長い。
自身の口内に押し込まれた舌が、あきらかに長い。
唐突にくちづけられたことよりも、その異様さに気をとられたのが間違いだった。
あっさりと主導権を握られて、舌が口の中を暴れまわるのを許してしまう。
苦しさが勝って、自分よりよほど薄い肩を掴んで押しのけようとしたが、びくともしない。
じろりとにらみつけても、にまにまと目元が笑っている。
調子に乗って舌をからめてくるのに、どんどん苛立ちが湧き上がり、口内に侵入してきた舌を噛み切る勢いで歯を立てた。
ぶつりと皮のやぶれる感覚、どろと口内に広がった液体。血の味と匂いを錯覚した。
しかし、次の瞬間、あきらかに舌の傷からの出血とは思えない量の液体が口内を満たして、喉奥を目指す。ぞわ、と悪寒が走る。
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