鈍く頭が痛んで意識が持ち上がった。頭痛なんてほとんど感じたことがない。どうして痛むのかと重い瞼を開く。見知らぬ天上が自分を見下ろしていた。
「色」
呼びかけられてゆっくりと振り向くと、端正な顔立ちの知らない男が、ベッド横の椅子に座っている。濃茶の毛先が金に透けるような不思議な髪の色をしている男は、不思議な光をたたえた金の瞳をしており、その下に赤くアイラインが引いてある。身を起こそうとした一瀬に、無理をするな。と男は言った。
「体調はどうだ」
「体調……」
言われてぐるりと体の隅々まで意識をしてみるが、頭が痛む以外に気になることはない。室内を見回して、見覚えがないことと、ここに来るまでの記憶が妙にはっきりしないことから、どこかで怪我でもして運ばれたのだろうか。
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