わぁ。その20ですって バンとエレインは《旅行チケット》に描かれているふんわりとした地図っぽい物を頼りに、メリオダスの謎のメモ《さえずりならの木》を目指していた。
「ふうん、えっ、そうなのね。ありがと!」
途中、村や人家があれば立ち寄るが、そんなものは殆どない。そこでエレインは鳥やうさぎを見かけたら《ならの木》に心当たりがあるかどうか尋ねた。
完全におとぎ話の世界だよなァ♬
鳥や動物と語らう妖精姫。その光景を何度見てもバンは夢を見ているようだと思う。一体何を話しているのかまったくわからないが、そこそこ会話が弾んでいる様子もしばしば見られた。おとぎ話を通り越し井戸端会議のようだ、と思ったことはエレインには内緒である。
「バン、あっちの方にすごく立派なかしの木があるんですって!」
小鳥から有力な情報を掴んだらしいエレインは、興奮気味に《あっちの方》を指差す。なにせ情報の出どころが出どころなので嘘などはないだろうが、それ自体がふわっとした情報ばかりだった。
「オウ、んじゃ方角はあってんな♪」
バンもそんな状況を楽しんでいる。二人は鼻歌を歌ったり、時々かけっこしたりしながらのんびり旅路を楽しんでいた。
暫く歩くと小高い丘のてっぺんあたりに立派なかしの木がそびえ立つ場所にたどり着いた。ただし、何本もある。控えめに言って、林だ。二人は思わず顔を見合わせて吹き出した。
「まぁ小鳥ちゃんの情報だし、こんなものよね」
「かしの木なんてどこにでもあるしな♪」
それはそれとして、居心地の良さそうな場所なので休憩を取ることにする。座って食べ物を取り出した所で、小鳥が数羽群がってきた。
「なんじゃこりゃ。脱走してきた飼い鳥かァ?」
呆れてバンが呟くと「あっ!」と小さく叫んだエレインが立ち上がる。
「バン、正解だわ!」
「は?」
「ここが《さえずりならの木》よ!」
つづくっぽい!