行くべき場所、帰る場所 「あ、あれ……どこだ、ここ……」
オレが目を覚ますと、そこは見渡す限りの荒野だった。見慣れたはずの森や草木はひとつもなく、砂ぼこりが舞っているだけの寂しい景色。目を閉じる前の記憶では、確か辺りは木々に囲まれていたはずだったし、オレ以外にも大勢人がいたはず……でも今ここにはオレしかいない……一体どういう事なのだろうか。
とにかく今の状況を把握するため、オレは立ち上がって辺りを見回した。しかし、どこを見ても自分以外の存在を何ひとつとして確認出来なかった。何も無い場所にこのまま留まっていても仕方ないと思い、今度は地平線の方へ向かって歩き出す。すると、歩みを進めた先に何かを見つけた。それは、オレの暮らしていた村ではあまり見かけない古びた看板のようなものだった。
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