吊り橋効果 食事を終え、使った食器を全て片付けると、僕はリビングのソファへと移動した。片づけるべき家事は全て終わったから、後はお風呂が入るのを待つだけである。ルチアーノの隣に腰を下ろすと、つけっぱなしになっているテレビへと視線を向ける。僕たちの間に転がっていたリモコンを手に取ると、目的もなくテレビをザッピングした。
代わる代わる画面に映し出されるのは、ゴールデンタイムのバラエティだ。それが見慣れないものばかりなのは、時間がいつもよりも遅いからである。シティで開催されていた小規模な大会に参加していたら、いつもより遅くなってしまったのだ。家に辿り着いた時には、すっかり八時を過ぎてしまっていた。
テレビのリモコンを持ち直すと、僕は番組表の画面を開く。気になる番組を表示させると、メニューから番組概要を確認した。時刻は夜の九時を過ぎているから、番組は年齢層の高い視聴者を想定したものへと切り替わっている。僕が最初に切り替えたチャンネルでは、有名俳優の出演する恋愛ドラマを放送していた。
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