6.金の卵を産むオジサンとそんなオジサンを飼うことになった畜産農家レウスのアキヘク
「……おい、オヤジ。お前の店はいつから奴隷を売るようになったんだ」
「いやいや、物騒なこと言うんじゃありませんよ、どこに奴隷がいるっていうんです」
「いや、ここに」
「……旦那、目が悪くおなりになったんでそれか頭打ちましたここにいるのはガチョウですよ」
「これが、ガチョウ」
アキレウスが見つめる店の軒先には、ガチョウは存在しなかった。かわりに、簡素な、服の形もなしていないような白い布を纏った山羊髭を生やした男が首輪に繋がれ、項垂れるように目を伏せしおらしく座っているだけだった。
最初はアキレウスに向けて怪訝な顔をしていた商店のオヤジは、何かを思い付いたように顔を一変させにこにこと手を擦り合わせ始めた。
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