Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    totorotomoro

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💴 🍵 🐉 🍙
    POIPOI 39

    totorotomoro

    ☆quiet follow

    スクロールバーが仕事してない?
    …はて? なんのことやら…。

    #鯉博
    leiBo

    にゃんにゃんにゃん ふわふわとした眠りから覚醒する。夢を見ていたのかも知れないし、ただ眠りから目覚めたのかもしれない。
     ソファに横たわり、うたた寝をしていたようだ。
     見覚えのあるロドス艦の天井を見て寝起き独特の温みを払うようにくぁ……とあくびをした。あくびの中に酒精の香りがした気がして目を細める。
     そういえばこの状態になる前に少し飲んでいた気がするとリーはその時始めてそう思った。と、ふいに抱きかかえていた腕の中の硬いものが身じろぎをするのを感じて思わず上体を起こしそうになった。だが上に乗っている存在に気づいて慌ててこらえた。
    「起きたか?」
    「……ドクター?」
     仰向けになっていた腕の中で抱き枕のようにしっかと抱えている存在をまじまじと二度見する。当人はPRTSを弄っていた手を止めてリーの体を支えに位置をずらすように己の体の位置を微調整するとリーの胸に頭をもたれかけた。そしてずり落ちかけていた膝掛けを手探りで引き寄せるとお互いの体に雑に掛け直してまた再びPRTSに目を落として操作を始める。
     ところがリーとしてはそんな気分ではない。
    「え、なんでドクターがおれの腕の中にいるんです?」
    「不服か?」
    「とんでもないです」
     ずり降りようとする体を逃げないようにと少しだけ腕の力を強めた。
    「酔っ払って私の部屋に雪崩れ込み、一緒に寝ようとぐずるから君の要望通り一緒に寝ていたんだ。ちなみに君は膝掛けごと私を椅子から持ち上げてここまで連れてきたので上掛けがない。私としては君の体がクッションになるからそれなりには快適だが」
     リーの脳裏にドクターの言葉通りの記憶がフラッシュバックする。言った、確かに。ドクターの返事は忘れてしまったが、今こうして抱えているということはドクターが付き合ってくれたことの証左なのだろう。
    「……すみません」
    「なぜ謝る?」
     手を止めて上を向くドクターにリーは瞬きを返す。
    「この場合、ドクターなら怒っていいのでは」
    「PRTSでシミュレーションしていて机仕事をしていたわけではないから特に怒る意味がないんだが。これは怒ったほうがいいのか?」
    「あ、いえ、ドクターがいいなら良いんですけどね」
    「ふうん」
     生返事のままでトントンとドクターの指先がPRTSを操作している音だけが響く。
    「あの」
    「んー?」
    「おれいつからこうしてたんです?」
     その言葉に、ドクターはPRTSの演算を止めて体を起こすと壁にある時計を見た。
    「かれこれ二時間くらいか」
    「そんなに?」
     ぽふりと体を横向きに預け直すドクターを抱え直してリーがドクターの薄い腹部に手を当てて撫でると「こら」と手をつかまれて外された。
    「何か」
    「しれっと聞くな。寝ていたのだからそのまま大人しく寝ててくれ」
    「そんな、勿体無い」
     リーはドクターの体を少し上にずらすようにして抱え込む。
    「おい、今は……。あっ」
     PRTSを操る手が滑ったのか、端末からビープ音がする。これは怒るだろうかとリーの目がドクターの端末からドクターの顔へと恐る恐る移ったが、ドクターは小さくため息をつくとPRTSの電源を落としてテーブルの上に放り出した。破損防止に取り付けられたガードが机に触れて鈍い音を立てる。
    「いいんですか」
    「新しい陣形を思いついたから試してみたかったんだ。まあ欲しいデータは大体取れたからいい。───それで?」
     ドクターの指先がリーの手を握って、頬をリーの肩に擦り付ける。
    「え」
    「私は君の要望を叶えたんだ。どうしたい?」
     フッと息を吐くようにドクターがつぶやき、リーは腕に力を込めて、ドクターの体に擦り付く。
    「ドクターを可愛がりたいです」
    「ふふっ、いいよ」
     伸ばした手でリーの頭を撫でるドクターに、リーはうっとりと気持ちよさそうにしながらドクターの頬にキスを落とした。


    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖💖💖💖💖❤💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    はるち

    DOODLEロドスでダンスパーティーが開かれるのは公式というのが良いですね
    shall we dance「あなたには、ダンスはどのような行為に見えるかしら?手を相手の首元に添えて、視線を交わせば、無意識下の反応で、人の本心が現れるわ」

    踊ろうか、と差し出された手と、差し出した当人の顔を、リーは交互に見た。
    「ダンスパーティーの練習ですか?」
    「そんなところだよ」
    ロドスでは時折ダンスパーティーが開催されている。リーも参加したことがあり、あのアビサルハンター達も参加していることに少なからず驚かされた。聞けば彼女たちの隊長、グレイディーアは必ずあの催しに参加するのだという。ダンスが好きなんだよ、と耳打ちしてくれたのは通りがかりのオペレーターだ。ダンスパーティーでなくとも、例えばバーで独り、グラスを傾けているときであっても、彼女はダンスの誘いであれば断らずに受けるのだという。あれだけの高嶺の花、孤高の人を誘うのは、さぞかし勇気のいることだろう――と思っていたリーは、けれどもホールの中央で、緊張した様子のオペレーターの手を取ってリードするグレイディーアを見て考えを改めた。もし落花の情を解する流水があるのならば、奔流と潮汐に漂う花弁はあのように舞い踊るのだろう。グレイディーアからすれば、大抵の人間のダンスは彼女に及ばないはずだ。しかしそれを全く感じさせることのない、正しく完璧なエスコートだった。成程、そうであれば、高嶺の花を掴もうと断崖に身を乗り出す人間がいてもおかしくない。
    1754

    recommended works

    はるち

    DONE二人で飲茶を食べるお話
    いつだってあなたと晩餐を アルコールは舌を殺す。
     酒の肴を考えてみれば良い。大抵が塩辛く、味付けが濃い。それは酒で鈍くなった味覚でも感じ取れるようにするためだ。煙草も同様だ。喫煙者は食に興味を示さなくなることが多いと聞くが、それは煙が舌を盲目にするからだ。彼らにとっては、食事よりも煙草のほうが味わい深く感じられるのだろう。
     だから。
     酒も煙草も嗜む彼が、こんなにも繊細な味付けで料理をすることが、不思議でならない。
    「今日のは口に合いませんでした?」
    「……いや、おいしいよ」
     考え事をしている内に手が止まっていたのだろう。問いかけに頷き返すと、そりゃ良かった、とテーブルの向かいで彼が微笑む。
     飲茶に興味がある、と言ったのはつい先日、彼が秘書として業務に入った時のこと。それから話は早かった。なら次の休みは是非龍門へ、と彼が言うものだから、てっきりおすすめのお店にでも案内してくれるのかと思ったのだが。彼に連れられてやって来たのは探偵事務所で、私がテーブルにつくと次から次へと料理が運ばれてきた。蒸籠の中に入っている料理を、一つ一つ彼が説明する。これは焼売、海老焼売、春巻き、小籠包、食事と一緒に茉莉花茶をどうぞ、等々。おっかなびっくり箸をつけてみれば、そのどれもがここは三ツ星レストランかと錯覚するほどに美味しいのだから。
    1791

    totorotomoro

    DONE2022/10/4 それは大陸版の衣装発表の記念日…。
    リー先生の衣装にたぎった我々は、それをぶつけるため各地に創作部隊を放ったのであった…(与太話)
    Trick or Treat? ───あっ、ドクター!? おれです、リーです! 忙しいとこすみません、助け、助けてくださいっ。ちょっ、男のそんなとこ触るのナシでしょうが。ちょっと! 何か話してくださいよ! やめっ、落ち着いてっ……ドクター聞こえてますか!? ドクターお願いです、助け……うわっ。来ないで〜!

     ガタガタンゴツン、ゴッ───ゴトゴトッ……ピッ、ブツッ。

     え、なにこれ。新手のAV?

     沈黙した携帯端末を見下ろして、ドクターはたぷたぷと画面に触れた。直前に連絡してきたのはさっき名乗ったリーの携帯端末からで、最後の物音は端末を床に落としたか何かだろう。かけ直そうかと思ったが、通話の状況的に相手が出るわけもない。
     リーの声音から直接命に関わることはなさそうなのだが、なりふり構わずヘルプを求める姿にドクターは端末をポケットにしまうと執務室にあるコンソールからリーの今日の公開されている予定を呼び出した。朝から順番に斜め読みをして、直前のスケジュールを見て居場所がわかったドクターは席を立った。
    2786