Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    とうこ

    じゃっと書いた落書きとか、なんかの下書きとか、適当な奴をぽいぽいしていきますよ!

    ついったー
    @tohko_0w0b
    マシュマロ
    https://marshmallow-qa.com/tohko_0w0b

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 46

    とうこ

    ☆quiet follow

    ななみが反省する七五

    #七五
    seventy-five

    .

     オマエのせいだーと冗談みたいな泣き声で責め立ててくる。ベッドで子供みたいに身を丸めて、べそをかいている姿は確かに年齢を鑑みれば冗談みたいな姿だ。けれど少しばかり、冗談で済まないかもしれない。
    「大丈夫ですか」
     カサカサに掠れた声はやけに深刻に響く。だから前髪を撫でた手の下で青い目がぱちりと開いて七海を見上げた。目が合うなりヤンチャに笑って
    「うん大丈夫」
     なんて嘯くけれども七海の手のひらは額に伝う冷や汗で濡らされている。
    「どこか痛いところは?」
    「どっこも痛くない。ただちょっと止まんないだけ」
     カタカタと震える体をぎゅうと抱きしめるとやけに冷えている。手足の筋肉が強張って、縮んでいて、いつも抱く体の感触よりずっと硬くて、小さい。
     セックスで調子に乗りすぎてこんなことになんてシャレにもならない。
     あんまり気持ち良さそうだから、もっと良くさせたかった。蕩けた顔が愛しくて、いつまでも見ていたかった。自分の指で体で、あられもなく善がる姿に興奮した。媚びるような甘えた声は思うがままに上げさせることができるし、長い手足は絡みついてきて縋ってきて、蒸気のような息を吐きながら、顔をびしょびしょに濡らして、何度も名前を呼んできた。これが可愛くないわけがなくて、可愛がりたくて、白い肌の中で色のついたところ、とがったところ、肌の隙間、触れる限りの体の中を弄って、虐めて、要は夢中だった。
     何度でもイかせられるのを半ば面白がって、ぐちょぐちょに混ぜ合わせた下半身で追い立て続けたら、急に呼吸の色が変わった。震え方も変わって、表情も変わった。
     過呼吸だと気づいて頭から冷や水をぶっかけられた気持ちになり、慌てて体を引いて、呼吸しやすい姿勢に変えてやって背を撫でて、やっと息は落ち着いてきたところだけれど、体は震えたまま止まらない。
     オマエのせいだは、本当にその通りなのだ。相手の限界も考えずに調子に乗りすぎたのだから。
     強張った体は腕の中で震え続けている。痙攣のようだ。
    「だいじょーぶ、すぐ治るよ」
     七海が真剣に心配をしていることに気づいた悟は、強がって笑ってみせる。こんなときまで痩せ我慢しようとして、いっそさっきまでのように子供っぽい口調で罵倒されている方がずっとマシだ。
    「……こういうの前にもありましたか?」
    「ないよー。なんでデショね、コレ。あービックリした〜。でももー息は苦しくないしホントだいじょーぶ」
     わざとおどけて喋るのなんて七海には通用しないのに、悟はそれでもヘラヘラ笑う。
     撫でる背中は筋肉が縮まって、深呼吸しようとしているようだけれどもうまく肺を膨らませられなくて浅い呼吸を繰り返している。
    「……手、痺れてないですか?」
     七海が指を撫でると、悟は濡れた睫毛をぱちぱちと瞬かせる。
    「よくわかるねー。なんか顔とか歯とかも痺れてんの」
     さっきまで火照ってくねっていた腕をさすってやる。
    「冷えてますね」
    「なんか、腕も痺れてるかも。ホラ、感覚なくなって自分の腕じゃないみたいな感じのとき、あるでしょ? それみたい」
     七海は少し迷って、あまり知られたくないことの情報開示と、医療倫理の踏み外しとを、しかし冷や汗まみれで笑う人を前にしては、もう、えいと超えてしまうことにした。
    「……安定剤、飲みますか」
    「え、何それ」
    「私に処方されたものですが、少し残ってますので」
     七海は立ち上がって一度部屋を出る。グラスに水と、白い錠剤を手にして戻る。
    「……確かに人に飲ませるのは良くないですが、使用期限内ですし、そんなに強い薬ではありません。少し筋肉が緩むくらいのものです」
    「オマエ、飲んでんの?」
    「呪術師に戻ってからは一度も飲んでませんよ」
     悟はマジマジと、シートの中の小さな白い粒を見る。それから七海の顔を見る。ありとあらゆることを言いたそうな顔をして、しかし何も口にせず、七海の手のひらから錠剤を摘み上げた。
     七海は起きあがろうとするのを手伝ってやり、背を支えて、水を飲む手も支える。カタカタと震える手が水面を揺らすので飲みにくそうだったけれど、唇の中に薬品はつるりと滑り込んで、喉仏が上下した。そのまま水を飲み干して、グラスを取り上げた七海の首に両腕を絡めてくる。
    「一緒に寝て」
     七海はもとよりそのつもりだったから、そっと横たえた長い体に自分も寄り添い、腕の中に収めて、少しはこれで温まらないか、震えが止まらないかと体温を分ける。
     しばらくぐったりと無反応だった悟は、
    「あー……これ、すごいカラダ、重くなるね。ねむ……」
     とボヤくので、そのまま寝てしまうといいですよと頭を撫でた。腕の中の体も強張っていたのがだらりと弛緩して、もうどこにも力が入っていない。かたかった体も柔らかく緩んで、だから震えも止まっている。ゆるゆる、でもまだ普段より細い呼吸をしている。
    「……あした、仕事、行けっかなー……」
     悟はそんな独り言を最後に寝入ってしまった。存外真面目なんだからと七海は一人で苦笑いをする。
     ああ今夜は失敗した。反省をする。無理をさせられる相手とついつい思い込んで、キツイ言葉も情欲も遠慮なく向けてしまいがちだけれども、この人もただの人間なのだ。肉も骨も至って柔らかなただの普通の人間だ。大事にしたい気持ちはあるのにどうして失敗してしまうのだろう。
     もうすっかりけろりとのんきな顔ですやすや眠る悟の横、七海は眠れない夜を過ごす。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💒🍑💒😍💒😭💕💒💘💒💘💒💘😭💞😍😍👍💕🙏😭🙏🙏😊👍😭😭😭😭🙏🙏🙏🙏🙏🙏🇱🇴🇻🇪💖💖💖💖🙏💕💖👍❤👏🙏🙏👏💞👏💯💘😭💯💘
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    Sssyashiro

    DONE2話目!
    【展示】敷島さんとの共同企画🍴
    ・トンデモ料理を作っては5に食わすことでストレス発散する7がいる
    ・つきあってないけど……ふふ♡
    ・懐かしのリレ〜小説的なアレ
    02■KYOKI NO SYOKUTAKU02■トナカイ / ポロン・カリストゥス / ヴォイシルマプッラ



     七海に部屋に呼ばれるなんて、僕ってばけっこう仲よくなれてる……? と無邪気に浮かれることができたのは最初だけだった。
     絶対にキッチンはのぞかないでください。アナタはここで好きなだけくつろいでくださって構いませんので。それでは。
     いやそれではじゃねえんだよ、と言えなかったのはこの間の七海を知っているからだった。
     そう、あの日の七海もこんなふうだった。手ぶらでどうぞ、ってなんかもうすげえ圧強めのメッセージひとつで僕を呼びつけてきてさ……でもそのときの僕は喜んだわけよ。あっこれはなんかつくってくれんだな、前に料理がストレス発散だつってたしこれは! これはなんかあるな……! って純粋な僕はめ~ちゃくちゃ喜んだわけ。料理系Youtuberもびっくりな広さのキッチンでなーにつくってくれんだろ♡ ってもうウキウキしながら行ったのよ玄関から。玄関から! なのに七海は寒気するくらいの微笑みで「ソファでくつろいでいてください」でその後はもうなに、あまりにもアバンギャルドなサウンドが……腰かけたソファから、下ろしたつま先から、伝ってくるのよ……調理中ASMRだつってこんな斬撃音再生されたら即BANされるぞマジで、くらいのやつが。これはあれだ、僕がおもしろ半分にクソデカシステムキッチンを煽ったこと根に持たれてんだなー、あれそんなヤだったのかなー、いやアイツ結構怒りの沸点低いからなー、なー、なー……とかこの僕がめずらしくも反省しながら震えてたら出てきたの料理が。ガタンつって料理が。
    5226