つみ の みつ 4.
「意味を理解した上で口にしたのなら────おいで」
そう言ってオレの腰を緩く抱き寄せた彼は────見たこともないほどに悪い顔をしていた。
その表情に、少なからずオレはゾクゾクとさせられた。
が、しかし。街頭でタクシーを呼ばれ二人で乗り込み、運ばれた目的地で、オレは目が点になった。
「え……」
静かに後部座席のドアが開き、降谷さんは「着いたよ」とオレを追い立てた。目の前には、見覚えがありすぎる、洋館。オレの家の前。それならば彼も降りるのかと思いきや、彼は腰をあげる素振りも見せず、ほのかな笑みを浮かべて「おやすみ」と手を振った。
「……クッソ。図られた」
去っていくタクシーのテールランプを睨みつつ舌打ちして、グシャグシャと髪を掻き回す。
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