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    Mogmogsmaka

    ハマったものを軽率に書いていきたいです。現在は真Vのフィン主メイン。

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    Mogmogsmaka

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    5月〜8月前半くらいまでで画像ツイートしていた短文系を纒めました。
    全てフィン主。暗いものは最後に。

    #フィン主
    finMaster

    短文まとめ【花と実と戯れ】
    妖精の集落。
    ケルピーが管理している花畑で、王とフィンは仲睦まじく寄り添い在って休んでいた。
    彼女の頑張りのお陰で他のダァトとは違い、この妖精の集落には様々な木々や花といった植物が育ち、生い茂っている。甘い花の香りが包み込むこの空間は、荒廃したダァトにおいて心休まる場所であり、また花々の禍つ霊にも満ちている。
    フィンが優しい手つきで赤く美しい色を幾重にも咲かせている花の花弁を千切った。長い花の根本をちゅう、と音を立てて吸う。
    「お前さん」
    飛び回る蝶々を眺めていた王を呼ぶ。彼が振り返るとフィンはその顎を左手で捕らえ、薄く開いている唇に口付けた。
    「ん」
    歯列を割り、舌が侵入してくる。互いの舌を擦り合わせれば仄かに甘い味と花の香りが口腔内に広がった。
    「んんー…サルビア?」
    「ご名答」
    最近フィンが行う遊びだ。花の蜜を口移しし、それがどの花であるか当てる遊び。花々が咲き誇るこの場でしか出来ない遊び。最初は花に詳しくなかった王も、彼に付き合う内に味の違いや匂いの違いを自然と覚え答えられるようになった。
    見事言い当てた王に、フィンは嬉しそうな笑顔を見せる。
    それに倣って、王も彼に負けじと問題を出してやろうと辺りを見渡す。すると赤く潤んだ実が撓わに生っている小さな木があるのを見つけた。この木は見たことがある。小さな頃、友人の家に生えていたこの木の実を千切って食べていた。
    「フィン」
    「んむ」
    その実を一つ千切り唇に挟むようにして銜えると、彼の髪を柔く引っ張り此方に向かせて口付けた。赤い木の実がフィンの唇に触れ、熟れた実がくちゅりと潰れる。滴る果汁を舐めるとフィンの舌も同じ様に蠢いた。二人の舌の間で、木の実がその形を崩していく。
    「っは、んん…」
    甘酸っぱく木の実らしい青臭さが残る果実が、二人の口腔内で混ぜられていく。瑞瑞しい一粒の小さな果実はしっかりと味と食感を伝えて飲み込まれる。
    「ぅむ…ン」
    互いの喉が鳴った時、フィンは唇を離した。二人の唇は果汁と唾液にすっかり濡れて光り、唇の間に銀の糸を紡ぐ。
    「美味いな」
    初めて食べる果実であったらしい。濡れた唇を舐めて味わい彼が言った。
    「ユスラウメだよ。ほら、これ」
    王の指が示す場所…丁度フィンの真後ろ程に枝葉を伸ばし赤い木の実を鈴なりに蓄えた小さな木があった。森の中で育ったフィンでもこれは知らない。恐らくは東京辺りに生息する植物なのだろう。
    「これは、癖になりそうだな」
    フィンは王と同じく手を伸ばし、ユスラウメの実を一つ千切ると自らの唇に挟み王の肩をやんわりと押して、その躯を花畑に沈めた。
    「ユスラウメの実が?それとも、キスが?」
    まるで親鳥が雛に餌をやるように唇で王に赤い実を受け渡したフィンはくすりと笑う。
    「…両方」
    二人で甘い果実と時間を味わった。





    【子守唄】
    ひび割れた空に浮かぶ月は今は陰りを見せている。
    ダァトには、夜という概念はない。ナホビノとなり神に近しい力を得た王は、それでもヒトであった頃の習慣を忘れまいと月が陰れば体を休めていた。
    廃屋まみれのダァト。崩壊したビルの物陰や内部で野営をする事は最早茶飯事で、最初こそ抵抗があったものの慣れてしまった。
    『けど、嫌いじゃないんだよな』
    最初は合一化したアオガミとの二人旅であったが、一人、また一人と頼もしい仲魔が増え、焚き火を囲んで語らったり触れ合ったりと交流を持つのが楽しい。
    「王、眠れませんか」
    先程まで火の番をしながらジークフリートと話していたフィンが、オロバスと交代して少しだけ離れた場でバジリスクの羽毛を布団代わりに横たわっていた王の元へとやって来た。王の隣に腰掛け、同じようにバシリスクの背に頭を乗せる。ふんわりとした羽毛がフィンの頬を擽った。二人分の重みを受け止めて、それでもバジリスクはクックッと声を上げるだけで邪険にする事はせず寝入る体制を崩さないでいた。
    「ん…まあね」
    東京であったなら街の灯りが輝き瞬きの大きな星が煌めいていたが、瓦礫から覗く景色にも、空にもそれはない。それが寂しくあった。
    「…」
    フィンは徐にフィブラを外すと、羽織っていたマントを王の胸にかけた。
    何事だろうかと彼を見ると、横たわる王の傍らに自らも寄り添い横になり、右手を伸ばして蒼く長い髪を優しく梳かす。愛しく潤む瞳で王を見つめながら唇を開いた。
    「果たして貴方の安らぎの一つになるかは分かりませんが」
    そう言うと小さく息を吸って、唄を紡ぎ始めた。
    涼やかで柔らかく、どこか甘さのあるフィンの歌声。普段は凛とした声色であるからその歌声の優しさに少し驚いてしまうも、王の意識は波に浚われるようにゆったりと夢の世界へと誘われ始める。
    少し離れた場所で聴こえる焚き火の爆ぜる音。仲間達の語らいの声。そよ風の音。そしてフィンの歌声。
    『ダァトの夜も、悪くない…な…』
    瞼がゆっくりと降りてくる。狭くなっていく視界の最後に、柔らかく微笑んで唄を紡ぐフィンの姿を写して王は眠りに就いた。
    長い睫で滑らかな頬に陰を作り、安らかな寝息を立てる王を眺めて、フィンは唄を止めるとその体に覆い被さる。
    「おやすみなさい。どうか良い夢を、我が王」
    薄く開かれた唇に、己の唇をそっと重ねた。



    【口付けで芽吹く恋心 ※主ちゃん視点】
    爽やかな風が吹き抜ける草原。大きな木の木陰で、その幹に背を預けフィンが眠っている。
    ここは妖精の集落。永世中立の土地。故に敵は居らず、普段は王の従者として気を張り詰めている彼の肩から力が抜けたのだろう事は容易く想像できた。仲魔達も今は散り散りで、ここで思い思いに休息を取っている。
    オベロン王、ティターニア王妃と匿ってもらっている生徒達の事を話し終えた王は、今その木陰で眠るフィンを見つけた。
    金で紡がれたかのような髪が揺れ、長い睫毛を蓄えた瞼が閉じ白磁の頬に影を落としている。薄く開かれた形の良い唇はうっすらと桜色に染まっている。
    普段の彼はとても勇敢な頼り甲斐のある騎士であるが、こうして眠る姿は御伽噺に出てくる王子様の様に美しいと感じる。
    「…」
    それだけではない。王は密やかに、従者として自分に忠誠を誓い仕える彼に淡い恋心を抱いていた。
    だから、どうしても目を奪われる。
    フィンの眼の前にしゃがみ込むと、指先を伸ばして頬に触れる。滑らかな肌。眼の下の紋様を辿り、頬にかかる髪を払う。
    たったそれだけで、王の中にはフィンへの愛しさが渦巻いた。しかし彼は悪魔で、自分はヒト。この想いが成就することが無いのは分かっている。
    「…フィン、好きだよ」
    せめて伝えぬこの想いに少しでも気付いて欲しいと、王はフィンの頬に手を添えるとゆったりとした動きで身を乗り出し、眠る彼の唇に触れるだけの優しい口付けを落とした。
    音もなく離れていく唇。しかしその柔らかさと温かさを噛み締めて王は頬から手を離すと立ち上がりその場を去っていった。


    風が熱くなった頬を擽る。足跡が遠ざかるのを聴き、フィンは瞼を持ち上げた。
    「…嘘だろう」
    王が眼の前に来た時に、既に意識は覚醒していた。しかしあまりにも愛おしげに触れる指先に起きられずにいたのだ。
    「…」
    そして、触れた唇。フィンは頬を染めたまま指先で自分の唇を撫でた。まだ王の柔らかな唇の感触が残っている。確かめるように押さえれば、フィンの胸に何かが芽吹いた。
    フィンは、芽吹いたこの感情の名を知っている。
    「俺は…王の事を、愛している…?」
    一人その感情の名を口にすれば、それはフィンの中で色を持ち美しい花を咲かせた。



    【密やかに芽吹く恋心 ※フィン視点】
    王はヒトである。合一したナホビノの姿ではマガツヒによる回復がある程度行えるが悪魔と違いそれも完全ではない。
    故に疲労の色を滲ませる王に、仲魔達は休息を提案した。妖精の集落に足を運びオベロン王に理由を告げれば心優しい彼は二つ返事で場所を提供してくれた。
    廃屋の中、柔らかな月の光が差し込むその場所に沢山の羽毛と綿を布で包んだ褥がある。それに王は身体を横たえた。
    「…」
    すぐさま聴こえる安らかな寝息。王をここまで運んだフィンはその息遣いに胸を撫で下ろした。
    割れた窓から外を見れば仲魔達も思い思いに休息を取っている。それを確認して、フィンは再び王へと視線を戻した。
    長い睫毛が少年らしい丸みのある頬に影を落とし、深い海のように煌めく長い髪が揺蕩う姿はまるで作り物のように美しい。
    「…王よ」
    美しいと思う以上に、フィンは王への愛しさを募らせた。以前寝入っている内に彼から自分への愛の告白と共に口付けられてしまい、それから自分の王への気持ちは忠誠よりも愛情が深いことを自覚させられてしまったのだ。
    今も、目の前で眠る王が愛しくて堪らない。
    フィンは思わず王へ手を伸ばした。艷やかな髪を指で梳くと一房手に取り匂いを嗅ぐ。甘い香りが鼻腔を擽る。それから傍らに跪くと柔らかな頬に指を這わせた。見た目を裏切らない滑らかな肌の感触…
    そして、薄く開かれた厚みのある柔らかそうに潤んだ桃色の唇。
    愛を自覚した今その誘惑に勝てる理由もなく、フィンはゆったりと王に覆い被さると顔を近付けた。
    「…俺も、貴方を愛しています…」
    あの時の王の告白に答え、自分の唇と王の唇を重ねる。あの時と同じ、柔らかく温かい感触が触れる唇から伝わる。口付ければ想いは色濃く香り立ち、王への想いが一層強くなる。
    「おやすみなさい、我が王。どうか良い夢を」
    ちゅ、と小さな音を立てて離れた唇を撫でてフィンは身を起こした。眠る王を優しく見つめると、彼を守るように褥に背を預け座り込むと瞼を閉じた。



    王は夢を見た。
    それは想いを交わした愛しい従者と手を繋ぎ新たな世界を共に渡り歩く、実に幸せで楽しい夢だった。




    【二人だけの王座 ※バッドエンド注意】

    この台詞から妄想するなら 様
    https://t.co/XjoPedBH3R
    【神に誓おう。絶対に君を護る、と】
    果てしなく広がる宇宙。その玉座。
    そこから世界を見守る王の目の前には愛しい従者がいる。
    彼は跪くと王の左手を取り口付けた。
    「我が王。貴方にかけて誓います。俺が永遠にお護りすると」
    彼の誓いに王は答えた。
    「お前が居るなら何も怖くはないな」
    二人だけの世界に、二人だけの誓いの声が響いている。

    * * *

    跪き手の甲に麗しい唇を落とす従者を見、王は睫毛をふるりと揺らした。可愛らしい音を立てて離れるのを見送ってから口を開く。
    「フィン。俺の愛しい騎士。一つ約束をしてくれないか」
    そう言う王の表情は先程の愛しさを孕むものと違い真剣であった。己の左手を握っている従者の手を強く握り、唇を開く。
    「もしも俺が王としての立場を忘れてしまったその時は、お前の剣で迷わず俺を殺してくれ」
    告げられた言葉は凛とした声色に対してとても重かった。従者は息を飲むと、何も言えずに王を見上げるしかできない。王に剣を穿つ可能性など、想像したこともなかった。
    動かない従者を見て、王は微笑む。
    「…お前だから頼むんだよ、フィン。分かってくれ」
    悠久の時をこの王座で過ごすのは分かっている。その最中に、もしかすれば絶望し世界の破滅を願ってしまうことがあるのかも知れない。そうなった時に自分を止められるのはただ一人王座まで付き従い、仕えてくれる彼しかいない。
    彼ならばきっと、迷いなく自分を止めてくれるだろう。そう思っての言葉だった。
    「俺、は…」
    愛しい王の命を断つ等無理だと言いかけた言葉を飲み込む。そうしたのは、目の前の王の瞳があまりにも愛し気にこちらを見ていたからだ。美しく輝く金の瞳。そこに写る自分の姿。
    従者は王の手を握り返すと、その瞳を見つめ返して王の命を受ける。
    「はい、俺が必ず、この手で…」
    応えてくれた従者に、王は愛しさを惜しみなく溢れさせた笑顔を見せた。


    フィンはその左腕に仕えている王の体を抱き止めていた。宇宙のような王座がひび割れて崩れ始めている。
    「ふぃ、ん」
    小さくなっていく呼吸。その最中に王はフィンの名を呼んだ。震える手はもう動かない。腹部から大量の禍つ霊が滴り溢れている。
    「はい、ここに」
    視界が濁る。それでもフィンの金色を見つけて王は最期の言葉を振り絞った。
    「あり、がとう…あい…してるよ…」
    約束を守ってくれた彼への感謝と愛を伝える言葉だった。世界を見守り続け、澱む王をフィンは約束通りに救ったのだ。
    そんな王をフィンは愛し気に見つめていた。そこには後悔など微塵もなかった。
    「王。我が王。愛しています…永遠に」
    閉じられていく瞳。小さな呼吸。もしかすればこの言葉も聴こえていないのかも知れない。それでもフィンは愛しさを孕む声色で告げると、冷たい唇に口付けた。
    剣の柄を強く握り直し、高く掲げると腕の中の王の胸へ、刃を突き立てる。


    王の居なくなった王座。
    世界は再び奇跡と均衡を失い、王座を巡る争いが始まる。

    そこに、フィン・マックールの姿は無かった。
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    Mogmogsmaka

    MOURNING元ネタは🐜様の曲です。狩猟を行うおフィンと主ちゃんの雰囲気のみな小話。そんなに絡んでません。
    狩猟日誌小さい頃に生きるための術として狩りを教えられていた為、狩猟は得意だった。時折自分よりも体躯の大きな獲物に出会う事もあったがその知識と持ち前の腕で難なく狩る事が出来る。
    ダアトの荒廃した土地を疾駆する牡鹿を草むらに隠れながら追いかける。あれは脚が速いからと拵え携えた弓矢を構え、弦を引きその時を息を殺して待つ。耳元で弦が張るきりきりという音と草が風に揺れる音だけが響いている。顔を上げ辺りを警戒していた鹿が、僅かながらに残った青い草を食べようと首を下げる。その一瞬とも言える無防備な姿を逃さない。
    張りつめていた弦が弾け、空気を裂いて矢が飛んでいく。フィンの手から放たれたその矢は鹿の心臓を一息に貫いた。
    小さな鳴き声を上げて倒れた鹿は、少し藻掻いてそれから動かなくなった。隠れていた草むらから身を起こしたフィンは、新雪の残る土を踏みならして仕留めた獲物に近寄った。鮮血で地を濡らす鹿は確かに絶命しており、腰に下げた皮袋から手入れを施され研ぎ澄まされた狩猟用のナイフを取り出すと鞘を抜き刀身を鹿の喉へと突き立て、先程までその体を巡っていた血を抜く。次いで丸い腹に切り込みを入れて温かな腸を取り出す。手に伝う温かさに命を頂く尊さを感じてフィンは心の内で鹿に感謝を述べる。そうして軽い処理を行った鹿の両の手足を縛り上げ麻袋に放り込むと、肩に担いで王の待つ野営地へと戻ることにした。
    1811