ジジイの紹介だけで1話使ったその23「あああっ! あなた、まさか……!」
「エレイン、まさかこのジジイと知り合いなのか?」
田舎暮らしのよぼよぼ爺さんとエレインとの接点がまるで見えない。けれどもエレインは村長なる年寄りを見て驚いているし、その態度から察するに初対面ではないようだ。ならば危険はないだろうとバンは抱えていたエレインを下ろしてやった。
「知り合いも何も、やだもうビックリしたわ! どっちかと言うと貴方が知り合いというか」
エレインは腕をブンブン振り、視線をバンと老人の間を往復させてあわあわしている。慌てるエレインも可愛いぜ、などとバンは考えた。
「流石は妖精の姫、ひと目でバレたか。はっはっは」
なんとなく聞いたことがあるような笑い方に、現実に引き戻されたバンは老人をしげしげと眺めた。
「俺の知り合いだって? 悪ぃ、わかんねぇ♬」
「すっかり成長しててわからなかったわよね! お人形も成長するのね!」
「お人形? オイオイ……」
老人の片腕がスッと上がる。その腕は敬礼のように曲げられ、額の前で指を揃えたピースマークをビシッと作った。
「キュピーン☆」
「ゴウセルかよ!!」
つづくぞ☆