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    totorotomoro

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    POIPOI 39

    totorotomoro

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    鯉先生の衣装替えについて素敵な小説があふれてるので、ここなら好き勝手に書いてもバレねえ!ということでまだ見てない設定の鯉博など。

    #鯉博
    leiBo

    散文「あ、これですか? こいつは僵尸っていうんですけど、これは道士……んー、アーツとはまた違う古来の術、まあ炎国で伝わる御伽話なんですけど。そういうので言われてる死者の装束なんですよ」
     言いながらリーは笑いながら私の前でくるりと回ってみせた。
    「おれとしちゃあこないだのマジシャン姿よりは顔も隠れるしいつもの服と近いんで気楽なんですけど。似合いますかね?」
     周りに人がいないこともあって、リーは少し気取って写真用のポーズなどをしてみせる。そうしてフェイスシールド越しにじっと見ているはずのドクターに問いかけたが、彼はただ黙ってこちらを見ているばかりで。
    「──あ、あのですね。できればおれとしちゃあ何でもいいから言ってもらえると」
    「……リー」
    「はい」
     てくてくと近寄ってきたドクターはするりとフェイスシールドを外してフードを取る。そのままぽすりとリーに抱きついた。
    「リー」
    「どうしました? 人目がないからって珍しい」
     ぎゅうっと胸元にしがみつく温かさに、リーは首を傾げながらもドクターを抱きしめた。
    「……生きてるね」
    「そりゃ死んでませんから」
     胸に顔を当てていたのは、耳で鼓動を確かめていたらしい。手が伸びてリーの首元から脈を取ろうとするのに気づいて、リーはやや前屈みになってドクターの手を首に当ててついでに唇にキスをねだる。
     とくとくと流れる音に、安心したのかドクターはリーの唇に己のを一瞬重ねて離れようとする。
     リーはそれを尾で持って引き寄せると今度は自分がしっかりとドクターを包み込んだ。
    「不安になりましたか」
    「なった。似合いすぎてて」
    「そんな簡単には死にませんよ。あなたがいるのに」
     リーはスウっと息を吸い、ドクターを堪能するようにかき抱いた。

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    はるち

    DONEやり方は三つしかない。正しいやり方。間違ったやり方。俺のやり方だ。――引用 カジノ
    健康で文化的な最低限度の退廃「抱いてくれないか」

     その人が、ソファに座る自分の膝の上に跨る。スプリングの軋む音は、二人きりの静寂の中では雷鳴のように鮮烈だった。こうしていると、この人の方が自分よりも視線が上にある。天井からぶら下がる白熱灯のせいで逆光となり、この人の表情を見失う。
     どうしてか、この世界の生物は良いものだけを、光の差す方だけを目指して生きていくことができない。酒がもたらす酩酊で理性を溶かし、紫煙が血液に乗せる毒で緩やかに自死するように、自らを損なうことには危険な快楽があった。例えばこの人が、自らの身体をただの物質として、肉の塊として扱われることを望むように。この人が自分に初めてそれを求めた日のことを、今でも良く覚えている。酔いの覚めぬドクターを、自室まで送り届けた時のこと。あの時に、ベッドに仰向けに横たわり、そうすることを自分に求めたのだ。まるで奈落の底から手招くようだった。嫌だと言って手を離せば、その人は冗談だと言って、きっともう自分の手を引くことはないのだろう。そうして奈落の底へと引き込まれた人間が自分の他にどれほどいるのかはわからない。知りたくもない。自分がロドスにいない間に、この人がどうしているのかも。
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