねぇが」
まぁ、いつもにまして楽しそうだからいいんじゃね、と呑気なものだ。
「自我はあるし、大丈夫だろ。バンだしな」
ぽん、と妖精兄妹のの肩を叩く。
「流石は皆の……七つの大罪の団長さんね」
それでエレインは、今度こそ心から微笑んだ。