銃弾 繁華街の片隅には、路地へと続く通りがある。この細道を曲がった先には、古ぼけたビルが並んでいた。大通りには大きなチェーン店が軒を連ねているが、小さな個人店などは通りを外れたビルに入っていることがあるのだ。人々の喧騒から離れると、足音を響かせながら奥の建物を目指す。
目的地から少し離れたところで、不意にルチアーノが足を止めた。真剣な表情で前を見ると、振り返って僕を突き飛ばす。
「伏せろ!」
バランスを崩して、僕の身体は地面へと倒れ込んだ。上着がアスファルトに擦れて、ザリザリと音を立てる。なんとか両手を下に敷き、顔面からの着地だけは免れた。長袖を着ていなかったら、どうなっていたか分からない。
顔を上げると、ルチアーノに視線を向けた。彼は少し離れたところで、建物の影を睨んでいる。こちらには一切視線を向けずに、威圧するような声で言った。
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