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    totorotomoro

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    totorotomoro

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    鯉先生の衣装替えについて素敵な小説があふれてるので、ここなら好き勝手に書いてもバレねえ!ということでまだ見てない設定の鯉博など。

    #鯉博
    leiBo

    散文「あ、これですか? こいつは僵尸っていうんですけど、これは道士……んー、アーツとはまた違う古来の術、まあ炎国で伝わる御伽話なんですけど。そういうので言われてる死者の装束なんですよ」
     言いながらリーは笑いながら私の前でくるりと回ってみせた。
    「おれとしちゃあこないだのマジシャン姿よりは顔も隠れるしいつもの服と近いんで気楽なんですけど。似合いますかね?」
     周りに人がいないこともあって、リーは少し気取って写真用のポーズなどをしてみせる。そうしてフェイスシールド越しにじっと見ているはずのドクターに問いかけたが、彼はただ黙ってこちらを見ているばかりで。
    「──あ、あのですね。できればおれとしちゃあ何でもいいから言ってもらえると」
    「……リー」
    「はい」
     てくてくと近寄ってきたドクターはするりとフェイスシールドを外してフードを取る。そのままぽすりとリーに抱きついた。
    「リー」
    「どうしました? 人目がないからって珍しい」
     ぎゅうっと胸元にしがみつく温かさに、リーは首を傾げながらもドクターを抱きしめた。
    「……生きてるね」
    「そりゃ死んでませんから」
     胸に顔を当てていたのは、耳で鼓動を確かめていたらしい。手が伸びてリーの首元から脈を取ろうとするのに気づいて、リーはやや前屈みになってドクターの手を首に当ててついでに唇にキスをねだる。
     とくとくと流れる音に、安心したのかドクターはリーの唇に己のを一瞬重ねて離れようとする。
     リーはそれを尾で持って引き寄せると今度は自分がしっかりとドクターを包み込んだ。
    「不安になりましたか」
    「なった。似合いすぎてて」
    「そんな簡単には死にませんよ。あなたがいるのに」
     リーはスウっと息を吸い、ドクターを堪能するようにかき抱いた。

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    はるち

    DONEリー先生の尾ひれを見るたびにドキドキするドクターのお話。
    その鮮やかさを覚えている 覚えているのは、黒と金。
     石棺で眠りについていた二年。あの漂白の期間に、自分はかつての記憶のほとんどを失った。それを取り戻すために、主治医であるケルシーとは幾度となくカウンセリングを行ったが、その殆どは徒労に終わった。医学的には、記憶喪失になってから一年が経過すると、記憶が戻るのはほぼ絶望的とされる。だからこれで一区切りをする、と。ケルシーは診察の前にそう前置きをし、そうして大した進展もなく、最後の診察も終わった。言ってみればこれは届かないものがあることを確認するための手続きだ。現実を諦めて受け入れるための。失われたものはもう二度と戻って来ないのだ、ということを確認するための。
     ドクターは書棚からファイルを取り出した。ケルシーとの診察の中で、自分に渡された資料の一部だ。何でもいいから思いつくものを、思い出せるものを書いてみろと言われて、白紙の上に書いた内面の投影。他者からすれば意味不明の落書きにしか見えないだろう。しかしケルシーにとっては現在の精神状態を推量するための材料であり、ドクターにとっては現在の自分を構成する断片だ。
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